異世界娼館の幻想少女とひと時を -元外科医の俺は「幻想館」の支配人-

中七七三

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6.若様童貞喪失料金、日本円換算で500億円!

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「んじゃ、ミルキーさん呼ぶか? 今はまだ空いているだろ」

 俺はボーイに支配人室にミルキーさんを連れてくるように言った。

「ミルキーさんは、その…… 乳が大きいのですかな?」

 ジイさんはそう言ってずずぅっと茶を飲んだ。
 
「大きいのです! しかも、柔らかいのです。弾力と柔軟性を備えたおっぱいなのです。それは至高の巨乳―― この世に存在するあらゆるおっぱいの中で最強なのです!」

 乱入してきた副支配人のミチルがそのまま自然に会話の中に入ってくる。
 まあ、今回はコイツの提案に乗ってもいいかと俺は思った。

「しかし、それほどまでに……」
「まあ、見てもらえば、分かりますよ」

 百聞は一見にしかずだ。
 まあ、若様のフェチ傾向が巨乳。
 であれば、相手のおっぱいを確認せねばならんというジイさんの気持ちもわかる。

 この世界には様々な亜人、獣人、モンスターがいる。
 しかし、こと「おっぱい」に関してはホルスタイン獣人の右に出る者はない。
 そして、その中でもミルキーさんは破格の存在なのだ。

「あはぁん、ふふ―― 支配人さんたら、私に何の用かしら? うふ♥」

 ボーイがミルキーさんを連れきた。
 身長2メートルを超える巨体が部屋の中に入ってくる。
 甘い母乳の香りが部屋の中に流れ出していく。

 ふわりとした、白黒メッシュの髪の毛に、丸みを帯びた角が生えている。
 憂いを帯びた黒く長いまつ毛の眼差しが色香を振りまく。 
 彼女はホルスタイン獣人の美女で、娼婦なのだ。

「な、なんだ…… この…… 乳はぁぁ……」

 ジジさんが、カクーンと音をたて顎を落す。
 目はおっぱいに釘づけだ。
 視線を外すとか、見ていないふりをするとか無理。
 
 彼女のおっぱいの視線訴求力は、例え魔神が相手でも逃れることはできないだろう。
 ガン見するしかない。
 面積の少ない布の紐ブラで辛うじて乳輪と乳首だけが隠れている。
 真っ白い肌にパンパンのおっぱいが「たゆんたゆん」している光景は眼の極楽である。

 しかし、いつ見てもデカイ…… 
 ラミアのミレーヌも破格のおっぱいだが、単純な大きさだけいったら勝負にもならない。
 
「あはぁん、ちょっとおっぱいが張ってしまって、搾乳していたところだったのよ…… うふ、支配人さんは、そんな私を呼んでどうするつもりだったのかしら?」

 プルンプルンとおっぱいを揺らしながら、ミルキーは言った。
 その吐息まで、甘い香りがする。

「それは大変なのです! ボクがチュウチュウしておっぱいの張りを取るのです!」

 客の前でもブレないクズぶりを発揮するミチル。
 立ちあがったクズに俺はすかさず「腹パン」を叩き込む。
 なんど、商品に手を出すなと言えばいいのか……

「あが――ッ」

 腹を抑えそのまま崩れ落ちるミチル。
 元外科医の俺は、どこを殴れば、人が苦しむかよく知っているのだ。
 内臓は痛みを感じない。
 呼吸のタイミングを見極め、腹膜に対し如何に衝撃を浸透させるかがポイントだ。

「あはぁ~ん。おっぱいが張ってしまうわ。あああ、どうしたらいいの? もう、母乳がぁぁ、母乳が出てしまうわぁぁ~」

 ピューーーーーーっ!!
  
 パンパンになったおっぱいはプルンと揺れると紐ブラの布がズレる。
 ピンクの乳首が突出する。普通の人間の親指より大きい。
 そして、そこから母乳を吹きだすのだった。

「あ、あ、あ、あ~ん、私ったら、はしたない女なのぉぉ、支配人さんの前でミルクをダダ漏れに…… ああ、こんなにビショビショになってしまって、あはぁ~ん」

 激しく吹きだす母乳は、彼女がクネクネと身をよじるたびに、スプリンクラーのようにまき散らされる。

 俺の顔面も直撃。
「腹パン」で悶絶していたミツルもミルクを浴びて幸せそうな顔に変わってくる。
 そして、客のジイさんにも平等に母乳の福音は降り注ぐのだった。

「す、すごい…… すごいですぞぉぉ! こ、これなら、若様のオチンチンもピンコ立ちするかもしれまぬ!」

 叫んで立ちあがったジイさんの股間もピンコ立ちしていたのだった。

「とりあえず、搾乳機…… 持って来て」
「はい、支配人(マネージャ)」

 濃厚な母乳の匂いで俺の部屋の空気が蕩けるようになってくる。
 まだ、仕事があるんだけど。どーすんの…… って思っている間にも、ミルキーは乳首からシャワーのような母乳をいている。

