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異世界転移編
第76話 一方その頃4
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急に与えられた激痛、敵うはずのない恐怖に、ダスティブ王国の兵士達は戦場から逃げ出して自国へと引き返した。
その中に、勇者として召喚されたユウジとカズマも居た。
「何なんだよ、アイツ、詐欺師じゃねえのかよ」
「奴隷の魔道具は解除できないはずだ、だから俺達も国王には逆らえない」
逆らえないと言っているが、勇者の種が欲しい国王側と、ユウジとカズマの利害が一致している為、逆らう必要もない。
ただ、呪いの魔道具は外せないと言うだけ。
それを、ムツキは簡単に外してみせた。
ユウジとカズマの首には、いまだについたままであるのだが。
「あのおっさんは簡単に外してたじゃないか!」
「ト、詐欺だ、外した様にみせてるだけ、そうじゃなかったら説明できない!」
「ほ、ほんとか?」
「たぶん間違いない!」
そんな訳はない、だとしたら不死の軍団の効力が切れた事に説明はつかない。
だがそんな事は関係なかった。都合よく、自分達は勇者で強いと言うアイデンティティさえ守れればそれで良かった。
2人にとって、正しい事が正解ではない。
声が大きく、意見が大多数で、自分達に都合がいい事が正解であった。
「それじや、立て直してもう一回攻めるか?」
「いや、まずはミサキだけでも取り返さないとな、王様に相談して隠密か何か使って取り返してもらおう」
今後について、本人達は真面目に相談しながら敗走する上空の陽の光を遮って、大きな影が当たりを覆った。
突然暗くなった事を不審に感じ、2人は空を見上げた。
「ドラゴンだ!」「ひぃぃいい!」「に、逃げろぉお!」
一度恐怖を自覚した兵士達は、空を飛ぶドラゴンを見て腰を抜かしたり、泣き叫んでしまったりと阿鼻叫喚である。
しかし、敗走するダスティブ兵に興味はないとばかりに、ドラゴンは悠然と空を飛び、去っていった。
ユウジとカズマは、無視された事が腹立たしかった。
「あの詐欺師に飼い慣らされたトカゲのくせに!」
「俺達が強くなったらペットにしてやるからな!」
自分達のレベルはまだ60程。100までは強くなる余地がある。
オークをコンスタントに倒せる様になってきたし、まだまだ強くなる事はできる。
2人の、目標だけは立派であった。
「だがまず、その為に国に戻って力をつけないとな」
「ああ」
ドラゴンが飛んで行った空を睨みつける2人の目に、見た事もない大きな火柱が空まで届くのが見えた。
「お、おい、なんだあれ?」
「分からねえ……とりあえず今は戻ろう」
2人は、ざわつく兵士達と共にダスティブ王国へと戻る。
王都に戻った時、城があった部分だけぽっかりとクレーターになった地面を見て、愕然と膝をつくのであった。
その中に、勇者として召喚されたユウジとカズマも居た。
「何なんだよ、アイツ、詐欺師じゃねえのかよ」
「奴隷の魔道具は解除できないはずだ、だから俺達も国王には逆らえない」
逆らえないと言っているが、勇者の種が欲しい国王側と、ユウジとカズマの利害が一致している為、逆らう必要もない。
ただ、呪いの魔道具は外せないと言うだけ。
それを、ムツキは簡単に外してみせた。
ユウジとカズマの首には、いまだについたままであるのだが。
「あのおっさんは簡単に外してたじゃないか!」
「ト、詐欺だ、外した様にみせてるだけ、そうじゃなかったら説明できない!」
「ほ、ほんとか?」
「たぶん間違いない!」
そんな訳はない、だとしたら不死の軍団の効力が切れた事に説明はつかない。
だがそんな事は関係なかった。都合よく、自分達は勇者で強いと言うアイデンティティさえ守れればそれで良かった。
2人にとって、正しい事が正解ではない。
声が大きく、意見が大多数で、自分達に都合がいい事が正解であった。
「それじや、立て直してもう一回攻めるか?」
「いや、まずはミサキだけでも取り返さないとな、王様に相談して隠密か何か使って取り返してもらおう」
今後について、本人達は真面目に相談しながら敗走する上空の陽の光を遮って、大きな影が当たりを覆った。
突然暗くなった事を不審に感じ、2人は空を見上げた。
「ドラゴンだ!」「ひぃぃいい!」「に、逃げろぉお!」
一度恐怖を自覚した兵士達は、空を飛ぶドラゴンを見て腰を抜かしたり、泣き叫んでしまったりと阿鼻叫喚である。
しかし、敗走するダスティブ兵に興味はないとばかりに、ドラゴンは悠然と空を飛び、去っていった。
ユウジとカズマは、無視された事が腹立たしかった。
「あの詐欺師に飼い慣らされたトカゲのくせに!」
「俺達が強くなったらペットにしてやるからな!」
自分達のレベルはまだ60程。100までは強くなる余地がある。
オークをコンスタントに倒せる様になってきたし、まだまだ強くなる事はできる。
2人の、目標だけは立派であった。
「だがまず、その為に国に戻って力をつけないとな」
「ああ」
ドラゴンが飛んで行った空を睨みつける2人の目に、見た事もない大きな火柱が空まで届くのが見えた。
「お、おい、なんだあれ?」
「分からねえ……とりあえず今は戻ろう」
2人は、ざわつく兵士達と共にダスティブ王国へと戻る。
王都に戻った時、城があった部分だけぽっかりとクレーターになった地面を見て、愕然と膝をつくのであった。
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