23 / 35
五、美濃の強力娘、牛車をかりて活躍するの語
(三)
しおりを挟む
〝まったく、無茶するよなあ、アンタは〟
〝いくらオレが授けた強力があるからって、無茶苦茶すぎんだろ〟
暗いくらい、意識の沈んだなか、孤太の声が聞こえる。
〝どんだけ強力でも、アンタの体は元のまま、普通の女の体だってのに〟
うん。言われなくてもわかってる。
無茶しすぎたせいで、今、すっごく体が痛い。ギシギシと軋む古い牛車のようだし、体が鉛でできてるんじゃなかって思うぐらいに重くてたまらない。
こうしていろいろ言われてるのに、反論もできなければ、目を開けることも、体を動かすこともできない。
〝何度やらかしても懲りねえヤツだよ、アンタは〟
(うるさいな。多少は、これでも懲りてはいるんだよ)
孤太を助け、強力を得たばかりの頃。川にあった巨石を砕いた後も、こんなふうにぶっ倒れた。あの時も、体の痛みにうなされて、〝強力だからって、普通のガキなんだから無茶すんな〟って孤太に叱られたっけ。
〝これだから、オレがいなくちゃいけねえんだよあ。危なっかしくて目が離せねえ〟
(悪かったわね。危なっかしくて)
でもあそこでこの強力を使わなかったら、いつ使うってのよ。まだ今じゃないなって思ってるうちに、バッサリ殺されてたかもしんないのよ? そしたら、「あの時、力を使っておけば」ってあの世で後悔しちゃうじゃない。
反論できない体がもどかしい。体、動かしたい。
(え――っ!?)
必死なわたしの体に流れ込む、温かいもの。
頭から肩、腕、手、胸、腹、腰、尻、足、つま先。全身にそれが満ちていく。
(これ、覚えがある……)
岩をぶっ壊してぶっ倒れた時にも味わった感覚。重くて重くてたまらなかった体が、羽根のようにフワッと軽くなる。体はもう軋んだりしない。
これ、孤太の妖力だ。どういう仕組みでわたしのなかに流れ込んできてるのか、どうやって体の痛みを取り除いてるのか知らないけど、でも、この感覚をわたしは知ってる。
孤太が与えてくれる、優しい力。
(気持ちいい……)
頬が緩む。
〝もう、これに懲りたら、あんま無茶な力の使い方すんなよ〟
(うん。なるべく努力する)
〝でねえと、心配ししすぎて、オレの寿命が縮まっちまう〟
うるさいわね。アンタは妖狐なんだから、ちょっとぐらい縮んだってたいしたことないでしょ。
しおらしくなりかけた心がムッとする。
〝まあ、なんでもいいや。とりあえずこのまま休んでろ。明日には、動けるようになってるから〟
(うん。孤太、ありがとう)
言われるままに、浮かんできてた意識が溶けて沈んでいく。その感覚すら、今のわたしには心地いい。
〝へへっ〟
最後に、狐太のうれしそうな声を聞いた気がした。
* * * *
「――目が覚めたかい?」
言われ、差し込んだ光の明るさに、思わずウッと目をすがめる。
「……みや……さ、ま?」
その光を背に浴びて、かたわらに座っていらしたのは安積さま。呼びかけたくても、カラッカラの喉では、うまく言葉が紡げない。
「ああ、無理しなくていい」
身を起こしかけたわたしを、安積さまが押し止める。
「だいじょ、ぶ、です」
声がうまく出ないだけで。ちょっとボーッとしてるけど、辛いとかそういうのはないし。
「そうかい? じゃあ」
安積さまが後ろをふり返り、そこにいた見知らぬ女房に無言で頷き、合図を送る。女房の方も心得てるのか、こっちも頷き立ち去っていく。――無言で、主の言うことが理解できる女房ってすごいな。一連の動きを見て、ぼんやり思う。
「あの、宮さま、桜花さまは」
わたしたちを攫った悪漢、クソ侍。
牛車をぶっ壊して倒しての乱闘、そこから逃げ出したけど、安積さまのところにたどり着いてからの記憶が曖昧。ううん。乱闘、脱出まではハッキリ覚えてるけど、その先はあまりよくわからない。とにかく必死で、とにかく安積さまの元へって、それしか考えてなかった。
桜花さまがご無事ならいいんだけど。
「大丈夫だよ。今は寝ついているけど、無事だから安心して」
「そう……ですか」
それを聞いて、体中から力が抜ける。深くふかく息を吐き出す。
桜花さまが無事なら、無事に安積さまのもとに戻られたのなら、無茶をしたかいがあってものよ。孤太には、叱られるだろうけど。
(って、あれ? 孤太?)
