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旧約聖書 短編集
天使のケツを掘りたがるやつがいる街は滅ぶ
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吾輩ちょっと地上に降りて見た。神だけど。
「よう、アブラハムちゃん元気?」
って吾輩が言ったら、なんか涼んでいたのに、土下座。
さすがやね。べたっと地面に土下座。
「あのさぁ。いる? 嫁さんのサラちゃん」
「はい、テントの奥にいるんですけど。それより、お食事の準備しますので、まってください」
アブラハムは良い奴だ。吾輩、コイツは見どころあると思っている。
大洪水で人類滅ぼしたときに、生きのこらせたノアの子孫だけどね。
過去最高レベルの義人かなぁと思う。
子牛の丸焼きとバターとパンが出てきた。
吾輩食べた。旨い。
「でさぁ、アブラハムの嫁のサラに男の子できるからね。それ教えに来た」
「え!!!! ちょっと待ってくださいよ。サラ、いい年ですよ。もう閉経してるんですけど?」
「いや、吾輩は神だからね。閉経してようがなんだろうが、孕ませ可能だから。処女でも受胎させるからね。マジで」
「マジっすか…… っぱねぇっすよ。主…… さすがですわぁ~」
アブラハムは畏れ入っている。
まあ、吾輩は全知全能なのであるから。
閉経してようが、孕む。絶対に孕む。
すると、テントの陰からサラが出てきた。
確かにババア。見た感じももう閉経してるのである。これは。
「いや…… ちょっと、私はもうババアですよ。いやですよぉ、主よ。ほほほほほ」
笑いやがった。
「笑ったね…… 今、笑ったよね? なにがおかしいのかな? 吾輩おかしなこと言ったの? ねえ?」
吾輩は尊敬され、崇拝されるのが大好きなのであって、笑われるのは嫌いなのだ。
だから、言ったのだ。吾輩の言葉で、アブラハムもサラも真っ青。
「笑ってません! もう、絶対に笑ってないです!」
ババアのサラが真面目に言った。
呪うかと思ったけど、ここで呪うと「男の子が生まれる」前提がどうなるの? って話になりそうなので考えた。
まあいいわ――
許したる。吾輩寛大。
なぜならば、サラどころではないヤバい問題があるのだよ。
吾輩は、一応アブラハムにそれを教えにきたのだ。
「ソドムとゴモラの街は滅ぼすわ。マジで。ダメだ。あそこ、変態の魔境。狂っとるよ。焼き払おうと思うんだけど。どう?」
「まじっすかぁぁ、っぱねーっすよ。でも、いきなり焼き払うのは、どうっすかねぇ…… あの街にもいい奴いるんじゃないっすか?」
「いるかぁ? 変態の背徳の街だぞ?」
「50人はいるかもしれんですよ」
「ん…… そうかぁ……」
吾輩は考えた。全知全能の頭脳をつかいフル回転で考える。
以前も、全人類を滅ぼそうと思ったら、ノアがいた。
チンチン丸出しにして酔っぱらって寝て、それを息子みられ、なぜか孫の子孫を呪うような義人。
この意味不明さが、吾輩は結構好き。
確かに、ソドムやゴモラにもノアのような義人がいるやもしれん。
アブラハムの言うことにも一理ある。
「んじゃ50人いたら、滅ぼすの止めるかぁ」
「主よ、例えばですよ、45人とかだったらどうっすか? 四捨五入すると50人っすよね!」
「ん? まあ、そうだな。ンじゃ45人でもOK」
「それじゃ切りよく40人でもいいっすよね?」
「30人は?」
「まあいいよ」
「20人は?」
「いいけど」
「じゃあ!10人」
「どこまで行くんだよ? 怒るよ? 吾輩がいくら寛大でも」
アブラハム低姿勢で根切りやがったのである。
気が付くと義人が10人いたら滅ぼさないことに決まっていた。
ユダヤ人の交渉術は油断ならねーなと吾輩は思った。
で、吾輩は、ソドムで一番の義人というロトところに、天使を送りこんだのだ。
