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こんなことってある!?
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1ヶ月後には、新しい部長が来る。
部長も高梨も今は、淡々と仕事をしている。
もっと早く、こうなっていたら、部長も高梨も
辞めることにはならなかったのに・・・。
気がついた時は、手遅れってこと、よくあることだよね。
私も気をつけよう。
辞めることが発表されてから、部長が怒鳴ることは無くなった。
とりあえず、平和で穏やかなんだけど、
なんか違うって感じもするんだよね。
本物の平和とか、穏やかさとは、ちょっと違うっていうか・・・。
それでも、何事もなく、大きなトラブルもなく、過ごせるっていうのは、
前に比べたら、全然、良いんだけど。
私も毎日、電車で座れるし、仕事も順調に進んでる。
前に取り逃したクライアントも何故か、また、一緒に仕事をすることになって、
私は、大きな数字をあげることが出来た。
あの時は、腰が引けてたけど、今の私は、胸張って仕事することが出来てる。
私の力量は、あの頃からほとんど変わってないんだけど、
思いっていうか、気持ち?は全然違う。だから、思うんだよね。
何が出来るとかっていう物理的なことじゃなくて、気持ち次第なんだなって。
アトランティーナとも毎晩、お話しして、色々ご指導頂いてる(笑)
まだまだ、新しく知ることもあるし、注意されることもあるしって感じだけど、
やっぱり、アトランティーナとお話しする時間は、とっても楽しい♪
新しい石を迎えることもなく、相変わらず、
ローズクォーツとクンツァイトにお世話になりながら過ごしてるんだけど、
そろそろ新しい石も欲しいかなって思い始めてる。
アトランティーナに話したら、
「そろそろ、次のステージに上がるってことじゃない?」って
笑ってた。本当にそうなら良いんだけどな。
遂に今日が月末。部長と高梨の最後の日。
そういえば、送別会の話、出てないけど、どうするんだろう?
誰も言い出さないって、ちょっと冷たい気もするけど、
じゃ、私が幹事をやるのかって言われたら、
それは、ちょっと勘弁って感じだから、私からも言い出さないでいる。
アトランティーナに相談したら、「流れに任せておけば?」って
言ってたから、あえて私から発言することは避けようと思ってる。
でもなぁ・・・このままで良いのかな?
だけど、部長も高梨も自主退社じゃなくて解雇だから、
逆に送別会とかって言われても迷惑かもしれないよね。
う~ん、難しいところだ。
「キンコーン、カンコーン」終業のチャイムが鳴った。
あっ、局長が来た!手には、小さいけど、花束を2つ持ってる!
なんか、少し救われた気がした。
「三橋部長、高梨くん、お疲れさまでした。
次の仕事でも大いに力を発揮してください」
局長がそう言って、二人に花束を渡すとフロアに居たみんなが拍手した。
なんか、偽善的っていうか、なんていうか・・・。
って思いながら、私も拍手してるんだけどね(苦笑)
二人は、揃って頭を下げて、去って行った。呆気ないっていうか・・・。
でも、二人にとって、この1ヶ月は、もしかしたら地獄だったのかもしれない。
それでも休まずに会社に来ていたことは、評価に値すると思う。
そう思ったら、思わず、声が出てしまった。
「三橋部長、高梨、お疲れさまでした!」
一斉に注目を浴びてしまったけど、胸の奥につかえてたものが、
スーッと流れた気がした。
別に良い人だって思われたくて言ったんじゃない。
私自身がスッキリしたかっただけ。これで、送別会をしないことも、
なんか気にならなくなったから言って良かったと思う。
局長が近づいて来た。
『今度は何よぉ~。もう、私のことはほっといて!』
「久遠さん、やっと、スッキリしたでしょ?」
「えっ、なんでですか?」
「いや、特に意味はないですけど(笑)
あっ、明日から新しい部長が来ますので、よろしくお願いしますね。
あと、高梨くんの補充も間に合いましたから」
「あっ、そうですか。ありがとうございます」
「みなさんもお疲れさまでした。明日からは、部長も変わって、
新しい部に生まれ変わりますので、
引き続き、業務の方、よろしくお願いしますね」
局長は、そう言って、局長室に戻って行った。
なんか・・・局長って、良い人なの?それとも曲者なの?
