彼女(寵姫)以外は要らないと、後宮をお払い箱にされましたが、幼馴染の猛虎将軍が溺愛してくれるので問題ありません

若松だんご

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巻の十九、恍悦

 「――ゴメン、梨花リファ。本当はもっとほぐしてあげたほうがいいんだろうけど。ゴメン、これ以上は限界」

 「う、うん」

 なにが? どう限界なのかは訊かない。
 訊かなくてもわかるから。
 静かに優しくわたしの脚を下ろしてくれた明順ミンジュン。それから、少しだけ身をよじって、わたしから隠すようにして下履きを脱ぎ去る。

 (うわっ。やっぱり大きいっ!)

 彼の背越しに見えた、彼のイチモツ。
 わたしの胸ではできなかった「ブルンッと登場」をやってのけた。大きい。そして太い。
 なんか、ビッキビキに筋が浮かび上がってるし。
 あれ……、わたしのなかに挿いるの? わたし、収めることができるの?
 物語とか春本とかじゃあ、挿れられてすぐに「気持ちいい」ってなってるけど。できるの? わたし。

 「だから、そんなに見ないでって」

 「うん、あ、ゴメン! でも、すっごく大きいなって!」

 見ないでって言われても、見ないわけにはいかない大きさ。
 思わずわたしも起き上がって、凝視し続ける。

 「……ねえ、それ。小さくしたりとか、できないわけ?」

 「は?」

 「いや、大きいな~、太いな~って。わたしの大事なとこ、裂けちゃいそうだな~って思ったからさ」

 何言ってんだ、わたし! 落ち着け!
 そんなこと男性に頼む主人公なんて、読んだことないぞ!
 女性は、それでジュボジュボされて、アンアン喘ぐのが王道でしょうが!
 あとは、「大きい」「すごい」「硬い」「太い」「気持ちいい」だっけ? あ、「もっとぉ」もか。
 大きくて硬くて太いことを褒めなきゃ。

 「悪いけど、こればかりはお願いを聴いてあげられない。自分で大きさを変えられないから」

 「そ、そうなんだっ! ゴメンね! 変なこと言って!」

 アハハハハ。
 そ、そうだよね! わたしだって、乳首が勃ち続けてるのも、膣からトロトロ蜜が溢れてきてるもの、全部「止めろ」と言われて「はい」って聞けるもんじゃないし。
 生理現象を変更しろって、無理な話だよねっ!

 「でもね、梨花リファ

 コテンと彼に手で押され、また仰向けにひっくり返る。

 「少しでも痛みのないように、キミをほぐすことはできるんだよ。――ホラ」

 グチュ。

 「ヒンッ!」

 脚の間に、彼の手が忍び込む。

 グチュグチュ。ヌチヌチ。

 膣から感じる、彼の指の動き。前後に動かされるだけじゃない。奥に突き入れては、そのままゆっくり膣壁をなぞられる。

 「アッ、アアッ……」

 「気持ちよさそうだね。もう一本、指、増やしてみようか」

 「ヒグッ!」

 感じる質量が増えた。そして動きが複雑になって。

 「アッ、アアッ、アッ、ヒィ、アッ……」

 気持ちいいが一気に襲ってくる。

 「すごい締めつけ。三本目挿れたかったけど。これじゃあ挿いらないかな?」

 言いながらも、指の動きを止めない明順ミンジュン
 ジュプジュプ、ヌチヌチといやらしい音がして、なにかが、おしりに向かって流れていくのを感じた。
 こすられる指の指紋や爪まで感じ取れそうなほど、奥が敏感になってる。

 「梨花リファ

 わたしを指で犯しながら、近づいてきた彼の顔。

 「ン、フッ……」

 ついばむような口づけじゃない。わたしの口腔に舌が忍び込んでくる、激しい口づけ。
 喘いで逃していた気持ちよさは、口づけられて逃げ場を失って。

 「ンッ、ンンッ、フッ、ンウッ……!」

 溜まった気持ちよさが額の前でパァンと弾ける。目の前、チカチカする。
 きつく反った背。足の指が必死に敷布を掴もうともがく。
 同時に、グッと体に力がこもって、グッタリと弛緩した。

 「すごいね、梨花リファ

 どこが。
 訊きたいのに、息が整わない。彼が口づけを止めてくれたのに、新しい空気を上手く吸えない。
 さっきはあれほど強く体に力が入ったのに。今は、どこもかしこもグッタリして、拳一つ握ることができない。
 
 「梨花リファ

 放り出されていた脚。膝頭を掴んだ彼が、グッと開く。
 ヌチ、ニチュと膣口に触れた熱いもの。
 彼のイチモツだ。
 ボンヤリする頭で、それだけ察する。
 これから、挿ってくるんだ。あれが。
 嫌とかいうんじゃない。なにか、不思議な感覚。それと、よくわからないまま昂ぶる感情。

 欲しい。
 来て。
 そのまま貫いて。

 多分、そういうところだろう。
 されるままの状況を、全然嫌だと思わなかった。むしろ、そうして欲しかった、そうされたいと思っている。
 だから。

 「――来て」

 彼の首に手を伸ばし、小さく囁く。
 わたしに、アナタをちょうだい。

 「梨花リファ

 わたしの意図を知った彼が、グッとイチモツの先を、強く膣口に押しつける。

 グプ。

 さっきの指とは違う、熱さと硬さと、圧倒的質量を持ったそれが、中に挿ってくる。
 ああ。わたしはこれを欲しかった。これを求めていた。――けど。

 (いったいっ……!)

 メリメリと引き裂かれていくような痛み。焼きごてを当てられたような熱さ。
 ヒュッと息を飲み、掴んだ彼の背中に爪を立てる。

 「や、あ……っ!」

 物語と全然違う。こんなの素敵でもなんでもない! ただの拷問!

 「ゴメン、梨花リファ、もう少しだけ我慢して」

 「イヤッ、痛いっ、いたぁっ……!」

 こんなのっ!
 どれだけ相手が好きでも、欲しいと思ったからって、こんなの我慢できないっ!
 ブルブルと体が痛みに震える。けど、彼のイチモツは止まることなく、その奥まで切り裂こうと進み続ける。

 「痛いっ、いたいっ……!」

 わたしを好きっていうのなら、サッサと抜いてよ! 痛いことしないでよっ! こんなの我慢できるわけないじゃない! 耐えられないっ!

 「ゴメン。もう少しだから」

 「ヤッ、ヤダぁっ……」

 駄々っ子みたいにイヤイヤと顔を振るわたしを、必死になだめ進む明順ミンジュン
 どうして? どうしてわたしを好きなら、止めてくれないのっ!?

 「アグッ……!」

 ズンッと体の奥に何かがぶつかる衝撃。
 その拍子に、目尻に溜まっていた涙が耳に向かって流れ落ちていった。

 「ゴメン、痛かったよね」

 額に汗で貼りついた髪を、優しく彼が掻き上げる。

 「わかってるのなら、止めなさいよ!」

 泣いてる顔を晒すのが恥ずかしくて、こんなことで泣いたことが恥ずかしくて。
 精一杯虚勢を張る。

 「でもこれで、一つになれた」

 「一つに?」

 「ああ。今、キミと僕は一つに繋がってる」

 その言葉に、その声に、その微笑みに。
 少しだけ。少しだけ痛みが和らいだ気がした。

 「しばらく、このままでもいいかい?」

 「このままで? どうして?」

 「キミのなかが、僕に馴染んで。キミに、僕の形を覚えてほしいから」

 明順ミンジュンの形を? わたしが、覚えるの?

 「わかった。わたしも、わたしの形を覚えてほしい」

 「……うん」

 爪を立てることをやめ、ギュッと抱きつけば、同じような力で明順ミンジュンに抱き返された。

 (まるで、刀と鞘みたい……)

 刀と鞘。
 どんな名刀であっても、それに沿ぐう形の鞘は、世にそう多くない。ピッタリ収まるとなれば、数えるほど、下手すれば、一領見つかればいい方なのかもしれない。
 男女だって同じこと。
 こうしてピッタリ馴染む相手がいることは、とても稀で、珍しく、そしてその相手が愛しい人で己の旦那さまだとなると、とんでもない幸運なのかもしれない。

 「明順ミンジュン……」

 わたしを好きになってくれてありがとう。
 わたしを手に入れようと頑張ってくれてありがとう。
 わたしを求めてくれてありがとう。
 わたしのことを慮りすぎて、遠回りしちゃったけど。でも、こうして愛し合えた。
 わたし、アナタのおかげで、とっても幸せ。
 アナタがいてくれてよかった。結婚したのがアナタでよかった。

 「大好き……」

 膣はまだズキズキと痛くて悲鳴を上げたいけど、恍惚とした気分で、吐露する。
 大好き。大好きなの、明順ミンジュン

 「梨花リファ、それ反則」

 え?

 「アッ、キャアッ、アッ、いきなりっ、アアッ!」

 わたしの腕を振り払うように身を起こした彼。
 さっきまでと違って、縦横無尽に腰を振り始める。

 「そんなカワイイこと言われて。我慢できる男なんて、いないよっ!」

 「アッ、そっ、激しっ……!」

 ゴチュゴチュと奥にぶつかるのがわかる。ぶつかった衝撃で、体が大きく揺れ、彼の欲望に翻弄される。

 「明順ミンジュンっ! 明順ミンジュンっ!」

 さっきも襲ってきた、気持ちいいの波。今回はものすごい大津波。
 怖くて、流されたくなくて。必死に彼の名を呼ぶ。何も掴めなくて不安な手を夢中で伸ばす。

 「梨花リファっ!」

 その手をギュッと指を絡めて握られたかと思うと、そのまま敷布に押しつけられた。

 「アアッ、ダメっ、ダメェッ……!」

 真っ白な、大きな波が――来るっ!

 「グッ……!」

 「アアッ……!」

 襲った波と同時に、わたしの体の奥でなにかが爆ぜた。

 「ア、ヒッ、ア、ア……」

 脈打つように爆ぜるそれに合わせて、わたしの体がビクンビクンと震えた。

 (これ、彼の精だ……)

 霞がかった意識で、そう思う。
 彼が、わたしの中で、欲望を弾けさせたのだ。

 (うれしい)

 そこまでわたしを感じてくれたことに。わたしで気持ちよくなってくれたことに。
 わたしに子種をくれたことに。わたしを愛してくれたことに。

 「梨花リファ
 
 二、三回突き上げて、すべての精を吐き出してから、彼がわたしを呼ぶ。

 「明順ミンジュン……」

 わたしも満ち足りた気分で、めいいっぱいの愛情を込めて彼を呼ぶ。
 体をつなげたまま。どちらからともなく微笑み合い、口づけを交わす。
 最初はゆっくりついばむように。それから少しずつ重ねる時間を伸ばして。
 ねえ、わかる?
 今のわたし、とっても幸せなの。
 アナタがわたしを愛してくれたから。アナタを愛することができたから。
 だから。
 わたし。わたしとっても幸せなの。
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