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巻の六、瑠璃妃と玻璃妃
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「玻璃妃というのは、玻璃宮の主となる妃の名称です」
夜。
自分の室に戻ったところで、鈴芳に教えてもらう。
後宮。
皇帝の私室である思清宮を挟んで、わたしのいる瑠璃宮の対になる場所にある宮。
瑠璃と玻璃。
両手に花というか、両手に宝石を持ったような感じの配置。
ってことは? 玻璃妃ってのは? 皇帝にとって、どんな存在になるわけ?
「里珠さまが、気になさることはありません。陛下には、里珠さまお一人ですから」
疑問に黙りこくってしまったわたしを気遣ってか、後ろで髪を梳いてくれてる鈴芳が、早口に、そしてそっけなく言い放つ。
「わたし一人って?」
「陛下は、……まだ即位なさって日がないからかもしれませんが。この後宮に妃をお入れになっていないんですよ」
「へえ……」
三千寵愛在一身。
いつだったかの皇帝が、「後宮にいる美女三千人に分け与えるべき寵愛を、一人の妃にだけ与えた」、そして「そのせいで国が滅びかけた」みたいなことがあったと、聞いたことがある。「三千寵愛在一身」ってのは、そのことを嘆いた(?)詩に出てくる一説。つまり、後宮に三千人程度の女性が居てもおかしくない、それが普通でしょって認識。
なのに、如飛には、三千どころか、まだわたし一人だけってこと?
(これから集めていくのかな)
めざせご寵姫三千人! みたいな。
まずは、皇帝位を手に入れるために、〝陰陽の乙女〟は入手したけど、ここからは好きなだけ、好みの女を集めていく――みたいな。
そうなれば、如飛がここに泊まっていくことも減るだろうし、わたしはわたしで機織りに集中できるし、なんなら徹夜だってできちゃうし。いいことずくめな気がする。
「じゃあ、これから、続々と後宮に姫がやってくるってこと?」
その玻璃妃ってのも、その姫の内の一人ってこと?
瑠璃宮と対になる宮に入る女性。どういう立ち位置の人か知らないけど、できればいっしょに機織りについて、ううん、織られた布についてでも語り合える相手だといいなあ。「こんな衣装が欲しいんですの」ってのなら、わたしが織ってあげてもいいし。
「さ、さあ……」
「姫はやってこないぞ」
微妙な感じで濁した鈴芳の言葉に、被せるように発せられた声。
「陛下!」
驚いた鈴芳が、あわてて飛び退って頭を垂れる。けど。
(イデデデデ……)
髪梳きの途中だったから、櫛といっしょに髪も数本、持ってかれた。――痛い。驚くのはわかるけど、髪だけは残していって。
「俺は……、俺の代で宝珠宮の扉は開けぬ」
「ホウジュキュー?」
ナニソレ。
瑠璃宮や玻璃宮だけじゃないの? 他にも宮があるの?
「宝珠宮は、陛下の寵愛を受けた姫たちが暮らす宮の総称です。後宮には宝石の名を冠した宮がいくつもあります」
こそっと、鈴芳が教えてくれた。
なるほど。
いや、あって当然か。
瑠璃と玻璃だけで、三千人もの女性を収容できるとは思えないし。
でも、その宝珠宮の扉を開けないってのは、どういうこと?
