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巻の十七、未練を忘れるぐらいの愛で
「――梨花? どうしてここに」
「アナタが会いに来てくれないから、来ちゃった」
今度は正門から。堂々と。夜陰に乗じるわけじゃなく、下男に足元を手燭で照らしてもらいながら、彼の居室に。
「来ちゃったって……。その。体は……」
「平気よ。別に斬られたわけじゃないし?」
あの時は驚いただけだし?
「ごめん! あそこにいるの、キミだなんて思いもしなくて!」
ピョコッ!
わたしに頭を下げた明順。その腰の角度、ほぼ直角。
「あれは、わたしも悪かった。だから、そんなふうに謝らないで」
アンタ、仮にもこの国を護る白虎将軍でしょうが。
「でも……」
「『でも』も『はも』もない!」
「はいっ!」
だから、なぜ、そんなにピシッと背を伸ばすの。わたしのこと、そんなに怖いの? まあ、キッツイ言い方してるなあって、自覚はあるけど。
「とにかく」
ハアッとわざとらしく息を吐き出して、空気を変える。
「今回はわたしが謝りたかったの。急に忍び込んで驚かしてごめんなさいって」
「梨花……」
「それと。前回言えなかったことを伝えたかったの。『お帰りなさい』、『無事のご帰還、祝着至極にございます』って」
わざと軽く言いたくて。作り笑顔をしようと思ったら、普通に笑みが湧いてきた。
「ホントに、無事に帰ってきて、ホント、良かった……」
笑みだけじゃない。涙が勝手に溢れてきた。
「梨花……」
「わっ、わたし、ずっと、こわ、怖かっ……たの。アンタが、帰って、来なかっ……たらって。それで、それで……」
ヒグッ。グズッ。
溢れるのは涙だけじゃない。よくわからない感情と、鼻水も押し寄せてくる。
「それで、布を織ってくれてたの?」
「う……んっ。そういうのっ、本で読んだ、からっ……」
機を織ったり、舞いを舞ったり。歌を詠んだり、刺繍を刺したり。
どれでもいい。ただ一心に無事だけを祈って、なにかに夢中になれたら。
「ありがとう」
シュッと衣擦れの音。
ついで、温かいものに包まれる感覚。
「みっ、明順……!」
これ以上ないってぐらい、涙がブワッと溢れ出る。
彼に抱きしめられ、その胸にわたしの涙が染み込んでいく。
「梨花の機を織る音。僕に届いてたよ」
「ふえっ!?」
「不思議なことにね。ずっと僕にだけ、機織りの音が聞こえてた。どうしてって思ってたけど、キミのお義姉さんたちからあの布を渡されて、――納得したんだ。キミが織ってくれてたんだって。機織りで、僕の無事を願ってくれてたんだって」
「明順……」
彼の腕のなか、少しだけモゾモゾ動いて、その顔を見上げる。すると、柔らかな視線がわたしに降りてきた。
「僕はキミのお陰で、こうして無事に帰ってこられた」
「あんな下手くそな布なのに?」
布っていうより、筵だったのに?
「下手くそじゃないよ。僕にとっては、かけがえのない至高の宝だ」
伸びてきた、彼の指の腹が、わたしの涙を拭う。
「キミが、僕の無事を願ってくれた。慣れない機を、一生懸命頑張ってくれた」
ついで、わたしの手を取る。
「こんなに手を荒らしてまで」
「こ、これは……っ!」
ガッサガサになった指。薄けた指紋。糸に手の脂を取られた結果。
糸が切った傷跡もいくつか。機を止めた今も残る赤い跡。
およそ後宮にいたときは、なかった手の荒れかた。
「荒れた手を見るのは辛いけど。でもうれしいと思ってしまうんだ」
チュッ。
信じられない音が、わたしの手の上でした。彼が、明順がわたしの手に口づけたのだ。
「梨花。僕はキミが好きだ」
「明順……」
「キミの、その優しいところが好きだ。元気で明るく、クルクル変わるその表情が好きだ。コッソリ忍び込んでくる行動力も好きだ」
真摯な眼差しが、わたしに降り注ぐ。けど。
「――違うな」
告白の途中っぽいのに、なぜか立ち止まるような様子の明順。
まさか、「好き」じゃなくて「好きだった」、それは過去の感情だって気づいた――とか?
「僕は、キミのすべてが好きなんだ。どこがってわけじゃない。キミがキミだから、そのすべてが好きなんだ」
違った。
「好き」の範囲が広がっただけだ。
そして。
「僕は、ずっとキミが好きで。キミを手に入れたくて、将軍にまで上り詰めた」
「え?」
将軍になったのは、わたしを手に入れるため?