よく分かんなくなってきた。でも、私には関係ないしね。
私は、仕事するために会社に来ているワケで、
人間関係を深めたいとか、出世したいとかも思ってないから、
どうでもいいか(笑)
さて、今日もサクッと帰ろうっと♪
身体に聞いて、夜ご飯のメニューを決めて、
ご飯食べて、お風呂入って、10時前にはベッドに入って、
アトランティーナとお話しして、翌朝を迎える。
いつもと同じパターンのはずだったんだけど、
明日は、新しい部長が来るんだよなぁ・・・って考えたら、
眠れなくなってしまった(汗)
アトランティーナが言ってた通り、今、ここで考えたところで、
私には何も出来ないんだから、
考えない方が良いって分かってるんだけど、考えちゃう!
『どんな人なんだろう?』『若いのかなぁ』
『どこから来るんだろう?』って、次々と私の中で【?】が浮かぶ。
いつもなら次に来る人の情報が、事前に入るものなんだけど、
今回に限っては、新しい部長に関しても、
高梨の代わりに来る人のことも全く情報が入って来なかったんだよね。
だから余計に考えちゃう。う~、困った。
このままじゃ眠れないし、アトランティーナとお話しも出来ないじゃん!
どんなに深呼吸しても、呼吸に集中できなくて、
部長のことと新しく来る人のことを考えちゃうから、
身体に入った力が抜けない。あ~、もうお願い、私。
呼吸に集中させてよぉ~。そんなこんなで、窓の外が明るくなってきた。
「ほらぁ、眠れないだけじゃなくて、
アトランティーナともお話し出来なかったじゃない!
大事な日なのにぃ~(涙)」
仕方ないから、少し早いけど、起きて会社に行く準備しよ。
朝イチの会議で、新しい部長と新しく来る人が紹介されるから、
楽しみにしてよ!もう、こう言い聞かせるしかないもんね。
「大丈夫よ、誰が来ても、どんな人が来ても、
上手くやれるから、安心してれば良いのよ」
ん?誰の声?アトランティーナ?いや、ちょっと違う気がする。
そういえば、私がターニングポイントを迎えた日から、
アトランティーナに会うまでの間、ちょいちょい誰の声か分かんない声が、
私の頭の中?心の中?に響いてたけど、あの声に似てるような気がする。
アトランティーナは、「私よ」って言ってたけど、
あれは、アトランティーナじゃなかったような気がするんだよね。
えっ、じゃ、誰?
会社に着くと、人の数がまばら。
『みんな、会議室に向かったんだよね』って思って、私も会議室に向かった。
先月ほどじゃないけど、後ろの方が埋まり始めてる。
『今日は、先月より早く来たからね』って思いながら、
空いている後ろの席に座った。間もなく会議が始まる。
先月の売上高と今月の目標売上高についてと会社からの連絡事項があって、
何か話題があれば、それがあって、最後に人事。
今日は、眠気も吹っ飛んでるけど、話の内容は、全く入ってこない(苦笑)
『もういいから、部長の紹介してよ!』心の中で叫んでる。
でも、見渡す限り、それらしい人はいない。高梨の代わりの人も。
『どこに隠してるんだろ?』そんなことを思っていたら、遂に来たー!
局長がマイクを取った。
『人事の話だ!』もうワクワクとドキドキが止まらない。
心臓が口から飛び出して来そう(笑)
なんで、こんなに期待してるんだろう?
自分でも不思議だけど、めっちゃ楽しみにしてるみたい、私(苦笑)
「今月から新しい仲間が加わります。まずは、部長から紹介します」
局長がそう言うと、総務課長のアテンドで二人、会議室に入って来た。
『え~~~っ!?』声が出そうになったけど、良かった、
ギリギリのところで抑えることが出来た(汗)
「じゃ、こちらに」
「はい」
「え~、三橋部長の後を引き継いでもらう阿刀田 蘭子部長です。
じゃ、ひと言お願い出来ますか?」
「はい。ただいま、ご紹介に与りました阿刀田 蘭子です。私は・・・」
ひぇ~っ!阿刀田 蘭子!?あれ、アトランティーナじゃん!