いつもなら、すぐそばに控えてたりする孤太の姿がない。安積さまがいらしてるから、遠慮してる? そんな気の利いたことのできるヤツじゃないのに。
あの、苦しくて重くて辛かったなかで聞いた孤太の声。自分に流れ込んできた孤太の温かい力。それが今ないことに、秋風のような寂しさを覚える。
「――宮」
サヤサヤと絹がこすれるような音と、消え入るかどうかって風情の声。先程の女房が何か、捧げ持ってきたけど――ご飯? 汁粥?
「ずっと寝込んでいただろう? 少し、食べられるかい?」
「え? あの?」
粥の載った膳だけ置いて、また立ち去る女房。そして、その粥に添えられた匙を手にする安積さま――って。
「だ、だだだっ、大丈夫っ、大丈夫ですからっ!」
「お腹空いてないの?」
「いえ、そういうわけじゃないですけどっ!」
粥の匂いにつられて、お腹がグゥッてへっ込みましたよ。でも、だからって、安積さまに給餌されるのはちょっと! 粥を匙ですくった安積さまを、全力で遮る。
「なら、口を開けて。その手では食べられないだろう?」
その手って。見れば、わたしの両手、グッルグルに分厚く布が巻かれてて、指が何本あるのかもわかんない状態。怪我でもして、手当てされてた? だから、食べさせてくれようとしてる? 安積さまが? 手ずから?
「大丈夫です! ほら、もう治ってますから!」
手のひらから指先まで。フンッと隅々まで力を入れて、中から布を引きちぎると、急いで治ってることを安積さまに見せる。体の辛さも、手の怪我も、全部孤太が治してくれましたから!
「ほら! もう大丈夫です!」
ヒラヒラと手のひら手の甲をかざして、無事なことをお知らせするけど。
「……ブッ」
一瞬目を丸くなさった安積さま。大きく吹き出した後、口元を押さえ、クックッと笑い出した。
「そ、そうだね。ハハッ、治ってるね、よっ、よかった、ククッ……」
笑いの合間に「よかった」って言われても、なんか全然「よかった」になってないような。
「せっかく、きみに粥を食べさせてあげる栄誉に預かれると思ったのに。残念だな」
いや、そんな栄誉はありませんって。
「――まあいい。楽しみは次に取っておくことにしよう」
コトリと椀と匙を置かれた安積さま。ってか「楽しみ」ってなんですか! 意味深すぎる!
