強く生きたい。激しく生きたい。 ーー歓喜ーー

勝也

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Ⅲ.諦めと理想 1

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  僕は中学三年になった。

  療育園では起床時間が六時で朝食が七時半で時間が身支度を除いても約一時間あったので、Z支援学校高等部の受験勉強に充てていた。その時間が取れないと僕は職員にぶち切れて騒いだ。が、僕は精神的に変わってはいて、大分ひどい切れようではなくなっていた。それはもちろん周りのお陰であった。僕の人生は良くないにしろ、悪くはなかったのだ。

  慌て気味で書いてしまったので、模写が忘れ去られていた。なので書いておこうと思う。小学六年の間に、身長が大分伸び、体格が大きくなった。一気に成長したので、中学ではあまり伸びしろはなかった。少しぽっちゃりとした感じになって、青年らしい、またはそれに近い印象に変わっていた。

  筋ジストロフィーは進行していたが、あまり実感も湧かない程度であった。それでも、下剤を飲んでいても便秘を時々するようになっていたし、ついには呼吸筋の筋力低下も起き始め、風邪などにかかれば、痰が出にくくなることもあった。腕の上下させる動きも確実に悪くなっていた。物を取るのにも、片付けるのにも苦労が多かった。それらが、「できないこと」への嘆きを深めた。が、僕はまた、そんなことあるものか、と何者かに抵抗していた。

  中学一年の時、やはり色々問題視されて僕は隣の部屋に移動させられた。そこには話せる相手はいなかった。テレビをめぐり常に争っていた。本当に大騒ぎであった。

  秀夫と勇人とはほぼ学校でしか話せなかったので、もはや友達とすら呼べないほどに距離が出来ていて、まさに煮え切らなかったし、タイミングが悪ければ丸一日言葉すら交わせなかった。勇人に限れば、「本を破くまでしてしまった」し、その上とんでもない振る舞いに及んでいたのもあったので、仕方ないと思っていたが、秀夫に対しては狂うほどの孤独をいつも感じていた。もちろん、程よい距離になっていたので、少しは問題は起きなかった。が、ある意味はじめからそうだったけれど、ますます会話が僕からの一方通行になりがちになっていた。なぜなら、懲りもせずに相変わらず八つ当たりをすることもあったので。

  僕は中学三年になった、と書いたが、やはり順を追って書くことにする。なので、中学三年までどれくらいで辿り着くかは未知である。どうも僕は計画性がないようだ。情けない。



  秀夫には時々八つ当たりした。僕はもっと迫りたかったが、我慢すらある意味してもいた。なので、六年の時ほど自分でも大したことないつもりでもあったが、今思えば中学一年の八つ当たりも十分秀夫にとっては距離を置きたくさせていた。もちろん、療育園学校両方で過ごしていた勇人も瑠璃も友里恵も同じことであった。どれくらい気にするかはそれぞれだったが。秀夫は性格としてそこら辺は繊細であった。僕は自分でしていることの自覚がどうも薄かった。秀夫とは親友のように親しいつもりでもあったし、一途に勇人とは前のように親しくなれると信じていた。根拠もなく相変わらず深刻さも理解せず、楽天的だった。悪い意味でも。僕は言いたいことはいつもそのまま口にしてしまうらしかった。

  中学部になると、教師は厳しめになったし、反抗的な態度は咎められたので、自制は大分できてもいた。が、やはりどうにもならず、タガが外れて暴走していた。のみならず、教師のいない療育園では自制も何もなかった。繰り返しになるが、療育園ではテレビのチャンネルをめぐり大騒ぎだった。少々自己主張が過ぎた。天才の証拠だと言えなくもないが。自己主張も重要な要素ではある。感情は自由奔放だった。象徴的な意味合いで「ここじゃないどこか」を求めていた。そして、同時に「ここ」が好きだった。

  話が逸れたが、晴と入れ替わるように仁美という新入生がクラスは違ったが、やって来た。僕はわざわざ仁美のクラスによく話しに行っていた。僕は相手に構わず話したいことを相変わらずの一方通行で話した。気付いていなかったが、仁美は少し迷惑がっていた。段々とそれに気付かないでもなかったが、気にしなかった。それでも数日ごとに冷たくされているのにやはり気付かないではいられなかった。仁美もいい加減僕の狂っているのを感じていたらしい。

  僕は突然切れた。
「おい! 聞いてんのか」
「何も言ってないじゃん」
  言いたくないし、聞きたくないということか。
「話聞く態度じゃないだろ!」
「は?」
  僕は仁美に説教しに来たわけではないはずだ。
「もう来ないで」
  仁美はおどおどした感じで言った。僕は危うく切れるところだったが、教師に聞かれてもまずいので何も言わなかった。ばれたら母にも話が行くだろう。
  が、担任の岡谷は既に全てを見ていた。
「てめえこっち来い!  俺はお前みたいな奴は許さない!」
 
