ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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恋って必要?

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和やかな雰囲気で、ランチを食べたんだけど、食事の後のことが
気になって、アトランティーナが奮発してくれた、いつもより
ちょっと豪華なランチも味がよく分かんなかった(汗)

恋してるって、どんな感じなんだっけ?今までも好きになった人はいたし、
おつきあいだってしたことあるけど、あまり良い思い出がなかったせいか、
よく覚えてないんだよね(苦笑)だけど、きっと良い思い出はあるはずなの。
ただ、私が心のある部分にフタをして見ないようにしてきちゃっただけだと
思うんだよね。

私のイメージなんだけど、心の中には、幾つも部屋があって、私の場合、
恋愛の部屋に関しては、扉も窓も閉めちゃってるって感じ(苦笑)
だから、良い思い出も悪い思い出も全部、その部屋の中に押し込んじゃって、
閉じ込めちゃってるって感じなんだ(汗)

その部屋の鍵穴さえも、ずっと見えなくなっちゃってたんだけど、最近に
なって、ようやく鍵穴くらいは見えるようになって、ちょこっとだけ
顔を出せるようになったところかな(笑)

それもこれも、アトランティーナから<恋愛が課題よ>って言われたことが
キッカケだったから、やっぱり、アトランティーナに感謝だよね(汗)

イヤな思い出だけを閉じ込めれば良かったのかもしれないけど、良い思い出
を思い出したら、また恋がしたくなっちゃうと思って、全部まとめて
処分したっていうか、いや、処分したなら、まだ良いのかもしれないね。
処分することが出来なくて、捨ててしまえば良いのに、後生大事にどこかに
仕舞い込んじゃったからトラウマみたいになっちゃったんだね(苦笑)

でもさ、そういうのって良くないなって思う。たぶん、そんなことは、
アトランティーナに出会う前から気づいてたんだと思うんだ。それでも
見ないフリをして、気づかないフリをして、誤魔化してきちゃったんだと思う。
そのツケが今になって回ってきたんだよね(苦笑)あ~、でも、どうしよう。
本人を前に恋してるかどうか、分かんないなんて言えないよね(汗)

きっと、アトランティーナは、私の心の中と頭の中がグラングラン揺れてる
こと、気づいてるような気がするな。自分軸をしっかり立てることが大事って
分かってるのに、今の私はグラグラ揺れまくってるもんね(苦笑)

もしかしたら、アトランティーナだけじゃなくて、弦ちゃんも気づいて
たりして。二人とも、元々は天使なんだもんね。天使さんだから、一緒に
居て楽なこともあるけど、こういう時は、厄介だと思うわ(苦笑)

アトランティーナ、今日のところは、見逃してくれないかなぁ。
いや、アトランティーナが見逃してくれたとしても、弦ちゃんは見逃して
くれないか・・・。あ~、どうしよう(汗)

いや、ちょっと待って。前にアトランティーナが言ってたよね。神さまは、
私たちを悩ませようとはしてないって。ただ、課題を与えているだけで、
それをクリアするだけで良いんだって言ってた。それなのに、人が自分で
わざわざ複雑化して、勝手に悩んでるんだって。今の私もそうなのかも!

そっか、悩んだり、困ったりする必要はないんだ!もし、聞かれたら、
あるがままを答えれば良いんだよね。だって、二人とも天使さんなんだから、
きっと寛容に受け止めてくれるよ、きっと。

なんか、自己完結ではあるけど、ちょっとスッキリしたかも。これで、
デザートは、味わえる余裕が出てきた。ホント、私って単純(笑)
でも、単純で良かった。っていうか、切り替えが早くなったよね。
これは、アトランティーナのお陰かな。

「私、食べ終わったから、コーヒー淹れる準備するね。二人は、ゆっくり
寛いでてね。アトランティーナ、いつもは食べるの早いのに、今日は
ゆっくりさんなんだね。珍しい!」

「えっ?そうなんですか?」

「えっ、ミウが食べるのが早いから、自然と早くなっちゃうのよね(苦笑)
でも、今日は、弦夜もいるし、二人して早く食べ終わっちゃったら
落ち着かないでしょ?だから、遠慮したの。ところで、そろそろその敬語、
やめてもらっても良いかな?なんか、気持ち悪い(笑)」

「気持ち悪いっていうのは、失礼じゃないですか?(笑)だって人間として
アトランティーナに会うのは初めてだし、アトランティーナは、ミウさんに
とっては、保護者のような存在なわけでしょ?敬語になっちゃうでしょ(笑)」

「なんか、弦夜らしくないんじゃない?」

「そうですか?いったい、僕のこと、どんなヤツだと思って
いるんですか?(笑)」

「さっきも言った通り、人タラシだけど(笑)人の懐に入り込むのが得意で、
すぐに距離を縮められる特技を持っているから、敬語なんて無縁なんだと
思っていたわ。それに、そもそも人間になるの、イヤがっていた割には、
しっかり人間界に溶け込んでいて、そこも意外と言えば、意外かしら(苦笑)」

「えっ、そうなの?弦ちゃん、人間になるの、イヤだったの?」

「まぁ・・・好き好んで、人間になる天使なんていないでしょ。
ただ、今回は例外だったの。ミウさんのことは、よく知っていたし、今回は、
どんな感じで生まれてくるのか、興味もあったし。

アトラン国に居た頃は、今でいうところの天才少女的な感じだったからね。
ついている守護天使の数も多かったし。ま、今でも通常よりは
多くの守護天使がついているみたいだけどね。

だから、僕の方から積極的に出会おうとはしていなかったでしょ?とはいっても、
きっとベストなタイミングで出会うようになっているとは思っていたけど。
昨日も話したでしょ?芳村からバトンは渡されたけど、その後のことは、
僕に任せる、実際にミウさんと関わってみてから決めれば良いって言われたって。

それで、実際に仕事を通して関わってみたら、アトラン国に居た頃とは、
まるで違っていて、ビックリした。あの頃は、どんなことでもスイスイ
出来ちゃうような人だったけど、今はそうじゃない。

でも、出来ないことを出来ないままにしておくんじゃなくて、一生懸命に
取り組んで、怖がりながらも前に進もうとしている。その姿を見て、
本当に素晴らしいと思った。

それに、ハートがピュアで、きっとこの人は、どんなに傷ついてもハートが汚れて
しまうことはないんだろうなって思った。そういう頑固さ、僕は好きだから、
ステキだなとも思った。自由に、思いのままに振る舞っているのに、周りから
信頼されているのは、きっとハートがピュアなだけじゃなくて、愛情深い人
なんだろうとも思ったし。

そんな姿勢を見ていたら、ミウさんのことが気になってきて、気がついたら、
いつもミウさんのことを考えている自分を発見したんだ。それを自覚したくらい
から、ミウさんの近くにレオンが居るっていうことが、気になって、早く
動かないとミウさんをレオンに取られちゃうんじゃないかって思った。

だから、ミウさんは、食事に誘った時もイベントが終わってからって言った
けど、イベントの前に行きましょうって言ったの。少しでも早く、手を打って
おきたかったから。

あっ、これって、さっきのアトランティーナの質問の答えなんじゃない?
ミウさんに恋しているの?って聞いてたよね?これじゃ、答えにならない
かなぁ?どう?アトランティーナ」

「そうねぇ・・・。まぁ、答えと言えばそうなのかもしれないわね。
じゃ、改めて聞くけど、今、弦夜は、ミウに恋しているのかしら?」

「そうですねぇ・・・。そもそも恋って何なんでしょうね。恋なんてエゴを
剥き出しにするものじゃないですか?その恋って、人間にとって、本当に
必要なんでしょうか?」

声には出さなかったけど、心の中で『私もそう思う!恋って本当に必要なの?』
って、コーヒー淹れながら、叫んじゃった(汗)

「エゴを剥き出しにするから、人間にとって必要なのよ。他の人間関係では、
誤魔化し切れる感情も恋愛では、誤魔化せなくて、表に出てくるでしょ?
時には、自分でも気づかない自分の顔が現れてくることもある。それを自分で
コントロールすること、自分の深いところにあった感情を知ること、それが
出来るのが恋なんだと思うの。

魂を成長させるために恋はなくてはならないものだと理解しているわ。恋をする
ことで、今まで気づかなかったことに気づけたり、自分のことをより深く知る
ことも出来たりする。それって、貴重な経験になるとは思わない?」

「なるほど。人間にとっては必要なことなのかもしれませんね。
でも、僕たちみたいな存在には、必要ないかな?そうは思いませんか?」

「弦夜は、今、人間として生きていて、エゴに振り回されることはないの?」

「僕の場合、上司も天使なので、エゴに振り回されるような状況には
ならないんですよ。それが幸か不幸かは分かりませんけどね。通常、人が
何度も生まれては死に、また生まれては死にを繰り返すのは、より多くの経験を
通して魂を成長させることじゃないですか。でも、僕の場合、正直、その必要は
ありませんからね」

「ま、天使は階級が決まっているから、そう考えても仕方ないかしらね。
じゃあ、なんでミウとつきあおうと思ったの?そんな面倒事に関わるのは、
イヤだったんじゃないの?」

「なんでなんでしょうね。さっきも言いましたけど、ミウさんの近くにレオンが
居ることが気になったし、イヤだと思ったんです。ミウさんとレオンが恋愛関係に
なるのもイヤだったし、それを目にするのもイヤだった。だから、ミウさんと
早く仲良くなりたくて、食事に誘ったんです」

「ねぇ、弦夜、それが恋なんだと思うわよ。ミウを誰かに取られたくないって
思ったんでしょ?それは、立派なエゴなんだけどね(笑)」

「あっ、そっか。確かにエゴですね!無意識ではあったけど、ミウさんを誰かに
取られたくないって思ってたんだ!今、アトランティーナに言われて
自覚しました。そっか、そっか、これが恋なんだ。なんか、ちょっとスッキリした
かもしれません。

なんで、こんなに焦って食事に誘っているのかが分からなくて。それと、
ミウさんを喜ばせたくて、ちょっと背伸びしたお店を予約したりして。
その理由が今、分かりました。そっか、僕はミウさんに恋して
いるんですね」

「そういうことよ、弦夜。良かったじゃない。自分の気持ちを知ることが出来て。
それに、必要ないと思っていた恋を知ることが出来て。ミウだけじゃなくて、
弦夜にとっても良かったということね」

コーヒーを淹れる準備をしながら、二人の会話を聞いていて、っていうか、
弦ちゃん、私に向かっても言ってたよね?(汗)でも、そのお陰で、私も
ちょっとスッキリしたかも。

心の中っていうか、頭の中っていうか、とにかく、私の中にも霧のような、
靄のようなものがかかってて、ハッキリ見えなかったものが、今、ようやく
少しずつ見え始めたような気がしてる。

私も自覚してなかったけど、たぶん、弦ちゃんに恋してるんだと思う。だって、
五十嵐智美に『取られたくない!』って思ったのは確かだもん。もし、恋して
なかったら、別に五十嵐智美と弦ちゃんが二人で食事に行ったとしても
気にならないと思うもん。

でも今の私は、そんなこと、絶対にイヤって思ってる。そっか、これが恋してる
ってことなんだ。いやぁ~、マジでスッキリしたわ。


<次回へ続く>
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