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金星からやって来た救世主!?
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会社に到着。今日も大きな声で挨拶からスタート!
「おはようございま~す!」
「おはようございます。今日も元気良いね♪」
「はい!」
「返事も気持ち良いや!また元気もらったよ。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます!」
こんな会話が日常的になった。みんな明るくなったし、楽しそうに仕事してる。
こういう職場で働くのって、やっぱり気持ち良い。部長が変わっても、
これは変わらないで欲しいな。
アトランティーナのことだから、その辺は考えてくれてるとは思うけどね。
何事もなく、今日も一日が終わりました。そろそろ終業のチャイムが鳴るなぁ・・・。
あ~、これでアトランティーナの人間版(?)ともお別れかぁ。はぁ~。
「キンコーン、カンコーン」終業のチャイムが鳴った。
あっ、局長が来た!おやまっ!あんなに大きな花束抱えて・・・。
三橋部長と高梨の時とは大違いだね(苦笑)
誰も呼びかけなくても、フロア中の人が集まってくる。
アトランティーナ、いや、阿刀田 蘭子部長の人望が厚いってことなんだろうね。
「阿刀田部長、1年間、本当にお疲れさまでした。
私としては、もっと長くこちらに居て頂きたかったのですが、
今日が最後ということで、誠に残念です。
今後は、海外に戻られるということで、私が言うまでもありませんが、
更なるご活躍をお祈りしております。
いつでも歓迎いたしますので、また、日本に戻って来られる時には、
ぜひ、ご一報ください。本当にありがとうございました」
「らしくないなぁ・・・」思わず、声が出てしまった(汗)
まぁ、確かに優秀な部長だったからなぁ、阿刀田部長は。
私も残念だよ、ホントに。
「阿刀田部長、ぜひ、ひと言だけでもお願い出来ますか?」
局長、食い下がるねぇ(苦笑)
「では、本当にひと言だけ。皆さんも早く帰りたいものね(笑)
1年という短い期間ではありましたが、お世話になりました。
今の気持ちを大切に、これからもご自身の力を遺憾無く発揮して、
更なる飛躍をお祈りしております。
あっ、局長からは何もありませんでしたけど・・・
私からお話ししてもよろしいですか?」
局長が無言で頷く。いったい、何を話すんだろうね。
「明日からの部長は、私と同じように海外経験のある人です。
ちなみに男性です」
「え~~~っ!」っていう声がフロア中に響き渡り、笑いが起こった。
全く、何を考えてるんだか(苦笑)
「とても優秀な方なので、いじめないでくださいね(笑)
あと、彼と一緒に彼の部下だった人間も部署は違いますけど、
同じフロアに来ることになりましたので、
明日からの部長と新しく入る仲間のことも私同様に仲良くしてください。
あっ、そうだ!部長は明日からなんですけど、彼の部下だった人間は、
来月の半ばくらになると思います。
時間差がありますが、忘れないでくださいね。ありがとうございました」
そう言うとアトランティーナ、いや、阿刀田部長は、深々と頭を下げた。
フロア中は握手の嵐。アトランティーナ、みんなに愛されてたんだなぁ。
そうだよね。だって、ものすご~く、良い部長だったもん。
だって、この1年で、業績アップしたにも関わらず、
部全体の残業時間が減るっていう快挙を成し遂げたワケだし。
お陰で、部のみんなが仕事だけじゃなく、
プライベートも充実させることが出来て、
結婚が決まった人もいたくらいだもんね。
それにしても、アトランティーナが知ってる人が部長になるんだ・・・。
ってことは、また、元々は人じゃない人なのかな?(笑)
あと、この部じゃないけど、一人増えるって、どういうことなんだろう?
今夜、アトランティーナに聞かなきゃっ!