  長々と説教された。反省文もきっちり書かされた。僕は最後の一文に、

「もう二度としません。やさしさを忘れません」

  そう書いた。が、どう考えてもやさしさ云々は僕には無理な相談であった。僕は岡谷を嫌いになった。心の憤懣は去らなかった。何だか色々言われたが、全てプライドを傷付けた。なので、翌日また授業中にどうでもいいことで切れて、教科担当の教師に怒られた。切れる意味が分からない、と一蹴された。まあ、確かにそう言われる状況だったが。その教師は岡谷には何も言わなかったようで、これだけは母に伝わることもなかった。僕は仁美に自分から話しかけなくなっていた。心は腐っていた。秀夫もどう考えても会話が弾んでいない。

数日後、今度は僕は療育園で電動車椅子で壁に突っ込んで手動にされた。朝に事を起こしたので、そのまま職員に学校に連れて行かれ、岡谷に説明を求められた。結局、僕は観念し、洗いざらい経緯を説明した。二つとも母にきっちり報告され、母に僕は厳しく𠮟られた。別に何とも思わなかった。聞きたくなかった、だけであった。僕はそれから、学校でも療育園でもずっと腐って無愛想な態度を取り続け、ほぼ切れる時以外は口を開かなかった。授業中返事をしないで注意されたり、挨拶を返さないなど当たり前であった。仁美が嫌いで仕方なかった。

  そんなある日、僕は副担任の勅使河原から手紙を受け取った。勅使河原は真面目過ぎず話しやすかったし、友達感覚で居れたので、(わざとらしく)腐って無口だった僕も普通に話していた。副担任なので、関係性は薄かったと言えばそうだったが、数少ないまともな話し相手であった。手紙には、

  最近色々あったのは反省もしてるだろうから、それには注意とかはしない。誰でもたまにはそういう気分になるものだしね。でも、それを続けていても無意味、だよね。たまには良いけど、挨拶無視されて、意味もなく怒られて、当たられて、周りはどうなんだろう?  どう克幸は思われてしまうのだろう?  あまりにひどくなれば友達すら克幸を誤解して、離れていってしまうよ。可愛い我が生徒に言うのも心苦しいけど、克幸さあ何だか、こう軽い気持ちで投げやりなことをしてるようにしか見えないよ。正直それは人として間違ってるよ。

方法として、気持ちをいい方向に切り替えるってのはどうかな。暗いことは忘れてしまう。ないものねだり、はあまりしない。簡単には行かないとは思うけど、前向きになってみる。そうすれば全て上手く行くと思うよ。偉そうなことかもしれないけど、「謙虚」に、感謝の気持ちを忘れないでいればきっと大丈夫だよ。ないものねだりはしなくてもいいんだよ。(勅使河原がやけにないものねだり、という言葉を使うのはあまりに因果だ)

考え方のアドバイスだけど、変えられない環境を変えようとしても仕方がないよね。昔ある人に言われたんだけどね、不満を持って状況のせいにする前に自分が変われって。文句ばかり言うやつに限って偉そうなことを言うんだって、怒られたよ。しかも殴られたし。それから先生はあまり物事を不満に思わないようにしてる。生きてれば「理不尽なこと」がたくさんあるってのは間違いないから。大人になればなるほどね。ないものねだりもしたくなる時もある。けど、先生はあまり考えすぎないようにしてる。

だから克幸、少しだけ肩の力を抜いて、いい事考えてりゃ、友達と言える存在も自然にできてくると思うよ。克幸、なら大丈夫。いつでも相談してね。一緒に乗り切って行こう!

  と、熱っぽく書かれていた。僕はそれを読んで心が入れ替わった。ほとんど意味は分からなかったが、気持ちを切り替えるには良いきっかけだったし、冷静になれた。多少は。

  残念ながら療育園では、秀夫や勇人にはとち狂って切れることはしなかったけれど、部屋の人に八つ当たりするのは相変わらず、としか言えなかった。もちろん「自覚」はある意味あった。むしろ気に病んでいるくらいであった。忘れられず、自己嫌悪にまみれていたし、そんなはずない、と事実を認めたくなかった。そんなことは勅使河原に言うのは良いが、勅使河原から担任の岡谷に、そして母に伝わるのはヒステリックに𠮟られるのは目に見えているので、「こんなことで切れた」とは相談もしていたが、「こんなことで電動車椅子で突っ込んだ」とは死んでも打ち明けられなかった。結果、自分に秘めていただけに、責任の観念はあまりに欠けていた。