事前調査な。
10人いい奴がいるかなぁって感じ。
そしたら、天使から緊急入電だよ。ヤバいよ。
『主よ! 主よ! ヤバいです。ソドムの奴ら、俺たちを知りたいとかいって出せと暴れてます。ロトの家を取り囲んでます』
『知りたい? 教えてやれよ』
『違うんすよ! 古代ユダ社会では「知りたい」ってのは、ホモセックスです。相手を知るというのはホモセックスなんですよぉぉ!』
『マジか? やべぇ! 吾輩ホモ大嫌いなんだけどぉぉ!』
『しかも、レイプです! 無理やりです。輪姦です! ああああ! あばれてます! ヤバい、バリケードがぁぁ――』
『おい! 天使! 天使! 応答せよ! 天使――』
現地偵察の天使からの通信が途切れた。
ヤバい。
吾輩の想像以上にソドムヤバい。
ソドムの街では客がくると、町中で輪姦。
レイプだよ……
男、女関係なくだ。やべぇ…… 全知全能の吾輩でもドンビキ。
『―― 主、主、応答せよ、主!』
『おう! 天使か。どうよ? ヤバいの? やっぱ』
『ジジイも若者もレイプさせろと暴れてます。ロトが、娘出すといったら、娘より、オマエでてこいと、ケツ穴犯すと騒いでます!』
『クソだなぁ…‥ マジで』
『ほんと、マジで最悪ですよ。滅ぼしましょうよ。早く』
『よっしゃ! 硫黄入りの火焔をまき散らして焼払うから、ロトだけ逃がしたれ』
『了解』
『それから、後見るなと言っとけよ。見たらダメだからな。マジで!』
『ロトに伝えます!』
で、通信は終わりだ。
さてと、滅ぼそう。ヤバい。あんな変態の街とか、おぞましい。
焼く。焼き尽くす。
吾輩は、炎と硫黄をまき散らして、ソドムとゴモラを焼いた。
消毒。これは地上の消毒なのだ。
よし、ロトは逃げているな。よしよし。
あああ! アホウか? また女だよ。
なんで、女はアホウなのか――
後見るなって言ったよね? 言ったよ。吾輩は言った。
でも、見ているんだもん。塩になっちゃたよ……
まあ、いっかぁ。
地上が少しはキレイになったしなぁ。
吾輩少しすっきりした。
「よう、アブラハムちゃん元気?」
って吾輩が言ったら、なんか涼んでいたのに、土下座。
さすがやね。べたっと地面に土下座。
「あのさぁ。いる? 嫁さんのサラちゃん」
「はい、テントの奥にいるんですけど。それより、お食事の準備しますので、まってください」
アブラハムは良い奴だ。吾輩、コイツは見どころあると思っている。
大洪水で人類滅ぼしたときに、生きのこらせたノアの子孫だけどね。
過去最高レベルの義人かなぁと思う。
子牛の丸焼きとバターとパンが出てきた。
吾輩食べた。旨い。
「でさぁ、アブラハムの嫁のサラに男の子できるからね。それ教えに来た」
「え!!!! ちょっと待ってくださいよ。サラ、いい年ですよ。もう閉経してるんですけど?」
「いや、吾輩は神だからね。閉経してようがなんだろうが、孕ませ可能だから。処女でも受胎させるからね。マジで」
「マジっすか…… っぱねぇっすよ。主…… さすがですわぁ~」
アブラハムは畏れ入っている。
まあ、吾輩は全知全能なのであるから。
閉経してようが、孕む。絶対に孕む。
すると、テントの陰からサラが出てきた。
確かにババア。見た感じももう閉経してるのである。これは。
「いや…… ちょっと、私はもうババアですよ。いやですよぉ、主よ。ほほほほほ」
笑いやがった。
「笑ったね…… 今、笑ったよね? なにがおかしいのかな? 吾輩おかしなこと言ったの? ねえ?」
吾輩は尊敬され、崇拝されるのが大好きなのであって、笑われるのは嫌いなのだ。
だから、言ったのだ。吾輩の言葉で、アブラハムもサラも真っ青。
「笑ってません! もう、絶対に笑ってないです!」
ババアのサラが真面目に言った。