「送別会しましょうよ」と言う声も上がっていたけど、アトランティーナは、
「そういう日本の会社っぽいこと、あんまり好きじゃないのよねぇ」
と言いながら、「じゃ、みんな、ありがとう!元気でねぇ♪」って
投げキッスしながら、軽い足取りで帰って行った。
残されたみんなは、「さっすが、海外経験豊富って感じだよな(笑)」
って言いながら、阿刀田部長の後ろ姿を名残惜しそうに見送ってた。
たぶんだけど、他の人がやったら嫌味になるようなことでも
阿刀田部長だと受け容れられてしまう。
男性だけでなくて、女性にも・・・。
これが人間力っていうものなのかなって思った。
『私もそんな人間力を身につけたい』ともね。
家に帰ると「おかえり♪」って、
アトランティーナが迎えてくれたけど、先にワイン開けて飲んでるし(笑)
「ただいま~って、先に飲まないでしょ!?(笑)」
「あ~、ごめんごめん。なんか、気が抜けちゃったっていうか、
楽しくなっちゃったっていうか・・・そんな感じなのよ」
「え~、もう酔っばらっちゃったの!?」
「ううん、酔ってないわよ。まだ、グラス1杯しか飲んでないもの♪」
「なんだかなぁ~(苦笑)デパ地下でお惣菜買って来たから、それで良いよね?
本当は、最後の夜だから、何か作ろうと思ったんだけど、
買っちゃった方が早いかなと思って」
「えっ、なんで今夜が最後なの?」
「えっ!?違うの?」
「部長としては、今日が最後だけど、
まだ少しやることが残ってるから、もう少し人間するつもりよ」
「でも、部屋、引き払っちゃったよね?」
「うん、ミウのところに居候するつもりだけど・・・ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど・・・」って言いながら、
顔が緩んでるのが自分でも分かったんだよね。
きっと、アトランティーナ、何か言うよ。
「ふふん。私が何か言うと思ったでしょ?」
「また、そうやって人の心読むんだからぁ!」
「私がまだ、人間として残るのが嬉しいんでしょ?」
「そ、そんなこと・・・」
「少しは素直になりなさいって」
「じゃ・・・嬉しいです」
「うん。素直でよろしい。でも、そんなに長く居るつもりないから、
聞きたいことがあるなら、早めに言ってね」
「じゃ、早速!」
「ちょっと待った。食べてからにしない?お腹空いちゃって・・・。
ホント、人間って不便よね。
でも、美味しいものを食べるというのも
一つの経験だから大切なんだけどね(苦笑)」
「そういうものなんだね。確かに身体がなかったら、
何も食べる必要ないから便利かもしれないけど、
美味しいものを味わえないのは、ちょっと寂しいかも。
ちょっと待ってね。すぐに用意するから。私もお腹空いたし」
こうして、他愛もない話をしながら、楽しく食事を済ませた。
食事中は、難しい話をしないって、アトランティーナと約束したからね。
食事する時は、食事に集中する。そうしないと、消化が悪くなるんだって。
色々なことを考えながら食べると、消化器官に流れるはずの血液が
脳にも流れてしまって、充分な消化が出来なくなるらしい。
確かに考え事をしながら食べると、後でもたれたりするもんね。
食べる時は食べる。寝る時は寝る。一度に2つ以上のことをしない。
これがアトランティーナによく言われることなんだ(苦笑)
食事を終えた後、デザートに買ってきたケーキの箱を開けた。
私も大好きだけど、アトランティーナも大好きになったチーズケーキ♪
「コーヒー淹れる?それとも紅茶が良い?アールグレーあるけど」
「あ~、コーヒーでお願いします!」
「は~い」
お部屋のテーブルで、コーヒーを淹れる。
そうするとコーヒーの香りが部屋中に広がって、気分が良くなるんだよね。
だから、コーヒーを淹れる時は、キッチンじゃなくて、
お部屋でって決めてるの。
最初、アトランティーナは、キッチンで淹れた方が良いって言ってたんだけど、
一度、この香りを嗅いでから、部屋で淹れる意味を理解してくれたみたい。
何も言わなくなったから。