  完璧な、岡谷がおそらくイメージするだろう、真面目な生徒に僕はなりたかった。否、岡谷から母に伝わるのを恐れていたので、事実ほとんど恐ろしく問題を起こさなかった。なので、好ましくないことに療育園ではあまり、いや、ほとんど相変わらずのぶち切れようだったにもかかわらず、冗談抜きでどこにいても何も問題を起こしてないという思い込みすらあった。理想の自分でいなければならない。事実がどうであれ、切れない真面目な、秀才のような、自分を目指さなければならない。矛盾しているが、母に伝わるのを恐れていたのもあったけれど、虚栄心から自分自身をある意味都合よく解釈していた。

  いつか、秀夫よりも大人になりたい。カッコ良く、のみならず、頭も良くなりたい。まあ、行動はさておき僕の方が勉強はできるらしかったが、要はいい意味でも悪い意味でも調子に乗っていたのだ。気分がいつも良かったので、阿呆丸出しで仁美にも話しかけるようになっていた。それは悪いことではないが。僕は今でもそうだが、憂鬱になりやすく能天気、でもあるらしい。もちろん、それは必ずしもいい結果を生まないのである。



  中学二年の時は比較的平穏、ではあったけれど、自分だけそう思っているだけやもしれない。実はたった一度(小学六年の時よりも穏やかだったが)秀夫に切れて当たったことがあったのだ。僕としてはあるはずのない失敗だった。理由は関係ない。してはいけない失敗だった。二三日は「わざと」或いはむしろ「衷心から」反省期間のつもりで、誰とも口を敢えて利かなかったものだったが、すぐに忘れてしまった。しかも本人には謝ってさえいなかった。中学二年は秀夫との距離はますます空いていっていた。

  それでも孤独では一切なかった。その、秀夫に当たってしまった数ヶ月後ほどに一切というほど話しかけたこともなかった瑠璃に、僕はある日突然話しかけた。その数日前から何故か昔の恨みなどどうでも良いと思えていた、というのもあったが、明らかに秀夫よりも話せば話せるように感じられていたのだ。勇人ともまた、よく話していた。不満はさほどではなかったので、秀夫と普通に話せないものか、と思い悩みもしていたけれど、皮肉な意味に捉えればどうでも良いと言えなくもなかった。瑠璃にはいつも秀夫がそばにいた。

  いい意味でも悪い意味でも勇気のない僕は、どうにも秀夫がその場にいると馴染めず、結局は輪に全く入れなかった。内心(すでにこの頃から)二人一緒にいることで、僕を遠ざけているようにも見えていたし、(その後高校一年で秀夫と瑠璃との関係はぶち壊れる)秀夫は魯鈍な僕を瑠璃に近づけないようにしていたに違いない、と根拠無く妄信していた。が、別に(一度療育園での時々幼稚にも切れるのを注意されて恥をかいたこともあった)瑠璃とは仲がとりあえず良かったので、そんなことは気にせずとも良いことだった。

  確かに心の闇は存在していた。母は大学への進学に反対していた、その一点だった。しかも、母はお茶を濁すように僕に反対の意を言ってきただけだったので、僕はまだ説得の余地があると希望を持っていたのだ。が、それでも心の深い、本当の深い部分では絶望もしていた。だとしても、ありえべからずこと、あるわけのないことだったので、未来を信じていた。気合いで未来を切り開こうという。なので、勉強は一生懸命した。無計画にも初めに書いたが、朝すら時間を惜しんで勉強していたのである。

  一年の時に僕がおかしな因縁を付け、不仲になっていた仁美とはいつの間にか普通に話せるまでになってもいた。せっかく関係の良くなった勇人が転校してしまったのは心残りではあったけれど。



  仁美はクラスが変わり、僕の同級生となった。

理由もなく何となく秀夫とは合わず、時々言い争いをしていた。のみならず、仁美はその一時的な憤懣をいつも僕か瑠璃にぶつけに来た。それは恥ずべきことに、僕には愉快でないこともなかった。いつも僕は表面的には秀夫の味方をしないでもなかったが、コンプレックス的な意味合いで彼の味方をしてやるのはもちろんシャクだったので、たくさん慰めてやったものである。いくら「幼稚」でない秀夫でも欠点があるのである。それにしても仁美はよほど秀夫を嫌っていたらしい。そして、相変わらず瑠璃と秀夫はあまりに仲が良く、僕には多少シャクではあった。

  療育園の方では(何故か)僕を少しはまともになったと思ったらしく、(彼にとって残念ながら)秀夫と僕は同じ部屋になった。これで薄っぺらい、あまりに距離感のある関係も良くなる気がしたが、僕がきまり悪さに耐えられず、結局は会話すらほぼなかった。が、やはりきまり悪くなる原因、秀夫が僕を避ける空気感を出す原因は、部屋で時々僕が職員に切れるから、としか言えなかった。そういう奴とは関わりたくないだろう。笑止なことに僕はその自覚がほぼなかった。本人には何も言っていないから問題ない、なので、誤解を招くかもしれない、とは想像すらしなかった。このような僕の呑気さ加減であった。一生懸命勉強しているのだから、ほんのたまに切れても罰は当たらないつもりだった。