「将軍になって、戦功を立てれば、もしかしたら後宮の女性を下賜されるよう願い出ることもできるかもしれないって思ったんだ」
「じゃあ……」
「まさか、戦功を立てる前に、キミが後宮から帰って来るとは思わなかったけど」
少しだけ頬を緩めた明順。
「でも、帰ってきたら、また違う男に取られるかもしれない。そう思ったら怖くなって、急いで結婚を申し込んだ。キミの気持ちも考えないで」
「わたしの……気持ち?」
ナニソレ。
「キミが、もしかしたら皇太子殿下に想いを寄せてるかもしれない。そう思ったら、急に怖くなったんだ。キミの窮地につけこんで、無理やり結婚したから」
ナニソレ。ナニソレ。
「明順!」
ブチュ。
思いっきりバチンと彼の両頬を叩いて押し潰す。
「わたし、いつ、皇太子なんかを好きって言った?」
「言ってません……」
「わたしはね、あんな自分の恋愛さえよければいい、それで他の人の人生が狂わされても気にしてないってヤツが大っきらいなの!」
「梨花……」
「あー、腹立つ! もしかして、ずっと手を出してこなかったのも、そのため?」
ウン。
わたしの手のなかで、明順が頷く。
「じゃあ、皇太子がわたしを返せって言ったら、『はい、どうぞ』って返すつもりだったの?」
ウウン。
ブンブンと首を横に振った。
「わたしはね。たとえ、わたしが皇太子に想いを寄せてたとしても、未練があったとしても。それを忘れさせるぐらい大きな愛で包まれたかったの」
「梨花……」
ズルズルと、頬を押しつぶしていた手から力が抜ける。
皇太子なんて少しも好きじゃない、むしろ嫌いだけど。
もし万が一好きだったとしても、それを忘れるぐらいの愛を与えられたかった。
「わたしが欲しくて、将軍になったっていうのなら。それぐらい愛してくれているのなら。わたしを、アンタの愛で満たしてよ」
止まったはずの涙。
またブワッと溢れ出す。
「……僕は、大馬鹿者だったんだね」
「今更気づいたの?」
敵を嵌める智略も、敵を蹴散らす武力も持ってるかもしれないけど、アンタなんて、わたしの気持ちすら理解しない、朴念仁のトウヘンボクの大馬鹿者なのよ。
……まあ、わたしも頑固で意地っ張りで素直じゃない、大馬鹿者だけど。
「梨花」
名を呼んで。静かに彼の唇が降りてくる。
頬を包まれて。最初はついばむように。次第に長く、深く口づけを交わす。
「明順、好き……」
口づけの合間にこぼれた本音。
言葉にしたことで、自分の感情がストンと胸に落ちて広がる。
わたし、明順が好きなんだ。
だから、いっぱいモヤモヤしたし、想いが通じた今をこんなにうれしく思ってる。
「アナタが会いに来てくれないから、来ちゃった」
今度は正門から。堂々と。夜陰に乗じるわけじゃなく、下男に足元を手燭で照らしてもらいながら、彼の居室に。
「来ちゃったって……。その。体は……」
「平気よ。別に斬られたわけじゃないし?」
あの時は驚いただけだし?
「ごめん! あそこにいるの、キミだなんて思いもしなくて!」
ピョコッ!
わたしに頭を下げた明順。その腰の角度、ほぼ直角。
「あれは、わたしも悪かった。だから、そんなふうに謝らないで」
アンタ、仮にもこの国を護る白虎将軍でしょうが。
「でも……」
「『でも』も『はも』もない!」
「はいっ!」
だから、なぜ、そんなにピシッと背を伸ばすの。わたしのこと、そんなに怖いの? まあ、キッツイ言い方してるなあって、自覚はあるけど。
「とにかく」
ハアッとわざとらしく息を吐き出して、空気を変える。
「今回はわたしが謝りたかったの。急に忍び込んで驚かしてごめんなさいって」
「梨花……」
「それと。前回言えなかったことを伝えたかったの。『お帰りなさい』、『無事のご帰還、祝着至極にございます』って」
わざと軽く言いたくて。作り笑顔をしようと思ったら、普通に笑みが湧いてきた。
「ホントに、無事に帰ってきて、ホント、良かった……」
笑みだけじゃない。涙が勝手に溢れてきた。
「梨花……」
「わっ、わたし、ずっと、こわ、怖かっ……たの。アンタが、帰って、来なかっ……たらって。それで、それで……」
ヒグッ。グズッ。
溢れるのは涙だけじゃない。よくわからない感情と、鼻水も押し寄せてくる。
「それで、布を織ってくれてたの?」
「う……んっ。そういうのっ、本で読んだ、からっ……」
機を織ったり、舞いを舞ったり。歌を詠んだり、刺繍を刺したり。
どれでもいい。ただ一心に無事だけを祈って、なにかに夢中になれたら。
「ありがとう」
シュッと衣擦れの音。
ついで、温かいものに包まれる感覚。
「みっ、明順……!」
これ以上ないってぐらい、涙がブワッと溢れ出る。
彼に抱きしめられ、その胸にわたしの涙が染み込んでいく。
「梨花の機を織る音。僕に届いてたよ」
「ふえっ!?」
「不思議なことにね。ずっと僕にだけ、機織りの音が聞こえてた。どうしてって思ってたけど、キミのお義姉さんたちからあの布を渡されて、――納得したんだ。キミが織ってくれてたんだって。機織りで、僕の無事を願ってくれてたんだって」
「明順……」
彼の腕のなか、少しだけモゾモゾ動いて、その顔を見上げる。すると、柔らかな視線がわたしに降りてきた。
「僕はキミのお陰で、こうして無事に帰ってこられた」
「あんな下手くそな布なのに?」
布っていうより、筵だったのに?
「下手くそじゃないよ。僕にとっては、かけがえのない至高の宝だ」
伸びてきた、彼の指の腹が、わたしの涙を拭う。
「キミが、僕の無事を願ってくれた。慣れない機を、一生懸命頑張ってくれた」
ついで、わたしの手を取る。
「こんなに手を荒らしてまで」
「こ、これは……っ!」
ガッサガサになった指。薄けた指紋。糸に手の脂を取られた結果。
糸が切った傷跡もいくつか。機を止めた今も残る赤い跡。
およそ後宮にいたときは、なかった手の荒れかた。
「荒れた手を見るのは辛いけど。でもうれしいと思ってしまうんだ」
チュッ。
信じられない音が、わたしの手の上でした。彼が、明順がわたしの手に口づけたのだ。
「梨花。僕はキミが好きだ」
「明順……」
「キミの、その優しいところが好きだ。元気で明るく、クルクル変わるその表情が好きだ。コッソリ忍び込んでくる行動力も好きだ」
真摯な眼差しが、わたしに降り注ぐ。けど。
「――違うな」
告白の途中っぽいのに、なぜか立ち止まるような様子の明順。
まさか、「好き」じゃなくて「好きだった」、それは過去の感情だって気づいた――とか?
「僕は、キミのすべてが好きなんだ。どこがってわけじゃない。キミがキミだから、そのすべてが好きなんだ」
違った。
「好き」の範囲が広がっただけだ。
そして。
「僕は、ずっとキミが好きで。キミを手に入れたくて、将軍にまで上り詰めた」
「え?」
将軍になったのは、わたしを手に入れるため?
「将軍になって、戦功を立てれば、もしかしたら後宮の女性を下賜されるよう願い出ることもできるかもしれないって思ったんだ」
「じゃあ……」
「まさか、戦功を立てる前に、キミが後宮から帰って来るとは思わなかったけど」
少しだけ頬を緩めた明順。
「でも、帰ってきたら、また違う男に取られるかもしれない。そう思ったら怖くなって、急いで結婚を申し込んだ。キミの気持ちも考えないで」
「わたしの……気持ち?」
ナニソレ。
「キミが、もしかしたら皇太子殿下に想いを寄せてるかもしれない。そう思ったら、急に怖くなったんだ。キミの窮地につけこんで、無理やり結婚したから」
ナニソレ。ナニソレ。
「明順!」
ブチュ。
思いっきりバチンと彼の両頬を叩いて押し潰す。
「わたし、いつ、皇太子なんかを好きって言った?」
「言ってません……」
「わたしはね、あんな自分の恋愛さえよければいい、それで他の人の人生が狂わされても気にしてないってヤツが大っきらいなの!」
「梨花……」
「あー、腹立つ! もしかして、ずっと手を出してこなかったのも、そのため?」
ウン。
わたしの手のなかで、明順が頷く。
「じゃあ、皇太子がわたしを返せって言ったら、『はい、どうぞ』って返すつもりだったの?」
ウウン。
ブンブンと首を横に振った。
「わたしはね。たとえ、わたしが皇太子に想いを寄せてたとしても、未練があったとしても。それを忘れさせるぐらい大きな愛で包まれたかったの」
「梨花……」
ズルズルと、頬を押しつぶしていた手から力が抜ける。
皇太子なんて少しも好きじゃない、むしろ嫌いだけど。
もし万が一好きだったとしても、それを忘れるぐらいの愛を与えられたかった。
「わたしが欲しくて、将軍になったっていうのなら。それぐらい愛してくれているのなら。わたしを、アンタの愛で満たしてよ」
止まったはずの涙。
またブワッと溢れ出す。
「……僕は、大馬鹿者だったんだね」
「今更気づいたの?」
敵を嵌める智略も、敵を蹴散らす武力も持ってるかもしれないけど、アンタなんて、わたしの気持ちすら理解しない、朴念仁のトウヘンボクの大馬鹿者なのよ。
……まあ、わたしも頑固で意地っ張りで素直じゃない、大馬鹿者だけど。
「梨花」
名を呼んで。静かに彼の唇が降りてくる。
頬を包まれて。最初はついばむように。次第に長く、深く口づけを交わす。
「明順、好き……」
口づけの合間にこぼれた本音。
言葉にしたことで、自分の感情がストンと胸に落ちて広がる。
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