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危険が迫っている!?
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ミウが、動きたくないと感じている。
それは、きっと、私がミウのところに行く合図なのだろう。
「そろそろ、私も準備しなくちゃね」
誰に言うとでもなく、自分を鼓舞するために言葉が口から零れ出た。
熾天使(してんし)だった私が、海の神ポセイドンによって、
海の精霊となり、時には今のように人間界にも降りるようになって
久しいけれど、一緒に過去生に行くなんて、初めてのこと。
出来ないわけではないけれど、やはり、初めてのことは、私も多少は緊張する。
果たして、私が行って、ミウが満足する結果を得られるのか・・・。
もちろん、結果が全てではないということは分かっている。
でも、この過去生への旅が、ミウに良い影響となるのかどうか、
ミウのことを信じていないわけではないけれど、少し心配ではあるし、
私の導きが大きな鍵を握っていることも確かなのだと思う。
いや、違うな。ずいぶん、私も人間化してきたものだ(苦笑)
私の導きは、おまけのようなもの。ミウの人生で、舵を握っているのは、
他でもないミウなのだ。私ではない。私は、神のご意思に沿って、
身を委ね、ミウの過去生に付き添うだけだ。
危ない、危ない。私自らが、道を誤るところだった。さて、心の準備は整った。
そろそろ、ミウのところに行くとするか。その前に、ミウに声を掛けておこう。
「ミウ、どう?少しは休めたかしら?もう、動けそう?」
「うん、アトランティーナ。もう大丈夫だよ」
「じゃあ、そろそろ扉を開きたくなってきたかしら?」
「えっ?・・・ここ、開かなくちゃ、ダメな感じ?」
「だって、暗い階段を降りて、小さな部屋で、不思議な椅子に
座っただけでしょ?何か新しい発見でもあったの?」
「・・・それは・・・ないけど・・・なんか・・・先に進むのが・・・
ちょっと・・・ね(苦笑)」
「怖いの?」
「う、うん・・・。やっぱり、心の準備っていうか・・・。
何をこんなに怖がってるのか、もう自分でも分かんないの!」
「パニックにならないで、ミウ。大丈夫だから。ゆっくり呼吸を整えて」
「はい。やってみます」
ミウ、かなり緊張しているみたいね。やっぱり、私が一緒に行くことにして
良かったわ。もう少し待っていてね。私も、もうすぐ、そこに到着するから。
どういうわけか、私も手間取ってしまっているのよね(汗)
ミウの緊張が移っちゃったのかしら(笑)
ふぅ~、ようやく到着したわね。ミウは、どこにいるのかしら?
この部屋に来るはずなんだけど・・・。
あっ、あの子、別の部屋に入ってしまったんじゃないかしら!?
ここじゃなかったら・・・、う~ん、どこの部屋に入ってしまったの?
小さな部屋で、テーブルと椅子って話していたわよね。
・・・あっ、もしかしたら、あの部屋かも!椅子に座ったら、脱力したって
言っていたし、間違いない!おそらく、安息の部屋に入ってしまったんだわ!
