25 / 27
巻の二十五、愛に溺れる
「キレイだ……」
夜もしっかり更けて。
燭台の明かりだけが照らす室で。寝台に腰掛けていた明順が、それだけを呟くと、そのまま惚けたようにわたしを見続ける。
――もう一度、着付けてくれないか?
どうせ脱ぐのに。
思ったけど、素直にお願いをきいた。
――ナニがあったんですか! お嬢さまっ!
キチンと着付けてもらってた衣装がかろうじて、帯で留めてるだけのグシャグシャになってたら、誰だって驚くだろうって感じの玉鈴の声。
でも、彼の言う通り、もう一度だけ着付け直してってお願いしたら、「説明! 説明求む!」って何か問いたげな顔のまま、衣装を直してくれた。
衣装を、ちゃんと直して。
髪も、妻らしく結い上げ、簪でまとめ直して。
化粧だけ落として。
いつものわたしが、ちょっとだけ良い物着てます、な感じになって、彼の待つ室を訪れたんだけど。
(うわ、素敵……)
感嘆したのは、彼だけじゃない。わたしも同じ。
彼の浅葱色の袍。ものすごく似合ってる。
いつもが「うわ、カッコいいな」なら、今は「すっごい! すっごいカッコいいんだけどっ!」状態。
「どうしたの梨花。おいで」
「う、ん……」
ものすごく胸がドキドキする。
彼に名前を呼ばれるのも、手をつなぐのも、抱き寄せられるのも、見つめられるのも。全部これが初めてってわけじゃないのに。
「――梨花」
優しく名前を呼ばれて、唇が重なる。
それだけで、わたしの心臓は苦しいぐらいに暴れて、胸がはちきれそう。
「これ。僕の奥さんって感じで悪くないけど……」
言いながら、彼の手が、後頭部に挿した簪にかかる。グッと引き抜かれる感覚。一拍遅れてバサッと背中に広がるわたしの髪。
「うん。やっぱり、いつもの梨花がいいな」
わたしの頬に触れ、彼が言う。お化粧すらしてないのに。簪まで外されたら、衣装以外は、「いつものわたし」になってしまう。
「それって。わたしなんかがお化粧してもあんまり意味ないから――とか?」
なんか満足そうに見つめてくるけど。それだったら、甘い雰囲気出てたけど、拳でぶん殴るよ?
「違う。こうして直に触れられるからいいなってだけ。化粧されてると、こうして直に触れるとか、口づけができないから」
クスッと笑って、わたしの頬を何度もこする。
「それに。普段もかわいくて仕方ないのに、化粧までされたら。惚れ直すどころか、僕の心臓が止まりそうになる。キレイすぎるのも罪だよね。殺されるかと思ったよ」
「そ、んな……」
ことないと思う。化粧してもしなくても、わたしが平凡、十人並みなのは変わらない。せいぜい、十人並みが八人並みぐらいになる程度。
「無自覚なのも罪深いけど。今は、こうしてキミを僕の妻にしておける幸せを噛みしめてる」
「明順……」
彼が、わたしを強く抱きしめる。
「――キミが無事でよかった」
かすれ、絞り出された声。グリグリと頬を擦り寄せ抱きしめる彼は、わたしがここにいることを確認しているかのよう。宝物が失われていないか。抱きしめて確認している。
わたしも。
わたしも確認している。
今、生きていることを。わたしだけじゃない。彼も生きていることを。
わたしを手に入れるため、彼はその体に傷を負ってまでして戦ってくれていた。白虎将軍になって、命をかけてわたしを手に入れた。
この間の出征もそう。彼は、わたしのために戦に赴く。――昔は、泣き虫で怖がりだったのに。
