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異世界転移編

第62話怒りの行方

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 エリザベートの呪いは解呪された。

 そうなれば当然出てくる疑問で、誰がエリザベートに呪いをかけたのか。

 ムツキのスキルは呪い返しや呪詛返しでは無く、解呪の為、呪いを解く事しかできないし、もしこれが呪い返しだったとしても、返るのは仕組んだ人間ではなく雇われた呪術師であろうからあまり意味はない。

「これは、エリザが体調を崩したタイミングからして、産まれてくるエレノアの死産を狙ったか、もしくは衰弱により母子共に死ぬ事を狙ったか。どちらにしても、許す事はできん」

 シュナイゼルは、静かに肩を震わせながら言った。

「普通に考えれば、エリザベート妃と対する派閥であろうが、分かるのはそこまでだろう。 なんせ、呪いが使われた例は過去に遡っても見当たらん」

 アグニールが意見を述べた。一国の王として、他国の派閥などは把握している。
 勿論、吹けば飛ぶ様な国は分からないが、エクリアはそこそこ大きな国である。

 アグニールが言う様に、過去を遡っても、呪いが政治に使われたケースは文献として残っていない。

 あるのかもしれないが、まず呪いが使われると言うケースを想定しておらず、エリザベートの様に体調を崩したと対処されて表面化した事は無いだろう。

 なので今の状態では対処が出来ない。

 予測だけで動く事はできないのだ。

 普通に考えれば、エリザベートが体調を崩す、又は死んで得をする人物。

 第2王妃のバーバラと、バーバラの生家に連なる派閥の貴族であるが、今の情報ではそこまでしか予測ができないのである。

「シュナイゼル王よ、すぐにでも犯人を見つけて裁きたいのは分かる。しかし事を急いてはならん。エリザベート妃の呪いは解かれ、元気を取り戻したのだ。今はそれを喜ぼう。 そして、呪いの事が私達に知れたとなれば、犯人は動きを見せるやもしれん。 それを見逃さず、追い詰められるかどうかが王としての腕の見せ所だ」

 アグニールは、同じ国王と言う立場からシュナイゼルにそう話した。

 シュナイゼルも、分かってはいる様だ。
 しかし、犯人を絶対に逃しはしないと、決意した者の目をしていた。

 その後は、今日のメインイベントであるムツキの紹介、ペトレとボロネの紹介。

 ムツキとエレノア、シャーリーの婚約発表。

 そしてアグニールとシュナイゼルから、ドラゴニアとエクリアの二国同盟と、ムツキの傘下に入る宣言。

 大イベントの打ち合わせをして、全国家の王が集まる式典の幕が上がる。
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