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巻の六、男女一組を箱に入れてシャカシャカすると?
とりあえず。
今の自分の状況を考察してみる。
まず。
・家のために、後宮に入ったけど、皇太子殿下に選ばれず、それでも命令通りに集まったのだから、後宮に置いてくれてもいいのに、殿下が「〝真実の愛〟、ただ一人しか愛さない教」の教徒だったから、放り出されてしまった。
・家にいても、家族は何も言わないけど、「出戻り女」「殿下にも相手にされなかった醜女」と噂されるのも嫌だったし、なにより明順が「結婚して欲しい」って申し込んでくれたから、言う通りに結婚した。
・けど、どれだけ待っても明順は、男女のそういうことをしてくれない。正式な結婚はまだ先だから。色々あって、わたしも気持ちが落ち着いてないだろうから。そう説明されたけど、だからって会いにも来ない、放置されっぱなしってどうなの? な現状。
普通。
普通、これが物語ならさ。
明順「梨花、キミの良さをわからないだなんて、皇太子殿下の目は節穴だな」
(とか言いながら、そっとわたしの髪に触れる明順の手)
明順「でも、節穴で良かった。でなければ、今頃、殿下にキミをとられているところだった」
わたし「明順……」
明順「キミより素敵な女性はいないというのに。見る目のない皇太子殿下には腹が立つけど。でもそのおかげで、キミを僕の妻にすることができた。殿下の盲目ぶりに感謝だな」
わたし「そんなこと、仰ってはいけませんわ」
(言いながら、まんざらでもないわたし。一応、シナを作って彼に寄り添う)
みたいな展開を起こしてさ。
朝に、二人で一糸まとわぬ姿で、抱き合って目が覚めるのよ。(間に何があったかは、割愛。想像できない)
そして。
皇太子「俺のことが好きだったんだろう、梨花」
(どういう状況か知らないけど、わたしが、壁際まで追い詰められ、圧迫するように、壁に腕をついた皇太子に迫られる状況)
わたし「そ、そんなことありませんわっ! アナタさまには玲麗さまが、いらっしゃるではないですか!」
(それなのに。それなのに)
皇太子「彼女は、お前を挑発するための道具にすぎん。お前が嫉妬してくれるのを待ってたんだ、俺は」
※ ものすごいご都合入ってます。
皇太子「お前が、あの白虎将軍と結婚したのだって、俺を嫉妬させるためだろう?」
わたし「そっ……!」
(言葉を失う)
皇太子「ここからは、互いに真実の愛を語らおうではないか」
(無理やり口づけをしようと迫る皇太子だけど)
明順「そこまでにしていただきましょうか、殿下」
(現れた明順。彼らしくない、礼儀すら忘れた怒りの表情で、ギリッと皇太子の腕を捻り上げ、わたしを救出)
明順「どういう経緯があったにせよ、梨花は私の妻です。たとえアナタさまでも、お渡しすることはできません」
(わたしも、タタッと小走りになって、明順にすがりに行く。そして)
わたし「殿下。ワタクシがお慕いしているのは、この夫、呉明順だけですわ」
皇太子「では、俺はどうしたらいいんだ?」
わたし「玲麗さまがいらっしゃるでしょう? あの方と真実の愛を見つけたと仰ったのは殿下ではございませんか」
(絶望顔の皇太子)
わたし「殿下がどれだけワタクシを熱望してくださっても、ワタクシは夫のそばを離れるつもりはございません。ワタクシも殿下に負けず、真実の愛を見つけました。ワタクシが愛しているのは彼、ただ一人なのです」
※ 劇なら、ここで騒々しいほど壮大な音楽が流れる。そして、いつの間にか皇太子は退場してて、(というか場面が変わって) 枝垂れ咲く藤の花が舞い散るなか、互いを見つめ合う、わたしと明順。
明順「僕を……、ただの将軍にすぎない僕を選んでくれるのかい?」
わたし「ええ。アナタ以外、誰にも恋したりしないわ」
※ 情緒的な曲を、二胡が奏でてくれる。
わたし「皇太子殿下に捨てられたことは、とても悲しかった。でも……」
(わたしを抱きしめてくれる彼の腕に、わたしもそっと手を重ねる)
わたし「アナタと夫婦になる。そういう運命にあったのだと。ワタクシ、アナタと夫婦になれたこと、幸せに思ってるのよ」
明順「梨花……」
わたし「女性の幸せは、なにも皇太子妃、皇后になることだけじゃないわ。こうして深く愛されることこそ、至上の幸せなのではなくて?」
みーたーいーなー。
