食欲の錬金術師〜草しか食べれない転生草食エルフは錬金術で体をいじって食の旅に出る〜

シュガースプーン。

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第71話 イカ!

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「よーり、次はヤコブに作ってもらったパスタにいくぞ! 豪華なペスカトーレとシンプルなボンゴレだ!」

 メインのパスタは2種類作る。
 海老のビスクでトマトを作っているが、ペスカトーレはまた違った味わいなのでありだ。
 トマトばっかりもあれなのでボンゴレも作るが、これは海鮮もそうだがニンニクずくしだ。口が臭くなりそうだが、関係ない!

「指示通りにうどんより薄く幅広にしましたがこれで大丈夫ですか?」

「バッチリだ!」

 ヤコブが不安そうに聞いてくるのをフォルテは笑顔で親指を立てて肯定した。
 ヤコブが嬉しそうな、ほっとしたような顔をする。これまではレイアと一緒にフォルテの監督の元調理をしていたが、今回は単独で任されたのだ。これで肩の荷が降りたようである。

「さて、まずはペスカトーレのパスタソースを作るが、豪華にまずは伊勢海老! それから追加で使うのはこれだ!」

 フォルテが興奮気味に見せたものにヤコブとレイアはギョッとした。

「これはまた、見た目が」

「海の幸というのは見た目が気持ち悪いものが多いのですね」

 ヤコブとレイヤはそう言いながらもフォルテから食材を受け取りマジマジと見ている。

 レイアが受け取ったのはイカだ。

 外の雪の中で締められていたので墨を吐いたりまとわりついてくるような事はないが、解凍されてだらんとした様子をレイアは顔を引き攣らせながらもじっくりと見ている。

 ヤコブが持っているのはホタテだ。
 ぴっちりと閉じた殻を見て、これを食べるのかと疑問を持ったようにノックするように叩いている。

「まずはイカを捌こうか。ほら、レイアのやつだぞ」

 レイアはフォルテに言われて慌ててイカをフォルテに渡した。

「じゃあ捌いて見せるから見ておけよー」

 フォルテはヤコブとレイアに話しかけながら、イカの内臓を取る為に胴の軟骨の間に指を入れてゲソと内臓を引き抜いた。

「お、たっぷり墨があるじゃないか。イカ墨パスタも作るか。2人の捌く練習にもう2匹捌く事だし」

 ゲソは内臓を切り離して、目とクチバシをとって横に置いておく。

 ペスカトーレに使うのはこの胴の方だ。

 皮を剥がし、輪切りにする。

 手際よく終わらせた後は、摘み食いの時間である。

 避けておいたゲソを塩で揉んで洗い、滑りをとったら、ぶつ切りにする。

 その後は、醤油に付けて口に放り込むだけだ。

 サクサクとしたイカ独特の食感に一度凍っていたとはいえ、新鮮だからこその甘さがあり、生臭さはない。

「どうだ、お前達も試食してみろ」

 フォルテに言われてヤコブとレイアはフォルテと同じように醤油に付けてぶつ切りのイカゲソを食べる。

「凄い弾力です! それに、今までのどの食べ物とも違う味です! 醤油のしょっぱさの後にねっとりとした甘さがとっても美味しいです!」

 レイアが感想を言う隣でヤコブが少し寂しそうな顔をした。

「どうした、ヤコブは苦手だったか?」

 フォルテの質問にヤコブは勢いよく首を振った。

「違います! アルヴではまだ見慣れた食材でした。しかし先程の海老、蟹、それにこのイカ。初めて食べるとても美味しいものばかりで、特にこのイカはお酒が欲しくなります。これを、早く陛下に食べてもらって、図々しいですが、一緒にお酒を飲みたいと思ったのです」

 ヤコブは国王と一緒にうどんやピザを食べた時の国王の笑顔を思い出してそう思ったのであろう。

「なら、ちゃんと捌きかたも調理も覚えないとな。美味いものを食べて来た自慢話だけでは怒られるぞ?」

「はい!」

「あーーー! ずるい! みんなで何食べてるんですか!」

 フォルテの言葉にヤコブがやる気をたぎらせた所に、ケミーニアの大きな声が響いた。

 頭に雪を積もらせたケミーニアは、フォルテの指示で外の天然冷凍庫からボンゴレようなアサリを拾いに行ってもらっていたのだ。

 収穫は大漁で、持たせた袋にいっぱい拾って来ている。

「ちゃんとケミーニアの分もあるぞ。落ち着いて食べろよ」

「いただきます!」

 ケミーニアが幸せそうにイカゲソをモキュモキュ食べる頭に積もった雪をフォルテは払ってやる。

「さて、一息ついたしヤコブとレイアもイカを捌いてみようか」

 フォルテに見てもらいながら、次はヤコブとレイアがイカを捌くのであった。
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