【完結】君に伝えたいこと

かんな

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〜出会い編〜

一話 『入院』

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――あのときは真面目に死ぬかと思った。


 いつも通り学校に行っていつも通り部活をしていつも通り家に帰っていつも通りご飯を食べてそして寝る――といういつも通りの日常になるはずだった。


「寝れねえ……」


布団に入ってから数分が経つまでは。いつもならすぐ寝られるのに何故か今日は一向に眠気が襲ってこないのだ。
俺は、ベッドから起き上がると部屋の電気をつけ時計を見る。時刻は午前1時を回ったところだ。


しかも、お腹まで空いてきたし……。
仕方がないので何か食べようと思い部屋を出る。階段を降りリビングに行くとそこには当然だが誰もいない。家族全員寝ているのだろう。とゆうか、寝てなかったらそれはそれで怖いけどな。


戸棚を開けるとそこにはカップ麺があった。……こんな時間にカップ麺なんて食べたら駄目だ。健康に悪いし太りそうだし。でも今はそんなことどうでもいいくらいには腹が減っていた。


まあ、いいや!明日も休みだし!そう思いながら俺は湯沸かし器のお湯を入れ3分待ってカップ麺を食べた。


「……罪悪感はあるけどうめぇ……」


夜中にカップ麺を食べるのは初めてだった。少し背徳的な気分になりながらも俺は箸を進めた。



△▼△▼


そんなことしてたら眠気が襲ってきて自分の部屋に戻り、そのまま寝た。いつもとは違うことをしたせいか、お腹いっぱいになったせいなのか分からないがぐっすり眠ることができた。
しかし、その眠りは長く続かなかった。
目が覚めると腹痛がしたからだ。それもかなり強烈な痛みが。


これはヤバいと本能的に思ったのかトイレに向かうために体を起こすと更に激痛に襲われた。
あまりの痛みに耐えきれず俺は床に転げ落ちた。
すると今度は頭痛が起きた。ズキズキとした鈍い痛みではなくガンガンとする激しい痛みが俺を襲う。


「ちょ!?よ、洋介!?」


母さんの声が聞こえたが返事をする余裕はなかった。
意識を失う寸前に見えた光景はこちらに向かって走ってくる母さんの姿が見えた。




次に目を開けた時には見慣れぬ天井が広がっていた。白を基調とした清潔感のある部屋。病院だと気付くまでに時間はかからなかった。


「……病院……?なんで?」


まだ頭がボーッとしている中、とりあえず状況を把握しようと周りを見渡す。すると、椅子に座っている母の姿を見つけた。


「洋介!心配させないでよ!!」


母は泣きそうな顔をしながらそう言った。その言葉に俺は罪悪感を覚えた。そのあとは医者が来て色々聞かれたりして検査を受けたりした。


結果的に分かったのは俺は食中毒であり、夜中にカップ麺を食べたことを話したら呆れた顔をされた。


そしてその後は一応として一週間入院することになった――。
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