「明順……」
伝わる熱は、鼓動は、彼が生きている証。
腕の力も、鼻腔をくすぐる彼の匂いも。目も耳も。すべてを使って彼を感じる。
彼とわたし。生きていることを、愛していることを実感する。
そして。
「ン、フ、ンッ……」
どちらからともなく見つめ合い微笑むと、口づけを交わす。
優しく、ついばむように。強く、息すら呑み込むように。
「ン、アフッ……」
口づけの角度を変えて。途中苦しくて喘ぎながらも、口づけを止めない。
わたしの背中をまさぐる彼の手も、段々と強く力がこもり始める。
(好き。大好き……)
世の中には、どうして「好き」「愛してる」以外の、もっといろんな想いを伝える言葉がないんだろう。
ずっと思っていた。もっといろんな言葉で伝えればいいのに。もっとカッコよく伝えられたらいいのに。
でも。
「好き」しかない。「好き」でいい。
単純に。明快に。
「好き」なんだから「好き」でいい。それ以外、カッコつける必要はない。
どれだけ想ってるか、どれだけ好きか。伝わってるかどうか、怪しいけど。でも、「好き」なんだから、それでいいじゃんとも思う。
「ねえ、脱がせてもいい?」
口づけを止め、彼に訊く。
好き。
だから、もっとアナタの熱を感じたい。カッコいいアナタも好きだけど、わたしはもっとアナタに触れたい。
「うん。じゃあ、僕も」
言って互いの衣を脱がし合う。
彼の熱い手が、帯を解き、一枚一枚、衣を丁寧に脱がせていく。まるで、宝物をくるむ包み紙を、剥がしていくように。
「キレイだ、梨花」
そしてまろび出たわたしの肌を、チュッと吸い上げる。
「ちょっ、アッ、待って……」
吸われるたび、触れられるたび、彼の熱さを感じるたび。
彼の衣を脱がせていたわたしの手が止まる。そんなことされてちゃ、動けなくなる。わたしだってアナタが欲しいのにっ!
意地になって、必死に彼を脱がせることに集中するけど――
「アァンッ!」
彼の手淫で、簡単に集中力が途切れる。喘いでも治まらない、襲ってくる快感に身を委ねたくなる。
「梨花、愛してる」
そ、そんなこと言われたらっ!
「みっ、ミンジュ……、アアッ!」
わたしの意志は脆く崩れて。彼のなすがままに、快楽に溺れていく。
「お、お願っ、わたしにも脱がさせてっ!」
わたしは裳も脱がされて、それこそ生まれたての素っ裸だけど、アンタはまだ衣、残ってるでしょうがっ!
「……わかった。じゃあ、お願いするよ」
ゔ。
そんなかしこまって脱がされるのを待たれると。
そんなふうに、カッコよく微笑まれると。
――わたし、結構な痴女じゃない? 好きだからって、男性の衣を脱がせたいだなんて。
手が止まりそうになったけど。ええーい! 男は度胸、女も度胸じゃ! やってやろうじゃないの! フンス!
勢いつけて取り掛かると、袍もなにもかもババッと引っ剥がす。上半身、傷跡の残る彼の素肌が晒される。
ここで女性なら、「きゃあっ!」って声の一つも上げるんだろうけど、明順は、ただ微笑むだけ。……って。ん? わたし、今裸なのに、全然「きゃあっ!」って言わなかったぞ? それどころか、触れられて感じてだだけだ。女として、どうなんだ、それ。
「どうしたの、梨花。怖くなった?」
「ううんっ! 大丈夫!」
怖くない。別に平気。
わたしは、わたしの体はものすごくアナタを求めてる。だから。
ブルンッ。
(うわっ!)