顔は日本人だけど、間違いなく、アトランティーナ!!
え~っ!聞いてないよ!なんで、言ってくれなかったの!?
もう、ビックリ過ぎて、腰が抜けそう。
高梨の補充は、もう、どうでもいいや。
真面目そうだし、ちゃんと普通に仕事してくれそうだしね。
名前は?清田っていうんだ。下の名前は、なんていうんだっけ?
ま、いっか。下の名前で呼ぶことなんてないもんね(笑)
アトランティーナの挨拶、全く聞いてなかった。
だって、それどころじゃないよ、まったく!
「これで局会は終了です。阿刀田部長と清田くんは、
そのまま席に行ってもらいますので、課長、ご案内をよろしく」
局長の挨拶で、会議は終わった。
これから席に行くの!?って、私も自分の席に戻るんだけどね。
会議室を出ようとしたら、また、局長に捕まった。
「久遠さん」
「はい」
「今度の部長は、女性だけど、とっても優秀な人だし、
海外での経験も豊富だから、久遠さんも仕事がしやすくなると思うよ。
あと、清田くんも真面目な青年だから、育ててやってください」
「はい、分かりました」
「じゃ、よろしく!」
なんか局長、めっちゃご機嫌なんだけど・・・。
海外での経験も豊富だから、私も仕事がしやすくなるって、どういう意味よ!
意味分かんないから!そんなことより、どんな顔して席に戻れば良いのよ!
アトランティーナ、いったい、何を企んでるんだか・・・。
席に戻って、部長席を見るとアトランティーナが既に座ってた。
どうしよう。挨拶しに行った方が良いよね?っていうか、
一応、私、チーフだし、初対面ってことなワケだし・・・
「あなたが久遠さん?」
うわっ、アトランティーナから来た!ここは平然としなきゃ。
「はい、そうです」
「阿刀田です。久遠チーフ、よろしくね」
「あっ、こちらこそ、よろしくお願いします」
顔が見れないよぉ。でも、そっと顔をあげたら、ウインクした!
やっぱり、アトランティーナじゃん!でも、ここでは言えない。
だけど、確認したい。そうだ!メモを渡せばいいんだ!
「アトランティーナだよね?」とだけ書いたメモを
デスクの真ん中に置いてみた。そしたら・・・
「あなたのヒラメキ、冴えてるわね!これからもこの調子でお願いね」
「ヒラメキ」ときたか!(笑)
あっ、今夜、来るんだよね?これも聞いちゃおう!
「あの部長、もう1件、よろしいでしょうか?」
「何?」
「今夜も来るんだよね?」と書いたメモを、またデスクの真ん中に置いた。
「あ~、その件ね。その方向で、動くつもりよ」
白々しいったら、ありゃしない!でも、今夜、来ることは分かったから、
ゆっくり事の経緯を聞かなきゃ!
