オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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幕間 レイクルーゼのつぶやき

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王妃様のお茶会に行ったらヒロインがいた。
今までこういう場所には出てこなかったのだが…。

シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ公爵令嬢

私が転生する前にしていたゲームの中のヒロインだ。

しかし、本当のヒロインは平民のルピアという子でシャーロレットは悪役令嬢の立場なのだ。
平民ルピアが難関をくぐり抜けて学校に入学する。
入学式1日前からゲームが始まる。
学校の前で希望に満ちている彼女の前に王太子殿下が現れるイベントからスタートだ。
いろいろな攻略対象と出会い、イベントをこなしていく単なる普通の…いや普通すぎる恋愛ゲームだ。

このゲームは実は隠しモードがある。
プログラムを作ったのは私の前世の姉。
恋愛ゲームを作っていた姉が試作品を貸してくれた。

「普通すぎ!面白くない。」
と、言う私に
「無料配信だし、対象年齢が低いの。あまり無理な設定できないからこの程度しかできないの」
と、姉は反論した。

私と姉がいろいろ試行錯誤をした結果ルーズローツルートを加えることした。
出世や家に秘密をもつ闇ルート。
王太子ルートに入ってから枝分かれするルートだ。
普通に恋愛ゲーム初心者がやれば入ることはないし、最悪気づくこともないだろう。
しかし恋愛ゲームを知っている人にとったら彼が1番人気ルートになることは間違いない。

しかし途中でプログラムを加えた為ルーズローツルートに入るのはかなり難しくなってしまった。
もともとの王太子ルートに手を加えたのだが、何度も試作品をやり直しても全くルーズローツルートに入れない。
姉に文句を言ったらルーズローツルートにわりと簡単に入れる隠しモードを作ってくれた。

オープニング直後のイベントで王太子ルートに入るように行動した後にある操作をすると、オープンニングで華々しく登場した平民ルピアさんが
『ここで繰り広げられる様々な恋の駆け引きをあなたも私と一緒に見ていきましょうね。』
というコマンドがでてくる。
〝はい〟を選択すると隠しモード突入だ。
見ていきましょう…なのだ。つまりここで〝はい〟を選択する→傍観者になると言うことなのだ。

で、この隠しモードに入ると悪役令嬢だったシャーロレットがヒロインに昇格するのだ。
姉曰くこの方が手っ取り早いのよ、と言う。

ゲーム制作についてはよくわからないのでまあ隠しモードなんだからこれはこれでいいんじゃないかと思った。
ヒロインがシャーロレットになってもルーズローツルートに少し簡単に入れるようになるだけで普通に攻略対象とはイベントが展開していき恋愛ゲームとして楽しめる。

しかし当然私はルーズローツルートを満喫した。

あ、間違えないでね。
私の一推しはレオンハルト王太子殿下。
ルーズローツルートをひたすら目指してたのは単に入れなくてムキになっていただけ。
まあ、ルーズローツも割と好きなんだけどね。
金髪、碧眼。最高だわ。
しかし闇より爽やかイケメン万歳!なのよ。

そのゲーム発売の際にはこの隠しモードのことは隠されていた。
簡単にルーズローツルートに入れるのはよくない。
販売戦略の為、みんながルーズローツルートに入れなくて困り果てた時に追加のオプションで発売する予定だった。
お金儲けは大事よね。

本当に周りは困っていた。
見てて楽しかった。
どうしたら彼のモードに入れるのかかなりトレンド入りしてた。
そんな人達を見ながら私は優越感に浸っていた。ふふん。

何たって影があり、表には出られない。
裏の社会で生きかなければいけない宿命を背負った金髪イケメンの攻略対象。
ヒロインだけにさらけだす感情。
ヒロインのみに向けられる愛情。
このゲーム唯一のメリバなのだ。

『もっともっと僕に溺れて、壊れてね。』

彼のキャッチコピーだ。

『私が君を守るよ』『あなたと共に生きていこう』などと甘々なコピーが前面に押し出されるゆるゆる恋愛ゲームの中で左下に書いてあるこのモードだけが異様だ。
爽やかな笑顔が笑顔を振りまくこの登場人物紹介の中で唯一ドヤ顔をするルーズローツ。彼の甘々な笑顔を拝みたい!!と、言うことでこの恋愛ゲームを極める人には是が非でも攻略したいルートになった。

実際エンドロールが終わった後その願いは叶う。

最後にヒロインのいる部屋のドアを閉めたあと、彼の笑顔でゲームは終わるのだ。

私はその画面を待ち受けにしてちょっと友達に自慢して鼻高々だった。

友達にはそんな隠しルートがあるなんて内緒だ。

私は転生した時にすぐにこのゲームの世界だと気づいた。
更に設定が隠しモードになっていることにも少したってから気づいた。
なぜならヒロインがシャーロレットになると一つだけ変わるところがある。
何たって悪役令嬢のシャーロレットがいなくなるのだから当然他に悪役令嬢が必要になる。
それが私の転生したレイクルーゼなのだ。