下履きを脱がせにかかって。下ろす下履きに抵抗するように震えて、ブルンっと飛び出したイチモツに驚く。わたしの胸は、どれだけ乳首を尖らせようと、全然衣に引っかからなかったのに。スルッと衣とサヨナラしたのに。
(やっぱり、大きい……)
そそり立つイチモツ。脈が筋となって浮かび上がるそれは、赤黒くて淫猥なのに、一度見たら絶対目を離せない。それどころか、ゴクリと喉を鳴らしてしまう。
(これが、いつもわたしの中に……)
わたしの中に挿って、わたしを絶頂へと押し上げてくる。
「梨花、だから、あんまり見ないでくれ。キミが積極的なのはうれしいけど。――照れる」
あ。
かわいい。
明順、耳まで真っ赤。
「――ンッ!」
わたしがその顔を見て笑ったのを怒ったのか。それともただの照れ隠しか。
噛みつくような口づけで襲われた。
「ンッ、フッ、ンン……!」
口の中に忍び込んできた彼の舌。わたしの歯列を舐め、口蓋をなぞり、舌を吸い上げ絡める。
それだけで。それだけで、体の中に快楽の火が灯されていく。散々交わって教えられた行為に、思考が淫らに染まっていく。
けど。
「ン! り、梨花!」
彼がビクンと体を震わせ、口づけを止めた。
わたしが、彼のイチモツに触れたから。
「そ、んな、ンッ……!」
触れるだけじゃない。手でシッカリ握った。
(やっぱり、大きい)
手のひらに収まりきらないイチモツ。
(確か、こうするのよね)
春本知識を頼りに、そのまま手を動かし、イチモツをしごく。
春本には、こうやってしごいてあげると、男が喜ぶって書いてあった。女が膣に触れられると気持ちよくなれるのと同じで、男はイチモツを擦り上げられると――
(ほら、腰が跳ねた)
本人は我慢しているつもりかもしれないけど。
ピクン、ビクンと震える明順の腰。
腰だけじゃない。少し苦しそうに顔を歪め始める。何かを耐えるように、吐息を漏らす。
座ってるのも難しそう。
「梨花、ダメだ、そんなことしたら……」
彼が呻く。同時に、ヌルっとしたものがしごく手に滴り落ちてきた。
(これって……子種?)
男性が感じると、イチモツからそれが溢れることは知ってる。
(明順、感じてくれてるの?)
わたしに?
(うれしい)
だから。
ハクッ。
「うっ、梨花ッ!」
そのイチモツを、口で咥える。少し苦いけど、でもそうしたかった。物語で読んだから実践――じゃない。愛しいからしてみたかった。
口をすぼめ、吸い上げる。全部呑み込んであげたくて、口を前後させる。
浮かび上がった血管をなぞるように全体を舌で舐める。
「ンッ、フッ……、クッ……」
時折、彼の腰が突き上げるように動く。必死に耐えようとしてるのか。でも――
(大きくなった)
手とは比べものにならないぐらいの勢いで、硬く熱く大きくなっていく。えずきそうになるぐらいの勢いで、ゴツゴツと喉を突いてくる。
「ダメ、だっ……、梨花ッ!」
乱暴にわたしの肩を掴んだ彼。勢いよく引き剥がされ、ズボッとイチモツが口腔から消える。
「このままだと、キミの、口を汚してしまう」
真っ赤な顔で、ハアハアと息を荒らす彼。
――汚しても、出してもいいのに。
「じゃあ、こっちに頂戴」
肩で息をしてた彼を、グイッと仰向けに押し倒す。押し倒すだけじゃない。その彼の上に自分から跨る。
「わたしの中に、アナタを頂戴」
なんて大胆。なんて淫らな。
でも、止まらない。やめられない。
口がダメなら、こっちに頂戴。
クチュ。
少し腰を落としただけなのに。
いつの間にかトロトロに濡れていた膣は、淫らな水音を立てて、彼のイチモツを呑み込み始める。
わたしの中をミチミチと押し広げ、挿ってくる彼。
その圧倒的質量。欲しくてほしくて、仕方なかったもの。
わたしの空虚を埋めてくれるもの。
「う、ア……」
「ア、アアッ……」
互いに、訪れる快感に身を震わせた。
夜もしっかり更けて。
燭台の明かりだけが照らす室で。寝台に腰掛けていた明順が、それだけを呟くと、そのまま惚けたようにわたしを見続ける。
――もう一度、着付けてくれないか?