急遽、ランチが部長と清田くんの歓迎会になった。
うちのチームで、一番高梨に迷惑かけられてた水野が、
部長に歓迎会の話をしたらしい。
そしたら、夜より昼の方が良いって話になったみたいで、
早速、今日のランチが歓迎会になったらしい。
とりあえず、会社の近くのお店を私が予約して、みんなで出かけた。
男性社員は、口々に「キレイな部長が来てくれて、良かったな。
仕事のやり甲斐も上がるよ♪」とか言って、浮かれてる(-_-)
こんな時でも何が食べたいのか、身体に聞くことは忘れないよ。
『食べたいものが、お店のメニューの中にあれば良いね』
と心の中で、自分に話しかけながら、お店に向かった。
メニューを見て、季節外れだけど、グラタンが目に飛び込んできた。
どうも、グラタンが良いらしい。
だから、「私、グラタン」って言ったら、ブーイングの嵐。
「え~っ、グラタンって冬の食べ物でしょ!?」
「だって、メニューにあるじゃん。
今でもグラタン、良いんですよね?」
「はい、もちろんです」
「ほらぁ~、人が何食べようが、アンタには関係ないでしょ!」
「すみません、阿刀田部長。
久遠チーフは、仕事はデキるんですけど、ちょっと変わってるですよ(汗)」
「別に良いじゃない、グラタン。
美味しそうね。じゃ、私もグラタンにしようかしら♪」
「え~っ、部長もですか!?」
「あら、いけない?」
「い、いえ、別に・・・」
「では、グラタンは、お二つでよろしいですか?」
「じゃ、私もグラタンで。」
「じゃ、俺も・・・」
「では、みなさん、グラタンでよろしいですね」
ふんっ!何さ!部長のひと言で、みんな、グラタンだってさ。
どんだけ、自分を持ってないのよ。
でも、私は、この人たちに影響を与えてハッピーな毎日へと
連れて行くんだよねぇ。いや、ちょっと待って。
自分を持ってないから、連れて行きやすいのか!
「良いところに気がついたわね、ミウ」
頭の中?心の中?に声が鳴り響いた。これは、朝の声とは違う。
間違いなく、アトランティーナだ!
そう思って、アトランティーナを見ると、
またまた小さくウインクしてきた!なんか私、嬉しいのか、
腹が立ってるのか、分からなくなってきた。
グラタンは、思いのほか美味しくて、
みんなもグラタンにして良かったって言ってたから良かった。
食後にコーヒーも付いたし、このお店にして良かった。
そう、このお店を選んだのは、私なんだなぁ♪
グラタンのことは知らなかったけど(笑)
食事中、みんなは阿刀田部長に色々、聞いていた。
どこ出身とか、どこの会社にいたかとか、どこの大学出身とか。
私は、特に興味なかったから、ひたすらグラタンを味わって食べていた。
それにしても、ホントにここのグラタン美味しい♪
きっと、お店の自慢料理だから、冬じゃなくても
メニューにあるんだね。私の身体、とっても良い選択だったよ。
ありがとう。
誰も清田くんに質問もしないし、放置状態。
ね、部長だけじゃなくて、清田くんの歓迎会でもあるんだよ。
ほんとにもう!でも、清田くんは、ニコニコしながら、
みんなの話を聞いてる。優しい人なのかなぁ?
それとも裏の顔があったりして・・・。
いやいや、こういうのをゲスの勘繰りって言うんだよ。
やめやめ。自分で自分の周波数下げて、どうすんの。
お昼から戻って、通常業務。今日ものんびり、
マイペースで仕事が出来た。定時で帰って、ご飯食べて、お風呂入って、
アトランティーナとお話しして。いつもの感じだよね。
でも、今夜は、アトランティーナに聞きたいことがある!
もしかしたら、アトランティーナも私に話したいことが
あるのかもしれないね。
さて、夕飯は何にする?ランチがグラタンだったからね。
軽めの方が良いのかな?えっ、餃子ですか!?了解です。
じゃ、デパ地下で餃子買って帰ろうね。色んな味の餃子があるから、
1個か2個ずつ、何種類かの餃子にしよう!
