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28.大団円
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死屍累々、倒木がそこらにある大神宮は、激戦のあとを物語っていた。
ガトリング砲と、たったふたりの人間の戦いによって生じた、恐るべき空間であった。
「ほれ、カツラを持っていかねば――」
声の方を鎖々木と由良が見やった。
「あの老人」ペリーのカツラを手にとっていた。
「え、あ、かたじけない」
「と、ゆーか、誰なんや、自分?」
由良は老人に向かって言った。
謎の老人である。
座敷牢に閉じ込められた鎖々木と由良を解放した。
大神宮での危機には、由良と鎖々木を亀甲縛りで縛りつけた老人だ。
怪しさ満載であり、一体何者なのか?
その思いは、鎖々木も同じであった。
「ほほほほほほ。ワシよ。自分の親も見抜けぬか?」
「え――!!」
「ち、おとんやん!」
バッと作り物の顔を剥がす。
そこに現れたのは、由良の父親・武乱炎上祭であった。
「このことは表ざたにできないのではないか? 幕府の軍が来る前に立ち去ったほうがよいぞ」
「そ、そうですね……」
「ほれ、これを着て、早く行け」
「はい」
鎖々木と由良は、縄を解くと着物を身につけた。
流石に全裸で脱出するわけにはいかない。
見つかれば、どう考えてもお縄になってしまう。
亀甲縛りではないお縄だ。
ふたりは、大神宮を後にした。
◇◇◇◇◇◇
ペリー提督のカツラは無事本人の元に届けられた。
これで、江戸砲撃は回避されたのだった。
しかし、このことは正式な歴史書には記されていない。
歴史は史料に残っていることだけが全てではないのだ。
紙の上に書かれた文字だけが歴史であるというのは、あまりにも衒学的な態度であろう。
とにかく、鎖々木究と最強忍者・由良の活躍で江戸は救われた。
その後の幕末の動乱期――
夫婦となった最強のふたりは、ふたたび活躍することになる。
が、それはまた別の物語である。
――完――
ガトリング砲と、たったふたりの人間の戦いによって生じた、恐るべき空間であった。
「ほれ、カツラを持っていかねば――」
声の方を鎖々木と由良が見やった。
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「と、ゆーか、誰なんや、自分?」
由良は老人に向かって言った。
謎の老人である。
座敷牢に閉じ込められた鎖々木と由良を解放した。
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そこに現れたのは、由良の父親・武乱炎上祭であった。
「このことは表ざたにできないのではないか? 幕府の軍が来る前に立ち去ったほうがよいぞ」
「そ、そうですね……」
「ほれ、これを着て、早く行け」
「はい」
鎖々木と由良は、縄を解くと着物を身につけた。
流石に全裸で脱出するわけにはいかない。
見つかれば、どう考えてもお縄になってしまう。
亀甲縛りではないお縄だ。
ふたりは、大神宮を後にした。
◇◇◇◇◇◇
ペリー提督のカツラは無事本人の元に届けられた。
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しかし、このことは正式な歴史書には記されていない。
歴史は史料に残っていることだけが全てではないのだ。
紙の上に書かれた文字だけが歴史であるというのは、あまりにも衒学的な態度であろう。
とにかく、鎖々木究と最強忍者・由良の活躍で江戸は救われた。
その後の幕末の動乱期――
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――完――
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