コーヒーを飲みながら、早速、気になってることを聞いてみた。
「ね、アトランティーナ、明日から来る部長も人間じゃないの?」
「人間よ(笑)でも、ミウが言っているのは、そういう意味じゃないわよね。
そうね・・・確かに元々は人じゃないわね」
「どんな人?っていうか、元々は何をしてたっていうか、
どこにいたというか・・・。何者なの?」
「金星にいたの。金星にいて、地球が危機に晒された時、
地球を助けるために動いた人。指導者だった人よ。サナト・クマラっていうの。
地球では、ヒンドゥー教の神話に登場する賢人で、
1850万年前に金星からやってきたって言われているわ。
京都の鞍馬山に魔王殿というところがあるんだけど、ミウは知っている?」
「ううん、知らない」
「鞍馬山の頂上には鞍馬寺があって、その鞍馬山に魔王殿があるの。
サナト・クマラが舞い降りたのが、その場所だと言われているのよ。
つまり、魔王として祀られているのが、サナト・クマラというわけ」
「でも、なんで、その人?いや、人じゃないのか、
そのサナト・クマラっていう賢人が部長になるの?」
「アトラン国で、ミウも会ったことがあるんだけど、
そこまでは思い出せないかしら?」
「ひぇ~っ!私、会ったことあるの!?」
「ええ。ミウが居たのはルナでしょ?彼が訪れたのは、
ヴェヌスなんだけど、全部の島を見たいって言うから、
ルナにもお連れしたの。その時、ルナを案内したのがミウだったのよ。
だから彼は、ミウのこと、覚えているし、
再会するのをとても楽しみにしていたわ」
「うわっ、聞いといて良かったぁ」
「でも、なんでサナト・クマラが来ることになったの?」
「彼の目的は、地球のネガティブで暗いエネルギーを浄化することなの。
だから、ピッタリでしょ?彼のエネルギーを受け取ると
不安や恐れみたいなマイナスの気持ちが消えるのね。
だから彼は、レイキというヒーリング・エネルギーを人々に送って
健康的に暮らせるようにと働きかけてもいるの。
地球が平和で幸福になるために必要に応じて、
人間の姿で地球に降り立つこともあるから、ちょうど良いなぁと思って。
ミウの目的とも合致するし、面識もあるし、
彼から学ぶことも多いと思うわよ」
「ふぅ~ん、ずいぶん、スゴイ人が来るんだね(汗)
でも、これで安心した!アトランティーナの後だから、
アトランティーナが用意してくれてるとは思ってたけど、
「これもレッスンよ」って、誰も用意してなくて、
また、ひどい部長が来たら、せっかく良い感じになったのが
台無しになっちゃうなって、ちょっとだけ心配してたから(汗)」
「なるほど・・・レッスンね。その手もあったわね」
「いやいや、それはダメでしょ!でも、ホントに良かったぁ。
ちょっと緊張するけど、明日が楽しみになった♪」
「それは良かった。あっ、でもね、彼、見た目は童顔だから(笑)」
「えっ、そうなの!?」
「サナト・クマラは、<永遠の16歳>って言われているから(汗)
見た目は若いのよ(苦笑)
でも、さすがに部長として行くから16歳には見えないようにして
行くと思うけどね(苦笑)」
「ますます楽しみ♪あっ、あと、来月の半ばくらいに来る人っていうのは?
こちらも人じゃないんだよね?でも、何の目的で来るの?」
「あ~・・・。そっちも人じゃないわね。
う~ん、そっちについては、もう少し後で話すのでも良いかしら?」
「えっ、なんで?」
「来月半ばくらいに行く人は、ミウに直接、関係があるとだけ言っておくわね。
詳しいことは、もう少ししたら話すから、待っていてくれると嬉しいんだけど・・・」
「なんか、めっちゃ気になるけど、アトランティーナがそう言うってことは、
どんなに粘っても教えてくれないってことなんだよね?」
「ミウ、本当によく分かってるわね!」
「じゃ・・・仕方ない。待つよ」
「ありがとう!話せるタイミングが来たら、すぐに話すからね」
「うん、そうしてください。あっ、チェリーも知らないの?」
「もちろん。だって、チェリーに話したら、ミウに話しちゃうでしょ?