お家に帰って、餃子食べて、今日のお風呂は、
シャワーで済ませちゃおっかなぁ。
いや、お湯を溜めて入りたいんだ。
なんか、ちゃんと一日の疲れとか、諸々を拭い去った方が良いのね。
分かった。じゃ、お湯を溜めようね。
なんか最近、食べる物だけじゃなくて、
お風呂とか、着る物も、何が良いのか言ってくれて、
めっちゃ助かってる。
だって、言う通りにしてたら、失敗がないんだもん。
自分で考えなくて良いって、快適だよね(笑)
はぁ~、気持ち良かった♪お湯を溜めて入って正解だったね。
思ってたより疲れてたみたい。
まぁ、今日は朝からショッキングだったからね(笑)
じゃ、明日、着て行く服を選んで、今日、着けてたクンツァイトを
クラスターの上に置いて、寝る準備を整えようかな。
<次回へ続く>
部長も高梨も今は、淡々と仕事をしている。
もっと早く、こうなっていたら、部長も高梨も
辞めることにはならなかったのに・・・。
気がついた時は、手遅れってこと、よくあることだよね。
私も気をつけよう。
辞めることが発表されてから、部長が怒鳴ることは無くなった。
とりあえず、平和で穏やかなんだけど、
なんか違うって感じもするんだよね。
本物の平和とか、穏やかさとは、ちょっと違うっていうか・・・。
それでも、何事もなく、大きなトラブルもなく、過ごせるっていうのは、
前に比べたら、全然、良いんだけど。
私も毎日、電車で座れるし、仕事も順調に進んでる。
前に取り逃したクライアントも何故か、また、一緒に仕事をすることになって、
私は、大きな数字をあげることが出来た。
あの時は、腰が引けてたけど、今の私は、胸張って仕事することが出来てる。
私の力量は、あの頃からほとんど変わってないんだけど、
思いっていうか、気持ち?は全然違う。だから、思うんだよね。
何が出来るとかっていう物理的なことじゃなくて、気持ち次第なんだなって。
アトランティーナとも毎晩、お話しして、色々ご指導頂いてる(笑)
まだまだ、新しく知ることもあるし、注意されることもあるしって感じだけど、
やっぱり、アトランティーナとお話しする時間は、とっても楽しい♪
新しい石を迎えることもなく、相変わらず、
ローズクォーツとクンツァイトにお世話になりながら過ごしてるんだけど、
そろそろ新しい石も欲しいかなって思い始めてる。
アトランティーナに話したら、
「そろそろ、次のステージに上がるってことじゃない?」って
笑ってた。本当にそうなら良いんだけどな。
遂に今日が月末。部長と高梨の最後の日。
そういえば、送別会の話、出てないけど、どうするんだろう?
誰も言い出さないって、ちょっと冷たい気もするけど、
じゃ、私が幹事をやるのかって言われたら、
それは、ちょっと勘弁って感じだから、私からも言い出さないでいる。
アトランティーナに相談したら、「流れに任せておけば?」って
言ってたから、あえて私から発言することは避けようと思ってる。
でもなぁ・・・このままで良いのかな?
だけど、部長も高梨も自主退社じゃなくて解雇だから、
逆に送別会とかって言われても迷惑かもしれないよね。
う~ん、難しいところだ。
「キンコーン、カンコーン」終業のチャイムが鳴った。
あっ、局長が来た!手には、小さいけど、花束を2つ持ってる!
なんか、少し救われた気がした。
「三橋部長、高梨くん、お疲れさまでした。
次の仕事でも大いに力を発揮してください」
局長がそう言って、二人に花束を渡すとフロアに居たみんなが拍手した。
なんか、偽善的っていうか、なんていうか・・・。
って思いながら、私も拍手してるんだけどね(苦笑)
二人は、揃って頭を下げて、去って行った。呆気ないっていうか・・・。
でも、二人にとって、この1ヶ月は、もしかしたら地獄だったのかもしれない。
それでも休まずに会社に来ていたことは、評価に値すると思う。
そう思ったら、思わず、声が出てしまった。
「三橋部長、高梨、お疲れさまでした!」
一斉に注目を浴びてしまったけど、胸の奥につかえてたものが、
スーッと流れた気がした。
別に良い人だって思われたくて言ったんじゃない。
私自身がスッキリしたかっただけ。これで、送別会をしないことも、
なんか気にならなくなったから言って良かったと思う。
局長が近づいて来た。
『今度は何よぉ~。もう、私のことはほっといて!』
「久遠さん、やっと、スッキリしたでしょ?」
「えっ、なんでですか?」
「いや、特に意味はないですけど(笑)
あっ、明日から新しい部長が来ますので、よろしくお願いしますね。
あと、高梨くんの補充も間に合いましたから」
「あっ、そうですか。ありがとうございます」
「みなさんもお疲れさまでした。明日からは、部長も変わって、
新しい部に生まれ変わりますので、
引き続き、業務の方、よろしくお願いしますね」
局長は、そう言って、局長室に戻って行った。
なんか・・・局長って、良い人なの?それとも曲者なの?
