ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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童顔だけど・・・

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今日は、新しい部長が来る日だね。
昨夜、アトランティーナに聞いたけど、どんな人なのか、
ちょっとドキドキする。
とりあえず、早めに行って、後ろの席を確保しよう。

今朝も座れて、のんびり気分。電車の振動と騒音、やっぱり好きだわ。
ウトウトし始めたし、チェリーとお話ししながら行こう・・・って
思ってたのに、いつの間にか本気で寝ちゃったみたい(汗)
気がついた時には、駅に到着してて、
慌てて電車を飛び降りることになっちゃった。

「チェリー、ごめんね。お話し出来なかった・・・」

「大丈夫よ、ミウ。昨夜、あんまりよく眠れてなかったみたいだから。
少しは疲れ、取れた?」

「うん、ありがとう。チェリーは、いつも優しいね」

「だって、先に優しくしてくれたのはミウだよ。
私は、ミウから優しさを教わったの」

「ありがとう、チェリー。じゃ、行って来るね」

「うん、いってらっしゃい。今日も楽しんでね」

「は~い♪」

会社に到着すると、案の定、人が少ない。私も会議室に向かおう。
朝イチで会議がある時って、「おはようございま~す」って
大きな声で言えないんだよね。

だから、いつまでも眠気が残るし、
仕事するっていうスイッチを入れづらいっていうか・・・。
いきなり、会議室に入って「おはようございま~す!」って
言うのも何じゃない(苦笑)
ま、新部長の紹介は最後だから、それまでは寝てても良いかな(笑)

やっぱり、後ろの席が埋まり始めてるね。いつもの光景だ。
でも、今日はみんな、ソワソワしてるように感じる。そりゃそうだよね。
だって、阿刀田部長の後にどんな部長が来るのか、
みんな興味津々だと思うし・・・。
私だって、昨夜、アトランティーナに聞くまでは不安だったもんね。

「キンコーン、カンコーン」

始業のチャイムが鳴ったと思ったら、早速、局長登場。
会議スタート。いつも通り、先月の売上高と今月の目標売上高の話があって、
その後、薬物使用についてのビデオを見せられて、少しだけ補足説明。

これで、新部長の紹介かなって思ってたら・・・
『まだあるの~?』って声に出そうになっちゃったけど、
人権に関するレクチャー。なんか、今日は盛りだくさんだね。

そういえば、ずっと局長の隣に座ってる人、見たことないし、ちょっと童顔?
あれが、サナト・クマラ・・・さん?熱心に話を聞いてるみたいだけど、
あの人だったら、ちょっと面倒臭そうな気がしちゃう。大丈夫かなぁ?

やっと、諸々の話が終わった。ほとんど聞いてなかったけど(苦笑)
これで、新部長の紹介だよね。なんか、ワクワクする。あっ、局長が立った!

「みなさん、おはようございます。昨日で阿刀田 蘭子部長が
お辞めになりましたので、本日から新しい部長をお迎えします。
では、こちらに」

局長にそう言われて、立ち上がったのは、ずっと局長の隣に座ってた人だった。
『やっぱりね』って感じ。

「みなさん、おはようございます。
阿刀田部長の後を引き継がせて頂くことになりました、
真田 燈満さなだ とうまです。

阿刀田部長とは、バルセロナに居た時にご一緒させて頂いておりました。
今回、帰国するタイミングと重なり、阿刀田部長からのお申し出を
受けることとなりました。よろしくお願いします」

「阿刀田部長の紹介なんだ!じゃあ、安心だね」
「へぇ~、バルセロナってスペインだよね?
阿刀田部長もだけど、今度の部長もグローバルなんだ」
「なんか、ちょっと童顔で可愛くない?」会議室が、ザワザワしてる(汗)
局長は、一切無視っていう感じで、会議を締めたけど、
その後で、またマイクを握った。

「あっ、メディア部の皆さんは、残ってください!」

えっ、私たちのことだけど、なんでだろう?
私は、いつものことながら、混雑がおさまってから会議室を出るから、
まだ居たけど、もう出ちゃった人、いるんじゃない?
連れ戻すのも面倒だし、ここに居ようっと。

「もう、会議室を出ちゃった人がいるので、呼んできます!」

慌てて、会議室から飛び出して行った人がチラホラ。
ほらね、私が行かなくても誰かが呼びに行ってくれるのよね。
会議室を後にしたのは、ほんの2、3人だけだったから、
サクッと集まったけど、何の話なんだろう?

