ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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無限の可能性!?

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スッキリ目覚めた朝っていうのは、何度、経験しても気持ちが良い♪
それに今日は金曜日だから、尚更かもね(笑)

アトランティーナは、まだ夢の中。朝はゆっくりさんなんだよね。
なんか、本当に人間っぽくて、良いなって思う。
さて、私は、会社に行こうっと。

今朝も座って、チェリーとおしゃべりを楽しみながら会社に向かう、
いつもに日常。こういう平和な感じ、やっぱり良いよね。
会社に着いたら、大きな声で挨拶して、褒めてもらって一日が始まる。
なんか、もうこれがルーティーンになってるの(笑)

大きな声の挨拶は、真田部長まで届いてて、ニコニコしてる。
気が良さそうな感じが滲み出てて、昨日の胡散臭さが抜けてるかも(笑)
確かに、今日は、シールドも張ってないみたいだね。
上手くやれそうな予感がする、昨日とは違って。
これもアトランティーナに報告しなくちゃ。

午前中は、ちょっとバタついちゃったけど、午後は穏やかに過ぎて、
間もなく終業のチャイムが鳴るっていう時に、
席を外してた部長が戻って来て、

「あ~、皆さん、少しだけ手を止めて、こちらを見てくださ~い」

『何事?』って思っていると、

「来週の月曜日、朝、臨時局会がありますので、
遅れないようにしてくださいね。

今月半ばから加わるはずだった人が、早めに加わることになったので、
その紹介です。なので、早めに終わると思います」

って、部長が言い終わるとすぐに「キンコーン、カンコーン」って、
終業のチャイムが鳴ったから、思わず

「部長、ナイスタイミング!」

って言っちゃった(汗)フロア中、ドッと笑いが起こって、
『やっちまった!』って思ったけど、部長は、ニコニコしながら、

「実は、狙ってたんですよ」

なんて言うもんだから、またフロア中に笑いが起こったの。
でも、これで、部長と私たちの距離が
一気に縮まった感じがしたから良かったのかも。
そうだ!昨日、アトランティーナが

「ミウが自分の直感と感情に素直に行動する」

って言ってたこと、出来たのかもしれない。
全然、やっちまってなかったんだね、私(笑)

それより、一週間以上も予定より早く来ることになったって、
どういうことなんだろう?
これもアトランティーナに報告しつつ、確認しなきゃね。
だって、その人もアトランティーナの回し者(?)なんだから(笑)

家に帰ったら、今日はご飯食べてから、この話しようっと。
じゃないと、昨日みたいにお腹ペコペコになっちゃうもんね(汗)
今夜のご飯は何かなぁ♪
ま、アトランティーナが作るご飯は、全部美味しいから何でも良いんだけどね。

家に帰ってドアを開けると、今日も良い匂いが出迎えてくれる。
『幸せ♡』って、ほっこりしちゃう。

「ただいま~!」

「おかえり、ミウ」

「今日も報告したいことと聞きたいことがあるんだけど、
今日は、ご飯食べてからにするね。ご飯食べよう!私も手伝うから」

「あら、お腹空いてるの?」

「空いてるっちゃ空いてるんだけど、先に話ししちゃうと、
またお腹ペコペコになっちゃうから、先に食べて、
落ち着いてからの方がゆっくり話せるかなと思って」

「それもそうね。じゃ、ご飯にしよう。
今夜は、アトランティーナ特製のバターチキンカレーよ。
ナンも作ったし、ラッシーもあるわよ。
あと、サラダも作ったから、ドレッシングはミウ、作ってくれる?」

「OK!どんなサラダ?わぁ!ローストビーフサラダじゃん♪やった!
じゃ、バルサミコのドレッシング作るね」

「それ、合いそうね。私、あのドレッシング大好きなの!ありがとう」

「アトランティーナこそ、いっつも美味しいご飯作ってくれて、ありがとう」

アトランティーナとの生活って、「ありがとう」がたくさんある。
「ありがとう」って、言うのも言われるのも、めっちゃ気持ち良くって大好き。
なんでもないことでも「ありがとう」って言うのと言わないのとでは、
天と地ほど違ってくるんだよね。

「ありがとう」って、本当に良い言葉だなって、
アトランティーナと出会ってから気づいたかもしれない。
「ありがとう」なんて、子供でも知ってる言葉なんだから、
もっと早くから「ありがとう」を濫用(?)してれば良かった(笑)