訊いてみたかったけど、訊けなかった。
だって。
「では、御前を失礼いたします」
スルスルと。
まるで腰を曲げたエビのような格好で。頭を下げたまま退出していった鈴芳。如飛が彼女に「下がれ」みたいな視線を送ったせいだ。
二人だけになった室内で。
ドカッと(勝手に)寝台に腰掛けた如飛。
「玻璃妃のこともそうだ。だから、叔父上の言ったことは、気にするな」
「え? あ、はあ……」
気にするなと言われても。
鈴芳に訊いてたのは、「玻璃妃ってナニ?」っていう、わかんないから訊いただけの単純なもので、「わたし以外に妃を迎えるだなんて!」とかじゃない。
「陰陽の乙女は二人必要なんだ」とか言われても、きっと「はあ、そうなんですね」で受け入れるよ、わたし。
「それより。贈った機の調子はどうだ?」
腰掛けた状態から、後ろを確認することなく、ボフッと寝台に仰向けに倒れた如飛が言った。
「機も糸も。気に入ったか?」
「あ、えと。ありがとうございます。すっごく良い物で、感謝してます」
そういえば。わたし、まだ「ありがとう」の一つも言ってなかったわ。
届けられたの、今朝だし。今日は、あの謁見の場まで、如飛に会えてなかったし。あの場で「ありがとう」は言いにくかったし。
だから。
だから、ちゃんとわたしからお礼を言うつもりだったのに。
「そうか。ならばよい」
如飛から催促されての「ありがとう」じゃ、本当に感謝してるってこと、伝わりにくくなってる。社交辞令的に「ありがとう」って言ったように感じられる。
「あ、あのっ!」
だから、声を上げる。寝台に近づいて、仰向けに転がる如飛を見下ろすような格好になっちゃったけど。
「即位の儀式って、いつですかっ!?」
「来月の十日だが。どうした?」
わたしの質問を不思議に思ったのか。如飛が身を起こした。
「いえ! なんでもありません!」
いいこと思いついた! 「ありがとう」よりいいこと!
でも、それは内緒。だって、驚かせたいし!
贈られた機と糸を使って。新しい機と糸をもらったお礼として。
如飛の衣装、できれば即位の時の衣装なんて、わたしが作って贈ったら、最高の「ありがとう」にならない? アナタに贈られた機と糸で、こんなの作ってみましたけど? って。
「即位の時は、そなたにも臨席してもらわねばならぬが。すまない。苦労をかける」
「え、いや、その……」
わたしの質問。
如飛は、「即位なんていう面倒なこと、いつなんですか?」と、受け取ったらしい。
わたし、そんな儀式に出たくないんですけど? 今日の謁見だって、急に言われて困ったんですけど? みたいな。
(そうじゃないんだけどな)
「ありがとう」の期限がいつか知りたかっただけで。そりゃあ、即位の儀式に出るのは、ちょっと……というか、かなり嫌だけど。
(だって、あの視線だしなあ)
「あれが陛下の……」とか、「あれが陰陽の……」みたいな。人を品評してくる、容赦ない目線。
〝陰陽の乙女〟ってのは、男性の持つ〝陽の気〟と、乙女の持つ〝陰の気〟を混ぜ合わせ、皇族の持つ力の均衡を保つための存在。
つまりは。
男女のそういうことを皇帝に奉仕する存在。〝気の混ぜ合わせ〟とは、そういうこと。女の腹のなかで行われる(らしい)。
だから。
「ああ、あれが陛下の佳い女なんだな」って視線と、「そういうことやっちゃってるのね」視線もあるわけで。
(わたしは、まだそういうことをしたことない、生娘よ!)
叫びたい。
そういう視線に、食ってかかりたい。視線を殴り飛ばしてやりたい。
――機織り女は、乙女でなくては。
そう教えてくれたのは、師匠でもある亡きお祖母ちゃん。
――最高の布を織るためには、男を知ってはならぬ。
男を知ってしまえば、男に心を乱されてしまうから。所帯を持ち、子に乳を含ませるようになれば、手はあかぎれ、糸に触れることもできなくなるから。
お祖母ちゃんと父に血の繋がりはない。父は、祖母が拾って育ててくれた親なし子。
お祖母ちゃんは、誰とも結婚しなかった。だから、お祖母ちゃんは、師匠として尊敬に値するだけの立派な布を織っていた。
わたしも。わたしも、お祖母ちゃんに倣って立派な布を織りたくて。十八になるこの歳まで、男と関係を持ったことはない。
だから。
「ああ、あれが……」は、全否定したい。
機織り女の中には、機だけで暮らしていけず、春を売って糊口をしのいでるのもいるけど。わたしはそんなんじゃないわよ! そんなんじゃ……。
唇に重なった熱さ。声どころか、息も呑み込まれ、絡みついてきた舌――
「どうした、里珠」
無意識に唇に触れてたこと、如飛に指摘されて気づいた。
「なっ、なんでもないです!」
バッと上掛けを奪い、一人くるまって寝台に横になる。
あの時の。あの時の強引な口づけを思い出してただなんて、口が裂けても言えないわよ!