  僕は完全に気持ち良く自惚れてもいた。それは悪くないだろうが、今振り返れば、たまに才を誇った高飛車な言動をしていた。よく思い返せば、瑠璃と秀夫にはこの時代も不快な気持ちを抱かせていたと思う。無知、とはなんて罪深いことだろう。

  そもそも僕は母に大学の進学に反対されていたが、時間が解決するだろう、そのうち解決策が見つかるはず、そう楽観していて、一生懸命勉強しておけば、奨学金などで行けるはずだとさも世間を知ったような顔をしていた。先延ばしはろくなものではない。かと言って焦っても無意味である。まあ、僕は母のヒステリックさに耐えがたかったので、相談もせずに適当に進路の不安を誤魔化していただけだ。親は変えられないもの、受け入れるしかない。もしもう少し話せる母親ならば、と思うと時々は憂鬱だった。自分はこんな場所でくすぶっているような人間なんかではない。

僕は「理系」っぽい研究者になりたかった。確固たる目標もなく、ほとんど夢か憧れの類のものでしかなかった。言うなれば、虚栄心ばかりで中身もなかった。「なりたい」のは化学者かロボットの研究者、または「とりあえず」何かの研究者、と曖昧だったのだ。淡すぎる希望に酔いしれていた。中学三年になってからは、1日4時間は勉強していた。だったので、いい意味でも優等生意識は持っていた。

  ある日瑠璃は僕に言った。
「克幸さあ、秀夫と仲良くなりたいんでしょ?」
「そうだよ。そのうち何とかするわ」
  僕はカッコつけたつもりで言った。
「それじゃ変わらないよ!」
「今、はな」
「屁理屈言うな」
「どうでも良いだろ?」
「噓つき。克幸ってそんなに投げやりだったっけ?」
「希望は持ってるさ」
  瑠璃は失笑した。
「意味不明」
「何だよ」
「逃げるなよ」
「しつこいな」
「あんたのために言ってんの」
「余計なお世話だ」
「あっそう。嫌な奴」
「そうだよ。悪いか?  もう絶交だ」
「そこまでする?」
「言うまでもなく、だ」
  僕は皮肉な意味を込めて吐き捨てた。それでカッコつけたつもりだった。瑠璃とはほぼ関わらなくなった。そして、やはり後悔に囚われた。自分が馬鹿らしくて仕方なかった。僕は虚しさを打ち消すように勉強に励んだ。



「やってられるか」
  僕は授業の休み時間何気なく小さく呟いた。瑠璃はわざとらしく知らんぷりをしていた。僕は或いは彼女に構って欲しかったのかもしれない。
「どうしたの?」
  仁美は言ったが、
「ねえ?  仁美、あっち行こう」
  瑠璃に連れられていなくなってしまった。
  放課後前、僕は負けじと仁美に言った。
「僕って変か?」
「普通じゃない」
  瑠璃は呆れていた。まるで茶番だ。
「黙れ」
「ひどい」
  僕は内心泣きそうになる。
「瑠璃ちゃん言い過ぎ」
  いよいよ仁美が助け舟を出した。
「絶交したのは向こうからだよ?」
「そうだけど」
「いや、放っておいてくれ。仁美」
  その後、重い沈黙が流れた。



  数日後、
「ねえ?  大丈夫?」
  仁美は半ば揶揄するように言った。
「そう言えば」
  僕は話を誤魔化した。

「それはいいけど、平気には見えない」
「勉強し過ぎかな?」
  確かに精神的に弱っていた割には無理をしてはいた。そう言えば、瑠璃と秀夫は教室にいない。大方他のクラスにいるのだろう。コミュニケーション力の低い自分とは違って。
「秀夫って何であんな嫌な奴なの?」
  二人が揉めているのは相変わらずであった。見ていて微笑ましい光景だった。
「良い奴だよ」
  僕は敢えて笑った。或いは僕はそうは思ってはいなかった。
「思ってもないこと言わないで」
  僕はさらに失笑してしまった。
「失礼ね」
「僕なんかより秀夫は大人だよ」
  僕はそれを建前だと意識しないことにした。
「大人、でも腹黒い」
「まあな」
  肯定したつもりではない。一時的な感情で仁美は言っているのだ。いつもすぐ元に戻る。結局は秀夫とは仲が良いのだ。
「何で克幸、秀夫と話さないの?」
「分からない」
  そもそも好きじゃないから考えたくない。
「いや、僕が悪いんだ」
「何もしてないじゃん」
  仁美は療育園の僕を知らないのだ。そもそも僕自身秀夫には直接何もしていないつもりでいる。
「するように見える?」
  僕は不敵に言った。
「しないに決まってる」
「おかしいよね?  秀夫も克幸と話さないとか」
「な」
  穏やかに肯定。何なのか。この阿呆らしさは。
「仕方ないのかな?」
「そんなことないさ」
「じゃあさ、このままでいい?」
  仁美は穏やかだ。
「逆に聞くけどこのままだと思う?」
「あたしに訊く?」
  僕はむしろ笑った。嘲った。不快な愉快さ、であった。
「変わるはず」
「そう思えばね」
  そう言った仁美に僕は、
「どうかな?」
  ニヤケて呟いた。なんだこれは?

