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1章
お持ち帰り
しおりを挟む弱い敵を延々と虐殺し続けるだけ。これはある意味拷問だ。
相手に対しても拷問だが、私の精神的にもきつい。
何故こんな苦行を、延々と同じことをやっているのか?という気分にさせられる。
いや、レベルアップのためなのか?そもそもこんなに弱いので本当にレベルが上がるのか?
『弱くって飽きたから2階層に行って見たいなー』とカリナにおねだりしようと思ったけど、言う前にダメだって言われちゃった。仕方ない。ママだってダメって言ってたしね。でもそのうちこっそり行ってやろう。だってこのまま同じ所じゃ飽きちゃうよ間違いなく。
飽きてきたらおなかがすいたので、適当な空き部屋を見つけておやつ休憩にする。
バナナにミカンに串焼き。うーんおいしいです!
もっきゅもっきゅ食べてると視線を感じた。カリナか?あげないぞ?
もわわ~んの串焼き屋はいい匂いはさせてたけど、値段はぼったくり価格だった。
1本300ゼニーだぞ!揚げ芋が100zで売ってたのに串焼き一本で300ゼニー!
おこづかいが串焼き一本分でなくなっちゃったじゃないか。
くそう!もわわわ~んって香りにだまされた!くくっそー!……と思ってたけど、実はかなりいいお肉を使っているようだ。何の肉かはさっぱりわからないけどうまい!
「カリナこれ何のお肉だろ?」
「多分バジリスクだと思います。私のほうの串になんだか蛇っぽいのと鶏肉が混ざったところが……」
「うわほんとだ。」
カリナの持ってる串の2個目の肉が隅っこのほうなんだか明らかに肉質が違う。だって素人が目で見て分かるんだもん。部位が違うとかそういうレベルじゃないぞこれは!いいのかこんな混ざってて!
と思ったが、カリナの顔を見て文句を言いに行く気は無くなった。
「でもおいしいんでしょう?」
「ええ、とっても。歯ごたえの違いも楽しめていいですね。どうせなら思い切り混ぜていただいてもいいのですが。見た目で敬遠していましたが蛇も中々良さそうですね。」
とっても良いらしい。ちょっとうらやましい。私の方は鶏肉100%の串焼きに見える。ぐぬぬ……
でも流石によこせともちょっと分けてとも言えない。言えばくれそうだけど。
「また今度買おうっと」
「そうですね。そうしましょう。そろそろ帰りましょっか」
「うん。楽しかったねー。また来なきゃ!」
もうスライム討伐はおなかいっぱいなのでおうちに帰ろう。
『家に帰るまでが遠足だよ』ってママが言ってたしね!
1階層はほとんど全部埋めちゃったし、階段をチラッと見てから帰ろう。
カリナにそう提案して、まだ踏破してないところへいくとあっさり階段が見つかった。
「この下はゴブリンがいるんだっけ?」
「そう聞いています。他のダンジョンや野生のゴブリンより弱いらしいですが、ぷちスライムよりは大分強いでしょうねえ」
「まあそりゃそうでしょ。それにしてもここは人気ないね。全然人に会わないよ?」
「ここのダンジョンはドロップも悪いし、お金にもならないしで人気ないらしいですよ。大体、王都にいる冒険者は表のユグドラシルダンジョン目当ての冒険者がほとんどですし。ここにくるのはスライムやテントウ虫さんを拾いに来る農家の方が多いらしいです。」
「うーん。まあ、あの強さじゃなあ。」
一般の農家といっても、徴兵されて戦場に行く事もあれば元冒険者の方もたくさんいるし、力仕事で鍛えられているらしいので、別に弱いわけではない。
ただ、ここの1階層のモンスターが相手なら農家云々じゃない。私くらいの子供でも問題ないだろう。そのくらい弱いんだもん。
でもレベルを0から1に上げにくる人にはいいんじゃないかな!
2には上がりそうに無いけど、ひとつレベルが上がるとそれだけで凄く強くなる!らしい。
そういう話だけど、私はいまのところピンと来てない。
レベルアップはおいといて。スライムの用途だけど、スライムをトイレの下においておくと、肥溜めを綺麗に掃除してくれるらしい。らしいけど、スライムをトイレに仕込んで危なくないのかと思ってた。
『よーし、やるぞー!』って状態のむき出しのお尻にダイレクトアタックを食らう心配はないのかな?と。でもココのぷちスラならトイレに潜んでても心配ない。近くにいてもぷよぷよするだけで攻撃もしてこないし。スライムと言えば酸を吐く攻撃をしてくるはずだけど、その酸も弱いって本に書いてあった。でも弱いどころか触った感じただの水なんだもんなあ。
弱すぎて気の毒になる。もうちょい強くならないものか……そうだ。
「スライムちゃんおうちに持ってかえろっか?がんばって育てたら強くなるかもよ!」
そうだ。弱いのなら強くすればいい。
この私の手で世界最強のスライムちゃんを作るのだ!
ドラゴンや悪魔や天使をばったばったと薙ぎ倒すスライムちゃんを!
「飼うのですか?別にいいと思いますけど……アーシャ様、ペットはちゃんと最後まで面倒見られます?毎日散歩にもいくんですよ?ご飯もアーシャ様が自分であげないと!」
「犬じゃないよ?」
「私がおうちで犬を飼いたいって言った時はパパにこう言われました。」
「ほへー。毎日散歩いった?」
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「犬が?」
「パパがです」
「そうだと思った……」
ウチのパパもその類だけど、カリナの所もそうらしい。
父親という種族はそういうものなのだ。きっとたぶん。
でも私はスライムちゃんとお外をお散歩したいわけじゃなくって、ダンジョン探索のお供にしたいんだけどなあ。
そして、出来たら頼れる相棒になってほしい。
プヨプヨっとして弱そうに見えて、普段は馬鹿にされたりするけど実はすごく強いスライムで、ダンジョンで困ってる人を颯爽と助けるとか!かっこいい!漲ってきた!頑張ってスライムちゃん育てないと!
私は新たな決意を胸に、家路についたのだった。
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