夜。
自分の室に戻ったところで、鈴芳に教えてもらう。
後宮。
皇帝の私室である思清宮を挟んで、わたしのいる瑠璃宮の対になる場所にある宮。
瑠璃と玻璃。
両手に花というか、両手に宝石を持ったような感じの配置。
ってことは? 玻璃妃ってのは? 皇帝にとって、どんな存在になるわけ?
「里珠さまが、気になさることはありません。陛下には、里珠さまお一人ですから」
疑問に黙りこくってしまったわたしを気遣ってか、後ろで髪を梳いてくれてる鈴芳が、早口に、そしてそっけなく言い放つ。
「わたし一人って?」
「陛下は、……まだ即位なさって日がないからかもしれませんが。この後宮に妃をお入れになっていないんですよ」
「へえ……」
三千寵愛在一身。
いつだったかの皇帝が、「後宮にいる美女三千人に分け与えるべき寵愛を、一人の妃にだけ与えた」、そして「そのせいで国が滅びかけた」みたいなことがあったと、聞いたことがある。「三千寵愛在一身」ってのは、そのことを嘆いた(?)詩に出てくる一説。つまり、後宮に三千人程度の女性が居てもおかしくない、それが普通でしょって認識。
なのに、如飛には、三千どころか、まだわたし一人だけってこと?
(これから集めていくのかな)
めざせご寵姫三千人! みたいな。
まずは、皇帝位を手に入れるために、〝陰陽の乙女〟は入手したけど、ここからは好きなだけ、好みの女を集めていく――みたいな。
そうなれば、如飛がここに泊まっていくことも減るだろうし、わたしはわたしで機織りに集中できるし、なんなら徹夜だってできちゃうし。いいことずくめな気がする。
「じゃあ、これから、続々と後宮に姫がやってくるってこと?」
その玻璃妃ってのも、その姫の内の一人ってこと?
瑠璃宮と対になる宮に入る女性。どういう立ち位置の人か知らないけど、できればいっしょに機織りについて、ううん、織られた布についてでも語り合える相手だといいなあ。「こんな衣装が欲しいんですの」ってのなら、わたしが織ってあげてもいいし。
「さ、さあ……」
「姫はやってこないぞ」
微妙な感じで濁した鈴芳の言葉に、被せるように発せられた声。
「陛下!」
驚いた鈴芳が、あわてて飛び退って頭を垂れる。けど。
(イデデデデ……)
髪梳きの途中だったから、櫛といっしょに髪も数本、持ってかれた。――痛い。驚くのはわかるけど、髪だけは残していって。
「俺は……、俺の代で宝珠宮の扉は開けぬ」
「ホウジュキュー?」
ナニソレ。
瑠璃宮や玻璃宮だけじゃないの? 他にも宮があるの?
「宝珠宮は、陛下の寵愛を受けた姫たちが暮らす宮の総称です。後宮には宝石の名を冠した宮がいくつもあります」
こそっと、鈴芳が教えてくれた。
なるほど。
いや、あって当然か。
瑠璃と玻璃だけで、三千人もの女性を収容できるとは思えないし。
でも、その宝珠宮の扉を開けないってのは、どういうこと?
