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第17話 二重虹。
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「かあさまー、みてくださいっ! ほらっ、にじがでてますっ! それもふたつですっ!」
柔らかく愛らしい指で、雨上がりの空をさししめす。
自分が見つけたそれを、私に教えたくて仕方なかったのだろう。執務室に飛び込んでくるなり、私を窓際へと引っ張っていった。
「まあ、キレイにかかっているわね。それも珍しい、二つあるのね」
暗い雨雲を背に浮かび上がる虹。その七色の光が、とてもハッキリと見えた。そして、その外側にも薄くボンヤリともう一重、虹がかかっている。
「でしょう? ぼくがみつけたんですよっ!」
普通の虹であってもちょっとしたサプライズなのに、それが二重になっているとなれば、誰でも興奮が治まらないだろう。
「すごいわ、アレクサンドル。母さまもこんな虹、見たことないわ」
そう言って、幼い息子の髪を撫でる。
私によく似た柔らかな栗色の髪。キラキラと光るように澄んだ瞳は、水色。
即位の翌年に生まれたこの王子も、もうすぐ五歳になる。
大きな病気もなくスクスクと育っていく息子。少し甘えん坊なところもあるけど、利発なこの息子なら、私の始めた立憲君主制を上手く引く継いでくれるだろう。
「かあさま? どうしたのですか?」
「ううん。なんでもないの。ねえ、アレクサンドル、知ってる? 二重の虹はね、『祝福』という意味があるのよ」
「しゅくふく?」
「そう。この先、それまで自分がやってきたことが上手くいく証。そして、幸せがやってきますよって天が教えてくれているのよ」
「じゃあ、いま、ぼくがやってることもうまくいくかな」
「そうね、上手くいくと思うわ。でも、アレクサンドルは今、何をやってるの?」
「いまね、ぼく、かくれんぼをしてるんだ」
「かくれんぼ?」
「こわーいおにからにげてるんだよ」
ここにやって来ている以上、かくれてもないではないか。
そう思った時、たいしたノックもなしに扉が開いた。
「アレクサンドルさまっ!」
ズンズンと入ってきたのは、コリンヌ。私つきの女官として働く彼女は、アレクサンドルの世話係も兼任している。
「せっかくお召し物を新調しようとしているのに、逃げられては困ります」
「だってぇ。つまんないんだもん」
アレクサンドルが、そのプルンッとした唇を尖らせる。
「そんなことおっしゃっても、殿下のお誕生日のお召し物なんですよ?」
わかってる。わかってるけどイヤだ。
アレクサンドルが、うつむきながら床をける。
「さ、行きますよ」
容赦なくコリンヌが彼の手を取る。
「ねえ、アレクサンドル」
そんな息子に少しほほ笑みながら声をかける。
「せっかく虹もアナタの誕生日を祝福してくれているのだから、もう少しだけ辛抱しなくては。母さまも、アナタの立派な姿をぜひ見たいわ」
「ホント? かあさま」
「ええ。凛々しくなったアナタを見たいわ」
「じゃあ、はやくおようふくをつくってもらうね。コリンヌ、いこうっ!」
引っ張られていたはずのアレクサンドルが、コリンヌを追い抜き、引っ張り返す。
慌ただしく部屋を後にした二人に、笑いがこぼれる。
落ち着きを取り戻した部屋から、もう一度空にかかる虹を見る。
二重虹は『祝福』。
さきほどまでむかっていた執務机の上には、次の議会選挙のための草案。二院政治の一つ、衆議院にあたる議会が今年、総選挙を迎える。
それと同時に、私の持つ女王としての政治権力を、司法に立法に行政に、それぞれ移行させている。あと何年かしたら、完全な『君臨すれど、統治せず』の状態に持ち込めるだろう。
この先の未来が、彼と作り上げたこの国が、幸せなものになると、祝福されているのだろうか。
(そうならいいのに)
虹のむこうに広がる風景をながめる。
あの夜以来、私は彼に会っていない。
彼は、私の前から姿を消した。
女王となった私の、前王家の子を宿したとする私のそばに男がいてはいけない。万が一、彼に似た子が産まれてしまえば下手な憶測を呼び、それは私の致命傷になる。
民衆の支持と、王太子の婚約者だった立場、公爵家に流れる血筋から、今の地位を手に入れはしたものの、まだ私の立場は盤石ではなかった。女王を喜ばない者もいるし、政策に納得していない者もいる。
そんな時に、息子の父親が誰であるか。詮索されるリスクは減らしておいた方がいい。
あくまで、アレクサンドルはフェルディナンとの子ども。
彼は、私たちを守るために姿を消した。
民衆を大事にした改革を推し進めたため、今の私には、民からの絶大な支持が集まっている。そんな私の子、アレクサンドルは、フェルディナンに似たところのない子どもだったが、誰も深く追求しなかった。
すべては彼との計画通り。
(ドミニク……)
声に出すことの出来ない愛しい名を、そっと心のなかで呟く。
――大丈夫だ。
彼の声が私のなかでくり返される。そのたびに、私は何度も前を向く。
* * * *
――なあ、三途の川って知ってるか?