あの部屋に長居させてはいけない。だって、出られなくなってしまうから(汗)
「急がないとっ!」
珍しく、焦っている自分に気がついた。早くミウに声を掛けて、
椅子から立ち上がらせなきゃ。
「ミウ、聞こえる?」
「うん。聞こえるよ」
「まだ、椅子に座っているの?」
「うん。だんだん立つのがイヤになってきちゃった(笑)」
「ミウ!笑い事じゃないの!早く、その椅子から立ち上がって!」
「えっ!なにそれ!」
「理由は、後から話すから、早く椅子から立ち上がって!」
「う、うん。分かった」
いつもは、何があっても落ち着いている私が、少し声を荒げてしまったことで、
ミウにも緊迫感が伝わったようだ。本当は、こんな姿を見せたくは
なかったんだけどね(苦笑)
「ミウ、立ち上がった?」
「うん、大丈夫。ちゃんと立ってるよ」
「ふぅ~、間に合ったのね。良かった」
「アトランティーナ、どうしたの?」
「ミウ、階段を降りた時、部屋は一つしか無かったの?」
「ううん。幾つかあったよ。
でも、よく分かんないから、一番近い部屋に入ったの」
「なんで、部屋が幾つかあることを言ってくれなかったの?あなたが居る部屋は、
あなたが過去生に行くための部屋ではないのよ」
「えーっ、そうなの!?」
「そうよ。ミウの中に恐れの感情が残っていたから、その部屋に入って
しまったんだと思うわ(苦笑)少し待っていてね、今、そっちに行くから」
「えっ、アトランティーナ、来てくれるの?」
「最初から、ミウの過去生に同行するって言っていたでしょ?」
「うわぁ!良かった。ここから一緒なんだね。ホッとしたぁ。・・・あっ!」
「今度は、何が起こったの?」
「部屋が・・・なんて言ったら良いのかな?
なんか、壁とか動き出して・・・あれっ?模様替えを始めたよ!」
「ミウは、その場から動かないで!」
「うん、分かった。なんか、勝手に壁とか、天井とか、家具とか、
勝手にグルグル動き出して、ちょっと面白いかも」
「床は?床が動いているということはない?」
「たぶん。動いていないと思うけど・・・いや、動いてる!
少しずつ横にスライドしてるような気がする!でも、立っていられるよ」
「分かったわ。そのままでいて!すぐに行くから!」
私がこんなに取り乱すなんて!ゆっくり落ち着いていてもミウに危険が
及ぶことはないと分かっている。でも、ミウには、出来るだけ怖い思いを
させたくない、早く安心させたい、そう願う気持ちが、私を焦らせる。
認めたくはないけれど、人間化が進んでしまっているらしい。
それもかなり深いところまで(苦笑)
「ホント、参ったわね(苦笑)」
でも、人が誰かのために必死になることが理解できるようになったことは
大きな収穫なのだと思う。地上に降りることなく、神の傍に仕え、
大天使たちに神のご意思を伝えていた時の私とは、まるで違う。
大天使や守護天使たちが、手を煩わせているのを目にしても、
『何をそんなに!?』と、まるで理解できなかった。今なら、よく分かる。
大切に思えば思うほど、どんなに冷静な人間でも取り乱してしまうということを。
ミウのお陰で、私も成長したのかもしれないね。ミウ、ありがとう。
おそらく、この部屋の中にミウが居るはず!居ない。
えっ?いったい、ミウは、どの部屋に紛れ込んでしまったの?
「ミウ、今、部屋の状態は?」
「うん。まだ、グルグル動いてるよ。なんか、部屋が生きてるみたい」
「ミウ、立ったままで良いから、ゆっくり深呼吸してくれるかしら?
それで、ミウの心を穏やかに落ち着かせてみて」
「うん、分かった。
スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、ハァ~~~。
あれっ?部屋の動きが止まった!」
「やっぱりね」
「どういうこと?」
「ミウの心の状態を反映しているの」
「私の心の状態?」
「そう。暗い部屋で椅子に座っていた時は、過去生に行くことへの恐れが
ミウの中に残っていたの。だから、このまま行きたくないという気持ちが
あったのだと思うのね。
それが、私が向かっていると聞いて、ミウの中に再び、過去生に行って
みたいという気持ちが湧き起こってきたのよ。それで、部屋が変わり出したの。
でも、ミウの中にはまだ葛藤が残っていたから、部屋もグルグル動き出して、
止まらなくなってしまったのね(苦笑)」
「あっ、だから、深呼吸って言ったんだ!心を穏やかに落ち着かせてみてって
言ったのは、そういうことだったんだ!」
「そうよ。これで、ミウを探しやすくなったわ」
「ごめんね、アトランティーナ」
「大丈夫だから、ずっと心を穏やかに落ち着かせていてくれる?
