ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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百害あって一利なし

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家に帰るとアトランティーナが居て、部屋中に良い匂いが
漂っていた。ふぅ~、帰ってきたなって感じが、とっても心地良くて、
ダンナより奥さんが居た方が良いんじゃないかなって思っちゃう(苦笑)

「ただいま、アトランティーナ」

「おかえり、ミウ。新しい部長はどうだった?」

「それがさぁ・・・」

「それが何よ。どんな感じだった?」

「う~ん・・・正直な感想を言うと、拍子抜けって感じかな(苦笑)」

「拍子抜け!?どういうこと?」

「金星から地球の危機を救いに来た司令官で、
暗いエネルギーを浄化して、地球を平和で幸福な場所にすることを
目的にしているっていうような人には、全く見えなかったの。

物腰が柔らかいのは確かで、ハートも温かい人なんだろうなって
感じはしたんだけど、なんかね、回りにシールドをガッチリ張り巡らせてて、
警戒してるって感じだったんだよね。

それに童顔は、童顔だったんだけど、全然、可愛らしいって感じでもなくて、
実際、何考えてるんだろうって感じ。
シールドを張り巡らせてるせいか分かんないけど、
全くどんな人なのか分かんなくて、それがちょっと不気味な感じがした」

「そう・・・。それにしてもミウ、成長したわね。
私は、それが嬉しいわ♪シールドにもよく気がついた!上出来よ、ミウ」

「えっ、もしかして、これも試験だったの!?」

「そういうわけじゃないけど、初日は、シールドを張っておいた方が良いって
言ったのは私。ミウが一度、ルシフェールの攻撃を受けてるじゃない?
その話を少し、盛り気味で話しておいたの。
そうしたら、彼はどうするのかなと思って」

「ね、遊んでない?」

「あら、だって楽しい方が良いじゃない。彼、意外と素直なのね」

「なんか、部長が気の毒に思えてきたわ」

「それで、何か話した?」

「朝イチの会議で紹介されたんだけど、会議の最初から局長の隣に座って、
ずっと会議を見てたよ、アトランティーナと違って!

それで、会議が終わってから、私たちだけ残して、
阿刀田部長もそうだったと思うけど、残業することが優秀な社員だとは
思ってないから、出来るだけ定時に退社して、仕事優先じゃなくて、
自分の生活、人生を優先してくださいって言ってた。
あと、仕事は、人生の一部でしかありませんとも言ってたね」

「それから?」

「あと、仕事以外でも何か悩み事や心配事があったら
相談に来いとかって言ってた。

でね、その後で、借金は困りますって言ったんだけど、
みんな真面目に聞いてたら、「ほら、ここ、笑うところだから」
とか言ったんだけど、誰もクスリともしなかったよ(苦笑)

なんか・・・ただ真面目なだけなのか、裏があるのか、よく分かんなくて。
で、その後、チーフだけ残して、直接、部長に話をするのは難しいだろうから、
私たちで、自分のチームの皆んなに目配りして欲しいってさ。
で、いつもと様子が違ってたら、直接、声掛けしても良いし、
部長に報告しても良いって。

元気に楽しく働けてなんぼだと思ってるとか、日本人って、
我慢することが美徳だと思っている人が、まだまだたくさんいるけど、
我慢なんて百害あって一利なしだと思ってるとも言ってた。
だから、我慢はしないで欲しいんだってさ。

どんなことでも言って良いみたいよ。一見、ワガママに思えるようなことから、
新しい仕事のやり方や、アイデアが生まれる可能性もあるからって。

それと、人って、そもそもワガママな生き物だって。
でも、ワガママと自分勝手は違ってて、ワガママは大歓迎なんだと。
で、変な意味じゃなくて、自分も見ているけど、近くにいる私たちの方が、
自分より分かることや気づくことがあると思いから、
協力して欲しいってさ。

良い部長だとは思うけど、偽善的な感じもしちゃうし・・・。
なんか、よく分かんない人だなって。

あとね、アトランティーナの時に歓迎ランチ会したでしょ?
だから、した方が良いのかなと思って、織田さんに聞いてきてもらったの。
でも、「お気遣いなく」って。だから、歓迎ランチ会はしなかった。
やんわり、優しい笑顔で断ってたけど、
どこが本心なのか、見えづらい人だなって思った」

「そう・・・らしくないわね。ちょっと薬が効き過ぎたかしら?」

「ねぇ、何言ったの?」

「さっきも言ったけど、ルシフェールの話を少々と私の前にいた部長の話。
あと、私が部長をしていて感じたことも少し話したかしらね」

「それだけで、あんな感じになっちゃうの?」

「基本的にミウの部署に居る人たちって、
まぁ、彼らに限ったことではないと思うけど、楽しんで仕事してないじゃない?
生活するために働いている。ミウも少なからず、そういうところあるでしょ?」

「えっ、だって、仕事ってそういうものなんじゃないの?」

「違うわね。全然、違う」

「じゃあ、なんで働くの?仕事は何のためにするの?」

「それぞれの個性を輝かせるため。自分の力を使って、貢献するため。
だから、辛いとか、苦しいとか、会社に行くと思うと気が重いとか、
そういう後ろ向きな感情でするものじゃないのよ、本来は」

「えっ!そんなの初めて聞いたよ。だって、私たちは、子供の頃から仕事って、
そういうもんだって思って育ったんだもん。私たちの親だって、そうだったし、
夢を叶えたいなら、願いを叶えたいなら、一生懸命に努力して、
大変なことも乗り越えなきゃいけないって・・・」