  数週間後、僕は素直に瑠璃に謝った。
「悪かった。僕が。少しは秀夫とも」
「いや、無理しないでいい」
  僕はそんなこと思わなかったが、瑠璃はある意味諦めていた、のかもしれない。それは或いは正解ではあった。
「でもあんまり切れるのは良くないよ」
  瑠璃は笑顔で言った。僕は思いたくなかったが、心外だった。そこまで、か?  療育園の僕のことをどこまで知ってるのだろうか。瑠璃は例の秀夫と言うまでもなく仲が良い。
「分かったよ」
「そこは直してよ。じゃないと変わらない」
   説教、か。変わらないといけない?
「はいはい」
「分かったわね」
「うるさいな」
  僕は茶化すように言った。
「ねえ、仁美。僕は約束する。まあ、できるだけ切れない。投げやりにならない」
「本当に?」
「疑うなよ」
  僕は何故か天狗だった。

  が、早速翌日、僕はまたも瑠璃を、秀夫を不快にさせた。これでは小学生と大差がない。
  僕は教室で仁美と話していた。
「テストどうだった?」
  仁美に訊かれて僕は、
「もちろん、良かったけど」
  あからさまに尊大に言った。
「そう。私もそこそこだった」
「頑張ったじゃん」
「マジ嬉しいわ」
  進学校ではあるまいし、こんな簡単な問題でつまずくわけがない。
「それは良かったね」
  話を聞いていた瑠璃は突然凄く皮肉に呟いた。僕は驚いて言った。
「どうしたの?」
「信じられない!  何様なの」
「克幸もそういうつもりで言ってないよ」
「仁美もこいつの肩持つの?」
「瑠璃、ごめん」
  僕はそんなつもりなかったが、
「軽っ。悪いと思ってるの?」
  瑠璃は教室を出ていってしまった。追いかけようとすると、
「馬鹿かよ。あっごめん」
  秀夫は僕を嘲笑うように、
「そっとしておけ」
  まさに呆れ顔だった。
「こうなるか?」
  僕は呟いた。
「知るか」
  仁美までも僕を突き放した。のみならず、
「ちょっとひどいわな」
  無邪気に嘲笑われた。僕はどうすることもできず、呆然としていた。瑠璃はすぐに戻って来て、僕を無視するように仁美と話しだした。

  僕は瑠璃に謝るに謝れなかった。何となく距離を置くしかなかった。けれど、一ヶ月もすればまた普通に瑠璃は話しかけてくるようになった。変化としては、根拠無くだが、秀夫は僕をわざとらしく避けている、と感じることが増えた、くらいであった。やはり僕自身の療育園での職員に切れる癖は明らかに嫌われる要素、でしかなかった。今、冷静に思えば、結局は単にうるさくて迷惑をかけていたのだろうし、同じ部屋で大騒ぎを演じられて相当滑稽に思われていただろう。そこまで避けて欲しくはなかったが。

                                     ○

  夏休み半ば頃、療育園でのことである。

秀夫は僕が気まぐれで部屋で、職員に八つ当たりを或いは、独りで切れるのが苦痛だ、うるさくて心が休まらない、と僕に直接言ってきた。僕は怒りと気まずさに耐えかね、何も言えなくてその場から逃走した。仁美に話を聞いてもらいたくて仕方なかったが、療育園で一緒なわけでもないので、どうしようもなかった。瑠璃と秀夫はいつも一緒なのは言うまでもないので、孤独にいつも思えた。もっとも、秀夫が一緒にいないタイミングならば、話もできないでもなかったのは事実だ。僕は無自覚だった割にはできるだけちっぽけな虫の居所で八つ当たりをしないようにしようとしたが、変われなかった。秀夫自身諦めたのか、それからは何も言って来なかったので、僕は全て忘れていた。秀夫は逆だったろうけれど。僕は勉強の息抜きが足りずストレスを溜めていたのだろうか。

修学旅行に九月末行った。楽しかったが、秀夫だけが皆とワイワイしていたので、ただ行っただけ、と言えばそうだった。普通の学校と比べれば人数が寒々しいので、ワイワイ、とも言えない。仁美すら独りの僕に構いもしなかった。いつの間にか何故か仁美は秀夫とそこそこ仲が良くなっていた。だからといって仁美に嫌われてもいなかったが、劣等感を、孤立感を勝手に感じていた。否、「養護学校」という差別的な閉塞した空間にいるというだけでほぼ絶望であった。ここじゃないどこかで!  もちろん、あまり考え過ぎないようにするしかなかった。その時何もできなかったから、未来に希望を託し、前向きだった。いつか全てを変えるのだ。諦めてはいけない。