――ええ。あの、死んだら渡るっていう川でしょ。
――そうだ。あの川を渡るには六文銭が必要とも言われているが、別の言い伝えもあるんだ。
――別の?
――女は、自分の初めてを交わした男に背負われて渡るって言うのがある。
――じゃあ、私の場合、アナタに背負われるのかしら。
――だろうな。お前の初めてはオレがもらったからな。
――まあ。
――オレは、ずっと遠い未来、あの川の前でアンタを待っている。アンタを背負って一緒に渡るために。
――じゃあ、私はちゃんと背負ってもらえるように、太らないように気をつけなくっちゃ。
――そうだな。オレもデブは背負いたくない。
――言ったわね。
――ははっ、言ったさ。
――ねえ。
――ん?
――私たち、また会えるのよね。
――ああ、必ず。
――会えたら、その先はずっと一緒だ。だから、それまでは精一杯生きろ。
――ええ。川の手前で待ちぼうけはイヤだもの。頑張って生きるわ。
* * * *
「先生~、見てみて、変わった虹が出てるよぉ」
どうやらうたた寝ていたらしいオレは、自分を呼ぶ生徒の声に目を覚ます。
「おお、二重虹か。珍しいな」
目をすがめ、空を見上げる。ハッキリと色鮮やかな虹の外側に、もう一つボンヤリとした虹。
「ねえ、先生。虹ってどうしてできるの?」
「ん? そうだな。大気中の水滴のなかを光が通過する時に分散して……だが」
言いかけて口をつぐむ。
「それより、虹には面白い言い伝えがあるんだぞ」
「言い伝え?」
周囲に集まってきた生徒にニヤリと笑ってみせる。
「虹の根元には、金のカップが埋まっているそうだ。そのカップを手にいれた者は、一生幸運に見舞われる」
「ええっ、本当っ?」
「どうだろうな。手に入れたヤツがいるっていう話は聞いたことがないからなあ」
ボリボリと頭を掻きながら生徒たちを見る。
虹の根元はあっちか。あそこなら歩いていけないか。
子どもたちのキラキラした目を見ていると気分がいい。
(虹……か)
彼女も見ているのだろうか、この虹を。
王都で、女王として君臨する彼女。オレの愛したただ一人だけの女性。
そっと左腕に残る古傷に触れる。
(エリーズ……)
懐かしい約束を夢見たからだろうか。
彼女と再会するのは、もっと先の未来。そう決めていたのに、無性に会いたくて仕方ない。
彼女の元を離れて6年。
彼女が一人、子を産んだことは知っている。
王太子フェルディナンとの間の子。
彼女がそう断言してしまえば、反論できる者は、誰一人いなかった。
たとえどれほど王太子に似ていなくても。
生前の王太子が彼女をどれほど疎ましく思っていたか。二人の関係を知らぬ者は少なくない。だが、誰もがそのことに口をつぐむ。
女王が、前王家の血を継ぐ子であると宣言してしまえば、異を唱える者などいない。
血を継いでなかったとしても、それがどうだというのだ。
彼女は過去の王家の血を継いでいる。それも複数。そんな彼女の子どもならば、父親が誰であろうと高貴な生まれの子であることに間違いはない。父親が誰であるかなどということは、ほんの些細なことにすぎないのだ。
あれから。オレは地方の街の片隅に小さな私塾を開いた。いつか、彼女の政治の助けになるような人物を生み出すため。生まれた王子を補佐できる人物を作り出すため。持てる知識を総動員して、街の子どもたちに教えている。
彼女の女王としての名声は、こんな小さな街にも届いている。
誰もが慕う慈愛の女王、エリーズ。
彼女への民衆からの支持は、6年たっても変わらない。
彼女は、オレに誓ったように、名君としての道を着実に歩いている。
この虹を渡っていけば彼女に会える。
そんな気がして、オレは大きく息を吸い込むと、虹を瞼に焼き付けるように静かに目を閉じた。
柔らかく愛らしい指で、雨上がりの空をさししめす。
自分が見つけたそれを、私に教えたくて仕方なかったのだろう。執務室に飛び込んでくるなり、私を窓際へと引っ張っていった。
「まあ、キレイにかかっているわね。それも珍しい、二つあるのね」
暗い雨雲を背に浮かび上がる虹。その七色の光が、とてもハッキリと見えた。そして、その外側にも薄くボンヤリともう一重、虹がかかっている。
「でしょう? ぼくがみつけたんですよっ!」
普通の虹であってもちょっとしたサプライズなのに、それが二重になっているとなれば、誰でも興奮が治まらないだろう。
