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巻の二十一、夫婦和合の報告は、相手が誰でもハズカシイ
「――そう。上手くいったのですわね」
「はい。えっと……、ありがとうございました!」
「よろしいのよ。わたくしたちは、大したことしてないわ」
ペコっと頭を下げたわたしに、長義姉が微笑む。
「でも、よかった。上手くいったのなら、手伝ったかいもあったというものよ」
わたしと明順が、夫婦として仲良くなれた件。
わたしの織った布(筵?)を彼に届けてくれたり。義姉たちは、なにかとわたしを励まし続けてくれていた。
その御礼を、キチンと伝えなきゃと思ってたんだけど。
愛されましたで、翌朝「ありがとうございました! 報告です!」は、できなかった。
彼に抱かれすぎて、腰に力が入らず、立ってもすぐにヘチョンと潰れてしまったから。
で。
仕方なしに、そのまま彼の部屋で一日過ごしていると、その日の夜もまた抱かれた。抱き潰された。
夫婦となってわかったことなんだけど、明順ってば、大きすぎるイチモツ持ち(本人は普通の大きさと言うけど)のうえに、とんでもなく絶倫。すれば、一回で済まなくて、二度、三度。トコトングッタリ果てるまで交わり続ける。
おかげで、月のものでもないのに、身をちょっと動かしただけで、吐き出された精がコポリコポリと溢れてきて、立ち上がるのも難しくなる。
で、動けないでいると、また夜に抱き潰される。
感じすぎて、気を失うように眠って、起きたらまた交わって。昼間はだるくて、こぼれる精のせいで動けなくて。
「夫婦として、上手くいきましたー! 応援ありがとうございますー!」
なんて報告が、メチャクチャ恥ずかしいのもあったけど(どの顔下げて報告すんのよ、そんなの)、なかなか実家に帰る、報告に行くのに重い腰(実際)が上がらず、今日までズルズル引き伸ばしていた。
明順に愛されるようになって数日。
今日動けたのは、昨夜、明順が一回で終わらせてくれたから。彼、今日は朝から皇宮に呼び出されてて。朝早くから出仕しなくちゃいけないからってことで、抱く回数を減らしてくれた。――不満そうだったけど。
「梨花さまが、あちらに留まるようになって。お義父さまは、泣いていらっしゃったけど」
フフッ。
長義姉が笑う。
「せっかく梨花が帰ってきたのに。またあっちに行ってしまったって」
(あ~。やっぱりか)
父さまのことだから、絶対泣くって思ったけど。予想的中。
「でも、そんなにお気になさらずに。孫の顔を見せて差し上げれば、ケロッと泣き止みますわ」
……なんか、娘のわたしよりも父さまのことに精通してない?
同居してるとはいえ、義姉さまの手のひらの上で、すべてを見透かされてるような父さま。
「かわいい梨花さまのお子ですもの。一度抱いたら、二度と手放さないぐらい溺愛しましてよ。生まれた子の衣やおもちゃ。呉家で用意しなくても、お義父さまが蔵いっぱいになるまで、揃えてくださいましてよ」
「うっ……」
いやあ、さすがにそれはないっしょ。
言いたいけど、否定できる要素が見つからない。父なら、それぐらい、――やる。
「そういえば、お義姉さま。他の義姉さま方は?」
実家の庭の四阿。
卓を挟んで座るのは、長義姉だけ。
次義姉も末義姉もいない。
報告するのは、どれだけ覚悟を決めても恥ずかしいから、少しでも傍聴人(?)がいないのは、助かるっちゃあ助かるけど。
いつもなら、義姉たちは、こちらの家でおしゃべりだの、刺繍だの、女子の集まりってのをやってるんだけど。
「お二人は、今日は来れませんの」
「まさか、ご病気……とか?」
嫌な予感。
「違いますわ。理寿さまのところは、病といえば病ですけど、義妹ではなく、お子が熱を出されてますの。英慧さまのところは、昨夜産気づかれたそうですわ」
「え? じゃ、じゃあ、お見舞いっ、お手伝いに行ったほうがっ!」
わたしの報告より、看病とか、お手伝いのほうがっ!
「落ち着かれませ。幼い子が熱を出すのはよくあることですし。出産なら、あちらのご実家から手伝いがいらしていることでしょう」
「でもっ!」
「大丈夫ですよ。梨花さまは、ここでわたくしといっしょに良い報告を待ちましょう」
立っても座っても、手を揉んでも、足を踏み鳴らしてもソワソワが消えないわたしと違って、優雅に茶器を持ち上げる義姉さま。
二人も子を産んで育ててると、こうも落ち着いていられるようになるのかな。母としての貫禄?
って。
「お義姉さま。器、空っぽですわよ」
「あら。いやだわ、わたくしとしたことが」
持ち上げられた器。温かいお茶でも入っていたら様になっていたのだけど。見れば、中身は空っぽ。
お義姉さま。落ち着いてるふりして、実際はそうじゃないんだな。ちゃんと次義姉さまと末義姉さまを心配なさってるんだ。空っぽのお茶を飲んで。
クスッと義姉と笑い合い、気持ちが軽くなった。
「――おっ、奥さまっ、お嬢さまっ!」
四阿に向かって駆け寄ってくる、義姉の侍女。
「あら、噂をすればなんとかかしら」
茶器を置いた義姉と、その侍女の方を見る。
赤ちゃんが生まれたって報告かしら? だとしたら、男の子? 女の子? 次義姉さまは無事? どうなの?
「さっ、さきほど呉家の若旦那さまから使いが見えてっ! お嬢さまに皇宮に登城できるよう、支度をしろと」
「なんですって?」
わたしだけじゃない。義姉も驚く。
赤ちゃん生まれたって知らせじゃないの?