どうせ脱ぐのに。
思ったけど、素直にお願いをきいた。
――ナニがあったんですか! お嬢さまっ!
キチンと着付けてもらってた衣装がかろうじて、帯で留めてるだけのグシャグシャになってたら、誰だって驚くだろうって感じの玉鈴の声。
でも、彼の言う通り、もう一度だけ着付け直してってお願いしたら、「説明! 説明求む!」って何か問いたげな顔のまま、衣装を直してくれた。
衣装を、ちゃんと直して。
髪も、妻らしく結い上げ、簪でまとめ直して。
化粧だけ落として。
いつものわたしが、ちょっとだけ良い物着てます、な感じになって、彼の待つ室を訪れたんだけど。
(うわ、素敵……)
感嘆したのは、彼だけじゃない。わたしも同じ。
彼の浅葱色の袍。ものすごく似合ってる。
いつもが「うわ、カッコいいな」なら、今は「すっごい! すっごいカッコいいんだけどっ!」状態。
「どうしたの梨花。おいで」
「う、ん……」
ものすごく胸がドキドキする。
彼に名前を呼ばれるのも、手をつなぐのも、抱き寄せられるのも、見つめられるのも。全部これが初めてってわけじゃないのに。
「――梨花」
優しく名前を呼ばれて、唇が重なる。
それだけで、わたしの心臓は苦しいぐらいに暴れて、胸がはちきれそう。
「これ。僕の奥さんって感じで悪くないけど……」
言いながら、彼の手が、後頭部に挿した簪にかかる。グッと引き抜かれる感覚。一拍遅れてバサッと背中に広がるわたしの髪。
「うん。やっぱり、いつもの梨花がいいな」
わたしの頬に触れ、彼が言う。お化粧すらしてないのに。簪まで外されたら、衣装以外は、「いつものわたし」になってしまう。
「それって。わたしなんかがお化粧してもあんまり意味ないから――とか?」
なんか満足そうに見つめてくるけど。それだったら、甘い雰囲気出てたけど、拳でぶん殴るよ?
「違う。こうして直に触れられるからいいなってだけ。化粧されてると、こうして直に触れるとか、口づけができないから」
クスッと笑って、わたしの頬を何度もこする。
「それに。普段もかわいくて仕方ないのに、化粧までされたら。惚れ直すどころか、僕の心臓が止まりそうになる。キレイすぎるのも罪だよね。殺されるかと思ったよ」
「そ、んな……」
ことないと思う。化粧してもしなくても、わたしが平凡、十人並みなのは変わらない。せいぜい、十人並みが八人並みぐらいになる程度。
「無自覚なのも罪深いけど。今は、こうしてキミを僕の妻にしておける幸せを噛みしめてる」
「明順……」
彼が、わたしを強く抱きしめる。
「――キミが無事でよかった」
かすれ、絞り出された声。グリグリと頬を擦り寄せ抱きしめる彼は、わたしがここにいることを確認しているかのよう。宝物が失われていないか。抱きしめて確認している。
わたしも。
わたしも確認している。
今、生きていることを。わたしだけじゃない。彼も生きていることを。
わたしを手に入れるため、彼はその体に傷を負ってまでして戦ってくれていた。白虎将軍になって、命をかけてわたしを手に入れた。
この間の出征もそう。彼は、わたしのために戦に赴く。――昔は、泣き虫で怖がりだったのに。
「明順……」
伝わる熱は、鼓動は、彼が生きている証。
腕の力も、鼻腔をくすぐる彼の匂いも。目も耳も。すべてを使って彼を感じる。