よく分かんなくなってきた。でも、私には関係ないしね。
私は、仕事するために会社に来ているワケで、
人間関係を深めたいとか、出世したいとかも思ってないから、
どうでもいいか(笑)
さて、今日もサクッと帰ろうっと♪
身体に聞いて、夜ご飯のメニューを決めて、
ご飯食べて、お風呂入って、10時前にはベッドに入って、
アトランティーナとお話しして、翌朝を迎える。
いつもと同じパターンのはずだったんだけど、
明日は、新しい部長が来るんだよなぁ・・・って考えたら、
眠れなくなってしまった(汗)
アトランティーナが言ってた通り、今、ここで考えたところで、
私には何も出来ないんだから、
考えない方が良いって分かってるんだけど、考えちゃう!
『どんな人なんだろう?』『若いのかなぁ』
『どこから来るんだろう?』って、次々と私の中で【?】が浮かぶ。
いつもなら次に来る人の情報が、事前に入るものなんだけど、
今回に限っては、新しい部長に関しても、
高梨の代わりに来る人のことも全く情報が入って来なかったんだよね。
だから余計に考えちゃう。う~、困った。
このままじゃ眠れないし、アトランティーナとお話しも出来ないじゃん!
どんなに深呼吸しても、呼吸に集中できなくて、
部長のことと新しく来る人のことを考えちゃうから、
身体に入った力が抜けない。あ~、もうお願い、私。
呼吸に集中させてよぉ~。そんなこんなで、窓の外が明るくなってきた。
「ほらぁ、眠れないだけじゃなくて、
アトランティーナともお話し出来なかったじゃない!
大事な日なのにぃ~(涙)」
仕方ないから、少し早いけど、起きて会社に行く準備しよ。
朝イチの会議で、新しい部長と新しく来る人が紹介されるから、
楽しみにしてよ!もう、こう言い聞かせるしかないもんね。
「大丈夫よ、誰が来ても、どんな人が来ても、
上手くやれるから、安心してれば良いのよ」
ん?誰の声?アトランティーナ?いや、ちょっと違う気がする。
そういえば、私がターニングポイントを迎えた日から、
アトランティーナに会うまでの間、ちょいちょい誰の声か分かんない声が、
私の頭の中?心の中?に響いてたけど、あの声に似てるような気がする。
アトランティーナは、「私よ」って言ってたけど、
あれは、アトランティーナじゃなかったような気がするんだよね。
えっ、じゃ、誰?
会社に着くと、人の数がまばら。
『みんな、会議室に向かったんだよね』って思って、私も会議室に向かった。
先月ほどじゃないけど、後ろの方が埋まり始めてる。
『今日は、先月より早く来たからね』って思いながら、
空いている後ろの席に座った。間もなく会議が始まる。
先月の売上高と今月の目標売上高についてと会社からの連絡事項があって、
何か話題があれば、それがあって、最後に人事。
今日は、眠気も吹っ飛んでるけど、話の内容は、全く入ってこない(苦笑)
『もういいから、部長の紹介してよ!』心の中で叫んでる。
でも、見渡す限り、それらしい人はいない。高梨の代わりの人も。
『どこに隠してるんだろ?』そんなことを思っていたら、遂に来たー!
局長がマイクを取った。
『人事の話だ!』もうワクワクとドキドキが止まらない。
心臓が口から飛び出して来そう(笑)
なんで、こんなに期待してるんだろう?
自分でも不思議だけど、めっちゃ楽しみにしてるみたい、私(苦笑)
「今月から新しい仲間が加わります。まずは、部長から紹介します」
局長がそう言うと、総務課長のアテンドで二人、会議室に入って来た。
『え~~~っ!?』声が出そうになったけど、良かった、
ギリギリのところで抑えることが出来た(汗)
「じゃ、こちらに」
「はい」
「え~、三橋部長の後を引き継いでもらう阿刀田 蘭子部長です。
じゃ、ひと言お願い出来ますか?」
「はい。ただいま、ご紹介に与りました阿刀田 蘭子です。私は・・・」
ひぇ~っ!阿刀田 蘭子!?あれ、アトランティーナじゃん!
