知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

三章 〜半年が経って〜

二十四話 『夢の話』

——夢を見た。


「何よ！あんたみたいな地味女、大っ嫌いよ！！」
「なんであの子ばっかりモテるのよ！私の方が可愛いのに！」


漫画の中の彼女——ナタリー・アルディは、主人公であるローラに嫉妬して嫌がらせをしているというお決まりの展開だ。


嫌がらせする展開は知ってるけど、実際見ると本当に酷いな……まぁ、現実よりはマイルドだけど。
……というか、ナタリー・アルディって本当に性格悪いな。いや、知ってたけど。


「——ナタリー・アルディさん。これ以上すると、僕は貴女に何をしでかすかわかりませんよ」


「っ……！」


ナタリーがローラをいじめていると、ティモシー・ブランが現れてそう警告するシーンになった。……ああ。そういうキャラか。ローラに惚れる、とか美香は言っていたけど、そう言う感じか……


まぁ、ナタリー・アルディと同じく当て馬キャラなんだろうけども、何でナタリー・アルディのときは感じた小物臭がティモシー・ブランには感じないんだろう？ 


……やっぱり、こいつは重要なキャラなのかも。当て馬だけで終わったナタリーとは違い、ティモシー・ブランはこれから重要になるパターンか……？ 私がそんなことを考えながら見ていると、ティモシー・ブランがローラに手を差しのべたシーンになっていく——のと同時に。


「………はっ」


目が覚めた。
……ああ、もう少し見たかったな、という気持ちと、この夢にどれだけの確証があるのか、という不安が私の胸の中に渦巻いていた。


「……原作読んでないからわかんねーわ」


私がそう呟いていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。……誰だろう？ 私はそう思いながら、ドアの方に行きドアを開けた。するとそこには美香がいた。
美香は私にこう告げた。


「緊急事態よ。奈緒」


………ああ。やっと話が進みそうなそんな気がした。