「すごいわ、アレクサンドル。母さまもこんな虹、見たことないわ」
そう言って、幼い息子の髪を撫でる。
私によく似た柔らかな栗色の髪。キラキラと光るように澄んだ瞳は、水色。
即位の翌年に生まれたこの王子も、もうすぐ五歳になる。
大きな病気もなくスクスクと育っていく息子。少し甘えん坊なところもあるけど、利発なこの息子なら、私の始めた立憲君主制を上手く引く継いでくれるだろう。
「かあさま? どうしたのですか?」
「ううん。なんでもないの。ねえ、アレクサンドル、知ってる? 二重の虹はね、『祝福』という意味があるのよ」
「しゅくふく?」
「そう。この先、それまで自分がやってきたことが上手くいく証。そして、幸せがやってきますよって天が教えてくれているのよ」
「じゃあ、いま、ぼくがやってることもうまくいくかな」
「そうね、上手くいくと思うわ。でも、アレクサンドルは今、何をやってるの?」
「いまね、ぼく、かくれんぼをしてるんだ」
「かくれんぼ?」
「こわーいおにからにげてるんだよ」
ここにやって来ている以上、かくれてもないではないか。
そう思った時、たいしたノックもなしに扉が開いた。
「アレクサンドルさまっ!」
ズンズンと入ってきたのは、コリンヌ。私つきの女官として働く彼女は、アレクサンドルの世話係も兼任している。
「せっかくお召し物を新調しようとしているのに、逃げられては困ります」
「だってぇ。つまんないんだもん」
アレクサンドルが、そのプルンッとした唇を尖らせる。
「そんなことおっしゃっても、殿下のお誕生日のお召し物なんですよ?」
わかってる。わかってるけどイヤだ。
アレクサンドルが、うつむきながら床をける。
「さ、行きますよ」
容赦なくコリンヌが彼の手を取る。
「ねえ、アレクサンドル」
そんな息子に少しほほ笑みながら声をかける。
「せっかく虹もアナタの誕生日を祝福してくれているのだから、もう少しだけ辛抱しなくては。母さまも、アナタの立派な姿をぜひ見たいわ」
「ホント? かあさま」
「ええ。凛々しくなったアナタを見たいわ」
「じゃあ、はやくおようふくをつくってもらうね。コリンヌ、いこうっ!」
引っ張られていたはずのアレクサンドルが、コリンヌを追い抜き、引っ張り返す。
慌ただしく部屋を後にした二人に、笑いがこぼれる。
落ち着きを取り戻した部屋から、もう一度空にかかる虹を見る。
二重虹は『祝福』。
さきほどまでむかっていた執務机の上には、次の議会選挙のための草案。二院政治の一つ、衆議院にあたる議会が今年、総選挙を迎える。
それと同時に、私の持つ女王としての政治権力を、司法に立法に行政に、それぞれ移行させている。あと何年かしたら、完全な『君臨すれど、統治せず』の状態に持ち込めるだろう。
この先の未来が、彼と作り上げたこの国が、幸せなものになると、祝福されているのだろうか。
(そうならいいのに)
虹のむこうに広がる風景をながめる。
あの夜以来、私は彼に会っていない。
彼は、私の前から姿を消した。
女王となった私の、前王家の子を宿したとする私のそばに男がいてはいけない。万が一、彼に似た子が産まれてしまえば下手な憶測を呼び、それは私の致命傷になる。
民衆の支持と、王太子の婚約者だった立場、公爵家に流れる血筋から、今の地位を手に入れはしたものの、まだ私の立場は盤石ではなかった。女王を喜ばない者もいるし、政策に納得していない者もいる。
そんな時に、息子の父親が誰であるか。詮索されるリスクは減らしておいた方がいい。
あくまで、アレクサンドルはフェルディナンとの子ども。
彼は、私たちを守るために姿を消した。
民衆を大事にした改革を推し進めたため、今の私には、民からの絶大な支持が集まっている。そんな私の子、アレクサンドルは、フェルディナンに似たところのない子どもだったが、誰も深く追求しなかった。
すべては彼との計画通り。
(ドミニク……)
声に出すことの出来ない愛しい名を、そっと心のなかで呟く。
――大丈夫だ。
彼の声が私のなかでくり返される。そのたびに、私は何度も前を向く。
* * * *
――なあ、三途の川って知ってるか?
――ええ。あの、死んだら渡るっていう川でしょ。
――そうだ。あの川を渡るには六文銭が必要とも言われているが、別の言い伝えもあるんだ。
――別の?