訊いてみたかったけど、訊けなかった。
だって。
「では、御前を失礼いたします」
スルスルと。
まるで腰を曲げたエビのような格好で。頭を下げたまま退出していった鈴芳。如飛が彼女に「下がれ」みたいな視線を送ったせいだ。
二人だけになった室内で。
ドカッと(勝手に)寝台に腰掛けた如飛。
「玻璃妃のこともそうだ。だから、叔父上の言ったことは、気にするな」
「え? あ、はあ……」
気にするなと言われても。
鈴芳に訊いてたのは、「玻璃妃ってナニ?」っていう、わかんないから訊いただけの単純なもので、「わたし以外に妃を迎えるだなんて!」とかじゃない。
「陰陽の乙女は二人必要なんだ」とか言われても、きっと「はあ、そうなんですね」で受け入れるよ、わたし。
「それより。贈った機の調子はどうだ?」
腰掛けた状態から、後ろを確認することなく、ボフッと寝台に仰向けに倒れた如飛が言った。
「機も糸も。気に入ったか?」
「あ、えと。ありがとうございます。すっごく良い物で、感謝してます」
そういえば。わたし、まだ「ありがとう」の一つも言ってなかったわ。
届けられたの、今朝だし。今日は、あの謁見の場まで、如飛に会えてなかったし。あの場で「ありがとう」は言いにくかったし。
だから。
だから、ちゃんとわたしからお礼を言うつもりだったのに。
「そうか。ならばよい」
如飛から催促されての「ありがとう」じゃ、本当に感謝してるってこと、伝わりにくくなってる。社交辞令的に「ありがとう」って言ったように感じられる。
「あ、あのっ!」
だから、声を上げる。寝台に近づいて、仰向けに転がる如飛を見下ろすような格好になっちゃったけど。
「即位の儀式って、いつですかっ!?」
「来月の十日だが。どうした?」
わたしの質問を不思議に思ったのか。如飛が身を起こした。
「いえ! なんでもありません!」
いいこと思いついた! 「ありがとう」よりいいこと!
でも、それは内緒。だって、驚かせたいし!
贈られた機と糸を使って。新しい機と糸をもらったお礼として。
如飛の衣装、できれば即位の時の衣装なんて、わたしが作って贈ったら、最高の「ありがとう」にならない? アナタに贈られた機と糸で、こんなの作ってみましたけど? って。
「即位の時は、そなたにも臨席してもらわねばならぬが。すまない。苦労をかける」
「え、いや、その……」
わたしの質問。
如飛は、「即位なんていう面倒なこと、いつなんですか?」と、受け取ったらしい。
わたし、そんな儀式に出たくないんですけど? 今日の謁見だって、急に言われて困ったんですけど? みたいな。
(そうじゃないんだけどな)
「ありがとう」の期限がいつか知りたかっただけで。そりゃあ、即位の儀式に出るのは、ちょっと……というか、かなり嫌だけど。
(だって、あの視線だしなあ)
「あれが陛下の……」とか、「あれが陰陽の……」みたいな。人を品評してくる、容赦ない目線。
〝陰陽の乙女〟ってのは、男性の持つ〝陽の気〟と、乙女の持つ〝陰の気〟を混ぜ合わせ、皇族の持つ力の均衡を保つための存在。
つまりは。
男女のそういうことを皇帝に奉仕する存在。〝気の混ぜ合わせ〟とは、そういうこと。女の腹のなかで行われる(らしい)。
だから。
「ああ、あれが陛下の佳い女なんだな」って視線と、「そういうことやっちゃってるのね」視線もあるわけで。
(わたしは、まだそういうことをしたことない、生娘よ!)
叫びたい。
そういう視線に、食ってかかりたい。視線を殴り飛ばしてやりたい。
――機織り女は、乙女でなくては。
そう教えてくれたのは、師匠でもある亡きお祖母ちゃん。
――最高の布を織るためには、男を知ってはならぬ。
男を知ってしまえば、男に心を乱されてしまうから。所帯を持ち、子に乳を含ませるようになれば、手はあかぎれ、糸に触れることもできなくなるから。
お祖母ちゃんと父に血の繋がりはない。父は、祖母が拾って育ててくれた親なし子。
お祖母ちゃんは、誰とも結婚しなかった。だから、お祖母ちゃんは、師匠として尊敬に値するだけの立派な布を織っていた。
わたしも。わたしも、お祖母ちゃんに倣って立派な布を織りたくて。十八になるこの歳まで、男と関係を持ったことはない。
だから。
「ああ、あれが……」は、全否定したい。
機織り女の中には、機だけで暮らしていけず、春を売って糊口をしのいでるのもいるけど。わたしはそんなんじゃないわよ! そんなんじゃ……。
唇に重なった熱さ。声どころか、息も呑み込まれ、絡みついてきた舌――
「どうした、里珠」
無意識に唇に触れてたこと、如飛に指摘されて気づいた。
「なっ、なんでもないです!」
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