「だ・か・ら、それが違うのよ。
夢や願いを叶えるのも、仕事も、苦しいとか、大変とか、辛いって思ったり、
感じた時点で、何かが違うということなの。

ミウは、生まれて来る前に人生の青写真を作ったっていう話をしたでしょ?
覚えてる?」

「うん、もちろん、覚えてるよ」

「それは、ミウに限ったことじゃないの。
今、この世で生きている人、全ての人がそうやって、
人生の青写真を作ってから生まれて来るの。

ミウには、課題があるでしょ?
ミウは、その課題をクリアするために努力しているじゃない?
それは、ミウにとって、苦痛かしら?」

「ううん。全然、苦痛じゃない。っていうか、むしろ楽しいかも」

「ね、そういうものなの。夢や願いが叶う時もそう。
苦しんだり、辛かったり、大変なことを乗り越える必要なんて、全くないのよ。

でもね、例えば、今のミウだけど、ミウにとっては、全然、苦痛じゃなくて、
むしろ楽しいと思えることも、大変だ、辛い、苦しいって感じる人もいるのよ。
それは分かるわよね?」

「うん、世の中には、いろんな人がいるから感じ方もそれぞれだもんね。
私にとって、楽しいことが、世の中にいる人全てにとって楽しいとは
限らないってことは分かる」

「そして、夢や願い、自分で決めてきた課題も人によって違うわよね?」

「うん、そうだね・・・あっ、分かったかも!その人にとって、
叶えるために苦しい思いをしなきゃいけないようなことが
夢や願いになることはないし、ましてや課題として持って来ることも
ないってことだよね?」

「そう!そういうこと!
だから、ミウが今、取り組んでいることを知って『うわぁ、大変!』って
思う人もいるかもしれないし、実際にミウを見て『辛そう』とか、
『なんで、あんなに大変なことが続けられるんだろう?』って
思う人もいるってことよ。

傍から見たら大変に感じたり、見えることでも、本人にとっては、
確かに大変かもしれないけど、同時に楽しくて、
全然、辛くないっていうことがあるでしょ?

それが、本当にその人が叶える夢や願いなのよ。仕事も同じこと。
辛いとか、苦しい、仕事に行きたくないって思っているのだとしたら、
それは、その人がする仕事ではないということ」

「なるほどね・・・。確かに、楽しいって思いながら仕事してたら、
効率も上がるし、業績も確実に伸びるよね。
そういう仕事を見つけられたら、本当に幸せだと思う」

「な~に、他人事みたいなこと言ってるの。
それもミウが実現させていく課題でもあるでしょ?
だって、ハッピー・タイフーンの目になるんだから、
ミウ自身が100%ハッピーでいる必要があるじゃない」

「あっ、そっか(笑)でもね、今の仕事、嫌いじゃないんだ。
むしろ好きな方だと思う。私、映画が好きだから、
その映画に携わる仕事がしたかったんだよね。
だから、部署が変わっちゃったら分かんないけど、
今の部署にいる限りは、楽しみながら働けると思う」

「ええ、それは分かってるわ。だから、ミウの部署で、
新規クライアント獲得とか、業務拡大に取り組んだんだもの。
もっと、ミウが楽しめるように」

「ありがとう!アトランティーナ!」

「彼とは、そんな話をしたの。
現代では、おそらく日本に限ったことじゃないと思うけど、
大変、苦しいって思いながら働いている人が多いって。

それと、日本という国は特に上司や先輩に逆らってはいけないと
思っている人が多いから、例え、上司や先輩が間違っていると思っても
指摘することが出来ない人が多いってね。

だから彼は、ワガママになりなさいって言ったんだと思うわ。
それと、様子が変わったら、声掛けをしてくださいって。
我慢し続けていると、そのうち心が病んでしまうから・・・。

それに、間違っていると知っていながら、指摘することが出来なくて、
悪い結果を招いてしまった時、持たなくても良い罪悪感を
背負い込むことにもなってしまうでしょ?」

「あ~、罪悪感って、この世にあるエネルギーの中で
最も周波数が低いエネルギーなんだよね?
だから、罪悪感を抱くと、その後も周波数の低いことが続いて、
どんどん苦しくなっていくんだよね?」

「よく覚えているわね!さすが、ミウ!」

「だって、罪悪感抱かないようにって気をつけてるもん。
でも、なんか、納得だね、部長。だから、あ~いう話をしたんだ。
でもさ、いきなり、あんな話されてもねぇ。

みんな、私もだけど、頭の中に「?」が飛び交ってたもん(苦笑)
それに、今、アトランティーナから聞いた話をしても、
それはあくまで理想であって、現実の世界では実現できないって
思う人の方が多いと思うよ」

「そうよねぇ(苦笑)でも、だから、ミウがいるんじゃない!
ミウが身を持って示せば、『自分も出来るかもしれない』って
思うかもしれないでしょ?」

「そうね(汗)私の役割、結構、重要よね(苦笑)」

「結構どころじゃないわよ!かなり重要。
だから、こうして私がミウに会いにきたんじゃない。でしょ?

まぁ、それはいいとして・・・。彼、久しぶりに人間になったから、
ちょっと暴走しちゃったわね。元々、突っ走っちゃうタイプなのよね。
でもね、気持ちは優しいの。

さっきミウが言ったように、ハートは愛で溢れていて、温かい人なのよ。
だけど、一生懸命になり過ぎちゃうところがあるのよね。ミウと一緒」

「傍から見ると私もあんな感じなんだ。なんか、ビミョーかも(苦笑)」

「ま、悪い人ではないし、もちろん、裏がある人でもないから、様子見ながら、
声掛けてあげてよ。たぶん、明日は、シールドも張り巡らせて来ないと思うわよ。
今日は、初日だったから、準備していたんだと思う。
結構、ハードなところとかも経験しているから、彼」

「地球防衛司令官だもんね(笑)」

「そうやって、茶化さないの!」

「は~い(笑)」


<次回へ続く>
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