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第7話 FIRE AT WILL.
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私は、ドミニクの作戦通りに動く。
孤児院を回り、慰問し、寄付し、心優しい女性を演じる。
架空の動機を語り、新聞記者の前で涙をこぼす。
どれだけ汚い浮浪児のような子どもでも、優しく抱きしめ愛おしむ。
それをまた、記者に取材させる。記者がいるとわかったうえでのパフォーマンス。
まあ、孤児院の子どもの惨状に、心痛めないほど私も冷酷ではない。
孤児院では、棄てられた赤ん坊のうち、三分の二が一年以内に死ぬ。7歳まで生き残る可能性はとても低く、働ける歳になって孤児院を出ていけるのは、毎年、一人か二人。生き残れただけ幸いというべきか、不幸というべきか。その後の過酷な人生を思えば、単純によかったね、とは言いにくくなる。
「孤児院だって経営難なんだ。どうしようもないだろ」
ガリガリに痩せた、ボロを纏った子供たち。
本気で私が同情してしまうのは、時間の問題だった。
ドミニクに言われなくても、自分の宝石などを手離してお金に替え、パンや服を用意する。薬が足りなければ薬を。物だけじゃなく、孤児院での子どもの世話もかって出た。
「アンタ、意外に優しいんだな」
そう評価したのはドミニクだったか。
「もっとお嬢さま然としているかと思ったぜ」
「別に。今まで知らなかったからやってなかっただけで。知ったからには、見過ごすなんて出来ないだけよ」
私は、たまたま公爵令嬢に転生しただけ。もしこれが別の、孤児院にいる子どもたちのような立場に生まれ変わっていたら。そう思うと、支援の手を伸ばさずにはいられない。
だけど、いくら私が公爵令嬢、少しぐらいのお金なら持っていると言っても限界はある。
「変わったことを始めたみたいだね、エリーズ」
そう言って笑ってくれたのは、父さまだった。
「最近、きみのことがなにかと話題になっているけど、どういう心境の変化なんだい?」
父さまは咎めたふうでもなく笑う。
「ちょっといろいろありまして。未来の王妃として、気になったから動いているだけですわ」
ウソをつくのは心苦しい。でも、真実のすべてを話すわけにはいかない。
父さまたちを巻き込むわけにはいかない。これは、私と共犯者となってくれたドミニクとで成しえなければいけないことだ。
「まあいいさ。悪いウワサというわけでもないからね」
一般的に、貴族の家庭は夫婦、親子ともに関係が薄くよそよそしいことが多い。だけど、我が家は私が一人っ子であることも影響しているのか、家族仲はいいほうだと思う。珍しく父さまには愛人がいないし、母さまだって浮気はしない。
二人は、私にとって理想の夫婦であり、大切な家族だった。
この二人を、不幸になんてしない。
「ねえ、父さま。しばらくの間でいいから、領地に戻ってくださらないかしら」
「エリーズ? なにを?」
「半年、いえ、三か月でも構いません。理由は訊かずに、母さまと一緒に領地で暮らしてくださいませんか」
このまま王都にいたら、万が一巻き込んでしまうかもしれない。
成功すればいいけれど、失敗すれば……。
その点、領地にいれば、失敗した時、父さまたちだけでもサッと国外に逃げ出すことだって可能だ。
「お願いです。理由は話せませんが、その……」
こんな我がまま聞き入れられるかしら。
「いいよ。なにか思うところがあるんだね、エリーズ」
うなだれた私の頭を、父さまがやさしく撫でた。私を見る父の目は優しい。
「最近のきみは、なにか思いつめているようだし。領地に帰ることできみの気が楽になるのなら、お安い御用だ」
「父さま……」
「最近、身体の調子が悪くてね。しばらく、領地で静養させてもらう。そういうことにさせてもらうよ」
「ありがとう、父さま……」
こぼれた涙を優しく拭われた。
「やりたいことがあるのなら、思いっきりやりなさい。そのための援助だって惜しまない。公爵家はエリーズのものでもあるんだから、遠慮なく使いなさい」
一旦、言葉を区切って、父さまが私を抱きしめる。
「ただ一つ。無茶なことだけはしないと約束してくれないか。きみは、私たちの大切な娘なんだからね」