ヒロインのシャーロレットは攻略対象に無条件に愛される。そんな彼女をいじめるのは私、
レイクルーゼ=ビア=アインシュバッツ侯爵令嬢。

そう通常のモードなら彼女はただのモブで15歳の時にどこぞの貴族と結婚させられて学校に行くことなく退場だ。

しかし私は普通に学校へ通えている。
これがレイクルイーゼが悪役令嬢であり、裏モードの設定なのだ。

茶色のストレートの髪に緑色の釣り上がった瞳。結構ナイスな体型をしている。
まあ胸は勝っている。誰からみてもキツそうだが美人だ。
ちなみに今は17歳、ヒロインの2歳上だ。

前世は21歳の大学生。
ある日深夜姉とコンビニに買い物をしに行く途中暴走してきたトラックに…って言うお決まりパターンだ。
姉も多分助からなかったはずだ。

自分が悪役令嬢だなんてショックだったが、ヒロインがなかなか表舞台に現れないから安心していた。
しかしやはり彼女は出てきた。

12歳の時に王太子殿下に初めてお会いした時から彼に恋している。
初めて推しを見た時の衝撃は忘れない。
煌びやかな正装に身を包み、でしっかり背筋を伸ばして前を見て立っていた。
もう薔薇はしょってるし、キラキラ輝きが見える。笑えば爽やかな風が吹き抜ける。
恋するのに1秒も要らない。

まあ正モードなら王太子殿下に恋心を抱きながらもどっかの知らない人と結婚させられる。

しかし今は私は隠れモードのレイクルイーゼだ!このままヒロイン不在なら王太子殿下と結婚できるかも?なんて思っていた。

隠しモードのゲームの中でもシャーロレットが王太子の婚約者のはずなのだが2年前に婚約者に選ばれたのは隣国の王女だった。

ゲームと違う展開に驚いたが、私はゲームではなくこの世界で生きているんだなと、実感できた。
ゲームの登場人物としてではなくこの世界でちゃんと地に足をつけて生きていこうと決意した。

ひとまず殿下が自国で側妃を娶ることが決まった日から殿下にアタックする日々が続いていた。
少しグイグイいきすぎている自覚はあるがどうも性格上、真っ直ぐにしか生きれないらしい。

そんな時にヒロイン登場だ。
初めてお茶会で見た彼女は可愛かった。
殿下も気にしているみたいだった。

ヒロインに取られてしまうのか不安だったから結局ちょっと強く出てしまった。
だってシャーロレットが紋章の入っていない青いリボンをしてくるのだ。
私だってさすがに焦ったわ。
まあ天然ちゃんでリボンの意味を知らない言うオチだ。

しかもシャーロレットはルーズローツルートに入っているみたいだ。ルーズローツルートって難しいのよ。簡単に入ろうって思わなきゃ入れないのよ。
それも幼なじみって何??リボン貰ったって?婚約してるの?ゲーム始まる前から設定変わってるし、ゲーム終わってる!

まだ全てが終わったようではないがもう確実にルーズローツでしょ?
訳わかんない!

でもシャーロレットを虐めなくてよさそうでほっとした。
更に何だか天然の彼女が可愛い。
それに翻弄されるルーズローツを見るのが楽しい。
だってゲーム内のルーズローツは影がありいつも無表情だ。
ヒロインにだけ見せる弱さ、優しさ、ツンデレ。それがカッコよかったのだ今の彼は何?誰からみてもわかるシャーリー一筋!デレデレだ。

本当にこの世界、いろいろ変わっててよくわからないが一番訳わかんないのはルーズローツよ!彼はあんな人前でデレデレするキャラじゃないのよ。ツンデレなのよ。おかしいでしょう。
一応ルーズローツに会えるのも楽しみにしていたのにイメージ崩れるわ。私の闇の王子様を返して!ルーズローツルートを極めた時間を返して!

まあ、その怒りは置いておいて、
シャーリーはそんなルーズローツの事も自分の気持ちも何も気づいていない。まあどうなるのかしら楽しみが増えたわ。

彼女が王太子以外のルートに入るのならゲームでは高確率で王太子殿下は私と結婚できる。

嬉しい。嬉しいのよ。でもね何だかぽっかり穴が空いている。
シャーリーとルーズローツを見てると羨ましい。
あの二人はちゃんと恋愛している。
私がレオンハルト王太子殿下が好きなのは推しだからじゃないはずだ。
優しい笑顔、スッとした立ち振る舞い、気のつくところ、楽しい話題をくれるところみんな好きだ。
でも彼はどうなんだろう?数多いる候補者から選ぶだけ…そこに恋はあるの?私はそれで満足できるの?ずっとそんなこと気にしていくの?私はやはり恋がしたい。
まあ、もうゲームじゃないからいいわ。楽しみましょう。

でも、気になることが一つある。
ゲームのストーリーが変わってしまった原因は何なの?
ルーズローツは転生者じゃない。裏に誰かいる。
しかし今ゲームでいうと隠しモードの舞台だ。私が死んでしまった後に追加オプションが発売されたのだろか?それにしても少し気になることもある。
だって物語始まる前からほぼエンドが決まっている。
いろいろ裏で手が回されてる。
ボガルノ先生にしても…騎士団長子息にしても…王太子の婚約にしても…。こんなにゲーム前に手を加えれるのはゲームには出てこない隠し設定を知っていなければ不可能だ。それをできるのはごく僅かの人間だ。
多分私の考えは合ってるはず。

お姉ちゃん、あなたは誰に転生してる?
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