仁美は大学進学のため普通高校に行くと決めていて、必死で勉強していた。意外と僕は高校は別か、と寂しくもなかったし、自分と同じく目標に向けて頑張っている存在はありがたかった。秀夫は瑠璃の場合と同じ手口でわざとらしく仁美に話しかけて僕を遠ざけていたが、それも気にしなかった。僕が彼女と青春トークをしていれば、秀夫は絶対こちらと関わって来ないのは皮肉な意味で滑稽に思えた。

仁美はいつも心から前向きだった。お気楽な秀夫には心から嫉妬していたが、仁美は優しかったので、応援出来たし、何よりも僕は瑠璃などよりも彼女とは明らかに分かり合えた。僕の思い込みだろうが、仁美はどう見てもある意味僕としか心が通じていなかった。言うまでもなくこれは独善的な優越感だ!  

もう少し瑠璃とも秀夫ともきちんと関わる方法もあったのではないか?  もちろん、それらは仕方なかった。そもそも僕だって皆と上手くやっていきたかったが、何も受け入れられなかった。瑠璃ともいつの間にかギクシャクしていた。嫌いにはなっていなかったが、無意識に迷惑であった。秀夫とのことを色々言って来るわ、(まだ関係の悪くなかった時にかなり詳しく打ち明けてはいた)進路の悩み事にも口を突っ込んで来るので、やり過ごすのに苦労した。

瑠璃は僕に、
「秀夫とのこともそうだけど、想いは口にしないと分かんないよ」
「一体何だよ」
「何だよじゃないよ。あんたさあ、小学六年の自分でしてたこと覚えてるの」
「ああ」
  僕は鼻で笑った。
「それは過去のことだから良いけど、同じ空間にいて口も利かないのはおかしいよ。辛くないの」
  別に辛くない。
「何が言いたいんだ?」
「いつか後悔するよ。言うけど、あんた可哀想」
  瑠璃は涙ぐんでいた。僕は嫌になり過ぎてむしろ冷静だった。
「そうなのか?」
「自分をいつも譲らないところ」
  だから何だ。正直で何が悪い。
「なのに母親には意見言わない!  周りに当たってるだけ」
「そうだよ」
「自分の理想のためなら何だってすべき」
「やれることだけはやってるさ」
  僕は誇るように言った。
「自信過剰ね」
「それほどでも」
「笑ってる場合なの?」
「では、ないけど?」
 
  翌日、僕は瑠璃に、
「言ってくれてありがとう。なんかごめん」
  軽く謝った。僕はいつだって色々なことに気付くのが遅すぎる。
「私こそ余計な一言だった」
  まさに今さら謝るな、と言わんばかりであった。真相は解らないが。表面的にはいつものように優しかった。
「八つ当たり、は良くないよな」
  我ながら言葉の響きが空虚に思えた。
「良いことないからな。分かってる」
  が、やはり瑠璃は微妙に冷たいのではないか。昨日のやりとりで強情で皮肉だった時点でそもそもあんたなんて変われない、と言わんばかりにさえ感じないでもない。軽蔑されているのかもしれない。或いは小学六年の時点で、か。
「それはもういいよ。辛いんだもんね。でも、それでも、秀夫だけ、はお願い、傷つけないで。悩んでるのは秀夫だって同じ」
「申し訳ないな」
「そう思ってるならいいけど」
「本当に申し訳ない」
「いいよ」
  瑠璃は優しく言った。



  中学三年の初冬。

  僕は言った。
「何もかも面倒」
「どうしたの?」
  仁美は目を丸くした。
「何でもないけどさ」
「何?」
「分からないかい?」
「薄々気付いてたけど?」
「言いたくもない」
  自分を嘲笑する。
「笑えるだけまだいいわ」
「真面目に考えたら死ぬし、馬鹿らしい」
「瑠璃の言うようなことはどうでも良いと」
「ふっ。瑠璃のは正論だよ。間違ってない。僕が精一杯なんだ。瑠璃も秀夫も羨ましく見えるんだ。言うけど、その療育園で八つ当たりするのは、彼への当て付けか?」
「なぜに疑問形」
「言われて見ればそうだし、目をつぶっていれば秀夫なんて関係ない」
  仁美は失笑した。
「僕が秀夫に心を閉ざすのは、向こうが悪いんだ。対等に見られていないんだ。向こうがおかしんだ。瑠璃も良いように言いくるめられてさあ。まあそれはないか。だから、もう、馬鹿馬鹿しいにも程がある。時間も労力ももったいない。あの頃に戻りたい。仲良かったこともあったんだ。けれど、もう仕方ない。何かがお互い合わなかった。それは昔から感じてた。いや、僕がガキ過ぎて終わりだったんだ。ああ!  憎みたくないけど、秀夫が好きじゃない。それが悔しい!  楽になりたい!」
「そんな苦労があった、のね」
  流石に仁美は真顔で聞いていた。
「だからこそ、他のことを、諦めたくない。どんなことだって何か変わるかもしれない。変わるんじゃない、変えるんだ!」
  僕はやはり自惚れていた。
「そこまで言うなら変えてみろ!」
  僕は仁美が半笑いだったのには気付いていなかった。仁美は僕が思うほど僕に対してヒイキではなかったようである。或いは僕は仁美は自分だけの味方だと思い込んでいた。もちろん、割と好かれてはいたが。