彼とわたし。生きていることを、愛していることを実感する。
そして。
「ン、フ、ンッ……」
どちらからともなく見つめ合い微笑むと、口づけを交わす。
優しく、ついばむように。強く、息すら呑み込むように。
「ン、アフッ……」
口づけの角度を変えて。途中苦しくて喘ぎながらも、口づけを止めない。
わたしの背中をまさぐる彼の手も、段々と強く力がこもり始める。
(好き。大好き……)
世の中には、どうして「好き」「愛してる」以外の、もっといろんな想いを伝える言葉がないんだろう。
ずっと思っていた。もっといろんな言葉で伝えればいいのに。もっとカッコよく伝えられたらいいのに。
でも。
「好き」しかない。「好き」でいい。
単純に。明快に。
「好き」なんだから「好き」でいい。それ以外、カッコつける必要はない。
どれだけ想ってるか、どれだけ好きか。伝わってるかどうか、怪しいけど。でも、「好き」なんだから、それでいいじゃんとも思う。
「ねえ、脱がせてもいい?」
口づけを止め、彼に訊く。
好き。
だから、もっとアナタの熱を感じたい。カッコいいアナタも好きだけど、わたしはもっとアナタに触れたい。
「うん。じゃあ、僕も」
言って互いの衣を脱がし合う。
彼の熱い手が、帯を解き、一枚一枚、衣を丁寧に脱がせていく。まるで、宝物をくるむ包み紙を、剥がしていくように。
「キレイだ、梨花」
そしてまろび出たわたしの肌を、チュッと吸い上げる。
「ちょっ、アッ、待って……」
吸われるたび、触れられるたび、彼の熱さを感じるたび。
彼の衣を脱がせていたわたしの手が止まる。そんなことされてちゃ、動けなくなる。わたしだってアナタが欲しいのにっ!
意地になって、必死に彼を脱がせることに集中するけど――
「アァンッ!」
彼の手淫で、簡単に集中力が途切れる。喘いでも治まらない、襲ってくる快感に身を委ねたくなる。
「梨花、愛してる」
そ、そんなこと言われたらっ!
「みっ、ミンジュ……、アアッ!」
わたしの意志は脆く崩れて。彼のなすがままに、快楽に溺れていく。
「お、お願っ、わたしにも脱がさせてっ!」
わたしは裳も脱がされて、それこそ生まれたての素っ裸だけど、アンタはまだ衣、残ってるでしょうがっ!
「……わかった。じゃあ、お願いするよ」
ゔ。
そんなかしこまって脱がされるのを待たれると。
そんなふうに、カッコよく微笑まれると。
――わたし、結構な痴女じゃない? 好きだからって、男性の衣を脱がせたいだなんて。
手が止まりそうになったけど。ええーい! 男は度胸、女も度胸じゃ! やってやろうじゃないの! フンス!
勢いつけて取り掛かると、袍もなにもかもババッと引っ剥がす。上半身、傷跡の残る彼の素肌が晒される。
ここで女性なら、「きゃあっ!」って声の一つも上げるんだろうけど、明順は、ただ微笑むだけ。……って。ん? わたし、今裸なのに、全然「きゃあっ!」って言わなかったぞ? それどころか、触れられて感じてだだけだ。女として、どうなんだ、それ。
「どうしたの、梨花。怖くなった?」
「ううんっ! 大丈夫!」
怖くない。別に平気。
わたしは、わたしの体はものすごくアナタを求めてる。だから。
ブルンッ。
(うわっ!)