ね、チェリー?」
「そうね。アトランティーナに口止めされてもミウに聞かれたら、
負けちゃうわね(苦笑)」
「だからかぁ。チェリーに聞いても「分からない」って答えることが多いのは、
そういうことだったんだね」
「そうなの。だから、私がウソをついてるんじゃないって、分かってくれた?
本当にアトランティーナから何も聞かされてないのよ」
「もちろん、チェリーがウソついてるなんて思ったことはないけど・・・。
もしかしたら、知ってるけど、言えないのかな?
くらいには思ったことあるかも。あっ、それがウソか(笑)」
「私は、ミウに聞かれたら話しちゃうもの。
それをアトランティーナは分かっているから、私には、情報を漏らさないのよ。
さっき話していた明日から来る部長が
サナト・クマラだっていう話も初耳だったんだもの」
「へぇ~、そうなんだ!それも内緒だったんだね」
「そうだよ」
「ごめんなさいね、チェリー。あまり話してあげられなくて」
「ううん、良いの。気にしてないから。
私は、ミウの傍に居て、たまにお話し出来れば、それで満足だから」
「なんて良い子なの、チェリー!本当にありがとう!」
「アトランティーナ、私は?」
「ミウもとっても良い子よ。って、何、張り合ってるのよ!(笑)
ま、とりあえず、明日からの新しい部長もよろしくね。
特にミウに声を掛けるということはないと思うから安心して。
ただ、明日からも職場の雰囲気が悪くなったり、
仕事がしづらくなることはないから大丈夫よ」
「アトランティーナ、ありがとう!」
「いいえ、どういたしまして。あと一人の件は、さっき話した通り、
少しだけ待っていてね」
「うん、分かった!じゃ、明日も会社だから、今夜は、もう寝るね」
「あら、お風呂は?」
「なんか、疲れちゃったから、今夜はいいかな(苦笑)」
「そう・・・。じゃ、私は軽くシャワーだけ浴びて、それから寝ようかな」
「うん、そうして。じゃ、おやすみなさい。チェリーもおやすみ」
「ミウ、おやすみ」
<次回へ続く>
「おはようございま~す!」
「おはようございます。今日も元気良いね♪」
「はい!」
「返事も気持ち良いや!また元気もらったよ。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます!」
こんな会話が日常的になった。みんな明るくなったし、楽しそうに仕事してる。
こういう職場で働くのって、やっぱり気持ち良い。部長が変わっても、
これは変わらないで欲しいな。
アトランティーナのことだから、その辺は考えてくれてるとは思うけどね。
何事もなく、今日も一日が終わりました。そろそろ終業のチャイムが鳴るなぁ・・・。
あ~、これでアトランティーナの人間版(?)ともお別れかぁ。はぁ~。
「キンコーン、カンコーン」終業のチャイムが鳴った。
あっ、局長が来た!おやまっ!あんなに大きな花束抱えて・・・。
三橋部長と高梨の時とは大違いだね(苦笑)
誰も呼びかけなくても、フロア中の人が集まってくる。
アトランティーナ、いや、阿刀田 蘭子部長の人望が厚いってことなんだろうね。
「阿刀田部長、1年間、本当にお疲れさまでした。
私としては、もっと長くこちらに居て頂きたかったのですが、
今日が最後ということで、誠に残念です。
今後は、海外に戻られるということで、私が言うまでもありませんが、
更なるご活躍をお祈りしております。
いつでも歓迎いたしますので、また、日本に戻って来られる時には、
