ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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もっと自由に・・・

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レオンくんと一緒に会社を出た。
まだ、18時前なのに、外はすっかり夜で、風も少し冷たい。
季節の移り変わりを感じた。そういえば、企画実施の時期って、
クリスマスが近いんだよね。

恋人たちのイベントと化したクリスマス。
いつから、そういうイベントになったんだっけ?
私には、もう何年も関わりのないイベントになったなぁ・・・。

でも、独りでもケーキは買っちゃうんだよね(苦笑)
商業戦線に抗えない私。でも、楽しければ、それでいっかって、
毎年、思いながら買って帰ってたりしてたなぁ。
今年は、ワクワクとドキドキのクリスマスを迎えられたりしてね☆

とりあえず、駅に向かって歩き出したんだけど、レオンくん、
ダンマリを決め込んでるんだよね。話したいことがあるって
言ったのは、レオンくんの方なのに・・・。

あっ、話したいことがあるとは言ってないか(笑)
でも、このダンマリが気まずくて、私から話しかけてみた。

「レオンくん、何か話したいことがあったんじゃないの?
ずっと、ダンマリしてるつもり?」

「テルのことなんですけど・・・」

「あ~、この間、ハヤトくんのこと、お役御免って言ってたけど、
テルさんの方が、お役御免になったね。私的には、お役御免って
いうのも何だとは思ってるんだけどね(苦笑)」

「そうですか。でも、ミウさんの恋人候補として、呼び集められた
わけですから、その役目から外れるということは、お役御免ということ
ですよね?僕は、そう解釈しています」

「あっ、そうなんだ(汗)ま、テルさんとは、英語研修で、週に一度だけしか
会うこともなかったし、来ても接点なんてないから、仕方ないんじゃないかな。

それに、テルさんの希望が叶う形での海外赴任なんて、喜ばしいことじゃない。

私は、良かったと思うよ。だって、このまま続けてても、私たちの英語力が
上がるまでには相当の時間がかかってたと思うしね。

それに、私の恋人候補ということだけで、この世に命と身体を与えられた
ワケじゃないでしょ。ちゃんと、今回の人生で、全うすることがあるって
ことなんだよ。それは、テルさんに限ったことじゃなくてね。

英語についても、今は、研修なんて時期尚早だったんだと思うよ。
プレゼンもそうだったけど、目の前に海外に行くっていう具体的なものがないと、
私もだけど、みんなも身が入らないと思うんだよね。

でも今は、海外に行くことを私自身も目標にはしていないし、
おそらく、みんなも、いつか行けたら良いなぁぐらいだと思う。

っていうか、メンバーのみんな、海外旅行もそんなに行ったことが
ないみたいだったし、海外で仕事なんて、現状では夢物語みたいっていうか、
現実味がないのが正直なところだと思う。私も含めてね」

「そうなんでしょうね・・・」

「レオンくんは、すぐにでも海外に行きたいの?」

「僕ですか?どうなんでしょう。どこに行っても、することは同じだし、
特に今すぐ、海外に行きたいというのは、ないと思います」

「自分のことなのに、他人事みたいだね(苦笑)」

「そうですね(苦笑)僕は、いや、僕に限らず、アトランティーナに
声を掛けられて、今回、人間として生まれて来た者は、通常とは違う形で
生まれて来たんですよ。本来なら、生まれる前に記憶は全て、
消されるんですけど、僕たちは、消されていないので、自分たちが、
ミウさんの元守護天使だったことを知っているんです」

「えっ!?そうなんだ!なんか、今日は、ビックリすることが多いわ(汗)
でも、それで、混乱したりとかはないの?」

「ありません。だって、元々、人間ではありませんから」

「そっか。そうだよね(苦笑)私たちとは、一緒にならないよね。
だとしても、肉体を持って生まれてきたんだから、今回の人生も
楽しんだ方が良いと思う。

キッカケは、私の恋人候補だったのかもしれないけど、それが人生の全て
ということではないと思うんだよね。レオンくんもテルさんみたいに、
もっと自由に自分の生きたいように生きれば良いんじゃない?」