――女は、自分の初めてを交わした男に背負われて渡るって言うのがある。
――じゃあ、私の場合、アナタに背負われるのかしら。
――だろうな。お前の初めてはオレがもらったからな。
――まあ。
――オレは、ずっと遠い未来、あの川の前でアンタを待っている。アンタを背負って一緒に渡るために。
――じゃあ、私はちゃんと背負ってもらえるように、太らないように気をつけなくっちゃ。
――そうだな。オレもデブは背負いたくない。
――言ったわね。
――ははっ、言ったさ。
――ねえ。
――ん?
――私たち、また会えるのよね。
――ああ、必ず。
――会えたら、その先はずっと一緒だ。だから、それまでは精一杯生きろ。
――ええ。川の手前で待ちぼうけはイヤだもの。頑張って生きるわ。
* * * *
「先生~、見てみて、変わった虹が出てるよぉ」
どうやらうたた寝ていたらしいオレは、自分を呼ぶ生徒の声に目を覚ます。
「おお、二重虹か。珍しいな」
目をすがめ、空を見上げる。ハッキリと色鮮やかな虹の外側に、もう一つボンヤリとした虹。
「ねえ、先生。虹ってどうしてできるの?」
「ん? そうだな。大気中の水滴のなかを光が通過する時に分散して……だが」
言いかけて口をつぐむ。
「それより、虹には面白い言い伝えがあるんだぞ」
「言い伝え?」
周囲に集まってきた生徒にニヤリと笑ってみせる。
「虹の根元には、金のカップが埋まっているそうだ。そのカップを手にいれた者は、一生幸運に見舞われる」
「ええっ、本当っ?」
「どうだろうな。手に入れたヤツがいるっていう話は聞いたことがないからなあ」
ボリボリと頭を掻きながら生徒たちを見る。
虹の根元はあっちか。あそこなら歩いていけないか。
子どもたちのキラキラした目を見ていると気分がいい。
(虹……か)
彼女も見ているのだろうか、この虹を。
王都で、女王として君臨する彼女。オレの愛したただ一人だけの女性。
そっと左腕に残る古傷に触れる。
(エリーズ……)
懐かしい約束を夢見たからだろうか。
彼女と再会するのは、もっと先の未来。そう決めていたのに、無性に会いたくて仕方ない。
彼女の元を離れて6年。
彼女が一人、子を産んだことは知っている。
王太子フェルディナンとの間の子。
彼女がそう断言してしまえば、反論できる者は、誰一人いなかった。
たとえどれほど王太子に似ていなくても。
生前の王太子が彼女をどれほど疎ましく思っていたか。二人の関係を知らぬ者は少なくない。だが、誰もがそのことに口をつぐむ。
女王が、前王家の血を継ぐ子であると宣言してしまえば、異を唱える者などいない。
血を継いでなかったとしても、それがどうだというのだ。
彼女は過去の王家の血を継いでいる。それも複数。そんな彼女の子どもならば、父親が誰であろうと高貴な生まれの子であることに間違いはない。父親が誰であるかなどということは、ほんの些細なことにすぎないのだ。
あれから。オレは地方の街の片隅に小さな私塾を開いた。いつか、彼女の政治の助けになるような人物を生み出すため。生まれた王子を補佐できる人物を作り出すため。持てる知識を総動員して、街の子どもたちに教えている。
彼女の女王としての名声は、こんな小さな街にも届いている。
誰もが慕う慈愛の女王、エリーズ。
彼女への民衆からの支持は、6年たっても変わらない。
彼女は、オレに誓ったように、名君としての道を着実に歩いている。
この虹を渡っていけば彼女に会える。
そんな気がして、オレは大きく息を吸い込むと、虹を瞼に焼き付けるように静かに目を閉じた。
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感想、ありがとうございます!!
数年前、悪役令嬢モノを理解したくて書いた物語。少しでも何か心に留まるものがあったなら幸いです。(抜けちゃった肝はお返しします。戻しもどし)
お読みいただきありがとうございました。
とても面白かったです。
革命のための行動は珍しいものでなくても、文章が読みやすく展開がすっと入ってきました。
主人公の志が一貫していたことも、爽やかなラストになったと思います。
次回も楽しみにしています。
感想、ありがとうございます!!
「私は戦争が好きだ。(中略) よろしい、ならば戦争だ」(CV:飛田展男)
なんのアニメは知らないけど、なんか有名なセリフ(だと思う)。
タイトルは、そのセリフをパロった、ふざけたものですが、その分、中身は真面目に書いたつもりです。人死があるのに、ふざけてなんていられませんからね。
数年前に書いたものなので、読み返すと顔から火を吹きそうなほど恥ずかしいのですが、楽しんでいただけたら幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。