ぜひ、ご一報ください。本当にありがとうございました」
「らしくないなぁ・・・」思わず、声が出てしまった(汗)
まぁ、確かに優秀な部長だったからなぁ、阿刀田部長は。
私も残念だよ、ホントに。
「阿刀田部長、ぜひ、ひと言だけでもお願い出来ますか?」
局長、食い下がるねぇ(苦笑)
「では、本当にひと言だけ。皆さんも早く帰りたいものね(笑)
1年という短い期間ではありましたが、お世話になりました。
今の気持ちを大切に、これからもご自身の力を遺憾無く発揮して、
更なる飛躍をお祈りしております。
あっ、局長からは何もありませんでしたけど・・・
私からお話ししてもよろしいですか?」
局長が無言で頷く。いったい、何を話すんだろうね。
「明日からの部長は、私と同じように海外経験のある人です。
ちなみに男性です」
「え~~~っ!」っていう声がフロア中に響き渡り、笑いが起こった。
全く、何を考えてるんだか(苦笑)
「とても優秀な方なので、いじめないでくださいね(笑)
あと、彼と一緒に彼の部下だった人間も部署は違いますけど、
同じフロアに来ることになりましたので、
明日からの部長と新しく入る仲間のことも私同様に仲良くしてください。
あっ、そうだ!部長は明日からなんですけど、彼の部下だった人間は、
来月の半ばくらになると思います。
時間差がありますが、忘れないでくださいね。ありがとうございました」
そう言うとアトランティーナ、いや、阿刀田部長は、深々と頭を下げた。
フロア中は握手の嵐。アトランティーナ、みんなに愛されてたんだなぁ。
そうだよね。だって、ものすご~く、良い部長だったもん。
だって、この1年で、業績アップしたにも関わらず、
部全体の残業時間が減るっていう快挙を成し遂げたワケだし。
お陰で、部のみんなが仕事だけじゃなく、
プライベートも充実させることが出来て、
結婚が決まった人もいたくらいだもんね。
それにしても、アトランティーナが知ってる人が部長になるんだ・・・。
ってことは、また、元々は人じゃない人なのかな?(笑)
あと、この部じゃないけど、一人増えるって、どういうことなんだろう?
今夜、アトランティーナに聞かなきゃっ!
「送別会しましょうよ」と言う声も上がっていたけど、アトランティーナは、
「そういう日本の会社っぽいこと、あんまり好きじゃないのよねぇ」
と言いながら、「じゃ、みんな、ありがとう!元気でねぇ♪」って
投げキッスしながら、軽い足取りで帰って行った。
残されたみんなは、「さっすが、海外経験豊富って感じだよな(笑)」
って言いながら、阿刀田部長の後ろ姿を名残惜しそうに見送ってた。
たぶんだけど、他の人がやったら嫌味になるようなことでも
阿刀田部長だと受け容れられてしまう。
男性だけでなくて、女性にも・・・。
これが人間力っていうものなのかなって思った。
『私もそんな人間力を身につけたい』ともね。
家に帰ると「おかえり♪」って、
アトランティーナが迎えてくれたけど、先にワイン開けて飲んでるし(笑)
「ただいま~って、先に飲まないでしょ!?(笑)」
「あ~、ごめんごめん。なんか、気が抜けちゃったっていうか、
楽しくなっちゃったっていうか・・・そんな感じなのよ」
「え~、もう酔っばらっちゃったの!?」
「ううん、酔ってないわよ。まだ、グラス1杯しか飲んでないもの♪」
「なんだかなぁ~(苦笑)デパ地下でお惣菜買って来たから、それで良いよね?