「僕は、自分が生きたいように生きていますよ。それに、ミウさんも
元を辿れば、人間ではありませんけどね。

でも、ミウさんの場合は、人間として経験を積むことを選んだので、
本来の形で、生まれるようになったんですよ」

「へぇ~、そうなんだ。なんでなんだろう?」

「人間として生まれて、人の近くで肉体を持って、共に苦しみや悲しみを
経験することで、寄り添うことが出来ると考えたみたいですよ。
それに経験することの価値も高く評価したみたいです。

観音菩薩の教えに感動して、目指したいと思ったと、以前、天界で
聞いたことがあります」

「私が言ったの?」

「はい。他の誰がそんな話をするんですか?ミウさん本人以外、
ないじゃないですか!ま、天界での話ですし、エネルギー体としてのミウさん
でもありますから、今、覚えていないのは、当然なんですけどね」

「私、そんな大層なことを考えてた?考えてる?ん?どっちだ?
まぁ、いずれにしても、スゴイことだね。自分のことなのに、
今、ちょっとだけ感動した(苦笑)そっか・・・、だからなんだね」

「何がですか?」

「私の守護天使さんたちは、みんな優秀だから」

「守護天使に優劣はありませんよ。みんな、自分が担当した人たちのことを
生まれた時から寿命が尽きるまで、誠心誠意、愛して、見守っています。
その愛情や忠心に偽りはありません」

「うわっ!」

「どうしたんですか!?」

「今、ケルビムが浮かんだの。でも、ケルビムは、天使の階級で、
第2位だから、守護天使になることはないんだもんね(汗)」

「はい、そうですね。ミウさん、天使の階級についても詳しいんですね」

「いや、アトランティーナが自分の正体を話してくれた時に
教えてくれたの。それを覚えてただけ。

私たちが、天使って聞いて、真っ先に思い浮かべる赤ちゃん天使は
ケルビムで、天使の階級では第2位に位置しているから、地上に
降りてくることはないって聞いたの。

大天使や守護天使は、赤ちゃん天使ではなくて、人間に例えるなら
大人なんだよね?中には、身長が2mくらいの大天使もいるって聞いた
ような気がする」

「そうですね。でも、天使は肉体を持たない存在なので、
人間が想像した姿で現れることが出来ます。だから、守護天使でも
赤ちゃんのような姿をイメージしている人の前に姿を現す時には、
赤ちゃんの姿で現れると思いますよ」

「なるほどね。それにしても、話が戻っちゃうけど、私の傍に
居てくれる守護天使さんたちは、みんな優秀な守護天使さんだと
思ってる。

守護天使に優劣はないのかもしれないけど、私、いっぱい助けて
もらってるって、自覚あるもん。もちろん、レオンくんにも
守護天使さんだった時だけじゃなくて、今も、いっつも感謝してるよ。
ありがとう」

「そうですか・・・。ありがとうございます」

「テルさんもアトランティーナから言われて、
人間として生まれて来た一人なんだよね?」

「はい、たぶん、そうだと思います。前にも話しましたけど、
アトランティーナが誰に声を掛けたのか、何人に声を掛けたのか、
僕は知らないんですよ」

「あっ、そうだったね。ごめん。でも、テルさんのこと、レオンくんは、
知ってたんでしょ?私の元守護天使さんの一人だって」

「はい。だから、おそらくアトランティーナから声を掛けられた一人なんだろうな
って思ったんです。でも、それについて、テルとは話していないので、
確証はありません。というか、テルとは、ミウさんたちと同じで、
英語研修の時にしか会わないし、連絡も取り合っているわけではないんですよ」