顔は日本人だけど、間違いなく、アトランティーナ!!
え~っ!聞いてないよ!なんで、言ってくれなかったの!?
もう、ビックリ過ぎて、腰が抜けそう。
高梨の補充は、もう、どうでもいいや。
真面目そうだし、ちゃんと普通に仕事してくれそうだしね。
名前は?清田っていうんだ。下の名前は、なんていうんだっけ?
ま、いっか。下の名前で呼ぶことなんてないもんね(笑)
アトランティーナの挨拶、全く聞いてなかった。
だって、それどころじゃないよ、まったく!
「これで局会は終了です。阿刀田部長と清田くんは、
そのまま席に行ってもらいますので、課長、ご案内をよろしく」
局長の挨拶で、会議は終わった。
これから席に行くの!?って、私も自分の席に戻るんだけどね。
会議室を出ようとしたら、また、局長に捕まった。
「久遠さん」
「はい」
「今度の部長は、女性だけど、とっても優秀な人だし、
海外での経験も豊富だから、久遠さんも仕事がしやすくなると思うよ。
あと、清田くんも真面目な青年だから、育ててやってください」
「はい、分かりました」
「じゃ、よろしく!」
なんか局長、めっちゃご機嫌なんだけど・・・。
海外での経験も豊富だから、私も仕事がしやすくなるって、どういう意味よ!
意味分かんないから!そんなことより、どんな顔して席に戻れば良いのよ!
アトランティーナ、いったい、何を企んでるんだか・・・。
席に戻って、部長席を見るとアトランティーナが既に座ってた。
どうしよう。挨拶しに行った方が良いよね?っていうか、
一応、私、チーフだし、初対面ってことなワケだし・・・
「あなたが久遠さん?」
うわっ、アトランティーナから来た!ここは平然としなきゃ。
「はい、そうです」
「阿刀田です。久遠チーフ、よろしくね」
「あっ、こちらこそ、よろしくお願いします」
顔が見れないよぉ。でも、そっと顔をあげたら、ウインクした!
やっぱり、アトランティーナじゃん!でも、ここでは言えない。
だけど、確認したい。そうだ!メモを渡せばいいんだ!
「アトランティーナだよね?」とだけ書いたメモを
デスクの真ん中に置いてみた。そしたら・・・
「あなたのヒラメキ、冴えてるわね!これからもこの調子でお願いね」
「ヒラメキ」ときたか!(笑)
あっ、今夜、来るんだよね?これも聞いちゃおう!
「あの部長、もう1件、よろしいでしょうか?」
「何?」
「今夜も来るんだよね?」と書いたメモを、またデスクの真ん中に置いた。
「あ~、その件ね。その方向で、動くつもりよ」
白々しいったら、ありゃしない!でも、今夜、来ることは分かったから、
ゆっくり事の経緯を聞かなきゃ!
