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1章
そして美少女へ
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―――ランダム性能を決定後に転生処置に移ります。
―――エラーが発生しました。
損傷が著しいため、本来の処置である記憶領域の移行に失敗しました。
また、対象の蘇生に失敗したために生じたカルマ残量の振り分けを行います。
種族、容姿、ステータス、スキルにそれぞれ加算されました。
記憶領域の回復を望む場合は、新規ダンジョンコアへの接続が必要になります。
なお、この情報は……………
世界樹の森にとんでもない美少女がいると言う噂がある。
その美少女はエルフを率いて魔神と戦ったハイエルフの父と、
その父と共に戦った異世界から来た美しい母の下に産まれた、ハイエルフの姫君だ。
幼少の頃より、そのあまりの美貌に国中の民が魅了された。
長く煌く白銀の髪。
すらりと伸びた長い手足。
ワインレッドの瞳は深い知性を感じさせる。
彼女が歩けばみなが振り返る。
話せばその声に聞き惚れる。
その眩しい笑顔に老若男女問わずに釣られて笑顔になる。
勿論、国を訪れる者も例外ではない。
全てが幼い彼女に魅了される。
そしてやがて話題になる。
世界で一番美しいのは彼女に違いないと。
噂話を聞いて見に来たものは、その噂が何一つ間違えていなかったことに気付いてため息を吐き、国に帰ってさらに喧伝する。
曰く、『あれほどの美しい少女を見たことがない。今でもあの美しさ、気品。そして愛くるしさ―――将来が恐ろしい』と。
清楚にして可憐、少女特有の愛くるしさに混じって時折見せる憂いを帯びた切なげな表情。
未だ子供の域を脱しない年齢ではあるが、誰もが彼女から目を話せない―――
―――それが彼女だ。
彼女こそはこの世界で誰もが認めるほどの美貌を持ち、さらにはその美しさを目に焼き付けようと思ってわざわざ訪れた者も、じっくりと見ることすら憚られる。
それほどの神聖さを兼ね備えている。
だが、彼女『アイーシャリエル・エル・ラ・ユグドラシル』はただ美しいだけの置物ではなかった。
他人(ひと)は彼女のことを深窓の令嬢だと思っているが
―――彼女の本性は……ダンジョン狂いだ。
それは私の5歳の誕生日の事だった。
パパとママ、それとメイドをしてくれているカリナ、それに家庭教師のシエラ先生が誕生日のお祝いをしてくれている。
みんなの祝福を浴びながら、ケーキに刺さっている蝋燭の炎を吹き消した。
その瞬間だった。私の頭に、突然さまざまなイメージが映し出される。
音も匂いも伴った強烈なイメージだった。
あまりの衝撃に私は叫び、震えた。
そして、私は耐え切れずに倒れた。
夢のような、幻のような、それでいて鮮明なビジョンを突然目の前に突きつけられ、私は理解した。
私は何か大切なものをどこかのダンジョンに置いて来てしまった事を。
ダンジョンの最奥にあるというダンジョンコアに、それも誰も所有していない、未踏破のダンジョンコアに接触しなければならない事を。
私は突然理解したのだ。
―――エラーが発生しました。
損傷が著しいため、本来の処置である記憶領域の移行に失敗しました。
また、対象の蘇生に失敗したために生じたカルマ残量の振り分けを行います。
種族、容姿、ステータス、スキルにそれぞれ加算されました。
記憶領域の回復を望む場合は、新規ダンジョンコアへの接続が必要になります。
なお、この情報は……………
世界樹の森にとんでもない美少女がいると言う噂がある。
その美少女はエルフを率いて魔神と戦ったハイエルフの父と、
その父と共に戦った異世界から来た美しい母の下に産まれた、ハイエルフの姫君だ。
幼少の頃より、そのあまりの美貌に国中の民が魅了された。
長く煌く白銀の髪。
すらりと伸びた長い手足。
ワインレッドの瞳は深い知性を感じさせる。
彼女が歩けばみなが振り返る。
話せばその声に聞き惚れる。
その眩しい笑顔に老若男女問わずに釣られて笑顔になる。
勿論、国を訪れる者も例外ではない。
全てが幼い彼女に魅了される。
そしてやがて話題になる。
世界で一番美しいのは彼女に違いないと。
噂話を聞いて見に来たものは、その噂が何一つ間違えていなかったことに気付いてため息を吐き、国に帰ってさらに喧伝する。
曰く、『あれほどの美しい少女を見たことがない。今でもあの美しさ、気品。そして愛くるしさ―――将来が恐ろしい』と。
清楚にして可憐、少女特有の愛くるしさに混じって時折見せる憂いを帯びた切なげな表情。
未だ子供の域を脱しない年齢ではあるが、誰もが彼女から目を話せない―――
―――それが彼女だ。
彼女こそはこの世界で誰もが認めるほどの美貌を持ち、さらにはその美しさを目に焼き付けようと思ってわざわざ訪れた者も、じっくりと見ることすら憚られる。
それほどの神聖さを兼ね備えている。
だが、彼女『アイーシャリエル・エル・ラ・ユグドラシル』はただ美しいだけの置物ではなかった。
他人(ひと)は彼女のことを深窓の令嬢だと思っているが
―――彼女の本性は……ダンジョン狂いだ。
それは私の5歳の誕生日の事だった。
パパとママ、それとメイドをしてくれているカリナ、それに家庭教師のシエラ先生が誕生日のお祝いをしてくれている。
みんなの祝福を浴びながら、ケーキに刺さっている蝋燭の炎を吹き消した。
その瞬間だった。私の頭に、突然さまざまなイメージが映し出される。
音も匂いも伴った強烈なイメージだった。
あまりの衝撃に私は叫び、震えた。
そして、私は耐え切れずに倒れた。
夢のような、幻のような、それでいて鮮明なビジョンを突然目の前に突きつけられ、私は理解した。
私は何か大切なものをどこかのダンジョンに置いて来てしまった事を。
ダンジョンの最奥にあるというダンジョンコアに、それも誰も所有していない、未踏破のダンジョンコアに接触しなければならない事を。
私は突然理解したのだ。
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