71 / 73
第71話 イカ!
しおりを挟む
「よーり、次はヤコブに作ってもらったパスタにいくぞ! 豪華なペスカトーレとシンプルなボンゴレだ!」
メインのパスタは2種類作る。
海老のビスクでトマトを作っているが、ペスカトーレはまた違った味わいなのでありだ。
トマトばっかりもあれなのでボンゴレも作るが、これは海鮮もそうだがニンニクずくしだ。口が臭くなりそうだが、関係ない!
「指示通りにうどんより薄く幅広にしましたがこれで大丈夫ですか?」
「バッチリだ!」
ヤコブが不安そうに聞いてくるのをフォルテは笑顔で親指を立てて肯定した。
ヤコブが嬉しそうな、ほっとしたような顔をする。これまではレイアと一緒にフォルテの監督の元調理をしていたが、今回は単独で任されたのだ。これで肩の荷が降りたようである。
「さて、まずはペスカトーレのパスタソースを作るが、豪華にまずは伊勢海老! それから追加で使うのはこれだ!」
フォルテが興奮気味に見せたものにヤコブとレイアはギョッとした。
「これはまた、見た目が」
「海の幸というのは見た目が気持ち悪いものが多いのですね」
ヤコブとレイヤはそう言いながらもフォルテから食材を受け取りマジマジと見ている。
レイアが受け取ったのはイカだ。
外の雪の中で締められていたので墨を吐いたりまとわりついてくるような事はないが、解凍されてだらんとした様子をレイアは顔を引き攣らせながらもじっくりと見ている。
ヤコブが持っているのはホタテだ。
ぴっちりと閉じた殻を見て、これを食べるのかと疑問を持ったようにノックするように叩いている。
「まずはイカを捌こうか。ほら、レイアのやつだぞ」
レイアはフォルテに言われて慌ててイカをフォルテに渡した。
「じゃあ捌いて見せるから見ておけよー」
フォルテはヤコブとレイアに話しかけながら、イカの内臓を取る為に胴の軟骨の間に指を入れてゲソと内臓を引き抜いた。
「お、たっぷり墨があるじゃないか。イカ墨パスタも作るか。2人の捌く練習にもう2匹捌く事だし」
ゲソは内臓を切り離して、目とクチバシをとって横に置いておく。
ペスカトーレに使うのはこの胴の方だ。
皮を剥がし、輪切りにする。
手際よく終わらせた後は、摘み食いの時間である。
避けておいたゲソを塩で揉んで洗い、滑りをとったら、ぶつ切りにする。
その後は、醤油に付けて口に放り込むだけだ。
サクサクとしたイカ独特の食感に一度凍っていたとはいえ、新鮮だからこその甘さがあり、生臭さはない。
「どうだ、お前達も試食してみろ」
フォルテに言われてヤコブとレイアはフォルテと同じように醤油に付けてぶつ切りのイカゲソを食べる。
「凄い弾力です! それに、今までのどの食べ物とも違う味です! 醤油のしょっぱさの後にねっとりとした甘さがとっても美味しいです!」
レイアが感想を言う隣でヤコブが少し寂しそうな顔をした。
「どうした、ヤコブは苦手だったか?」
フォルテの質問にヤコブは勢いよく首を振った。
「違います! アルヴではまだ見慣れた食材でした。しかし先程の海老、蟹、それにこのイカ。初めて食べるとても美味しいものばかりで、特にこのイカはお酒が欲しくなります。これを、早く陛下に食べてもらって、図々しいですが、一緒にお酒を飲みたいと思ったのです」
ヤコブは国王と一緒にうどんやピザを食べた時の国王の笑顔を思い出してそう思ったのであろう。
「なら、ちゃんと捌きかたも調理も覚えないとな。美味いものを食べて来た自慢話だけでは怒られるぞ?」
「はい!」
「あーーー! ずるい! みんなで何食べてるんですか!」
フォルテの言葉にヤコブがやる気をたぎらせた所に、ケミーニアの大きな声が響いた。
頭に雪を積もらせたケミーニアは、フォルテの指示で外の天然冷凍庫からボンゴレようなアサリを拾いに行ってもらっていたのだ。
収穫は大漁で、持たせた袋にいっぱい拾って来ている。
「ちゃんとケミーニアの分もあるぞ。落ち着いて食べろよ」
「いただきます!」
ケミーニアが幸せそうにイカゲソをモキュモキュ食べる頭に積もった雪をフォルテは払ってやる。
「さて、一息ついたしヤコブとレイアもイカを捌いてみようか」
フォルテに見てもらいながら、次はヤコブとレイアがイカを捌くのであった。
メインのパスタは2種類作る。
海老のビスクでトマトを作っているが、ペスカトーレはまた違った味わいなのでありだ。
トマトばっかりもあれなのでボンゴレも作るが、これは海鮮もそうだがニンニクずくしだ。口が臭くなりそうだが、関係ない!