「今、きみの小舎人童には、きみたちが捕らわれてた所へ案内を頼んでるんだ。もう犯人の痕跡は残ってないかもしれないけど、それでも、ね」
なるほど。
それで、孤太がいなかったわけね。
桜花さまは無事だったけど、誰がどういう目的で攫ったのか、調べる必要がある。けど、捕らわれてた場所がどこか、桜花さまにお尋ねすることはできないし、わたしはぶっ倒れてたしで、孤太に案内させたと。
「ここは、真成の母、僕の乳母の屋敷だ。だから安心して、ゆっくり体を休めるといい」
「あ、ありがとうございます」
いいのかな。あんなことがあったのに、休んでていいのかな。
孤太じゃないけど、わたしにも手伝えることがあるんじゃないのかな。
そう思うわたしの前で、スッと立ち上がった安積さま。そのまま室から出ていこうとなさる。
「菫野」
御簾のところで、安積さまが立ち止まる。
「――ありがとう。無事でよかった」
ふり向かず、呟くように、囁くように言われたお礼。
「いえ。これぐらいなんでもないですよ」
桜花さまを守れてよかった。桜花さまがご無事でよかった。それだけですから、わたし。
そう言って返すと、安積さまの横顔、かすかに口元が緩んだように見えた。
〝いくらオレが授けた強力があるからって、無茶苦茶すぎんだろ〟
暗いくらい、意識の沈んだなか、孤太の声が聞こえる。
〝どんだけ強力でも、アンタの体は元のまま、普通の女の体だってのに〟
うん。言われなくてもわかってる。
無茶しすぎたせいで、今、すっごく体が痛い。ギシギシと軋む古い牛車のようだし、体が鉛でできてるんじゃなかって思うぐらいに重くてたまらない。
こうしていろいろ言われてるのに、反論もできなければ、目を開けることも、体を動かすこともできない。
〝何度やらかしても懲りねえヤツだよ、アンタは〟
(うるさいな。多少は、これでも懲りてはいるんだよ)
孤太を助け、強力を得たばかりの頃。川にあった巨石を砕いた後も、こんなふうにぶっ倒れた。あの時も、体の痛みにうなされて、〝強力だからって、普通のガキなんだから無茶すんな〟って孤太に叱られたっけ。
〝これだから、オレがいなくちゃいけねえんだよあ。危なっかしくて目が離せねえ〟
(悪かったわね。危なっかしくて)
でもあそこでこの強力を使わなかったら、いつ使うってのよ。まだ今じゃないなって思ってるうちに、バッサリ殺されてたかもしんないのよ? そしたら、「あの時、力を使っておけば」ってあの世で後悔しちゃうじゃない。
反論できない体がもどかしい。体、動かしたい。
(え――っ!?)
必死なわたしの体に流れ込む、温かいもの。
頭から肩、腕、手、胸、腹、腰、尻、足、つま先。全身にそれが満ちていく。
(これ、覚えがある……)
岩をぶっ壊してぶっ倒れた時にも味わった感覚。重くて重くてたまらなかった体が、羽根のようにフワッと軽くなる。体はもう軋んだりしない。
これ、孤太の妖力だ。どういう仕組みでわたしのなかに流れ込んできてるのか、どうやって体の痛みを取り除いてるのか知らないけど、でも、この感覚をわたしは知ってる。
孤太が与えてくれる、優しい力。
(気持ちいい……)
頬が緩む。
〝もう、これに懲りたら、あんま無茶な力の使い方すんなよ〟
(うん。なるべく努力する)
〝でねえと、心配ししすぎて、オレの寿命が縮まっちまう〟
うるさいわね。アンタは妖狐なんだから、ちょっとぐらい縮んだってたいしたことないでしょ。
しおらしくなりかけた心がムッとする。
〝まあ、なんでもいいや。とりあえずこのまま休んでろ。明日には、動けるようになってるから〟
(うん。孤太、ありがとう)
言われるままに、浮かんできてた意識が溶けて沈んでいく。その感覚すら、今のわたしには心地いい。
〝へへっ〟
最後に、狐太のうれしそうな声を聞いた気がした。
* * * *
「――目が覚めたかい?」
言われ、差し込んだ光の明るさに、思わずウッと目をすがめる。
「……みや……さ、ま?」
その光を背に浴びて、かたわらに座っていらしたのは安積さま。呼びかけたくても、カラッカラの喉では、うまく言葉が紡げない。
「ああ、無理しなくていい」
身を起こしかけたわたしを、安積さまが押し止める。
「だいじょ、ぶ、です」
声がうまく出ないだけで。ちょっとボーッとしてるけど、辛いとかそういうのはないし。
「そうかい? じゃあ」
安積さまが後ろをふり返り、そこにいた見知らぬ女房に無言で頷き、合図を送る。女房の方も心得てるのか、こっちも頷き立ち去っていく。――無言で、主の言うことが理解できる女房ってすごいな。一連の動きを見て、ぼんやり思う。
「あの、宮さま、桜花さまは」
わたしたちを攫った悪漢、クソ侍。
牛車をぶっ壊して倒しての乱闘、そこから逃げ出したけど、安積さまのところにたどり着いてからの記憶が曖昧。ううん。乱闘、脱出まではハッキリ覚えてるけど、その先はあまりよくわからない。とにかく必死で、とにかく安積さまの元へって、それしか考えてなかった。
桜花さまがご無事ならいいんだけど。
「大丈夫だよ。今は寝ついているけど、無事だから安心して」
「そう……ですか」
それを聞いて、体中から力が抜ける。深くふかく息を吐き出す。
桜花さまが無事なら、無事に安積さまのもとに戻られたのなら、無茶をしたかいがあってものよ。孤太には、叱られるだろうけど。
(って、あれ? 孤太?)