  言うまでもなく、僕はあまりに悪い意味でも自覚がなかった。何となく気合いで状況が勝手に変わって母に大学進学に賛成してもらえると思っていた。それをどう思っていても良いだろうが、だんだんと秀夫に(それはたった数度だが取り返しのつかないことに違いない)一度は廊下などですれ違った時にわざとらしく避けなかったり、(それはどう見ても電動車椅子で故意に向かって行くように見えていただろう)また一度はどちらかというと僕が前を向いておらず(さほど危なくなかったにもかかわらず!)秀夫にぶつかりそうだった時に、危ないだろ、と怒鳴りつけたことがあった。

  僕は内心それらを気にして自己嫌悪に陥っていたが、誰にも言えなかった。またいつかの繰り返しだが、そのうち印象が薄くなりほぼ忘れ、やはり言葉を交わさないにしても、あからさまに秀夫とは確実に空気感からして冷え切っていたにもかかわらず、むしろ何とかなる、と僕は余裕だった。

あと、何か(粗暴な行為)で秀夫との関係は最悪と成り遂せ、瑠璃とも気まずくなった。一転、僕は少しは深刻になったが、何もできそうなこともないので、やはりあまり悲観的に考えなかった。こういうことを、過ち、と言うのだろう。どうせどうにもならないならその時を楽しく過ごせばいいのか。何か、とは? 書きたくもない。僕は仁美と僅かに話せれば満足だったし、大学進学を諦めていなかった。そして、秀夫に対して優越感すら抱いていた。マイナスな要素を常にプラスに捉えていた。例え過ち、に塗れていたとしても。自分を肯定することは容易なことではない。今もそうだ。分かっていても自分を抑えられない。

瑠璃はしばらく僕に話しかけてすら来なかったが、
「この間のことはもう気にしてないから」
  僕が答えに窮していると、
「仕方がないよ。克幸だけ悪かったわけじゃないよ」
  今さら言うのか。
「どうだか」
「また投げやりになる」
「それ本当に言ってるのか?」
「いい加減にしてよ」
「怒るなよ」
「はあ? 気が短いのはどっちよ。器の小さいのはどっちよ」
「僕ですが?」
「子供か!」
「瑠璃とは険悪になりたくない」
「私も嫌だけど、秀夫と上手くやらないと結局は何も上手くいかないんじゃないの?」
「なんで決めつける?」
「勘」
  僕は笑った。
「上手く行くよ別に」
「絶対無理」
「無理でいいさ。駄目なら駄目で考えればいい」
  瑠璃は激しく切れた。
「克幸のために言ってるのに!」
「落ち着けよ」
「嫌だ! それ人として間違ってる! 秀夫と話せないの? そのくらい、できるはず! わけわかんない! 少しだけでも全然いいのに! 馬鹿でしょ? そのくせ陰湿に他人に八つ当たりだけはする! それを正当化するの? 揚げ足ばっかり取ってるようだと、いつか自分に返ってくるよ。味方を失くすよ? 例え自分が悪くなくても、むしろ、相手が悪くても耐えなきゃいけないことだってあるし、そういうのも優しさじゃないの? ついてなくても、強くなって、強がって、生きるしか、ない。この、子供が何を偉そうに」
「……」
  僕はあらゆる感情に襲われて絶句した。叫び立てたかったが、どうにもならなかった。
「こういう時だけ何も言わないんだ! 言い返せないんだ! そんな頑張ってます、みたいに険しい顔しても意味ないよ! 面と向かって話せないのね、秀夫と!」
「に、違いない」
「認めるだけで何もしない!」
「認めざる、おえない」
「お母さまにも物が言えない!」
「それは」
  僕はあまりにやるせなさ過ぎて消えてしまいたくなった。
「それもあんたが悪い! 何も言わないから言うこと聞くと思われるんだ!」
「はあ?」
  さすがにそれはない。断言できる。
「どんだけ根拠ない自信持ってんの? ないものねだりしても無意味だよ! 空想だけじゃ前に進めない」
  瑠璃は宣告するように冷たく言った。
「結局は僕が何もできないからか」
「違う。何も、しないだけ。それをさっきから言ってるんだけど」
  その時、秀夫が教室に入って来た。
「お説教か? 大変だな」
  こいつ一々腹立つ。だからこそ何も言いたくもない。係り合うだけ無意味である。僕は颯爽と逃亡した。或いはあらゆる憂鬱から逃亡した。