そうじゃないと、また部屋がグルグル動き出して、ミウのことを
探せなくなってしまうから」
「あっ、そうだった(汗)
スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、ハァ~~~」
今度こそ、この部屋にいるはず!居た!
「ミウ!」
思わず、ミウを力いっぱい抱きしめてしまった。私もミウを失って
しまいそうで、怖かったのだと、この時、初めて気がついた。
ミウの手が私の背中に回って、どれだけ心細かったのか、
手を通して感じることが出来た。
「アトランティーナ!」
「ミウ、心細かったのね。もう、本当に甘えん坊さんなんだから」
「ごめんなさい。私一人でも行けると思ってるつもりだったのに、
本当は、もの凄く不安で、怖かったみたい(汗)でも、過去生に行きたい、
見てみたいって思ったのも本当で、どうしたら良いのか、
分かんなくなっちゃってたみたいだね(苦笑)」
「本当は、もの凄く不安で、怖かったということに気づいたのは、
どの辺りからなの?」
「う~ん・・・階段を降りてたくらいなの・・・かな?」
「なるほどね。だから、あの部屋に入ってしまったのね。
なんとなく、心が惹かれた部屋を選んだのよね?」
「うん。たぶん・・・。あの部屋って、そういう部屋だったの?」
「あの部屋はね、【安息の部屋】というところなの。あの部屋に長居すると、
もう帰って来られなくなってしまうのよ。椅子に座ったら、脱力したって
言っていたでしょ?もう少し長く座っていたら、立てなくなって
いたかもしれないの」
「えっ、そうすると、どうなるの?」
「ミウのスピリット、魂のことね。ミウの身体は、残るけれど、
魂が抜けた状態になるから、見た目には廃人のような感じになって
しまうのかしらね。だから、すぐに椅子から立って!って言ったのよ」
「うわぁ・・・。それって、怖いね。っていうか、私・・・ヤバかったね(汗)」
「相当にね(苦笑)でも、早く気づけて良かったわ」
「アトランティーナは、命の恩人だね」
「別に死んでしまうわけではないから、命の恩人は大袈裟かしらね」
「だって、生きてはいるけど、死んでるような状態になるワケでしょ?
それは、命の恩人でしょう」
「ま、そうかもしれないわね。でも、初めて焦ったし、慌てたわよ」
「うん。なんか、アトランティーナも焦るんだって、新鮮だった(笑)」
「笑い事じゃ済まされないところだったのよ!ホント、肝を冷やしたわ(苦笑)」
「ごめんなさ~い・・・」
「怖いとか、不安とか、そういう気持ちがあったのなら、
先に言ってくれないと・・・。大丈夫?って聞いたでしょ?」
「うん、そうなんだけど、元々、過去生のことを言い出したのは私だし、
自分から言っておきながら、怖いとか、不安とか、言い出しづらかったんだもん」
「でも、お陰で、人間界や人間と関わることを理解することが出来たわ。
私もミウのお陰で成長させてもらっているみたいよ」
「なんか、嫌味に聞こえる」
「あら、珍しいこと。素直に受け容れてよ。本当にそう思ったんだから。
焦ったり、慌てたりしている自分を客観的に見て、ちょっと面白いって
思っちゃったのよ(笑)それに・・・私にとって、ミウが
どれだけ大切な存在なのかということにも気づかせてもらったわ。