わたしが皇宮? どうして?
答えを求めて、義姉と二人、視線を交わす。
「はい。えっと……、ありがとうございました!」
「よろしいのよ。わたくしたちは、大したことしてないわ」
ペコっと頭を下げたわたしに、長義姉が微笑む。
「でも、よかった。上手くいったのなら、手伝ったかいもあったというものよ」
わたしと明順が、夫婦として仲良くなれた件。
わたしの織った布(筵?)を彼に届けてくれたり。義姉たちは、なにかとわたしを励まし続けてくれていた。
その御礼を、キチンと伝えなきゃと思ってたんだけど。
愛されましたで、翌朝「ありがとうございました! 報告です!」は、できなかった。
彼に抱かれすぎて、腰に力が入らず、立ってもすぐにヘチョンと潰れてしまったから。
で。
仕方なしに、そのまま彼の部屋で一日過ごしていると、その日の夜もまた抱かれた。抱き潰された。
夫婦となってわかったことなんだけど、明順ってば、大きすぎるイチモツ持ち(本人は普通の大きさと言うけど)のうえに、とんでもなく絶倫。すれば、一回で済まなくて、二度、三度。トコトングッタリ果てるまで交わり続ける。
おかげで、月のものでもないのに、身をちょっと動かしただけで、吐き出された精がコポリコポリと溢れてきて、立ち上がるのも難しくなる。
で、動けないでいると、また夜に抱き潰される。
感じすぎて、気を失うように眠って、起きたらまた交わって。昼間はだるくて、こぼれる精のせいで動けなくて。
「夫婦として、上手くいきましたー! 応援ありがとうございますー!」
なんて報告が、メチャクチャ恥ずかしいのもあったけど(どの顔下げて報告すんのよ、そんなの)、なかなか実家に帰る、報告に行くのに重い腰(実際)が上がらず、今日までズルズル引き伸ばしていた。
明順に愛されるようになって数日。
今日動けたのは、昨夜、明順が一回で終わらせてくれたから。彼、今日は朝から皇宮に呼び出されてて。朝早くから出仕しなくちゃいけないからってことで、抱く回数を減らしてくれた。――不満そうだったけど。
「梨花さまが、あちらに留まるようになって。お義父さまは、泣いていらっしゃったけど」
フフッ。
長義姉が笑う。
「せっかく梨花が帰ってきたのに。またあっちに行ってしまったって」
(あ~。やっぱりか)
父さまのことだから、絶対泣くって思ったけど。予想的中。
「でも、そんなにお気になさらずに。孫の顔を見せて差し上げれば、ケロッと泣き止みますわ」
……なんか、娘のわたしよりも父さまのことに精通してない?
同居してるとはいえ、義姉さまの手のひらの上で、すべてを見透かされてるような父さま。
「かわいい梨花さまのお子ですもの。一度抱いたら、二度と手放さないぐらい溺愛しましてよ。生まれた子の衣やおもちゃ。呉家で用意しなくても、お義父さまが蔵いっぱいになるまで、揃えてくださいましてよ」
「うっ……」
いやあ、さすがにそれはないっしょ。
言いたいけど、否定できる要素が見つからない。父なら、それぐらい、――やる。
「そういえば、お義姉さま。他の義姉さま方は?」
実家の庭の四阿。
卓を挟んで座るのは、長義姉だけ。
次義姉も末義姉もいない。
報告するのは、どれだけ覚悟を決めても恥ずかしいから、少しでも傍聴人(?)がいないのは、助かるっちゃあ助かるけど。
いつもなら、義姉たちは、こちらの家でおしゃべりだの、刺繍だの、女子の集まりってのをやってるんだけど。
「お二人は、今日は来れませんの」
「まさか、ご病気……とか?」
嫌な予感。
「違いますわ。理寿さまのところは、病といえば病ですけど、義妹ではなく、お子が熱を出されてますの。英慧さまのところは、昨夜産気づかれたそうですわ」
「え? じゃ、じゃあ、お見舞いっ、お手伝いに行ったほうがっ!」
わたしの報告より、看病とか、お手伝いのほうがっ!
「落ち着かれませ。幼い子が熱を出すのはよくあることですし。出産なら、あちらのご実家から手伝いがいらしていることでしょう」
「でもっ!」
「大丈夫ですよ。梨花さまは、ここでわたくしといっしょに良い報告を待ちましょう」
立っても座っても、手を揉んでも、足を踏み鳴らしてもソワソワが消えないわたしと違って、優雅に茶器を持ち上げる義姉さま。
二人も子を産んで育ててると、こうも落ち着いていられるようになるのかな。母としての貫禄?
って。
「お義姉さま。器、空っぽですわよ」
「あら。いやだわ、わたくしとしたことが」
持ち上げられた器。温かいお茶でも入っていたら様になっていたのだけど。見れば、中身は空っぽ。
お義姉さま。落ち着いてるふりして、実際はそうじゃないんだな。ちゃんと次義姉さまと末義姉さまを心配なさってるんだ。空っぽのお茶を飲んで。
クスッと義姉と笑い合い、気持ちが軽くなった。
「――おっ、奥さまっ、お嬢さまっ!」
四阿に向かって駆け寄ってくる、義姉の侍女。
「あら、噂をすればなんとかかしら」
茶器を置いた義姉と、その侍女の方を見る。
赤ちゃんが生まれたって報告かしら? だとしたら、男の子? 女の子? 次義姉さまは無事? どうなの?
「さっ、さきほど呉家の若旦那さまから使いが見えてっ! お嬢さまに皇宮に登城できるよう、支度をしろと」
「なんですって?」
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