呪うかと思ったけど、ここで呪うと「男の子が生まれる」前提がどうなるの? って話になりそうなので考えた。
まあいいわ――
許したる。吾輩寛大。
なぜならば、サラどころではないヤバい問題があるのだよ。
吾輩は、一応アブラハムにそれを教えにきたのだ。
「ソドムとゴモラの街は滅ぼすわ。マジで。ダメだ。あそこ、変態の魔境。狂っとるよ。焼き払おうと思うんだけど。どう?」
「まじっすかぁぁ、っぱねーっすよ。でも、いきなり焼き払うのは、どうっすかねぇ…… あの街にもいい奴いるんじゃないっすか?」
「いるかぁ? 変態の背徳の街だぞ?」
「50人はいるかもしれんですよ」
「ん…… そうかぁ……」
吾輩は考えた。全知全能の頭脳をつかいフル回転で考える。
以前も、全人類を滅ぼそうと思ったら、ノアがいた。
チンチン丸出しにして酔っぱらって寝て、それを息子みられ、なぜか孫の子孫を呪うような義人。
この意味不明さが、吾輩は結構好き。
確かに、ソドムやゴモラにもノアのような義人がいるやもしれん。
アブラハムの言うことにも一理ある。
「んじゃ50人いたら、滅ぼすの止めるかぁ」
「主よ、例えばですよ、45人とかだったらどうっすか? 四捨五入すると50人っすよね!」
「ん? まあ、そうだな。ンじゃ45人でもOK」
「それじゃ切りよく40人でもいいっすよね?」
「30人は?」
「まあいいよ」
「20人は?」
「いいけど」
「じゃあ!10人」
「どこまで行くんだよ? 怒るよ? 吾輩がいくら寛大でも」
アブラハム低姿勢で根切りやがったのである。
気が付くと義人が10人いたら滅ぼさないことに決まっていた。
ユダヤ人の交渉術は油断ならねーなと吾輩は思った。
で、吾輩は、ソドムで一番の義人というロトところに、天使を送りこんだのだ。
事前調査な。
10人いい奴がいるかなぁって感じ。
そしたら、天使から緊急入電だよ。ヤバいよ。
『主よ! 主よ! ヤバいです。ソドムの奴ら、俺たちを知りたいとかいって出せと暴れてます。ロトの家を取り囲んでます』
『知りたい? 教えてやれよ』
『違うんすよ! 古代ユダ社会では「知りたい」ってのは、ホモセックスです。相手を知るというのはホモセックスなんですよぉぉ!』
『マジか? やべぇ! 吾輩ホモ大嫌いなんだけどぉぉ!』
『しかも、レイプです! 無理やりです。輪姦です! ああああ! あばれてます! ヤバい、バリケードがぁぁ――』
『おい! 天使! 天使! 応答せよ! 天使――』
現地偵察の天使からの通信が途切れた。
ヤバい。
吾輩の想像以上にソドムヤバい。
ソドムの街では客がくると、町中で輪姦。
レイプだよ……
男、女関係なくだ。やべぇ…… 全知全能の吾輩でもドンビキ。
『―― 主、主、応答せよ、主!』
『おう! 天使か。どうよ? ヤバいの? やっぱ』
『ジジイも若者もレイプさせろと暴れてます。ロトが、娘出すといったら、娘より、オマエでてこいと、ケツ穴犯すと騒いでます!』
『クソだなぁ…‥ マジで』
『ほんと、マジで最悪ですよ。滅ぼしましょうよ。早く』
『よっしゃ! 硫黄入りの火焔をまき散らして焼払うから、ロトだけ逃がしたれ』
『了解』
『それから、後見るなと言っとけよ。見たらダメだからな。マジで!』
『ロトに伝えます!』
で、通信は終わりだ。
さてと、滅ぼそう。ヤバい。あんな変態の街とか、おぞましい。
焼く。焼き尽くす。
吾輩は、炎と硫黄をまき散らして、ソドムとゴモラを焼いた。
消毒。これは地上の消毒なのだ。
よし、ロトは逃げているな。よしよし。
あああ! アホウか? また女だよ。
なんで、女はアホウなのか――
後見るなって言ったよね? 言ったよ。吾輩は言った。
でも、見ているんだもん。塩になっちゃたよ……
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