ありがとう、ミウ」
「なんか、どういたしましてって言いづらいよ!」
「あはは。そうね(笑)ところで、もう落ち着いた?」
「うん。アトランティーナが傍に居てくれるから、もう大丈夫!」
「じゃ、そろそろ現場っていうのも変だけど、行ってみましょうか」
「うん!よろしくお願いしま~す」
「いきなり元気になっちゃって(苦笑)ホント、現金な子ね、ミウは(笑)」
「えへへ」
<次回へ続く>
それは、きっと、私がミウのところに行く合図なのだろう。
「そろそろ、私も準備しなくちゃね」
誰に言うとでもなく、自分を鼓舞するために言葉が口から零れ出た。
熾天使(してんし)だった私が、海の神ポセイドンによって、
海の精霊となり、時には今のように人間界にも降りるようになって
久しいけれど、一緒に過去生に行くなんて、初めてのこと。
出来ないわけではないけれど、やはり、初めてのことは、私も多少は緊張する。
果たして、私が行って、ミウが満足する結果を得られるのか・・・。
もちろん、結果が全てではないということは分かっている。
でも、この過去生への旅が、ミウに良い影響となるのかどうか、
ミウのことを信じていないわけではないけれど、少し心配ではあるし、
私の導きが大きな鍵を握っていることも確かなのだと思う。
いや、違うな。ずいぶん、私も人間化してきたものだ(苦笑)
私の導きは、おまけのようなもの。ミウの人生で、舵を握っているのは、
他でもないミウなのだ。私ではない。私は、神のご意思に沿って、
身を委ね、ミウの過去生に付き添うだけだ。
危ない、危ない。私自らが、道を誤るところだった。さて、心の準備は整った。
そろそろ、ミウのところに行くとするか。その前に、ミウに声を掛けておこう。
「ミウ、どう?少しは休めたかしら?もう、動けそう?」
「うん、アトランティーナ。もう大丈夫だよ」
「じゃあ、そろそろ扉を開きたくなってきたかしら?」
「えっ?・・・ここ、開かなくちゃ、ダメな感じ?」
「だって、暗い階段を降りて、小さな部屋で、不思議な椅子に
座っただけでしょ?何か新しい発見でもあったの?」
「・・・それは・・・ないけど・・・なんか・・・先に進むのが・・・
ちょっと・・・ね(苦笑)」
「怖いの?」
「う、うん・・・。やっぱり、心の準備っていうか・・・。
何をこんなに怖がってるのか、もう自分でも分かんないの!」
「パニックにならないで、ミウ。大丈夫だから。ゆっくり呼吸を整えて」
「はい。やってみます」
ミウ、かなり緊張しているみたいね。やっぱり、私が一緒に行くことにして
良かったわ。もう少し待っていてね。私も、もうすぐ、そこに到着するから。
どういうわけか、私も手間取ってしまっているのよね(汗)
ミウの緊張が移っちゃったのかしら(笑)
ふぅ~、ようやく到着したわね。ミウは、どこにいるのかしら?
この部屋に来るはずなんだけど・・・。
あっ、あの子、別の部屋に入ってしまったんじゃないかしら!?
ここじゃなかったら・・・、う~ん、どこの部屋に入ってしまったの?
小さな部屋で、テーブルと椅子って話していたわよね。
・・・あっ、もしかしたら、あの部屋かも!椅子に座ったら、脱力したって
言っていたし、間違いない!おそらく、安息の部屋に入ってしまったんだわ!