下履きを脱がせにかかって。下ろす下履きに抵抗するように震えて、ブルンっと飛び出したイチモツに驚く。わたしの胸は、どれだけ乳首を尖らせようと、全然衣に引っかからなかったのに。スルッと衣とサヨナラしたのに。
(やっぱり、大きい……)
そそり立つイチモツ。脈が筋となって浮かび上がるそれは、赤黒くて淫猥なのに、一度見たら絶対目を離せない。それどころか、ゴクリと喉を鳴らしてしまう。
(これが、いつもわたしの中に……)
わたしの中に挿って、わたしを絶頂へと押し上げてくる。
「梨花、だから、あんまり見ないでくれ。キミが積極的なのはうれしいけど。――照れる」
あ。
かわいい。
明順、耳まで真っ赤。
「――ンッ!」
わたしがその顔を見て笑ったのを怒ったのか。それともただの照れ隠しか。
噛みつくような口づけで襲われた。
「ンッ、フッ、ンン……!」
口の中に忍び込んできた彼の舌。わたしの歯列を舐め、口蓋をなぞり、舌を吸い上げ絡める。
それだけで。それだけで、体の中に快楽の火が灯されていく。散々交わって教えられた行為に、思考が淫らに染まっていく。
けど。
「ン! り、梨花!」
彼がビクンと体を震わせ、口づけを止めた。
わたしが、彼のイチモツに触れたから。
「そ、んな、ンッ……!」
触れるだけじゃない。手でシッカリ握った。
(やっぱり、大きい)
手のひらに収まりきらないイチモツ。
(確か、こうするのよね)
春本知識を頼りに、そのまま手を動かし、イチモツをしごく。
春本には、こうやってしごいてあげると、男が喜ぶって書いてあった。女が膣に触れられると気持ちよくなれるのと同じで、男はイチモツを擦り上げられると――
(ほら、腰が跳ねた)
本人は我慢しているつもりかもしれないけど。
ピクン、ビクンと震える明順の腰。
腰だけじゃない。少し苦しそうに顔を歪め始める。何かを耐えるように、吐息を漏らす。
座ってるのも難しそう。
「梨花、ダメだ、そんなことしたら……」
彼が呻く。同時に、ヌルっとしたものがしごく手に滴り落ちてきた。
(これって……子種?)
男性が感じると、イチモツからそれが溢れることは知ってる。
(明順、感じてくれてるの?)
わたしに?
(うれしい)
だから。
ハクッ。
「うっ、梨花ッ!」
そのイチモツを、口で咥える。少し苦いけど、でもそうしたかった。物語で読んだから実践――じゃない。愛しいからしてみたかった。
口をすぼめ、吸い上げる。全部呑み込んであげたくて、口を前後させる。
浮かび上がった血管をなぞるように全体を舌で舐める。
「ンッ、フッ……、クッ……」
時折、彼の腰が突き上げるように動く。必死に耐えようとしてるのか。でも――
(大きくなった)
手とは比べものにならないぐらいの勢いで、硬く熱く大きくなっていく。えずきそうになるぐらいの勢いで、ゴツゴツと喉を突いてくる。
「ダメ、だっ……、梨花ッ!」
乱暴にわたしの肩を掴んだ彼。勢いよく引き剥がされ、ズボッとイチモツが口腔から消える。
「このままだと、キミの、口を汚してしまう」
真っ赤な顔で、ハアハアと息を荒らす彼。
――汚しても、出してもいいのに。
「じゃあ、こっちに頂戴」
肩で息をしてた彼を、グイッと仰向けに押し倒す。押し倒すだけじゃない。その彼の上に自分から跨る。
「わたしの中に、アナタを頂戴」
なんて大胆。なんて淫らな。
でも、止まらない。やめられない。
口がダメなら、こっちに頂戴。
クチュ。
少し腰を落としただけなのに。
いつの間にかトロトロに濡れていた膣は、淫らな水音を立てて、彼のイチモツを呑み込み始める。
わたしの中をミチミチと押し広げ、挿ってくる彼。
その圧倒的質量。欲しくてほしくて、仕方なかったもの。
わたしの空虚を埋めてくれるもの。
「う、ア……」
「ア、アアッ……」
互いに、訪れる快感に身を震わせた。
あなたにおすすめの小説
【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました
恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」
交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。
でも、彼は悲しむどころか、見たこともない
暗い瞳で私を追い詰めた。
「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」
私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、
隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。