ご飯は、片付けも含め、サクサクッと済ませちゃった。
アトランティーナも私も今日のことを聞きたくて、
話したくて仕方がないっていうのが、お互いに言わないけど、
空気感で伝わってくる(笑)

でも、落ち着きたいってこともあって、コーヒーだけは、いつも通り、
丁寧に淹れてみる。マグカップにコーヒーを注いで、
目の前に置いたと思ったら、待ち切れなかったんだね。
アトランティーナが口を開いた。

「ねぇ、今日はどうだったの?」

「今日の部長はね、気の良さそうな感じが滲み出てて、
昨日の胡散臭さが抜けてたよ(笑)あと、シールドも張ってなかったし。
上手くやれそうな感じがした」

「それは良かった。肩の力が抜けてきたのね。ここからがスタートね」

「あとね、もうすぐ終わりってところで、来週の月曜日に臨時局会があるって、
部長がみんなに言ってたの。それがさ、部長がちょうど言い終わったところで、
終業のチャイムが鳴ったのね。
で、思わず「部長ナイスタイミング!」って言っちゃって」

「えっ、ミウが?」

「そう!出来るだけ目立たないようにしてたのに、
なんか、今日は言っちゃったの。
みんなもビックリしたと思うんだけど、フロア中に笑いが起こっちゃって(苦笑)
そしたら部長が、「実は、狙ってたんですよ」なんて言うもんだから、
またフロア中に笑いが起こったの。

でも、不思議なんだけど、たったこれだけのこと、それも一瞬のことだったのに、
これで、部長と私たちの距離が一気に縮まった感じがしたんだよね。
だから良かったのかもって思った。

でね、これって、昨日、アトランティーナが
「ミウが自分の直感と感情に素直に行動する」って言ってたこと、
出来たのかもしれないって。
そう思ったら、ちょっと嬉しくなったんだけど、どうなのかな?」

「よく出来ました。パッと浮かんだことをそのまま行動に移すのって、
やってみると意外と簡単だったでしょ?ほとんどの人は、ミウもそうだったけど、
パッと浮かんだことを一度、考えちゃうのよね。
そうすると、不安とか、心配とか、色々なことを恐れる気持ちが出てきちゃって、
二の足を踏んだり、言葉を飲み込んだりしちゃうのよ。

今日だって、ミウが言葉を飲み込んでいたら、
部長とみんなの距離が縮まることはなかったじゃない?
行動や言葉を飲み込んでしまうことで、
せっかくのチャンスを棒に振ってしまうなんて、勿体ないと思わない?」

「確かにね。色々なところで、大人になった弊害って出てくるんだね。
だって、子供の頃は、思ったことをそのまま言っちゃったり、
やっちゃったりしてたじゃん。それは、私だけじゃなくて、
他の人もそうだと思うけど。それを怒られた経験があるから、
パッと浮かんだことを一度、考えちゃうようになるんだよね。
その方が波風立てなくて済むとかって思っちゃうから。

冒険が出来なくなるってことなのかもしれないし、
子供の頃は、勇気なんてなくても言えたり、やれたり出来たことが、
大人になるとパッと浮かんだことを言ったり、
やったりするのに勇気が必要になるよね(苦笑)」

「そうね。子供の頃から色々な経験をして大人になっていく過程で、
閉じ込められてしまったっていうか、封じ込められてしまったことが
たくさんあるのよね。本当は、何も閉じ込められたり、
封じ込められる必要なんてないのに、残念なことだわ。

おそらく、真田部長は、そういうものも解き放って、言いたいことを言って、
やりたいことをやるっていう環境を作りたいんだと思うの。
誰の背中にも大きな翼がついているけど、その翼を小さく折り畳んで、
今では翼があるってことさえ、忘れてしまっているでしょ?
ミウもそうなんじゃない?」

「えっ?私の背中に大きな翼があるの!?」

「あるわよぉ~、目では見えないけど」

「それは、忘れてしまってるっていうよりも知らないっていう方が
正しい気がする。あっ、でも、子供の頃は、分かってたのかな?
あ~、確かに私の場合だけど、
なんか、飛べるような気がしてたかもしれない(笑)」

「でしょ?たぶんね、ミウだけじゃなくて、誰でも子供の頃は、
飛べるような気もしてるし、魔法だって使えるような気がしてるんだと思うのよ。
天使だって、妖精だって見えているしね。