「あはぁぁぁん、支配人の前だと、激しくおっぱいが張っちゃうのぉぉぉ~ あ、あ、あ、あ、あ」

 ミルク放出機と化したミルキーさんの母乳は止まらない。
 このままでは、俺の部屋は母乳で床上浸水だ。

「持ってきました!! 支配人!」

 はぁはぁと息を切らしてボーイが持ってきた搾乳機、それをミルキーさんの乳首に装着。
 ガラス容器に母乳が溜まり、そこに繋がったホースに母乳が流れ込んでいく。
 行く先は母乳タンクである。

「まあ、これで落ちついて話ができますね」

 俺はそう言って、羊皮紙とペンを出す。
 
「それは?」
「ん? 商売の話に移ろうってことですよ。で、若様のオチンチンにいくら出します?」

 俺は単刀直入に訊いた。羊皮紙とペンは決まったことを書くためだ。
 契約書とまではいかないが、口約束をする気は俺には無い。
 
 この幻想館は一流店だ。
 客がうちで遊ぶ場合、平均的な娼婦で2時間10グオルドはする。
 家族4人の平均的な家なら一月は楽に食える金額になる。
 要するに「大人の夢と幻想」はお高くつきますよってことなのだ。

 人気上位クラスの娼婦であれば、更に高い。
 その他、プレイのオプションもあるので、本格的に遊びたい場合は、もっとかかる。
 さらに、一晩貸切の場合は、その3倍というのが相場だ。

 若様のインポを治し、無事筆おろしをするという難題なのだ。

「童貞なのね…… うふ、若様は童貞…… いいのよ。童貞割引で、私が優しく導いてあげる~」

 搾乳機でおっぱいを吸われながら、ミルキーさんが言った。
 そんなら、ミルキーさんの取り分をこっちに……

「ダメなのです!! 安売りしないのです! ミルキーさんは、優しく母性愛があるのですが、ビジネスはビジネスなのです!」

 俺の腹パンで床の上で悶絶していたミチルが復活していた。
 口の周りが真っ白。どうやら、床に流れ出したミルキーの母乳を飲んだようだ。
 それで元気になったのか…… 本当にクズだな……

「ま、娼婦と店の取り分はこっちの話だ。まずは、ジイさんがどれくらい出すかだ」
「んん~ 100くらいですかなぁ……」

 ジイさんが言った。銭の話になったとたんに、不機嫌を隠そうとしない。
 貴族の周辺の人間とはそんなもんだ。
 しかし、100? 100グオルド? 話にならねーよ。アホウか。

「おい、お帰りだ。ジイさんは、もう帰って寝たいってぇぇ!」

 俺が言うと、ボーイがすっとジイさんの背後に回り込む。
 
「まて! まってくれ! 100ではなく、200――」
 
 俺はボーイたちに目で連れて行けと合図する。
 いくらオーナーの紹介でもバカにした金額で俺の娼館の女たちを使わせる気はない。
 特に、貴族にはだ。
 
 ボーイが手をジジイの脇の下に入れ、持ち上げようとする。
 こらえるジジイ。

「分かった! 500じゃ! 500万グオルド! もう、これ以上は無理じゃあ!」
「えッ…… おい、降ろして差し上げろ」

 マジか…… 「万」の単位を言わねーでいっていたのかよ……
 
「文句はないのです! これでミルキーさんは、店のNo.1に君臨することになるのです!」

 ミチルが妙にはしゃぐ。こいつは、心底ミルキーのファンなのか?

