知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

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二章 〜思惑〜

十二話 『話し合い』

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放課後になった。ニコラス様には手紙を渡したし、後は来てくれるのを待つだけ。来ない、という可能性も考えたが、多分大丈夫だろうと思う。


とりあえず、私は待つことしかできないから、私はひたすら待つことにした。
そして、しばらくすると…………ニコラス様が現れた。
その顔はとても険しいものだった。


「手紙を読んでいただいたのですね?それで、私ニコラス・シャトレ様に聞きたいことがあってお呼びしました」


私がそう言うと、彼は少し苛立ったような顔をした。だが、そんなもん、今の私には関係無い。だって私には山程聞きたいことがたくさんあるし、このチャンスを逃すわけにはいかないのだ。


「………女装のことを言っているのか?それとも……この前の喧嘩のことか?」


喧嘩……そういや、喧嘩してたな……女装の方がインパクト強すぎてな……忘れてたよ……いや、でも、あれは頑固として譲らないけどね?


「いえ、あの喧嘩については……どうでも…よくはないですけど、そんなことより!ニコラス様は何であのとき、女装してたのですか?」


私は単刀直入に聞いた。彼がどうしてあんなことをしていたのか気になっていたからだ。そんな問いにニコラス様は一瞬戸惑った後、


「………いや、それは……」


と、曖昧な答えを返した。だが、それじゃ納得なんてできるはずもない。だから私は更に追求する。だって。だって。


「じゃあ、せめて!あの謎の美女のメイク、どうやってメイクしているか教えて下さい!」


あれ、本当に凄かったんだもの!! あのメイク方法を知りたかった。どうやったらああいう風になるんだろうか。どう見たってあのメイクは美女だと思うし『あんなに可愛い子が男なわけない!女の子だ!!』ってなってたもん。


「………メイク?……いや、してないぞ」


「は?メイクもしないであの美女を?嘘ですよね!?」


メイクもしないであんな高クオリティーな美女ができるわけないだろうが!! 絶対何か秘密があるはずだ! なのに、それを彼はあっさり否定した。


「本当だ。女装はしていたが、化粧などしていない」


ノーメイクであの美女?ありえないでしょ!


「俺が女装してたのは……まぁ、色々あったんだよ」


「……色々ってなんですか?」


「……色々は色々だ」


そんな言い方されると尚更気になるんだが?もうちょっと詳しく説明して欲しいんですけど?


「………あら?」


不意にそんな声が聞こえてきた。
振り向くとそこには、私よりも年上であろう女性が立っていた。
彼女はとても美しい人だった。スタイルもよく、目鼻立ちがくっきりとした美人さんだった。


「ニコラス・シャトレ様にナタリー・アルディ様ではないですか。こんなところで何をされているのですか?」


「あっ……えっと……」


いきなり話しかけられて私は言葉が出なかった。そもそも、誰やねん。この子。
私が返答できずにいると、代わりにニコラス様が口を開いた。


「……いや。何でもない。気にしないでくれ。俺はただ、彼女と話をしていただけだ。では、失礼するよ」


そう言ってニコラス様は去っていく。追いかけるべきか迷ったが、結局追いつけなさそうだと思って諦めることにした。
そして、残された私はというと。


「……ナタリー・アルディ様ですよね?私、アシュリー・ベルナールと言いますわ。よろしくお願いしますね」


と言って、その女性は優雅な仕草で挨拶してきた。……うっ。眩しい……。この人めっちゃキラキラしてるんだけど……。


思わず目が潰れそうになるぐらいには、彼女の周りには光があった。
それにしても、まさかここで誰かに会うとは思わなかった。


「アシュリー様、ですか……」


「ええ。ナタリー様のことはローラさんに聞いておりましたから。是非とも一度お会いしたいと思っていたのです。こうして会えて嬉しいですわ」


そう言いながら、彼女は私の手を取ってきた。……ローラといいリリィといいアシュリー様といい!美少女だわ!漫画のキャラなんだから当たり前だけどさ。


「……私、ナタリー様と仲良くしたいと思っているの。だから、これからは気軽に接してくれませんか?敬語も不要ですから」


アシュリー、距離が近いよ!別にいいけどさ!でも、前世はコミュ障なもので、人との距離感とか掴みづらいんだよね。
とりあえず、彼女の提案に私は勢いよく頷いた。
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