本当は、最後の夜だから、何か作ろうと思ったんだけど、
買っちゃった方が早いかなと思って」
「えっ、なんで今夜が最後なの?」
「えっ!?違うの?」
「部長としては、今日が最後だけど、
まだ少しやることが残ってるから、もう少し人間するつもりよ」
「でも、部屋、引き払っちゃったよね?」
「うん、ミウのところに居候するつもりだけど・・・ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど・・・」って言いながら、
顔が緩んでるのが自分でも分かったんだよね。
きっと、アトランティーナ、何か言うよ。
「ふふん。私が何か言うと思ったでしょ?」
「また、そうやって人の心読むんだからぁ!」
「私がまだ、人間として残るのが嬉しいんでしょ?」
「そ、そんなこと・・・」
「少しは素直になりなさいって」
「じゃ・・・嬉しいです」
「うん。素直でよろしい。でも、そんなに長く居るつもりないから、
聞きたいことがあるなら、早めに言ってね」
「じゃ、早速!」
「ちょっと待った。食べてからにしない?お腹空いちゃって・・・。
ホント、人間って不便よね。
でも、美味しいものを食べるというのも
一つの経験だから大切なんだけどね(苦笑)」
「そういうものなんだね。確かに身体がなかったら、
何も食べる必要ないから便利かもしれないけど、
美味しいものを味わえないのは、ちょっと寂しいかも。
ちょっと待ってね。すぐに用意するから。私もお腹空いたし」
こうして、他愛もない話をしながら、楽しく食事を済ませた。
食事中は、難しい話をしないって、アトランティーナと約束したからね。
食事する時は、食事に集中する。そうしないと、消化が悪くなるんだって。
色々なことを考えながら食べると、消化器官に流れるはずの血液が
脳にも流れてしまって、充分な消化が出来なくなるらしい。
確かに考え事をしながら食べると、後でもたれたりするもんね。
食べる時は食べる。寝る時は寝る。一度に2つ以上のことをしない。
これがアトランティーナによく言われることなんだ(苦笑)
食事を終えた後、デザートに買ってきたケーキの箱を開けた。
私も大好きだけど、アトランティーナも大好きになったチーズケーキ♪
「コーヒー淹れる?それとも紅茶が良い?アールグレーあるけど」
「あ~、コーヒーでお願いします!」
「は~い」
お部屋のテーブルで、コーヒーを淹れる。
そうするとコーヒーの香りが部屋中に広がって、気分が良くなるんだよね。
だから、コーヒーを淹れる時は、キッチンじゃなくて、
お部屋でって決めてるの。
最初、アトランティーナは、キッチンで淹れた方が良いって言ってたんだけど、
一度、この香りを嗅いでから、部屋で淹れる意味を理解してくれたみたい。
何も言わなくなったから。
コーヒーを飲みながら、早速、気になってることを聞いてみた。
「ね、アトランティーナ、明日から来る部長も人間じゃないの?」
「人間よ(笑)でも、ミウが言っているのは、そういう意味じゃないわよね。
そうね・・・確かに元々は人じゃないわね」
「どんな人?っていうか、元々は何をしてたっていうか、
どこにいたというか・・・。何者なの?」
「金星にいたの。金星にいて、地球が危機に晒された時、
地球を助けるために動いた人。指導者だった人よ。サナト・クマラっていうの。
地球では、ヒンドゥー教の神話に登場する賢人で、
1850万年前に金星からやってきたって言われているわ。
京都の鞍馬山に魔王殿というところがあるんだけど、ミウは知っている?」
「ううん、知らない」
「鞍馬山の頂上には鞍馬寺があって、その鞍馬山に魔王殿があるの。
サナト・クマラが舞い降りたのが、その場所だと言われているのよ。
つまり、魔王として祀られているのが、サナト・クマラというわけ」
「でも、なんで、その人?いや、人じゃないのか、
そのサナト・クマラっていう賢人が部長になるの?」
「アトラン国で、ミウも会ったことがあるんだけど、
そこまでは思い出せないかしら?」
「ひぇ~っ!私、会ったことあるの!?」
「ええ。ミウが居たのはルナでしょ?彼が訪れたのは、
ヴェヌスなんだけど、全部の島を見たいって言うから、
ルナにもお連れしたの。その時、ルナを案内したのがミウだったのよ。
だから彼は、ミウのこと、覚えているし、
再会するのをとても楽しみにしていたわ」
「うわっ、聞いといて良かったぁ」
「でも、なんでサナト・クマラが来ることになったの?」
「彼の目的は、地球のネガティブで暗いエネルギーを浄化することなの。
だから、ピッタリでしょ?彼のエネルギーを受け取ると
不安や恐れみたいなマイナスの気持ちが消えるのね。
だから彼は、レイキというヒーリング・エネルギーを人々に送って
健康的に暮らせるようにと働きかけてもいるの。
地球が平和で幸福になるために必要に応じて、
人間の姿で地球に降り立つこともあるから、ちょうど良いなぁと思って。
ミウの目的とも合致するし、面識もあるし、
彼から学ぶことも多いと思うわよ」
「ふぅ~ん、ずいぶん、スゴイ人が来るんだね(汗)
でも、これで安心した!アトランティーナの後だから、
アトランティーナが用意してくれてるとは思ってたけど、
「これもレッスンよ」って、誰も用意してなくて、
また、ひどい部長が来たら、せっかく良い感じになったのが
台無しになっちゃうなって、ちょっとだけ心配してたから(汗)」
「なるほど・・・レッスンね。その手もあったわね」
「いやいや、それはダメでしょ!でも、ホントに良かったぁ。
ちょっと緊張するけど、明日が楽しみになった♪」
「それは良かった。あっ、でもね、彼、見た目は童顔だから(笑)」
「えっ、そうなの!?」
「サナト・クマラは、<永遠の16歳>って言われているから(汗)
見た目は若いのよ(苦笑)
でも、さすがに部長として行くから16歳には見えないようにして
行くと思うけどね(苦笑)」
「ますます楽しみ♪あっ、あと、来月の半ばくらいに来る人っていうのは?