あの部屋に長居させてはいけない。だって、出られなくなってしまうから(汗)
「急がないとっ!」
珍しく、焦っている自分に気がついた。早くミウに声を掛けて、
椅子から立ち上がらせなきゃ。
「ミウ、聞こえる?」
「うん。聞こえるよ」
「まだ、椅子に座っているの?」
「うん。だんだん立つのがイヤになってきちゃった(笑)」
「ミウ!笑い事じゃないの!早く、その椅子から立ち上がって!」
「えっ!なにそれ!」
「理由は、後から話すから、早く椅子から立ち上がって!」
「う、うん。分かった」
いつもは、何があっても落ち着いている私が、少し声を荒げてしまったことで、
ミウにも緊迫感が伝わったようだ。本当は、こんな姿を見せたくは
なかったんだけどね(苦笑)
「ミウ、立ち上がった?」
「うん、大丈夫。ちゃんと立ってるよ」
「ふぅ~、間に合ったのね。良かった」
「アトランティーナ、どうしたの?」
「ミウ、階段を降りた時、部屋は一つしか無かったの?」
「ううん。幾つかあったよ。
でも、よく分かんないから、一番近い部屋に入ったの」
「なんで、部屋が幾つかあることを言ってくれなかったの?あなたが居る部屋は、
あなたが過去生に行くための部屋ではないのよ」
「えーっ、そうなの!?」
「そうよ。ミウの中に恐れの感情が残っていたから、その部屋に入って
しまったんだと思うわ(苦笑)少し待っていてね、今、そっちに行くから」
「えっ、アトランティーナ、来てくれるの?」
「最初から、ミウの過去生に同行するって言っていたでしょ?」
「うわぁ!良かった。ここから一緒なんだね。ホッとしたぁ。・・・あっ!」
「今度は、何が起こったの?」
「部屋が・・・なんて言ったら良いのかな?
なんか、壁とか動き出して・・・あれっ?模様替えを始めたよ!」
「ミウは、その場から動かないで!」
「うん、分かった。なんか、勝手に壁とか、天井とか、家具とか、
勝手にグルグル動き出して、ちょっと面白いかも」
「床は?床が動いているということはない?」
「たぶん。動いていないと思うけど・・・いや、動いてる!
少しずつ横にスライドしてるような気がする!でも、立っていられるよ」
「分かったわ。そのままでいて!すぐに行くから!」
私がこんなに取り乱すなんて!ゆっくり落ち着いていてもミウに危険が
及ぶことはないと分かっている。でも、ミウには、出来るだけ怖い思いを
させたくない、早く安心させたい、そう願う気持ちが、私を焦らせる。
認めたくはないけれど、人間化が進んでしまっているらしい。
それもかなり深いところまで(苦笑)
「ホント、参ったわね(苦笑)」
でも、人が誰かのために必死になることが理解できるようになったことは
大きな収穫なのだと思う。地上に降りることなく、神の傍に仕え、
大天使たちに神のご意思を伝えていた時の私とは、まるで違う。
大天使や守護天使たちが、手を煩わせているのを目にしても、
『何をそんなに!?』と、まるで理解できなかった。今なら、よく分かる。
大切に思えば思うほど、どんなに冷静な人間でも取り乱してしまうということを。
ミウのお陰で、私も成長したのかもしれないね。ミウ、ありがとう。
おそらく、この部屋の中にミウが居るはず!居ない。
えっ?いったい、ミウは、どの部屋に紛れ込んでしまったの?
「ミウ、今、部屋の状態は?」
「うん。まだ、グルグル動いてるよ。なんか、部屋が生きてるみたい」
「ミウ、立ったままで良いから、ゆっくり深呼吸してくれるかしら?
それで、ミウの心を穏やかに落ち着かせてみて」
「うん、分かった。
スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、ハァ~~~。
あれっ?部屋の動きが止まった!」
「やっぱりね」
「どういうこと?」
「ミウの心の状態を反映しているの」
「私の心の状態?」
「そう。暗い部屋で椅子に座っていた時は、過去生に行くことへの恐れが
ミウの中に残っていたの。だから、このまま行きたくないという気持ちが
あったのだと思うのね。
それが、私が向かっていると聞いて、ミウの中に再び、過去生に行って
みたいという気持ちが湧き起こってきたのよ。それで、部屋が変わり出したの。
でも、ミウの中にはまだ葛藤が残っていたから、部屋もグルグル動き出して、
止まらなくなってしまったのね(苦笑)」
「あっ、だから、深呼吸って言ったんだ!心を穏やかに落ち着かせてみてって
言ったのは、そういうことだったんだ!」
「そうよ。これで、ミウを探しやすくなったわ」
「ごめんね、アトランティーナ」
「大丈夫だから、ずっと心を穏やかに落ち着かせていてくれる?