これ以上は、わたしの妄想力では無理だったので割愛。
世の中には、「ワタクシを捨てた殿下。彼がドンドン転落不幸になっていくのを尻目に、ワタクシは、もっと素敵な男性に溺愛されて、殿下に『ザマアミロ』って言ってやりたいですわ」な物語があるけど。
「ザマアミロ」を言うために、明順と大恋愛するんじゃなくて。明順と大恋愛してたら、いつの間にか皇太子が転落不幸になってて。「あらあら、お可哀想に」(クスッ)って感じ。
うん。悪くない。悪くないわ。
(でも……)
その場合、玲麗さまが、とんでも最低女で、選んだ皇太子殿下が大後悔した上に、実はわたしのことも「良い!」って思ってなくちゃいけなくて。
なにより、明順がわたしを超溺愛してくれなきゃ。
そうでないと、物語が成立しない。
(明順、顔はいいんだけどなあ)
秀でた額に、スッと伸びた鼻梁。無駄な肉なんてなさそうな、スラリと高い体躯。
昔は、泣き虫で蕃茄食べられなかった、情けない、頼りない男の子だったけど、今は、若々しく素敵な将軍になっている。
物語の主役を張れそうなほど、カッコいいんだけど。
(わたしを愛してくれる、超溺愛って部分が……)
結婚したけど、全然そういう様子のない明順。いっしょの家に暮らしてるのに、顔も合わせない。会いにも来ない。
いったい、なんのために結婚したのかわかんない相手、明順。
もしかしたら……。
将軍としてやっていくのに、「そろそろ身を固めろ」って周囲がうるさいから結婚した。
結婚相手は誰でも良かったから、人助けの意味も込めて、後宮から追い出されて行く先ナシの幼馴染を助けてやろう。
恋愛感情? 蕃茄が苦手な僕に、「男の子なんだから食べなさい!」って迫ってくるような幼馴染に、どうやったらそんな感情を抱けるっていうんだい?
――なんて理由での結婚だったら?
(ダメだ)
ペションと、卓に突っ伏す。
明順とどうにかなりたい! なんて思ってないけど、でも、この現状は宙ぶらりんすぎて、ものすごく嫌。なんのヤル気も出てこない。
ポカッとお腹に穴の空いたような、そんな感じ。
(誰か、わたしと彼を混ぜ混ぜしてくれないかなあ)
物語のように。
一組の男女を箱に入れてシャカシャカしたら、いつの間にか二人がまぐわってましたーみたいな。
そんな安易な筋でいいから、道筋つけてほしい。
今の自分の状況を考察してみる。
まず。
・家のために、後宮に入ったけど、皇太子殿下に選ばれず、それでも命令通りに集まったのだから、後宮に置いてくれてもいいのに、殿下が「〝真実の愛〟、ただ一人しか愛さない教」の教徒だったから、放り出されてしまった。
・家にいても、家族は何も言わないけど、「出戻り女」「殿下にも相手にされなかった醜女」と噂されるのも嫌だったし、なにより明順が「結婚して欲しい」って申し込んでくれたから、言う通りに結婚した。
・けど、どれだけ待っても明順は、男女のそういうことをしてくれない。正式な結婚はまだ先だから。色々あって、わたしも気持ちが落ち着いてないだろうから。そう説明されたけど、だからって会いにも来ない、放置されっぱなしってどうなの? な現状。
普通。
普通、これが物語ならさ。
明順「梨花、キミの良さをわからないだなんて、皇太子殿下の目は節穴だな」
(とか言いながら、そっとわたしの髪に触れる明順の手)
明順「でも、節穴で良かった。でなければ、今頃、殿下にキミをとられているところだった」
わたし「明順……」
明順「キミより素敵な女性はいないというのに。見る目のない皇太子殿下には腹が立つけど。でもそのおかげで、キミを僕の妻にすることができた。殿下の盲目ぶりに感謝だな」
わたし「そんなこと、仰ってはいけませんわ」
(言いながら、まんざらでもないわたし。一応、シナを作って彼に寄り添う)
みたいな展開を起こしてさ。
朝に、二人で一糸まとわぬ姿で、抱き合って目が覚めるのよ。(間に何があったかは、割愛。想像できない)
そして。
皇太子「俺のことが好きだったんだろう、梨花」
(どういう状況か知らないけど、わたしが、壁際まで追い詰められ、圧迫するように、壁に腕をついた皇太子に迫られる状況)
わたし「そ、そんなことありませんわっ! アナタさまには玲麗さまが、いらっしゃるではないですか!」
(それなのに。それなのに)
皇太子「彼女は、お前を挑発するための道具にすぎん。お前が嫉妬してくれるのを待ってたんだ、俺は」