「みなさん、集まりましたか?真田部長が、
少しお話しをしたいとおっしゃるので。
初めに言えば良かったですね。申し訳ない。
じゃ、私はこれで失礼しますので、あとは、真田部長、よろしく」

「はい。局長、無理を言って申し訳ありません」

局長は、すでにドアのところに行っていて、
真田部長の言葉に振り向きもせず、手だけ振って、
出て行ったんだけど、なんだろう?
前みたいな威圧感っていうか、偉そうな感じっていうのが、
局長から抜けたんだよね。これもアトランティーナ効果なのかな?
人って、割と簡単に影響受けて変わるもんなんだね。ま、いいけど。

「みなさん、引き戻してしまって、申し訳ありません。席に戻ると、
すぐに仕事に取り掛かられると思ったので、少しだけお時間を頂戴しました。
先ほども申し上げましたが、私は、真田 燈満(さなだ とうま)と言います。

阿刀田部長もそうだったと思いますが、
私は残業することが優秀な社員だとは思っておりません。
止むを得ない場合は、致し方ありませんが、出来るだけ定時に退社して、
仕事優先ではなく、ご自身の生活、人生を優先して頂きたいと
思っております。仕事は、人生の一部でしかありませんからね。

あと、仕事以外でも何か悩み事や心配事がありましたら、
遠慮なくおっしゃってください。
私も万能ではありませんが、出来る限り、お力になりたいと思っております。
とはいえ、借金のお願いはご勘弁くださいね・・・
ほら、ここ、笑うところだから(笑)」

なんか・・・真面目なの?それとも、なんか裏がある?よく分かんないけど、
ハートの温かさだけは伝わって来るかな?
さすが、地球防衛隊長!で良いんだっけ?(笑)

「では、みなさん、チーフの方以外は、お席に戻って頂いて結構です。
これから、よろしくお願いします」

ペコって頭を下げる姿が、可愛らしく見えなくもないか・・・。
童顔のせいかな?

「すみませんね、お忙しいのに、残って頂いて。手短にするので、
ご容赦ください。あの、先ほど、ああ言いましたけど、
なかなか直接、部長に話をするのは難しいところもあると思うんです。

そこで皆さんにお願いがあります。業務ももちろん大事ですが、
皆さんが元気に楽しく働けてなんぼだと思ってるんですね。
なので、業務以外でもチームの皆さんに対して、
目を配って頂けたらというご提案です。

いつもと様子がおかしいなと感じたら、直接、本人にお声がけ頂くか、
もしくは、私におっしゃって頂きたいんです。
日本人って、我慢することが美徳だと思っている人が、
まだまだたくさんいらっしゃる文化じゃないですか。

でも、私は、我慢なんて百害あって一利なしだと思ってるんで、
我慢はしないで欲しいと思っています。どんなことでも言って欲しいんです。
一見、ワガママに思えるようなことから、
新しい仕事のやり方や、アイデアが生まれる可能性もあります。

それに・・・人って、そもそもワガママな生き物じゃないですか。
ワガママと自分勝手は違うと思っているので、ワガママは大歓迎です!
仕事を増やしてしまって、申し訳ありませんが、ご協力頂けると助かります。
もちろん、私も皆さんのことを変な意味ではなくて、見ていますが、
近くにいらっしゃるチーフの皆さんの方が、
私より分かることや気づくことがあると思いますので。