急遽、ランチが部長と清田くんの歓迎会になった。
うちのチームで、一番高梨に迷惑かけられてた水野が、
部長に歓迎会の話をしたらしい。
そしたら、夜より昼の方が良いって話になったみたいで、
早速、今日のランチが歓迎会になったらしい。
とりあえず、会社の近くのお店を私が予約して、みんなで出かけた。
男性社員は、口々に「キレイな部長が来てくれて、良かったな。
仕事のやり甲斐も上がるよ♪」とか言って、浮かれてる(-_-)
こんな時でも何が食べたいのか、身体に聞くことは忘れないよ。
『食べたいものが、お店のメニューの中にあれば良いね』
と心の中で、自分に話しかけながら、お店に向かった。
メニューを見て、季節外れだけど、グラタンが目に飛び込んできた。
どうも、グラタンが良いらしい。
だから、「私、グラタン」って言ったら、ブーイングの嵐。
「え~っ、グラタンって冬の食べ物でしょ!?」
「だって、メニューにあるじゃん。
今でもグラタン、良いんですよね?」
「はい、もちろんです」
「ほらぁ~、人が何食べようが、アンタには関係ないでしょ!」
「すみません、阿刀田部長。
久遠チーフは、仕事はデキるんですけど、ちょっと変わってるですよ(汗)」
「別に良いじゃない、グラタン。
美味しそうね。じゃ、私もグラタンにしようかしら♪」
「え~っ、部長もですか!?」
「あら、いけない?」
「い、いえ、別に・・・」
「では、グラタンは、お二つでよろしいですか?」
「じゃ、私もグラタンで。」
「じゃ、俺も・・・」
「では、みなさん、グラタンでよろしいですね」
ふんっ!何さ!部長のひと言で、みんな、グラタンだってさ。
どんだけ、自分を持ってないのよ。
でも、私は、この人たちに影響を与えてハッピーな毎日へと
連れて行くんだよねぇ。いや、ちょっと待って。
自分を持ってないから、連れて行きやすいのか!
「良いところに気がついたわね、ミウ」
頭の中?心の中?に声が鳴り響いた。これは、朝の声とは違う。
間違いなく、アトランティーナだ!
そう思って、アトランティーナを見ると、
またまた小さくウインクしてきた!なんか私、嬉しいのか、
腹が立ってるのか、分からなくなってきた。
グラタンは、思いのほか美味しくて、
みんなもグラタンにして良かったって言ってたから良かった。
食後にコーヒーも付いたし、このお店にして良かった。
そう、このお店を選んだのは、私なんだなぁ♪
グラタンのことは知らなかったけど(笑)
食事中、みんなは阿刀田部長に色々、聞いていた。
どこ出身とか、どこの会社にいたかとか、どこの大学出身とか。
私は、特に興味なかったから、ひたすらグラタンを味わって食べていた。
それにしても、ホントにここのグラタン美味しい♪
きっと、お店の自慢料理だから、冬じゃなくても
メニューにあるんだね。私の身体、とっても良い選択だったよ。
ありがとう。
誰も清田くんに質問もしないし、放置状態。
ね、部長だけじゃなくて、清田くんの歓迎会でもあるんだよ。
ほんとにもう!でも、清田くんは、ニコニコしながら、
みんなの話を聞いてる。優しい人なのかなぁ?
それとも裏の顔があったりして・・・。
いやいや、こういうのをゲスの勘繰りって言うんだよ。
やめやめ。自分で自分の周波数下げて、どうすんの。
お昼から戻って、通常業務。今日ものんびり、
マイペースで仕事が出来た。定時で帰って、ご飯食べて、お風呂入って、
アトランティーナとお話しして。いつもの感じだよね。
でも、今夜は、アトランティーナに聞きたいことがある!
もしかしたら、アトランティーナも私に話したいことが
あるのかもしれないね。
さて、夕飯は何にする?ランチがグラタンだったからね。
軽めの方が良いのかな?えっ、餃子ですか!?了解です。
じゃ、デパ地下で餃子買って帰ろうね。色んな味の餃子があるから、
1個か2個ずつ、何種類かの餃子にしよう!
お家に帰って、餃子食べて、今日のお風呂は、
シャワーで済ませちゃおっかなぁ。
いや、お湯を溜めて入りたいんだ。
なんか、ちゃんと一日の疲れとか、諸々を拭い去った方が良いのね。
分かった。じゃ、お湯を溜めようね。
なんか最近、食べる物だけじゃなくて、
お風呂とか、着る物も、何が良いのか言ってくれて、
めっちゃ助かってる。
だって、言う通りにしてたら、失敗がないんだもん。
自分で考えなくて良いって、快適だよね(笑)
はぁ~、気持ち良かった♪お湯を溜めて入って正解だったね。
思ってたより疲れてたみたい。
まぁ、今日は朝からショッキングだったからね(笑)
じゃ、明日、着て行く服を選んで、今日、着けてたクンツァイトを
クラスターの上に置いて、寝る準備を整えようかな。
<次回へ続く>
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