※ ものすごいご都合入ってます。
皇太子「お前が、あの白虎将軍と結婚したのだって、俺を嫉妬させるためだろう?」
わたし「そっ……!」
(言葉を失う)
皇太子「ここからは、互いに真実の愛を語らおうではないか」
(無理やり口づけをしようと迫る皇太子だけど)
明順「そこまでにしていただきましょうか、殿下」
(現れた明順。彼らしくない、礼儀すら忘れた怒りの表情で、ギリッと皇太子の腕を捻り上げ、わたしを救出)
明順「どういう経緯があったにせよ、梨花は私の妻です。たとえアナタさまでも、お渡しすることはできません」
(わたしも、タタッと小走りになって、明順にすがりに行く。そして)
わたし「殿下。ワタクシがお慕いしているのは、この夫、呉明順だけですわ」
皇太子「では、俺はどうしたらいいんだ?」
わたし「玲麗さまがいらっしゃるでしょう? あの方と真実の愛を見つけたと仰ったのは殿下ではございませんか」
(絶望顔の皇太子)
わたし「殿下がどれだけワタクシを熱望してくださっても、ワタクシは夫のそばを離れるつもりはございません。ワタクシも殿下に負けず、真実の愛を見つけました。ワタクシが愛しているのは彼、ただ一人なのです」
※ 劇なら、ここで騒々しいほど壮大な音楽が流れる。そして、いつの間にか皇太子は退場してて、(というか場面が変わって) 枝垂れ咲く藤の花が舞い散るなか、互いを見つめ合う、わたしと明順。
明順「僕を……、ただの将軍にすぎない僕を選んでくれるのかい?」
わたし「ええ。アナタ以外、誰にも恋したりしないわ」
※ 情緒的な曲を、二胡が奏でてくれる。
わたし「皇太子殿下に捨てられたことは、とても悲しかった。でも……」
(わたしを抱きしめてくれる彼の腕に、わたしもそっと手を重ねる)
わたし「アナタと夫婦になる。そういう運命にあったのだと。ワタクシ、アナタと夫婦になれたこと、幸せに思ってるのよ」
明順「梨花……」
わたし「女性の幸せは、なにも皇太子妃、皇后になることだけじゃないわ。こうして深く愛されることこそ、至上の幸せなのではなくて?」
みーたーいーなー。
これ以上は、わたしの妄想力では無理だったので割愛。
世の中には、「ワタクシを捨てた殿下。彼がドンドン転落不幸になっていくのを尻目に、ワタクシは、もっと素敵な男性に溺愛されて、殿下に『ザマアミロ』って言ってやりたいですわ」な物語があるけど。
「ザマアミロ」を言うために、明順と大恋愛するんじゃなくて。明順と大恋愛してたら、いつの間にか皇太子が転落不幸になってて。「あらあら、お可哀想に」(クスッ)って感じ。
うん。悪くない。悪くないわ。
(でも……)
その場合、玲麗さまが、とんでも最低女で、選んだ皇太子殿下が大後悔した上に、実はわたしのことも「良い!」って思ってなくちゃいけなくて。
なにより、明順がわたしを超溺愛してくれなきゃ。
そうでないと、物語が成立しない。
(明順、顔はいいんだけどなあ)
秀でた額に、スッと伸びた鼻梁。無駄な肉なんてなさそうな、スラリと高い体躯。
昔は、泣き虫で蕃茄食べられなかった、情けない、頼りない男の子だったけど、今は、若々しく素敵な将軍になっている。
物語の主役を張れそうなほど、カッコいいんだけど。
(わたしを愛してくれる、超溺愛って部分が……)
結婚したけど、全然そういう様子のない明順。いっしょの家に暮らしてるのに、顔も合わせない。会いにも来ない。
いったい、なんのために結婚したのかわかんない相手、明順。
もしかしたら……。
将軍としてやっていくのに、「そろそろ身を固めろ」って周囲がうるさいから結婚した。
結婚相手は誰でも良かったから、人助けの意味も込めて、後宮から追い出されて行く先ナシの幼馴染を助けてやろう。
恋愛感情? 蕃茄が苦手な僕に、「男の子なんだから食べなさい!」って迫ってくるような幼馴染に、どうやったらそんな感情を抱けるっていうんだい?
――なんて理由での結婚だったら?
(ダメだ)
ペションと、卓に突っ伏す。
明順とどうにかなりたい! なんて思ってないけど、でも、この現状は宙ぶらりんすぎて、ものすごく嫌。なんのヤル気も出てこない。
ポカッとお腹に穴の空いたような、そんな感じ。
(誰か、わたしと彼を混ぜ混ぜしてくれないかなあ)
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