「そうだったんだ。英語研修に来る前から連絡取り合ってるんだと思ってた」

「いいえ。連絡先も知りません」

「そういうものなんだね」

「はい。だから、ハヤトも弦夜も連絡先を知りません」

「あっ、そっか。ハヤトくんもそんなふうなこと言ってたかも!
だから、みんな揃ったら、同窓会やりたいとかって言ってたような気がする」

「そうですか。ま、同窓会はしませんけどね」

「で?レオンくんが聞きたいこと、何かあるんでしょ?」

「なんで、そう思うんですか?」

「なんとなく。特に理由はないよ。
でも、私が感じる、なんとなくは、だいたい、当たるから」

「英語研修が、明日で終わることもでしたよね?」

「そう!なんとなく、明日が最後のような気がしてたら、真田部長から
言われた。だから、明日で、英語研修が終わるって言われても、
何も驚かなかったよ」

「ミウさんも少しずつ、自分の力を使えるようになって来たんですね」

「これも元々は、人間じゃなかったからなの?」

「いいえ。元々、人間であっても、【なんとなく】という感覚はあると
思いますし、その感覚は、だいたい、合ってることが多いです。

ただ、自分の【なんとなく】を信じて行動する人は、とても少ないですけど」

「そうだろうね。私もアトランティーナに会う前は、自分の【なんとなく】を
100%信じることなんて出来なかったから。

でも、その【なんとなく】を無視し続けてると、そのうち【なんとなく】
っていう感覚を忘れちゃうっていうか、【なんとなく】が浮かばなく
なるんだよね」

「そうですよ。使わなければ、退化していきますから。
それは、動物として、生き物として当然のことです」

「だったら、【なんとなく】を使わないと損する気がする。
だって、ほぼ100%当たってるんだから、使った方が絶対、良いよね?」

「そうですね」

「ね、レオンくん、なんで、一緒に帰ろうって言ったの?
テルさんのことに関しても積極的じゃなかったし・・・。
なに?気になるんだけど」

「特に何かを話したかったわけではありません」

「じゃ、なんで一緒に帰ろうって言ったの?」

「理由がないと一緒に帰りたいと思ってはいけませんか?」

「別に、そういうワケではないけど・・・。だって、テルさんのことで、
何か話があるの?って聞いたら、テルさんのことだけじゃないけど、
それも含めてって言ってたじゃない」

「だって、そう言わないとミウさん、僕が一緒に帰ろうって言ったら
断るでしょ?」

「えっ・・・。いや、そんなことはないよ」

「ホントですか!?僕が理由もなく、ただ、一緒に帰ろうって言ったら、
ミウさん、断ると思ったから・・・。だから、話があることにしただけです。
本当は、特に話があったわけではありません。ごめんなさい」

「別に謝る必要はないけど・・・。そうなんだ。
だったら、もっと別な話をすれば良かったね」

「別の話?」

「うん。もっと楽しくなる話。例えば、風が冷たくなって、冬っぽくなって
きたね、とか、食べ物の話とか、洋服の話とか、色々あるじゃない。
その方が、楽しかったかなぁって」

「そうですね。日本には四季があるから、季節によって、食べ物も
楽しめますからね。洋服も季節によって、変わるし、季節に似合う色も
ありますからね」

「でしょ?そっちの話の方が、絶対、楽しいじゃん!
なんか、レオンくんと一緒だと、何か教えてもらえるのかなとか、
何か私、間違えちゃったかなとか、そういうこと、考えちゃうんだよね(苦笑)」

「そうですか・・・。それじゃ、あまり楽しくないですね(苦笑)」

「違った意味で楽しいけどね。ほら、前より少し先に進めたかなとか、
ちょっとだけ賢くなれたかなとか、誰かの役に立ててるかなとかね。
それは、それで楽しいし、嬉しいからね」

「でも、それは、純粋な楽しさとは少し違いますね。さっきミウさんが
言ったように季節の移り変わりの話や食べ物、洋服の話の方が、
シンプルで楽しいですからね」

「そうかもしれないね。でも、レオンくんとだから出来る話もあるし、
私は、レオンくんとは、そういう色々な話が出来たら良いなって思ってる。
あっ、もう駅に着いちゃったね。じゃ、また明日ね。おつかれさま」

「お疲れさまでした」


<次回へ続く>
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