こちらも人じゃないんだよね?でも、何の目的で来るの?」
「あ~・・・。そっちも人じゃないわね。
う~ん、そっちについては、もう少し後で話すのでも良いかしら?」
「えっ、なんで?」
「来月半ばくらいに行く人は、ミウに直接、関係があるとだけ言っておくわね。
詳しいことは、もう少ししたら話すから、待っていてくれると嬉しいんだけど・・・」
「なんか、めっちゃ気になるけど、アトランティーナがそう言うってことは、
どんなに粘っても教えてくれないってことなんだよね?」
「ミウ、本当によく分かってるわね!」
「じゃ・・・仕方ない。待つよ」
「ありがとう!話せるタイミングが来たら、すぐに話すからね」
「うん、そうしてください。あっ、チェリーも知らないの?」
「もちろん。だって、チェリーに話したら、ミウに話しちゃうでしょ?
ね、チェリー?」
「そうね。アトランティーナに口止めされてもミウに聞かれたら、
負けちゃうわね(苦笑)」
「だからかぁ。チェリーに聞いても「分からない」って答えることが多いのは、
そういうことだったんだね」
「そうなの。だから、私がウソをついてるんじゃないって、分かってくれた?
本当にアトランティーナから何も聞かされてないのよ」
「もちろん、チェリーがウソついてるなんて思ったことはないけど・・・。
もしかしたら、知ってるけど、言えないのかな?
くらいには思ったことあるかも。あっ、それがウソか(笑)」
「私は、ミウに聞かれたら話しちゃうもの。
それをアトランティーナは分かっているから、私には、情報を漏らさないのよ。
さっき話していた明日から来る部長が
サナト・クマラだっていう話も初耳だったんだもの」
「へぇ~、そうなんだ!それも内緒だったんだね」
「そうだよ」
「ごめんなさいね、チェリー。あまり話してあげられなくて」
「ううん、良いの。気にしてないから。
私は、ミウの傍に居て、たまにお話し出来れば、それで満足だから」
「なんて良い子なの、チェリー!本当にありがとう!」
「アトランティーナ、私は?」
「ミウもとっても良い子よ。って、何、張り合ってるのよ!(笑)
ま、とりあえず、明日からの新しい部長もよろしくね。
特にミウに声を掛けるということはないと思うから安心して。
ただ、明日からも職場の雰囲気が悪くなったり、
仕事がしづらくなることはないから大丈夫よ」
「アトランティーナ、ありがとう!」
「いいえ、どういたしまして。あと一人の件は、さっき話した通り、
少しだけ待っていてね」
「うん、分かった!じゃ、明日も会社だから、今夜は、もう寝るね」
「あら、お風呂は?」
「なんか、疲れちゃったから、今夜はいいかな(苦笑)」
「そう・・・。じゃ、私は軽くシャワーだけ浴びて、それから寝ようかな」
「うん、そうして。じゃ、おやすみなさい。チェリーもおやすみ」
「ミウ、おやすみ」
<次回へ続く>
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