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第18話 買い出し
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肉の買い出しが終わったので、お次は野菜と小麦粉である。
野菜は城で出た物もあったが、それとは別に欲しい野菜もある。
玉ねぎ、にんじん、セロリ、ニンニク、トマト、生姜、それにスパイスも欲しい。
唐辛子、シナモン、ナツメグ、クローブ、胡椒etc。
勿論、野菜は肉のように切って売っているわけではないので、見た目と匂いで判断して店主に買う前提で一口味見をさせて貰ったりして選んでいった。
「野菜と言ってもそんなに色々種類があるんですね」
小麦粉を探して歩いていると、ケミーニアがそう呟いた。
フォルテに質問すると言うほどの声の大きさではなかったが、フォルテはケミーニアが食に興味を持った事に驚きながら笑顔で答えた。
「そうだな。エルフは決まった葉野菜ばかりを食べる。俺の研究だと魔力の搾りかすの様な物が胃や腸などの体内に溜まってしまい、それを掃除する為ではないかと思っている。 対して人間は食物から栄養、生きる糧を吸収する。例えばこのオレンジの物はベータカロテンと言う栄養素、先程の肉にはビタミンEなどと言ったようにそれぞれ違う栄養を保持しており、満遍なく食べる事で健康な身体を作る。勿論食材一つに一つの栄養素と言う訳ではないから組み合わせなど色々考えなければいけないし、何より味を工夫しなければ食事と言う至高の時間を満足させることはできない」
フォルテは前世で糖尿病にかかり、その為食事制限を余儀なくされた。
その為、なんとか美味しい食事を食べようとレシピ本やサイトなどと睨めっこしてカロリー計算や自炊のレシピの研究に熱を出した。
まあ、その結果として制限が足りずに早死にしたのかもしれないが、その知識が今役に立っているのだから良しとしよう。
食事の事を饒舌に話すフォルテの姿を興味深そうにケミーニアが見ながら歩いていると、先ほど野菜を買った店の店主に聞いた小麦粉の買える店まで辿り着いた。
「店主、小麦粉に種類はあるか?」
その後の店主がケミーニアに驚く一連の流れがあった後、気を取り直して小麦粉の種類に関しての質問をした。
「そうだな、貴族様用のふわふわのパンが焼けるのと平民用の腹持ちがいいもちもちのパン用、とりあえず安い硬いパンが焼ける小麦粉があるぞ」
フォルテはこの世界に鑑定の魔法がない事を煩わしく思う。
今の説明だけでは目的の物がどちらなのかわからない。
「貴族用の物と平民の物は同じ物から作っているのか?」
「いや、別の畑だよ。なんでも育て方が違うんだそうだ。しかしエルフ様はよく知ってるな」
「なら、両方もらおう」
店主の言葉を聞いて、フォルテは諦めた。
両方試すか、それとも混ぜてしまうか。
最悪これは妥協の必要があるかもしれないと思いながら、貴族用平民用両方とも購入する事にした。
「貴族用のがいい物なのではないのですか?」
ケミーニアの質問はごもっともだ。値段も貴族用のが高いのだから、皆がそう思うであろう。
「そうだな。適材適所という物がある。いいものだけ使えばいいという訳ではないぞ」
ケミーニアは首を傾げているが、目的の物が全て揃ったフォルテはご機嫌である。
この後は城に戻って調理になる。
フォルテが厨房に入ると、城の料理長がコック達と共に、いい笑顔で待ち構えていたのであった。
野菜は城で出た物もあったが、それとは別に欲しい野菜もある。
玉ねぎ、にんじん、セロリ、ニンニク、トマト、生姜、それにスパイスも欲しい。
唐辛子、シナモン、ナツメグ、クローブ、胡椒etc。
勿論、野菜は肉のように切って売っているわけではないので、見た目と匂いで判断して店主に買う前提で一口味見をさせて貰ったりして選んでいった。
「野菜と言ってもそんなに色々種類があるんですね」
小麦粉を探して歩いていると、ケミーニアがそう呟いた。
フォルテに質問すると言うほどの声の大きさではなかったが、フォルテはケミーニアが食に興味を持った事に驚きながら笑顔で答えた。
「そうだな。エルフは決まった葉野菜ばかりを食べる。俺の研究だと魔力の搾りかすの様な物が胃や腸などの体内に溜まってしまい、それを掃除する為ではないかと思っている。 対して人間は食物から栄養、生きる糧を吸収する。例えばこのオレンジの物はベータカロテンと言う栄養素、先程の肉にはビタミンEなどと言ったようにそれぞれ違う栄養を保持しており、満遍なく食べる事で健康な身体を作る。勿論食材一つに一つの栄養素と言う訳ではないから組み合わせなど色々考えなければいけないし、何より味を工夫しなければ食事と言う至高の時間を満足させることはできない」
フォルテは前世で糖尿病にかかり、その為食事制限を余儀なくされた。
その為、なんとか美味しい食事を食べようとレシピ本やサイトなどと睨めっこしてカロリー計算や自炊のレシピの研究に熱を出した。
まあ、その結果として制限が足りずに早死にしたのかもしれないが、その知識が今役に立っているのだから良しとしよう。
食事の事を饒舌に話すフォルテの姿を興味深そうにケミーニアが見ながら歩いていると、先ほど野菜を買った店の店主に聞いた小麦粉の買える店まで辿り着いた。
「店主、小麦粉に種類はあるか?」
その後の店主がケミーニアに驚く一連の流れがあった後、気を取り直して小麦粉の種類に関しての質問をした。
「そうだな、貴族様用のふわふわのパンが焼けるのと平民用の腹持ちがいいもちもちのパン用、とりあえず安い硬いパンが焼ける小麦粉があるぞ」
フォルテはこの世界に鑑定の魔法がない事を煩わしく思う。
今の説明だけでは目的の物がどちらなのかわからない。
「貴族用の物と平民の物は同じ物から作っているのか?」
「いや、別の畑だよ。なんでも育て方が違うんだそうだ。しかしエルフ様はよく知ってるな」
「なら、両方もらおう」
店主の言葉を聞いて、フォルテは諦めた。
両方試すか、それとも混ぜてしまうか。
最悪これは妥協の必要があるかもしれないと思いながら、貴族用平民用両方とも購入する事にした。
「貴族用のがいい物なのではないのですか?」
ケミーニアの質問はごもっともだ。値段も貴族用のが高いのだから、皆がそう思うであろう。
「そうだな。適材適所という物がある。いいものだけ使えばいいという訳ではないぞ」
ケミーニアは首を傾げているが、目的の物が全て揃ったフォルテはご機嫌である。
この後は城に戻って調理になる。
フォルテが厨房に入ると、城の料理長がコック達と共に、いい笑顔で待ち構えていたのであった。
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