「父さま……」
その言葉は、優しく熱く、私の中に染みこんでいく。
「ふぅん。両親を逃がしたのか」
数日後、両親と召使いたちがいなくなった屋敷を訪れたドミニクが、広く感じられるようになった屋敷を見回して言った。
「あの人たちを巻き込むわけにはいかないもの」
「ま、賢明な判断だな。領地にいるなら、人質にとられる心配もなく自由に動ける」
人質。
この先、私がやろうとしていることは、それだけの危険が伴うということだ。
フェルディナンたちと、私たち。
どちらが食うか食われるか。相手が倒れるまで、この戦いは終わらない。
「そう心配するなって。必ず成功させてやるからよ」
ドミニクがポンポンッと私の頭を叩くように撫でる。
そうして私を見つめる目は、父さまと同じように温かい。
「さて。第二段階といきますか」
軽い口調でドミニクが言い放つ。
なんのためらいもなくベストを脱ぎ始めると、私の用意しておいた従者の格好に着替えていく。
これから王宮へ登城する私に、ニセの従者として付き従うためだ。
王宮で開かれる舞踏会。その前に病床の国王を見舞う。
そして舞踏会では、これでもかとばかりに、フェルディナンから虐げられるように動く。
地味なドレスでバカにされようかしら。それとも、一曲も彼に踊ってもらえず、アンジェリーヌとの仲を見せつけられようかしら。
舞踏会ともなれば、あの女はフェルディナンの用意したもので、最高に、それこそギンギラギンに飾り立てて現れるはず。最高級のドレス、最高級の宝石。そして最高に愛されてる娘を演出してくるはずだ。
以前の私なら、そんな彼女に嫉妬を、フェルディナンへは心変わりの悲しみを覚えていたけど、今は違う。
彼らのそういう態度が、彼らを破滅へと導くのだから、よろこんでその姿を拝むとしよう。
病床の父王、飢えに苦しむ国民。
国民から慕われる、慈しみ深き婚約者をないがしろにする二人のことは、その贅沢具合いとともに、ドミニクの手によって、国民へとリークされ、やがて彼らを断頭台へと送る理由となるだろう。
「行くわよ、ドミニク」
私が向かうは戦場。
うやうやしく手を取るドミニクは、戦友。
さあ、フェルディナン、アンジェリーヌ。
今は思いっきり好きなだけ贅沢をこらし、私を貶めればいいわ。
孤児院を回り、慰問し、寄付し、心優しい女性を演じる。
架空の動機を語り、新聞記者の前で涙をこぼす。
どれだけ汚い浮浪児のような子どもでも、優しく抱きしめ愛おしむ。
それをまた、記者に取材させる。記者がいるとわかったうえでのパフォーマンス。
まあ、孤児院の子どもの惨状に、心痛めないほど私も冷酷ではない。
孤児院では、棄てられた赤ん坊のうち、三分の二が一年以内に死ぬ。7歳まで生き残る可能性はとても低く、働ける歳になって孤児院を出ていけるのは、毎年、一人か二人。生き残れただけ幸いというべきか、不幸というべきか。その後の過酷な人生を思えば、単純によかったね、とは言いにくくなる。
「孤児院だって経営難なんだ。どうしようもないだろ」
ガリガリに痩せた、ボロを纏った子供たち。
本気で私が同情してしまうのは、時間の問題だった。
ドミニクに言われなくても、自分の宝石などを手離してお金に替え、パンや服を用意する。薬が足りなければ薬を。物だけじゃなく、孤児院での子どもの世話もかって出た。
「アンタ、意外に優しいんだな」
そう評価したのはドミニクだったか。
「もっとお嬢さま然としているかと思ったぜ」
「別に。今まで知らなかったからやってなかっただけで。知ったからには、見過ごすなんて出来ないだけよ」
私は、たまたま公爵令嬢に転生しただけ。もしこれが別の、孤児院にいる子どもたちのような立場に生まれ変わっていたら。そう思うと、支援の手を伸ばさずにはいられない。
だけど、いくら私が公爵令嬢、少しぐらいのお金なら持っていると言っても限界はある。
「変わったことを始めたみたいだね、エリーズ」
そう言って笑ってくれたのは、父さまだった。
「最近、きみのことがなにかと話題になっているけど、どういう心境の変化なんだい?」
父さまは咎めたふうでもなく笑う。
「ちょっといろいろありまして。未来の王妃として、気になったから動いているだけですわ」