何かご質問等ありますか?なければ、これでお席に戻って頂いて結構です。
では、今日から始まりますが、よろしくお願いします」

また、ペコって頭を下げた。なんか、部長っぽくないっていうか、
本当に地球防衛隊長なの?って思っちゃうけど、
このハートの温かさがきっと、地球を救うのに必要なんだろうな、
とも思ったりする。

「そんな部長、頭下げないでくださいよ。こちらこそ、よろしくお願いします」

チーフの中で、一番社歴が長い先輩が声を掛けてくれた。
こういうところは、頼りになる人なんだよね。普段は、頼りないんだけど(苦笑)
でも、その先輩のひと言で、私も含め、みんな「よろしくお願いします」って
挨拶するキッカケになったから、やっぱり有難いのかな?

「なんか、阿刀田部長とは毛色が違うけど、良い部長っぽいじゃん」
な~んて軽口叩きながら、チーフ全員で席に戻った。

だけど、う~ん、そもそも良い部長って、どんな部長なんだろう?
私は、自分が部長になりたいとか、なろうなんて思ったこともないから、
全然、分かんない。

でも、イヤな部長なら浮かぶかなぁ。
そうだなぁ・・・仕事のこと、よく分かんないクセに、
いちいち口出ししてくる部長とか、あとは、何かあった時に
逃げる部長もノーサンキューだね。
それから、もっとあり得ないのは、
自分のミスを部下に押し付ける部長!マジでないと思うわ。

そう考えると、どのN G部長にも当てはまらなさそうだから、
良い部長候補ってことになるのかな?
ま、始まってみないとこればっかりは分かんないけどね。

そんなこんなで、もう11時半を回ってる(汗)
午前中は、これで終わりにしようかな。
そういえば、阿刀田部長の時は、歓迎ランチ会なんてやったけど、
今回は、どうするんだろう?誰も言い出さないけど・・・。
なんか、気になるかも。気になったまま、何もしないと後で気持ち悪いから、
それとなく、先輩チーフに聞いてみようかな?

「織田さん、ちょっと良いですか?」

「ん?早速、何かあった?」

「何かあったとかではないんですけど、
真田部長の歓迎ランチ会とか、提案した方が良いんですかね?」

「あ~、そうね。阿刀田部長ん時は、やったもんね。
今、何時?あっ、もう11時半、回ってるんだ!
じゃ、俺から部長に話してみるよ。気がついてくれて、ありがとうな」

「いいえ。じゃ、お願いします」

「おぅ!」

部長、どうするんだろう?なんて言うんだろうな。全く読めないや。
ん?目では見えないけど、シールド張ってない?

何をそんなに警戒してるんだろう?別に部長イジメとかしないんだけどなぁ。
ちょっと残念な気がする。今日、帰ったら、アトランティーナに報告しよう。

結局、部長は「お気遣いなく」って、優しい笑顔を浮かべて、
やんわり断っていた。確かに、この状態で一緒にランチ行っても、
お互い気遣って消化に悪そうだから、
断ってくれて良かったとは思うんだけど・・・。

う~ん、なんか気になる。ホントにサナト・クマラっていう賢人なの?
その割には、警戒心強過ぎなんですけど!
それとも・・・もしかしたら、この中にルシフェールに
取り込まれている人がいるとか!?

でも、それならアトランティーナが気づいてるはずだよね。
う~ん、やっぱり謎だぁ!
ま、私は、今日も独りランチを楽しめるから、良いんだけどね。

午後も何事もなく、平穏に過ぎて行きました。
特に今日は、部長の初日ってこともあって、何気に緊張感が漂ってたなぁ。
でも、だからといって、特に疲れたってことでもなかったし、
ま、こんなもんでしょ。

私としては、ちょっと拍子抜けだけどね。
金星から地球の危機を救いに来た司令官で、暗いエネルギーを浄化して、
地球を平和で幸福な場所にすることを目的にしているようには、
見えなかったから。これから変わっていくのかもしれないけどね。
ま、いっか。私は、私の仕事をするだけだもんね。
それにしても・・・童顔は童顔なんだけど、
可愛らしいって感じじゃないね、あれは(笑)

<次回へ続く>
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