「ま、いいでしょう! んじゃこれに、書いておきましょう。簡単な覚書ですけどね。口約束じゃぁね…… はい、書いてください。おおおおお! さすが、達筆ですねぇ!」

 家の名前まではさすがに書かない。
 ジイさんは、パキケトゥスという自分の名前を書いた。

 とにかく、これで娼館には凄まじい利益がもたらされる。
 若様のオチンチンが立って、無事に童貞を喪失したら、店のみんなで打ち上げパーティをしたいくらいの気分だ。

「で、これは、成功、不成功に関わらずの基本料金なんで―― ただ、今回は成功報酬はまけときますよ…… 仕方ない」

 俺はさも、こっちが大損の大サービスしているかのように言った。

「それは、分かっております。しかし、このおっぱいなら、若様も……」

 そう言って、ジイさんは、ミルキーさんを見やる。
 両乳首から吹きだす奔流のような母乳は搾乳器で強制吸収されていく。
 
「あはぁぁ~ すごいのぉぉぉ、おっぱいミルクがぁぁ、キュンキュン吸われてぇぇ、この機械気もちいいのぉぉぉ~」

 プルンプルンを超絶的なおっぱいを震わせ、ホルスタインの娼婦はわななくのであった。

        ◇◇◇◇◇◇

 そして、前日――
 パキケトゥスのジイさんがやってきて、打ち合わせを行う。
 そして、金も振り込まれた。前日入金である。
 はははは! 愉快。

 明日は若様の安全のため、全館お休みだ。
 警備は冒険者ギルドからA級冒険者50人を集めた。
 一軍をもってしても、安全と言えるレベルの警護だ。

 それでも、経費的には余裕。
 500万グオルドとは、それほどの金額なのである。

 日本円の間隔でいけば、1万円=1グオルドくらいだと思えばいい。
 つまり、50,000,000,000円くらいの収入が一気に転がり込んできたのだ。
 500億円である。

(ああ、そういえば、となりの娼館が潰れて、更地になっているしなぁ。そこに新館を建てようかなぁ)と、俺はその金の使い道を夢想するのだった。

 娼館以外にもやってみたい商売はある。
 まあ、オーナーの許可を求めればいいのだが、あの人はなんでも好きにやれと言いそうだ。
 俺の自由裁量で使えそうな原資がドンと増えるわけだ。楽しい。

「しかし、ひとつ失念していたことがありますなぁ。まあ、大したことではないのですが……」
「え? なんですか?」

 広がる夢の妄想の中にいた俺は、ジジイの話で妄想中断。
 話し合いに戻る。

「立会人が必要なのです――」
「はい? 立会人?」
「その立会人を、娼館の責任者である支配人にやっていただきたい」
「いや…… その立会人ってなに?」

 すっとジジさんが俺を真っ直ぐに見つめる。

「立会人は3人必要なのですが…… ひとりが急な病で……」

 いや、ジイさん。俺の質問はそこじゃない。
 そもそも「立会人」ってなにを立ちあうの?ってことを訊いているのだ。

「若様が無事童貞を捨てられ、筆おろしが出来たかどうか、それを見守るのです。そして、ときには若様を応援をするのです!」
「え? それって童貞喪失の間、ずっと若様は他の人に見られているってこと?」
「左様。当家の伝統―― そもそも、童貞の喪失を誰かが確認せねばならぬのです」
「つまり、俺が、若様の童貞喪失の現場を最初から最後まで見ているということ? 本気?」
「本気です!!」

 正気の沙汰ではないとは思うが、まあ日本でも江戸時代までは、似たような風習はあった。
 エライ人にとっては、子作りは仕事であり義務だ。
 それがしっかりできているかどうか、確認する仕事というのもあるわけだ。
 
 まあ、それは仕方ない。若様の応援とかするなら、してあげようかとは思う。
 しかし、それが原因で立たないんじゃないかともチラリと思ったりした。

 まあ、暗殺者だったトラウマが原因であるとか言っているけど……

「そして、若様が童貞喪失を失敗したら、私も、以前の立会人の後に続くのです…… 支配人、アナタもです」

 ジジイが不穏当なこと言った気がした。
「以前の立会人ってなに?」「後に続くってなに?」という疑問が浮かぶ。

「もし、若様が童貞喪失を失敗したら―― 3人目の立会人の剣により、はその場で死んで詫びるのです」
「え――――!! なんだとぉぉぉ!!」
「そのための3人目。腕利の処刑人ゆえ、痛みはないと申しますが……」

 ジジイ、ここにきて、重大発言じゃねーか。
 最初に言えよ。おまえ、しかし、なんで俺が!!

「な、なんで俺が立会人に!」
「もはや、支配人も当事者も同然、500万グオルドを受け取ったということは、その責任も生じますな」
「成功しても失敗しても――」
「だから、金はどうでもよろしい。どうぞお納めください。ただ、娼館支配人として、若様の童貞喪失、筆おろし失敗は、明らかに失態」
「あ……の、ですね……」
「もはや、立合人となり、最後まで見届け、その責を背負うのが、支配人としての本分であろう?」

 やばい……
 500万グオルドは受け取っている。
 そして、もう護衛とか準備しているし、この段階で返金とかできない。

 ガクガクと膝が震える。
 ミルキーさんが、若様の童貞喪失に失敗した場合。
 俺は死ぬ。ジジイと一緒に。
 
 なんか、話がトンデモナイことになってしまった。
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