知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

文字の大きさ
72 / 75
三章 〜半年が経って〜

二十七話 『もう、間違えない』

しおりを挟む
「で?俺らを追ってきたって作戦を放棄したことを謝罪する気はないのか?」


「無いですよ。だって、悪いのは私じゃないですもん」


「開き直るなよ……」


今、レオン様とリリィはニコラス様の前で正座をし、反省させられていたが、二人とも反省の色は全く見えない。


「…悪かったとは思ってる。俺は」


「は?レオン様も反省したら反省しない私だけ悪者じゃないですか!」


「お前なぁ……」


レオン様の言葉にリリィが噛みつき、さらに喧嘩が勃発しそうな雰囲気になるが、それをニコラス様が止める。……この人も、割と苦労人ポジションだよな……ご愁傷様です。


「リリィさん……レオン様……」


ローラに名前を呼ばれた二人はビクッ、と反応し、ゆっくりと振り返る。


「ごめんなさいを、しませんか?」


ゴゴ……と効果音がつきそうな恐ろしいオーラを出しながら二人に語りかけるローラ。怖い……


「ごめん……」


「……すみませんでした」


二人はすぐに謝った。ローラは普段は温厚だが、怒ると怖いのだ。


「私ではなく、ニコラス様に謝ってください。………ね?」


威圧感のある笑顔に、二人はすぐにニコラス様の方を向く。


「……ごめんなさい」


「悪かった……」


「………まぁ、いいけど。とにかく、明日はしっかりやってくれよな?俺らはやましいことは一切してないし」
 

そう言い切った直後のことだ。


「……………何この状況」


スティブーン様がドン引きした表情で、そう呟いた。
……確かに、この光景を見たら誰でもドン引きするよな……


「……とにかく、明日はよろしくお願いします。……今日みたいなことは、しないでくださいね……?」


ローラが怖い……よっぽど、聞かれたくないことを話していたんだろうなぁ……何を話していたのか教えてくれないし


「……ローラさんも…人のこと言えないと思うけど」


「………なにか言いましたか?スティブーン様?」


………この子、こんなことを言う子だったかな……?なんか、レオン様と婚約者になってから性格が変わった気がする。……いや、元々こういう性格だったのを私が知らなかっただけか?


「…ま、いいけど。じゃあ、明日はしくじるなよ?リリィにレオン」


そういって、スティブーン様は去っていった。


「今回に関しては、私の方が悪いし何も言えないわ……」


リリィは、そういって大人しく反省した。レオン様は何か言いたそうだったが、黙っているあたり、反省はしているらしい。


「……ところで、もう無理よね?作戦」


「はい、もう無理ですね。まぁ、私たちがこんなことしているとは誰も夢にも思ってもいないでしょうし、明日にまた決行しましょう」


「……そう」


あっけらかんと言ったローラに、レオン様はため息をつく。

「…明日に備えて今日はもう寝ますから」

リリィはそういって、自室に戻っていった。
……さて、私も明日に備えて寝るか……


「なぁ。…そこのお前は……結局誰なんだ?どうして、この作戦に加担する?お前は、俺らに何をさせたいんだ?」


レオン様がそう聞いてきた。……それは……


「……貴女達には関係ないことです」


私はそれだけ言って、自室に戻った。


△▼△▼



——夢を見た。


「ごめんねー?お姉ちゃん?」


妹はそう言って、彼の腕に自分の腕を絡めた。
「私、彼が好きなの。だから、ごめんね?」

妹はそう言って、彼の唇に自分の唇を軽く押し付けた。


「お姉ちゃんはさ、何にもしなくていいんだよ?ただ、大人しくしててね?」


昔の私なら、きっと胸がはちきれていたかもしれない。心が痛くて、辛くてたまらなかった。でも……今の私は……何も感じなかった。


最近、夢だと自覚している夢を見ることが増えた。内容はいつも一緒だ。


私の妹が私から大切な人を奪っていく夢。


「……大丈夫……大丈夫……」


自分に言い聞かせるように呟く。


……私は……もう間違わないと、心の底から私は叫べるから。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...