そうじゃないと、また部屋がグルグル動き出して、ミウのことを
探せなくなってしまうから」
「あっ、そうだった(汗)
スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、スゥ~、フゥ~、ハァ~~~」
今度こそ、この部屋にいるはず!居た!
「ミウ!」
思わず、ミウを力いっぱい抱きしめてしまった。私もミウを失って
しまいそうで、怖かったのだと、この時、初めて気がついた。
ミウの手が私の背中に回って、どれだけ心細かったのか、
手を通して感じることが出来た。
「アトランティーナ!」
「ミウ、心細かったのね。もう、本当に甘えん坊さんなんだから」
「ごめんなさい。私一人でも行けると思ってるつもりだったのに、
本当は、もの凄く不安で、怖かったみたい(汗)でも、過去生に行きたい、
見てみたいって思ったのも本当で、どうしたら良いのか、
分かんなくなっちゃってたみたいだね(苦笑)」
「本当は、もの凄く不安で、怖かったということに気づいたのは、
どの辺りからなの?」
「う~ん・・・階段を降りてたくらいなの・・・かな?」
「なるほどね。だから、あの部屋に入ってしまったのね。
なんとなく、心が惹かれた部屋を選んだのよね?」
「うん。たぶん・・・。あの部屋って、そういう部屋だったの?」
「あの部屋はね、【安息の部屋】というところなの。あの部屋に長居すると、
もう帰って来られなくなってしまうのよ。椅子に座ったら、脱力したって
言っていたでしょ?もう少し長く座っていたら、立てなくなって
いたかもしれないの」
「えっ、そうすると、どうなるの?」
「ミウのスピリット、魂のことね。ミウの身体は、残るけれど、
魂が抜けた状態になるから、見た目には廃人のような感じになって
しまうのかしらね。だから、すぐに椅子から立って!って言ったのよ」
「うわぁ・・・。それって、怖いね。っていうか、私・・・ヤバかったね(汗)」
「相当にね(苦笑)でも、早く気づけて良かったわ」
「アトランティーナは、命の恩人だね」
「別に死んでしまうわけではないから、命の恩人は大袈裟かしらね」
「だって、生きてはいるけど、死んでるような状態になるワケでしょ?
それは、命の恩人でしょう」
「ま、そうかもしれないわね。でも、初めて焦ったし、慌てたわよ」
「うん。なんか、アトランティーナも焦るんだって、新鮮だった(笑)」
「笑い事じゃ済まされないところだったのよ!ホント、肝を冷やしたわ(苦笑)」
「ごめんなさ~い・・・」
「怖いとか、不安とか、そういう気持ちがあったのなら、
先に言ってくれないと・・・。大丈夫?って聞いたでしょ?」
「うん、そうなんだけど、元々、過去生のことを言い出したのは私だし、
自分から言っておきながら、怖いとか、不安とか、言い出しづらかったんだもん」
「でも、お陰で、人間界や人間と関わることを理解することが出来たわ。
私もミウのお陰で成長させてもらっているみたいよ」
「なんか、嫌味に聞こえる」
「あら、珍しいこと。素直に受け容れてよ。本当にそう思ったんだから。
焦ったり、慌てたりしている自分を客観的に見て、ちょっと面白いって
思っちゃったのよ(笑)それに・・・私にとって、ミウが
どれだけ大切な存在なのかということにも気づかせてもらったわ。
ありがとう、ミウ」
「なんか、どういたしましてって言いづらいよ!」
「あはは。そうね(笑)ところで、もう落ち着いた?」
「うん。アトランティーナが傍に居てくれるから、もう大丈夫!」
「じゃ、そろそろ現場っていうのも変だけど、行ってみましょうか」
「うん!よろしくお願いしま~す」
「いきなり元気になっちゃって(苦笑)ホント、現金な子ね、ミウは(笑)」
「えへへ」
<次回へ続く>
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