それが、大人になると常識的なこと以外は、受け容れてはいけないって、
思うようになっちゃうのよ。ほんと、勿体ない!
人には、誰にでも無限の可能性があるのに、それも忘れてしまっているでしょ?
だから、自分で自分に制限を加えて、やってみたら出来るのに、
やろうとさえしないじゃない?あ~、勿体ない、勿体ない」

「無限の可能性ね・・・。
そういえば、最近、よく<Infinity of Potential>って書かれたトラックを
見かけるかも!<Infinity of Potential>って【無限の可能性】って意味だよね?
よく目にするから、何かのメッセージなのかな?って、
実は気になってたんだよね」

「もう、ミウってば、ステキ☆そう!その通りよ!
きっと、ミウが自分のことを狭い枠の中に押し込めているから
「そうじゃないですよ、枠の中から出ていらっしゃい」
って神さまがミウに伝えてるのよ」

「ひぇ~っ、そうなの!?」

「まぁ、これはミウに限ったことじゃないけど、
ミウは、みんなのロールモデルになる必要があるからね。
まずは、ミウの意識から変えていくことが大事なのよ。

ミウがいつも自由に楽しく幸せに生きているのを見て、
ミウの真似をする人が増えていけば、どんどん幸せが広がっていくでしょ?
それが、ミウの言うところの<ハッピー・タイフーンの目になる>って
ことなんだけど。

だから、周りは違っても、ミウだけは自分の可能性を否定しないで、
どんどん新しいことにチャレンジしていって欲しいの。分かってくれる?」

「もちろん!分かってるつもりだよ。
だから、恋愛もチャレンジしてみようと思ってるし」

「頼もしいわね、ミウ」

「あっ、そうそう、もう一つ話がある。
来週の月曜日に臨時局会なんだけど、今月半ばから加わるはずだった人が、
早めに加わることになったから、その紹介なんだって。
ねぇ、なんで早まったの?」

「う~ん、準備が整い次第っていうことだったから、
早めに準備が整ったんじゃないかしら?」

「それだけ?」

「いや~ね、そんなに疑い深い目で見ないでよ(笑)
彼自身、早く着任したかったんだと思うわ。
だから、早めに行けるように準備を進めていたのよ。

当初から準備が整い次第って聞いていたから、少し余裕を持って、
今月の半ばくらいって話したのね。
だから、その準備が予定よりも早く出来たから、早く来るというだけの話よ。
私とは関係ないわ。この件に関しては、彼に一任しているから」

「ふぅ~ん、そうなんだぁ」

「まだ何か疑っているでしょ?
まぁ、私は100%関わっていませんとは言えないんだけどね(苦笑)
でも、ミウにとって、悪い話ではないから安心して」

「いや、アトランティーナが関わっていて、
安心なんて出来ると思う?
だって、課題と何か関係がありそうだもん」

「ま、それは、実際、彼と会ってから話しましょう。
予断を持って臨むのは、あまり得策ではないからね」

「これ以上、何を聞いても教えてくれないんでしょ?」

「そうね・・・っていうより、何も教えることはないって言った方が正しいわね。
彼が会社に行く前に会う予定もないし、
ミウからの報告を待ってからしか、何も言えないわね」

「えっ、そうなの?」

「そうよ」

「今度来る人も元々は人間じゃないんでしょ?」

「ええ。でも、人間だったこともある人よ。
だから、私やチェリーより人間のことを知っているって
言えるかもしれないわね。真田部長と同じで、悪い人ではないから大丈夫よ。

あと、予定ではミウと同じ部への配属にはならないはずなんだけど、
真田部長が、どう仕切っているのか、私は知らないから、
もしかしたら、ミウと同じ部署になるのかもしれない。

私が今、知っていることはこのくらいかしらね。
ま、来週の月曜日になれば、ハッキリするから、
それまで楽しみにとっておいたら良いんじゃない?
逆に、私はミウの報告が今から楽しみよ♪」

「う~ん・・・分かった」

「何?元気なくすようなことじゃないじゃない。
楽しみにしていたら、楽しい結果に繋がるんじゃなかったの?」

「特に楽しみって感じでもないんだよね。
ま、なんにせよ、会ってみないことには何も分からないんだし、
会ってから考えればいっか」

「そういうこと」


<次回へ続く>
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