「指示通りにうどんより薄く幅広にしましたがこれで大丈夫ですか?」
「バッチリだ!」
ヤコブが不安そうに聞いてくるのをフォルテは笑顔で親指を立てて肯定した。
ヤコブが嬉しそうな、ほっとしたような顔をする。これまではレイアと一緒にフォルテの監督の元調理をしていたが、今回は単独で任されたのだ。これで肩の荷が降りたようである。
「さて、まずはペスカトーレのパスタソースを作るが、豪華にまずは伊勢海老! それから追加で使うのはこれだ!」
フォルテが興奮気味に見せたものにヤコブとレイアはギョッとした。
「これはまた、見た目が」
「海の幸というのは見た目が気持ち悪いものが多いのですね」
ヤコブとレイヤはそう言いながらもフォルテから食材を受け取りマジマジと見ている。
レイアが受け取ったのはイカだ。
外の雪の中で締められていたので墨を吐いたりまとわりついてくるような事はないが、解凍されてだらんとした様子をレイアは顔を引き攣らせながらもじっくりと見ている。
ヤコブが持っているのはホタテだ。
ぴっちりと閉じた殻を見て、これを食べるのかと疑問を持ったようにノックするように叩いている。
「まずはイカを捌こうか。ほら、レイアのやつだぞ」
レイアはフォルテに言われて慌ててイカをフォルテに渡した。
「じゃあ捌いて見せるから見ておけよー」
フォルテはヤコブとレイアに話しかけながら、イカの内臓を取る為に胴の軟骨の間に指を入れてゲソと内臓を引き抜いた。
「お、たっぷり墨があるじゃないか。イカ墨パスタも作るか。2人の捌く練習にもう2匹捌く事だし」
ゲソは内臓を切り離して、目とクチバシをとって横に置いておく。
ペスカトーレに使うのはこの胴の方だ。
皮を剥がし、輪切りにする。
手際よく終わらせた後は、摘み食いの時間である。
避けておいたゲソを塩で揉んで洗い、滑りをとったら、ぶつ切りにする。
その後は、醤油に付けて口に放り込むだけだ。
サクサクとしたイカ独特の食感に一度凍っていたとはいえ、新鮮だからこその甘さがあり、生臭さはない。
「どうだ、お前達も試食してみろ」
フォルテに言われてヤコブとレイアはフォルテと同じように醤油に付けてぶつ切りのイカゲソを食べる。
「凄い弾力です! それに、今までのどの食べ物とも違う味です! 醤油のしょっぱさの後にねっとりとした甘さがとっても美味しいです!」
レイアが感想を言う隣でヤコブが少し寂しそうな顔をした。
「どうした、ヤコブは苦手だったか?」
フォルテの質問にヤコブは勢いよく首を振った。
「違います! アルヴではまだ見慣れた食材でした。しかし先程の海老、蟹、それにこのイカ。初めて食べるとても美味しいものばかりで、特にこのイカはお酒が欲しくなります。これを、早く陛下に食べてもらって、図々しいですが、一緒にお酒を飲みたいと思ったのです」
ヤコブは国王と一緒にうどんやピザを食べた時の国王の笑顔を思い出してそう思ったのであろう。
「なら、ちゃんと捌きかたも調理も覚えないとな。美味いものを食べて来た自慢話だけでは怒られるぞ?」
「はい!」
「あーーー! ずるい! みんなで何食べてるんですか!」
フォルテの言葉にヤコブがやる気をたぎらせた所に、ケミーニアの大きな声が響いた。
頭に雪を積もらせたケミーニアは、フォルテの指示で外の天然冷凍庫からボンゴレようなアサリを拾いに行ってもらっていたのだ。
収穫は大漁で、持たせた袋にいっぱい拾って来ている。
「ちゃんとケミーニアの分もあるぞ。落ち着いて食べろよ」
「いただきます!」
ケミーニアが幸せそうにイカゲソをモキュモキュ食べる頭に積もった雪をフォルテは払ってやる。
「さて、一息ついたしヤコブとレイアもイカを捌いてみようか」
フォルテに見てもらいながら、次はヤコブとレイアがイカを捌くのであった。
0
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる