彼女(寵姫)以外は要らないと、後宮をお払い箱にされましたが、幼馴染の猛虎将軍が溺愛してくれるので問題ありません

若松だんご

文字の大きさ
20 / 27

巻の二十、タガの外れた溺愛は重い

 「――梨花リファ。どうしたの?」

 わたしが動いたこと。腕を枕として貸してくれていた明順ミンジュンにも伝わったらしい。
 わたしと同じで眠っていたはずの彼。眠そうな声で問いかけてくる。

 「なんでもない。ちょっと目が覚めただけ」

 言って、モゾモゾと身を動かす。
 窓から差し込む月明かり。その明かりに照らされた、彼の端正な寝顔を見ようとしていたことは内緒。
 いつの間に月が昇るような夜になっていたのか。
 散々愛し合って、身をつなげて。
 疲れて二人、衣を着直すことすら大儀で、そのまま寄り添って眠ってしまっていた。

 (これ、家に帰ったら、父さまも兄さまも、驚くだろうなあ)

 いきなり妹がいなくなったと思ったら、「あっちで夫婦になってきました~」だもんなあ。義姉さまたちは、「それでっ? 明順ミンジュンさまとの初めてはどうだったのっ!?」みたな勢いで、訊きに来そうだけど。家の男どもはなあ。

 (ま、いっか)

 なるようになれ。
 というか、わたしたち夫婦なんだし。そういうことして仲直りしても悪くないわけだし。
 考えるのを止めにして、彼の腕に頭を載せ直す。

 「わたし、幸せだなあって思っただけ」

 「幸せ?」

 「うん。こうしてるとね。わたしのなにもかも、明順ミンジュンに抱かれてる、包まれてる感じがして、幸せなの」

 「梨花リファ……」

 彼の肌から伝わる熱。鼓動の音。
 寝台にも染みついてる彼の匂い。
 彼の寝台の上。こうして寄り添っていると、彼のすべてにスッポリ収まってるような感覚になる。スッポリ収まって、守られて。そして、二人の熱で溶けて一つになっていくような感覚。

 「夫婦って素敵よね。こうしていっしょにいても、誰にも文句言われない」

 モゾモゾ。ムギュ。
 わたしの腕では抱えきれないけど、それでも、彼を抱きしめる。

 「寒い時は、とっても幸せ」

 「でも、逆に暑い日は辛いかも」

 「もう! そういうことは言わない!」

 真面目にツッコんできた明順ミンジュンを怒る。――って、あれ?

 「ねえ、これ、何?」

 彼の腕や、肩のあたりに、普通とは違う肌の色を見つける。真っ直ぐだったり、やや歪んでいたり。でもどれも同じなのは、周りの肌より薄い色の、ちょっと盛り上がったりしてる場所。

 「それ? 傷の跡だよ」

 「傷っ!? 明順ミンジュン怪我したのっ!?」

 バッと上掛けを弾き飛ばし、横たわる彼の体を見る。
 腕や肩だけじゃない。脇腹、太もも、胸にもその跡があった。

 「――寒いよ、梨花リファ

 「そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ!」

 いつの間にこんなに傷を?
 笑う明順ミンジュンを叱りつける。
 傷のなかには、太く雷のような形に白く色が抜けている箇所もある。それも胸の上に。
 こんなの、絶対ヒドい怪我だったはず。それこそ生死の境を彷徨うような。

 「大したことないよ」

 「大したことあるわよ! バカ!」

 どうして? 
 どうしてこんな傷……。どうしてこんなにたくさん……。

 「将軍になるためには、それだけの戦功も必要だからね」

 「え?」

 「僕にもう少し剣術の腕があれば、負わなかった傷なんだけど。仕方ないよね」

 フフッと笑った明順ミンジュン

 (そういえば。後宮に入ったわたしを下賜されるように、戦功を立てたって言ってた)

 戦功を立てれば、もしかしたら後宮に入った女を報奨として下賜されるかもしれない。
 ずっとむかしから、わたしを好きでいてくれた彼。
 もしかしたら、この傷は、わたしのために……。

 「だから。そんな顔しないでって、梨花リファ。こんな傷、今はなんともないし、痛みもないんだから」

 「明順ミンジュン……」

 「これはね、キミを得るためについた、名誉の負傷だよ。まあ、将軍ならカッコよく、父のように傷跡一つない体でいたかったけど。こればかりは仕方ないよね」

 目が熱くなってくるわたしに、上半身を起こした彼が軽く言う。

 「だから、泣かない。キミにそうして泣かれると、怪我をしてしまうような軟弱な自分を責めたくなる」

 「もうっ……!」

 「でもね。僕、背中には傷はないんだ」

 ホラ。
 彼が滑らかな背中を見せてくれる。
 大きくてたくましい背中だけど、その肌はとてもキレイだ。

 「僕が逃げなかった証拠。敵に背を向けなかった証だよ」

 「明順ミンジュン……」

 その背中に、そっと手を伸ばす。
 手だけじゃない。

 「ちょっ! 梨花リファっ!?」

 少し張った肩甲骨に、無駄な肉のない肩に。
 チュッ、チュッと口づけを落としていく。

 「――っ!」

 途中、ビクンッと彼の体が揺れた。

 「ご、ゴメン。痛かった?」

 そこでようやく気づく。背中に全く傷がないわけじゃないことに。

 「大丈夫。ちょっと驚いただけ」

 ハハッと、情けなさそうに彼が眉を寄せて笑うけど。

 (これって、わたしがつけた傷だよね?)

 首の根元から肩にかけて。いくつもついてる赤い筋。
 これは、戦で受けた傷じゃない。わたしが、快感に耐えられなくて引っ掻いた傷だ。
 血こそ流れてないけど、これ、結構痛そう。お風呂に入ったら、絶対シミる。地味に嫌な攻撃。

 (――ゴメン)

 コツンと彼の背中に額をぶつける。
 きっと言葉にして謝罪しても受け入れてくれないだろうから。こうして触れることで、思ってることが伝わればいい。

 「梨花リファ

 彼がふり向く。
 彼は優しいから、こんなぐらい大した事ないよって笑うんだ。そうやって、わたしを甘やかすんだ。
 いつだってそう。
 わたしの鞠を取ろうとして池に落ちたときも。梨花リファは悪くない、悪いのは池に落ちた自分だってくり返し言ってた。

 (一度ぐらい、お前のせいだ、どうしてくれるんだって怒ってくれてもいいのに)

 わたしの旦那さまは、甘やかし上手の叱り下手。
 今だって、その傷、絶対シカシカと痛いだろうに。――って。

 「え?」

 伸びてきた手。掴まれた腰。

 「ええっ!?」

 グルンと回った視界。気づいたら寝台の上で、四つん這いになってる体。

 「えっ!? ちょっ……!」

 掴まれたお尻。その割れ目に沿うように、擦りつけられる硬く熱いもの。

 「アアッ!」

 グププ。

 それが、わたしの膣へと侵入してくる。

 「ゴメンね、梨花リファ。キミは初めてなんだし、我慢しようと思ってたんだけど……」

 「ンヒッ、アッ、そっ……んなっ、アアッ」

 隘路を無理やり押し広げて挿ってきた、それ。
 もうすでに破瓜はすませてるからか。二度目のそれは痛くない。痛くないけど。

 「ンっ、ヒッ、ア……、ア……」

 こんなにやすやすと咥え込めるなんて! わたしの膣、どうなってんのよ!

 「キミがかわいすぎるのが、いけない。僕を、簡単に煽ってくる」

 「あっ、煽ってなんかっ、アッ、アアッ!」

 ズチュ、ズチュ、ズチュ。
 グチョ、グチュ。

 なかをこすられるたび、動かれるたび、繋がった部分からいやらしい音がする。
 それだけじゃない。

 「アッ、そこっ、そこぉっ……」

 「スゴい。中がものすごくビクビクしてる。……ここ? 気持ちいいの?」

 「うっ、うんっ! だからっ、アアッ……!」

 体勢が違うせいか、最初と違う場所に、切っ先が当たる。
 突き上げられるたび、そこから痺れるような、重い快感が背中を伝って頭に響いてくる。
 喘ぐことに必死な口は、閉じることもできなくて。溢れた唾液が顎を伝って敷布にシミを作る。

 「ダメッ、ダメェッ……」

 「でも、『もっとして』って、腰が揺れてる。僕のを追いかけるように、なかが蠢いてる」

 「そっ、そんなことぉ、アア……ッ!」

 知らないっ!
 知らない、知らない、知らないっ!
 わたし、こんな苦しいぐらい気持ちいいことなんて知らないっ!

 「ンッ、ヒッ、アッ、アアッ、明順ミンジュン明順ミンジュンっ!」

 待って!
 またあの、頭のなかが真っ白になるような大きな波が来る!
 逃げたい。

 「アヒッ!」

 「ダメだよ。逃げないで。終われなくなる」

 グッと掴まれ、引きずり戻された腰。そして。

 「アアッ、そんなにっ、アッ、アアッ……」

 気持ちいいといったその場所に、ゴリッ、ドチュッと容赦なく切っ先がぶつかってくる。
 
 「もっ、もうダメっ、限界っ!」

 「うん、僕も、だっ! いっしょにイこ?」

 彼の声に余裕がない。でも、そんなことに気づける余裕はもっとなくて。

 「アッ、アア――ッ!」

 「グッ……!」

 襲った快感に、絶叫する。彼も、腰を押しつけ、くぐった声を漏らす。
 ドクドクと精が迸る。わたしのなかに、熱く。満たすように。

 (気持ちいい……)

 これで子が授かるのかどうかは知らない。
 けど、こうして注がれることの幸せを、わたしは覚えた。
 彼に与えられた快楽のなかで、ゆったりとたゆたう。

 「ンッ!」

 のに、ビクンと体が快楽の海から戻って来る。
 
 「え? ちょっ、明順ミンジュンっ!」

 体が震えたのは、繋がりを解かないまま、彼がわたしの首筋に口づけしたから。
 
 「お返し」

 「お返しって、アッ、ンッ……!」

 「梨花リファの背中って、キレイだよね。僕のよりきっと何倍も」

 「アッ、ヤッ、そこっ……! 噛んじゃっ、アアッ!」

 首筋、肩。彼の唇の届く範囲を舐められ、吸われ、噛まれて。

 「ヒッ、アッ、アアァ……」

 穏やかになりかけてた快楽が、また激しく波立ち始める。胸とか、膣とは違う、ゾワゾワするような快楽。
 それに。
 
 「やっぱり梨花リファはずるい。色っぽくて、かわいくて。何度でも僕を煽ってくる」

 煽ってない! 全然煽ってないのにっ!

 「アッ……!」

 ズチュ。グチュ。

 わたしのなかで、質量を取り戻した彼のイチモツが動き出す。
 あんなに出したのにっ! また、大きくなれるわけっ!?

 「次は、梨花リファの顔を見ながらイきたいな。蕩けたキミの顔が見たい」

 グルっと、仰向けに直されたわたしの体。でも、貫くことは止めてくれなくて。

 「アッ、明順ミンジュン明順ミンジュンッ!」

 わたし、このままじゃ、快楽の海で溺れ死んじゃうっ!

 「梨花リファ

 抱きしめてはくれるけど、わたしを犯す律動は止まらない。

 「かわいい、かわいい僕の梨花リファ。やっと手に入れた、僕の奥さん」

 コチュ、コチュ。
 腰を揺らしながら、彼が囁く。

 「キミが後宮に入ったと聞いて、僕は絶望と嫉妬で気が狂うかと思った。キミを手に入れられる皇太子殿下を羨み、呪いそうになったよ」

 「明順ミンジュン……」

 「だから、こうしてキミを手に入れて。こうして交わって。今の僕は、とても幸せなんだ」

 それは、わたしも同じ。
 家のために仕方なく後宮に入って。でも要らないって捨てられて。
 皇太子が好きだったわけじゃない。けど、辛かった。悲しかった。
 でも、今はアナタに愛されて、これ以上ないってぐらいの幸せを実感してる。後宮を追い出されて良かったと思ってる。

 「わたしも、幸せよ?」

 「梨花リファ

 「きっと、世界中の誰よりも幸せ。アナタに愛されて。わたし以上に幸せな人は、いないんじゃないかな」

 「……うれしいこと、言ってくれるね」

 わたしを抱きしめる腕を解き、彼が身を起こす。

 「キミは、僕をどこまで溺れさせるつもりなの?」

 「え? アッ、アアッ……」

 ドチュドチュと激しく腰を動かされる。

 「こんなに繋がって。精を吐き出しても、まだキミを求める。キミを愛さずにいられないほど、キミに溺れてる」

 「アッ、そ、それはっ、わたしも、アアッ、ンアッ……、同、じっ!」

 激しいと、少し辛いけど。でも「やめて」とは言わない。
 愛されて、愛されて、愛されて。
 わたしも、アナタに溺れてる。苦しいほどの幸せで満たされてる。

 「梨花リファ

 繋がる気持ちよさに、酩酊するように、腰を動かす彼。受け止めるわたしも、今度ははっきり自覚できるぐらい、腰を揺らして彼を求める。

 「梨花リファ梨花リファ梨花リファッ……!」

 律動が乱れて、わたしを呼ぶ声も荒れる。

 「明順ミンジュン明順ミンジュンッ……!」

 わたしも必死に彼を呼ぶ。
 もう、なにもかもグチャグチャだ。
 心も体も、なにもかも。
 
 「アッ、イッ……!」

 奥を強く穿たれ、その衝撃に背を反らす。

 「クッ……!」

 わたしの腰を掴んだ彼。突き上げ、精を迸らせる。

 「ア、ヒ……、ア、ア……」

 わたしのなかを、熱く満たす。
 ドクドクとほしかったものを注ぎ込まれ、体が何度もヒクヒクと震えた。

 「愛してるわ、明順ミンジュン……」

 恍惚と、深く満足したような声で告げる。
 
 「僕もだよ、梨花リファ

 身を繋げたまま、彼が優しい眼差しと、包容をくれる。
 包まれる幸せ。与えられる悦び。
 わたし、本当に彼を好きになってよかった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました

恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」 交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。 でも、彼は悲しむどころか、見たこともない 暗い瞳で私を追い詰めた。 「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」 私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、 隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

仮面王の花嫁

松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。 しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

花言葉は「私のものになって」

岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。) そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。 その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。 美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。 青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。