「何とか受かったよ」
  仁美は普通高校に合格した。物凄い喜びようであった。僕は少々引いていた。
「やっと解放される」
「そんなに苦痛だったか?」
「苦痛しかない」
「それはないだろ。僕に失礼だ。前向きな僕に」
  或いは都合のいい僕に。
「そうは見えないよ」
  仁美は笑った。
「そういうのも含めてだよ。簡単に言うな」
  僕もまた哄笑した。
「高慢な奴」
「悪いかよ」
「少しはそういうの気を付けてよ? 秀夫なんかよりはましだけど」
  仁美は皮肉に言ったつもりだった。
「それは何より」
「相変わらず冷え切ってるね」
「そんなことないさ」
  僕は嘘を吐いた。
「それ笑える」
「ありがとう!」
  とんだ茶番である。
  僕は調子に乗った。
  馬鹿にされるのも嫌なので自分を抑えていたが、
「瑠璃、僕は変わるよ」
  自惚れは最高潮であった。
「……そのままでいいよ」
  瑠璃は意味深に言った。のみならず、傍らにいた秀夫は失笑していた。もちろん、シャクでもあったけれど、僕は、むしろどんと来いよ、という気構えだった。
「ちょっと後で二人で話したい」
  仁美は憚らず僕に言った。
「良いけど」
「俺は?」
「秀夫は用無し」

……

「何かな?」
「克幸、はっきり言っていい?」
「何だ? 深刻な顔して」
「あんたなんてクズだよ」
「そんなことか。今さら言うまでもない。性格悪いんだ。僕なんて」
「自分で言うならそうでもないっしょ」
「じゃあ言うなよ」
  僕は快く笑った。
「教師とか大人はこういう人間関係のゴタゴタをお互いさまで片付けるけど、それもおかしいと思う」
「よく言われる。僕は真面目だから大人に意見を求めてる」
「真面目も何だか違う気がするけど」
「天才とキチガイは紙一重さ」
「勘違いもそれくらいにしとくことね」
「良いだろ?」
「克幸は良い奴だよ。クズでも」
  僕は本気で照れたが、
「大人になりなさい」
「そこまでか?」
「昨日秀夫がチクって来たよ。そこまで言わなくてもいいでしょって感じ」
  もはや笑うしかなかった。予感がないでもなかったが。
「悪いな」
「軽」
「しょうがない」
「いい加減にしろ」
  仁美は半分はおどけて言った。
「それは分かってるよ。いい加減に、しなくちゃいけない」
  僕はさすがに厳粛な態度だった。
「私がいなくなったら心配だわ」
「辛いからそれを言うな」
  涙は自然と溢れた。全ての感情が堰を切るように溢れ出た。
「見てられないんだから!」
  仁美もいつの間にか泣いていた。



  震災が起こったせいで卒業式も潰れたし、仁美ともきちんと最後に話せなかった。それは三月上旬であった。(三月になっても登校しているのは養護学校くらいのものだ)学校で授業中に微かに揺れを感じた。それはすぐに大きくはならなかった。すぐに収まる気がしたが、経験したことの無いほどの巨大な揺れになった。いつまでも止まないかと思われた。揺れが止むと、すぐに外に避難した。幸い療育園も学校も建物に被害はなかったので結局は中には戻ることはできた。物の見事にどこも壊れていなかった。金曜だったので、母が迎えに来ていつものように実家に帰った。

  原発事故も起こった。療育園から連絡があり当分の間閉鎖となった。なので、実家で暮らすことになった。親と毎日いるのも楽ではなかったが、秀夫と顔を合わせなくてもいいので、解放された気はしていた。僕は気付いていた。どこに行っても筋ジストロフィーという障害は変わらないということに。誰も自分を邪魔しているわけではないし、自分こそ他人に優しくなかったことに。そう思えば少しは楽だった。そう思うことにしていた。

秀夫と以外は上手くやっていかねばならない。彼とどうしてもギクシャクしてしまうのは種をまいた自分が悪いのだ。彼と近い関係に敢えてならないのも前に進むためには必要なのだった。こんなことで、してしまった後悔で精神的に落ち込んでいては自分が保てないし、希望は持てない。生きる、ということはなんて複雑で悲しく、また、希望が眠っているのか。

やさしさ、を教えてくれたのはある意味、象徴的にもむしろ秀夫なのだ。こうやって僕は、前に、進んでいく。光へと。
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