ウソをつくのは心苦しい。でも、真実のすべてを話すわけにはいかない。
父さまたちを巻き込むわけにはいかない。これは、私と共犯者となってくれたドミニクとで成しえなければいけないことだ。
「まあいいさ。悪いウワサというわけでもないからね」
一般的に、貴族の家庭は夫婦、親子ともに関係が薄くよそよそしいことが多い。だけど、我が家は私が一人っ子であることも影響しているのか、家族仲はいいほうだと思う。珍しく父さまには愛人がいないし、母さまだって浮気はしない。
二人は、私にとって理想の夫婦であり、大切な家族だった。
この二人を、不幸になんてしない。
「ねえ、父さま。しばらくの間でいいから、領地に戻ってくださらないかしら」
「エリーズ? なにを?」
「半年、いえ、三か月でも構いません。理由は訊かずに、母さまと一緒に領地で暮らしてくださいませんか」
このまま王都にいたら、万が一巻き込んでしまうかもしれない。
成功すればいいけれど、失敗すれば……。
その点、領地にいれば、失敗した時、父さまたちだけでもサッと国外に逃げ出すことだって可能だ。
「お願いです。理由は話せませんが、その……」
こんな我がまま聞き入れられるかしら。
「いいよ。なにか思うところがあるんだね、エリーズ」
うなだれた私の頭を、父さまがやさしく撫でた。私を見る父の目は優しい。
「最近のきみは、なにか思いつめているようだし。領地に帰ることできみの気が楽になるのなら、お安い御用だ」
「父さま……」
「最近、身体の調子が悪くてね。しばらく、領地で静養させてもらう。そういうことにさせてもらうよ」
「ありがとう、父さま……」
こぼれた涙を優しく拭われた。
「やりたいことがあるのなら、思いっきりやりなさい。そのための援助だって惜しまない。公爵家はエリーズのものでもあるんだから、遠慮なく使いなさい」
一旦、言葉を区切って、父さまが私を抱きしめる。
「ただ一つ。無茶なことだけはしないと約束してくれないか。きみは、私たちの大切な娘なんだからね」
「父さま……」
その言葉は、優しく熱く、私の中に染みこんでいく。
「ふぅん。両親を逃がしたのか」
数日後、両親と召使いたちがいなくなった屋敷を訪れたドミニクが、広く感じられるようになった屋敷を見回して言った。
「あの人たちを巻き込むわけにはいかないもの」
「ま、賢明な判断だな。領地にいるなら、人質にとられる心配もなく自由に動ける」
人質。
この先、私がやろうとしていることは、それだけの危険が伴うということだ。
フェルディナンたちと、私たち。
どちらが食うか食われるか。相手が倒れるまで、この戦いは終わらない。
「そう心配するなって。必ず成功させてやるからよ」
ドミニクがポンポンッと私の頭を叩くように撫でる。
そうして私を見つめる目は、父さまと同じように温かい。
「さて。第二段階といきますか」
軽い口調でドミニクが言い放つ。
なんのためらいもなくベストを脱ぎ始めると、私の用意しておいた従者の格好に着替えていく。
これから王宮へ登城する私に、ニセの従者として付き従うためだ。
王宮で開かれる舞踏会。その前に病床の国王を見舞う。
そして舞踏会では、これでもかとばかりに、フェルディナンから虐げられるように動く。
地味なドレスでバカにされようかしら。それとも、一曲も彼に踊ってもらえず、アンジェリーヌとの仲を見せつけられようかしら。
舞踏会ともなれば、あの女はフェルディナンの用意したもので、最高に、それこそギンギラギンに飾り立てて現れるはず。最高級のドレス、最高級の宝石。そして最高に愛されてる娘を演出してくるはずだ。
以前の私なら、そんな彼女に嫉妬を、フェルディナンへは心変わりの悲しみを覚えていたけど、今は違う。
彼らのそういう態度が、彼らを破滅へと導くのだから、よろこんでその姿を拝むとしよう。
病床の父王、飢えに苦しむ国民。
国民から慕われる、慈しみ深き婚約者をないがしろにする二人のことは、その贅沢具合いとともに、ドミニクの手によって、国民へとリークされ、やがて彼らを断頭台へと送る理由となるだろう。
「行くわよ、ドミニク」
私が向かうは戦場。
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