オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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小話 氷の気配

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「ようやくラリルリ草が手に入るようになったのね。よかった。」
「もうあの時はルキシス様のおかげだよ。ほらおまけしておいたよ。」
花屋のマチルダさんは今日もたくさんの花を用意してくれた。
トムは元気そうだ。やっぱりトムには今日もアメをあげた。

「レオ様、ルキシス様、ありがとございます。」
今日は街に来ているが、何故かまたこの二人と遭遇している。

レオンハルト王太子殿下とはよべないのでレオ様と呼ばせていただいています。

そして何か家で用事があるルースにかわりジョーカスがついてきてくれていた。

ルキシス様は花持ち係と化している。

「姉さん、なんで王太子殿下がいるの?」
ジョーカスが小声で話してきた。
「暇なんじゃない?」
小声で答えた。が…

「シャーリー…聞こえたがそんなことはないよ。」
「せっかく姉さんと二人きりだと思ったのに。」
ジョーカスの緑色の瞳が少し細くなった。

「姉さん、ねぇこれ見て!」
ジョーカスが手を引いて雑貨屋の前まで連れて行く。
「かわいいわね。」
「姉さんに似合いそうだよ。」
蝶のモチーフの付いた髪留めだった。銀色の針金を幾度となく合わせて作った蝶の真ん中には綺麗な緑のガラス玉がはまっていた。
「姉さん、いつも青色ばかりだからたまには他の色はどうかな?」
「ん…一応他の色とかも持っているんだけど、ルースが青いリボンばかりくれるからどうしても寄ってしまうのよね。」
「ねぇ、姉さんに僕が買ってあげるよ。」
「あら、嬉しいわ。ふふふっ。」

「ふーん、女はこう言うのが好きなのか。」
「あら?レオ様も誰かに贈り物かしら?」
「でも金の方が似合いそうだな。」

ん?社交辞令で言ってみただけだけど?
誰に似合うのかしら?ふふっ。

「ルキシスはどう思う??」
「ん…確かに金です。あっあそこに同じものの金がありますよ。ほら、ガラスの色もいろいろあります。」

レイクルーゼ様よね?

殿下は金で水色のガラス玉のものをお買い上げしていた。私もジョーカスにプレゼントしてもらった。
私のものは銀で緑だ。多分レイクルーゼのとお揃いだ。
何だが嬉しい。

パンヤさんのクロワッサンと花を持って孤児院に行く。
「シャーロレット様、いつもありがとうございます。」
孤児院は教会の敷地内にある。牧師さんが挨拶しにきた。
「あ!シャーリーだ!」
「シャーリー!今日本もって来てくれた?」
「クロワッサンだ!」
子供達が私を囲む。何だか保母さんだわね。

「お前のお姉さんは本当に人気者だな。」
「はい、自慢の姉です。」
「まあ、その程度に留めておけよ。」
「そのつもりです。姉が幸せならいいんです。」

いろいろ回っていたら夕方になってしまった。
「王太子殿下、ルキシス様、今日はお付き合い頂き有難うございました。」
「歩いて帰るのか?」
「ええ、そんなに遠くないですから。」
「しかしもうすぐ暗くなるぞ。」
「確かにそうですね。」

「殿下!」
ルキシス様が何やらすっと体の向きを変えた。さすが騎士様だ。王太子殿下の前に出る。

「殿下、シャーロレット譲とジョーカス様を後ろに。」
え!私達殿下に守られるの?あ、いや恐れ多すぎます。
殿下が私達の前に出る。更に私の前にジョーカスが出る。
何があるの?誰かいる?
もしかして殿下が狙われてるの。

ルキシス様が腰につけている剣に手をかけた。カチャっと剣をゆっくり鞘から抜く音がする。
殿下もゆっくり剣に手を回す。
シーンと静まり返る。わたしには何も感じない。
痛いくらいに張り詰めた空気。

「姉さん、何か寒くない?」
夕方で昼間より寒いことは寒いがちゃんとコートも着てるし、さっきまではそんかに感じなかったが寒くなった気がする。

ルキシス様が息を吐いた。
剣から手を離して少し脱力した。
「殿下もわかりましたか?」
「ああ、殺気は感じたが攻撃する気配はなかったな。」
「誰だ?二人いたような気がするが一人は気配しか感じなかった。」
「ん?シャーリー寒いのか。」
私は腕を差すっていた。しかし
「あら?もう大丈夫だわ。ねぇジョーカス。」
ジョーカスもうなずいた。

私達は結局殿下が乗ってきた馬車で一緒に家に帰ることになった。 お忍びなので豪華でなくて安心した。

丁寧にお礼を言って彼らと別れた。
かなり狭かった。特に殿下とルキシス様が隣同士だったので私達より窮屈だっただろう。ジョーカスが私の隣を変わろうとしなかったから。すみません…。


「ルキシス、さっきのはどう思う。」
「寒かったと言っていました。しかし私は感じませんでしたが。」
「私もだ。シャーリー、ジョーカスの周りだけ?氷…まさかな。上に報告はしておけ。」
「かしこまりました。狙いは殿下でしょうか?シャーロレット嬢でしょうか?」
「多分…シャーリーだと思う。ザイン家には別に使いを送れ。何か嫌な感じがする。何故シャーリーの周りだけ寒さを感じた…私はすぐ前にいたはずだが…」


※※※※※
川の音がする薄暗い部屋に男と女は戻ってきた。
「あの騎士ヤバくない?気づかれちゃったわね。」
「だからすぐ転移した。」
「あれがザイン家次男の弱点シャーロレット。覚えた?」
「さっきマーキングはしておいた。」
「まあ、ぬかりないのね。あいつを攫えば助けにくるはずよ。」
「ザインは絶対にくるのか?」
「来るわよ。なんたってザイン家の末っ子ルーズローツの愛しの婚約者なんだから。ルーズローツが一人でくるとは考えられない。絶対ザイン家が動くわよ。」
「わかった。10日後。」
「情報提供したんだから約束は守ってね。」
「大丈夫。」
「シャーロレットは生かしては帰さないでね。約束よ。」
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