いつもなら、すぐそばに控えてたりする孤太の姿がない。安積さまがいらしてるから、遠慮してる? そんな気の利いたことのできるヤツじゃないのに。
あの、苦しくて重くて辛かったなかで聞いた孤太の声。自分に流れ込んできた孤太の温かい力。それが今ないことに、秋風のような寂しさを覚える。
「――宮」
サヤサヤと絹がこすれるような音と、消え入るかどうかって風情の声。先程の女房が何か、捧げ持ってきたけど――ご飯? 汁粥?
「ずっと寝込んでいただろう? 少し、食べられるかい?」
「え? あの?」
粥の載った膳だけ置いて、また立ち去る女房。そして、その粥に添えられた匙を手にする安積さま――って。
「だ、だだだっ、大丈夫っ、大丈夫ですからっ!」
「お腹空いてないの?」
「いえ、そういうわけじゃないですけどっ!」
粥の匂いにつられて、お腹がグゥッてへっ込みましたよ。でも、だからって、安積さまに給餌されるのはちょっと! 粥を匙ですくった安積さまを、全力で遮る。
「なら、口を開けて。その手では食べられないだろう?」
その手って。見れば、わたしの両手、グッルグルに分厚く布が巻かれてて、指が何本あるのかもわかんない状態。怪我でもして、手当てされてた? だから、食べさせてくれようとしてる? 安積さまが? 手ずから?
「大丈夫です! ほら、もう治ってますから!」
手のひらから指先まで。フンッと隅々まで力を入れて、中から布を引きちぎると、急いで治ってることを安積さまに見せる。体の辛さも、手の怪我も、全部孤太が治してくれましたから!
「ほら! もう大丈夫です!」
ヒラヒラと手のひら手の甲をかざして、無事なことをお知らせするけど。
「……ブッ」
一瞬目を丸くなさった安積さま。大きく吹き出した後、口元を押さえ、クックッと笑い出した。
「そ、そうだね。ハハッ、治ってるね、よっ、よかった、ククッ……」
笑いの合間に「よかった」って言われても、なんか全然「よかった」になってないような。
「せっかく、きみに粥を食べさせてあげる栄誉に預かれると思ったのに。残念だな」
いや、そんな栄誉はありませんって。
「――まあいい。楽しみは次に取っておくことにしよう」
コトリと椀と匙を置かれた安積さま。ってか「楽しみ」ってなんですか! 意味深すぎる!
「今、きみの小舎人童には、きみたちが捕らわれてた所へ案内を頼んでるんだ。もう犯人の痕跡は残ってないかもしれないけど、それでも、ね」
なるほど。
それで、孤太がいなかったわけね。
桜花さまは無事だったけど、誰がどういう目的で攫ったのか、調べる必要がある。けど、捕らわれてた場所がどこか、桜花さまにお尋ねすることはできないし、わたしはぶっ倒れてたしで、孤太に案内させたと。
「ここは、真成の母、僕の乳母の屋敷だ。だから安心して、ゆっくり体を休めるといい」
「あ、ありがとうございます」
いいのかな。あんなことがあったのに、休んでていいのかな。
孤太じゃないけど、わたしにも手伝えることがあるんじゃないのかな。
そう思うわたしの前で、スッと立ち上がった安積さま。そのまま室から出ていこうとなさる。
「菫野」
御簾のところで、安積さまが立ち止まる。
「――ありがとう。無事でよかった」
ふり向かず、呟くように、囁くように言われたお礼。
「いえ。これぐらいなんでもないですよ」
桜花さまを守れてよかった。桜花さまがご無事でよかった。それだけですから、わたし。
そう言って返すと、安積さまの横顔、かすかに口元が緩んだように見えた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる