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異世界転移編
第29話 事後処理
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ムツキとエレノアの初デートは途中で邪魔が入ってしまった。
捕えられた男達を取り調べた所、違法な奴隷商である事が分かった。
貴族の名前を使って容姿の良い者や、傭兵ギルドなどで有能なスキルを持つ者を誘い出し、違法奴隷契約を結ばせて他国へと売り飛ばしていた。
この違法奴隷契約と言うのは、はるか昔に使われていた強制的に言う事をきかせる為の魔道具である。
普通の奴隷は契約書で縛られるだけの労働力の様な者だが、この魔道具は人の意思を無視させる事ができる為、世界的に禁止されているはずである。
しかし、こうして出どころのわからない魔道具は度々出てくることがある。
今回の奴隷商。
奴隷を流していた他国が一つの国だと言う事がわかった。
バレにくい様に色々な場所を経由させていた様だが、最終的には一つの国に辿り着いていた。
この事から、エクリア帝国の力を削ぐ為の工作員では無いかと推測される。
エクリアの貴族が違法奴隷を扱っているなどと噂を立てる目的もあったのではないかと推察される。
もちろん、違法奴隷が送られていた国が怪しいと言うのもある。
以前から警戒していた国であり、その為にリフドンはその国に潜入していた。
つまり、ムツキを召喚した国、王国、ヴィストル王国であった。
その事を受けて、エクリア帝国では緊急会議が開かれている。
エレノアは、中断してしまったデートは残念に思いながらも、族を制圧するムツキの勇姿を思い出し、にへら、と表情を崩した。
「エレノア様、また顔が恥ずかしい事になってますよ」
エレノアに声をかけたのはユーリネの後任としてエレノアの世話係をしているメルリスだった。
「だってね、あの時のムツキ様ったらね」
何度も聞いた話にメルリスは苦笑いだ。
デートの日から数日、メルリスはエレノアから1日に2回はこの話を聞いている。
幸いなのは、デートが中断してしまった残念さよりも、ハプニングのおかげでムツキの格好いい姿の方を見れた嬉しさの方が勝っていた様で、落ち込んでいないところである。
「エレノア様、紅茶が入りましたよ」
「ありがとうメルリス」
問題があるとすれば、当分は隠しておくはずだったムツキの存在が貴族達の間で噂になってしまった事。
そして、エレノアと一緒にいた事を勘ぐる貴族も多数おり…
「エレノア様、今日から学校ですがくれぐれも口を滑らせない様にお願いしますね」
「心配しなくても大丈夫よ」
軽く返事をしながら紅茶を飲むエレノアの髪をメルリスは綺麗に梳かし、学校へ行く準備が整っていくのだった。
捕えられた男達を取り調べた所、違法な奴隷商である事が分かった。
貴族の名前を使って容姿の良い者や、傭兵ギルドなどで有能なスキルを持つ者を誘い出し、違法奴隷契約を結ばせて他国へと売り飛ばしていた。
この違法奴隷契約と言うのは、はるか昔に使われていた強制的に言う事をきかせる為の魔道具である。
普通の奴隷は契約書で縛られるだけの労働力の様な者だが、この魔道具は人の意思を無視させる事ができる為、世界的に禁止されているはずである。
しかし、こうして出どころのわからない魔道具は度々出てくることがある。
今回の奴隷商。
奴隷を流していた他国が一つの国だと言う事がわかった。
バレにくい様に色々な場所を経由させていた様だが、最終的には一つの国に辿り着いていた。
この事から、エクリア帝国の力を削ぐ為の工作員では無いかと推測される。
エクリアの貴族が違法奴隷を扱っているなどと噂を立てる目的もあったのではないかと推察される。
もちろん、違法奴隷が送られていた国が怪しいと言うのもある。
以前から警戒していた国であり、その為にリフドンはその国に潜入していた。
つまり、ムツキを召喚した国、王国、ヴィストル王国であった。
その事を受けて、エクリア帝国では緊急会議が開かれている。
エレノアは、中断してしまったデートは残念に思いながらも、族を制圧するムツキの勇姿を思い出し、にへら、と表情を崩した。
「エレノア様、また顔が恥ずかしい事になってますよ」
エレノアに声をかけたのはユーリネの後任としてエレノアの世話係をしているメルリスだった。
「だってね、あの時のムツキ様ったらね」
何度も聞いた話にメルリスは苦笑いだ。
デートの日から数日、メルリスはエレノアから1日に2回はこの話を聞いている。
幸いなのは、デートが中断してしまった残念さよりも、ハプニングのおかげでムツキの格好いい姿の方を見れた嬉しさの方が勝っていた様で、落ち込んでいないところである。
「エレノア様、紅茶が入りましたよ」
「ありがとうメルリス」
問題があるとすれば、当分は隠しておくはずだったムツキの存在が貴族達の間で噂になってしまった事。
そして、エレノアと一緒にいた事を勘ぐる貴族も多数おり…
「エレノア様、今日から学校ですがくれぐれも口を滑らせない様にお願いしますね」
「心配しなくても大丈夫よ」
軽く返事をしながら紅茶を飲むエレノアの髪をメルリスは綺麗に梳かし、学校へ行く準備が整っていくのだった。
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