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1章
凱旋
しおりを挟む「たっだいま~」
「お帰りなさいませアーシャ様」
お城の門を潜る時に門番さんにご挨拶を忘れちゃいけない。
門番さんは5人くらいで交代でやってるみたいだけど、全員私を見るとニコニコしてくれる。
いつも優しいおじさんとお兄さんたちだ。
「おや、アーシャ様。変わったものをお持ちのようですな?」
「うん。ユグ裏ダンジョンで拾ってきたの!」
私はそう言ってぷちスライムを見せる。ぷちスライムはおやつを持っていったカバンの中でプヨプヨとしている。今は全く何を考えているのか全くわからないけど、そのうちお話が出来るようになったりするだろうか?
「ぷちスライムですね。私も子供の頃飼っていましたが、すぐに弱ってしまいました。そしてユグ裏ダンジョンに戻したのです。懐かしい思い出ですなあ」
「ふーんそうなんだ?」
いちばんおじさんの門番さんは感慨深そうにしている。すぐ弱っちゃうのはかわいそうだなあ。
「どうやったら弱らないかなあ?」
「私には判りかねますなあ。王妃様に相談してみたらどうですか?」
「ママに?」
「はい。王妃様は非常に物知りでいらっしゃる。ああ、勿論国王様にも今日あったことなどご報告されるとお喜びになられるでしょう」
「そっかあ。じゃあパパとママにお話して飼い方も教えてもらうね!」
「是非そうなすってください。お二人もお喜びになられるでしょう。」
「うん!ありがと!またねー!」
バイバイと手を振ってお城のほうへ。門番のおじさんはすっごくにこにこ嬉しそうだったね、とカリナと話しながら中に入ると、お城の入り口では執事とメイドが勢揃いしていた。
「「「お帰りなさいませアーシャ様」」」
「ただいまみんなー!みてみて!スライムさん持ってかえってきたよ!」
「おお!中々かわいいぷちスライムですな。国王様と王妃様に見せて差し上げればどうですか?」
「うん!見せてくるね!」
「王妃様は今お部屋にいらっしゃいますよ」
「ありがとー!」
ぱたぱたーっとママのお部屋に移動する。ママのお部屋は2階の奥のほうだ。
このお城はそんなに大きくないそうだ。なんでも、エルフは元々ユグドラシルの上に小さなお家を作って住んでいたが、他民族との交流が増えた結果、見栄を張らなければならなくなって街とお城を作ったらしい。
その頃ダンジョンはどうだったんだろう?ダンジョンの上に住んでたのかなあ?まあ、とにかくお城を作って、ダンジョン対策に街を色々と改良していって今の形になったんだって。
それがかれこれ3000年位前の話で、一部のエルフのお年寄りやハイエルフはその頃の暮らしの方がやっぱりよかったと思うんだって。
私はこれが普通だからいいも悪いもないなあ。
カリナたち若い世代もやっぱりあんまりこだわってないみたい。おっと、部屋に着いたぞー!
「ママただいまー!」
「お帰りアーシャちゃん。お土産は何かあるかしら?」
「ママへのお土産って訳じゃないけど……スライムちゃんだぞー!」
どうだーって感じで持って帰ってきたぷちスライムを見せる。
ママの前だとなんだか一層ぷるぷるしてる気がするなあ?
「あらあら、かわいいスライムちゃんね。おうちの子にするの?」
「そうしたいんだけどね、門番さんとお話したらママとパパにいっぱいお話して、飼い方も教えてもらったほうが良いよって。」
「そう。いいことを教えてもらったわね。そうね、じゃあ……とりあえずここに入れときましょう」
そういってママは机の上に膨大な魔力を紡いだ。
少しづつ、透明な板のようなガラスがそこに出現し、大きな器が出来た。器と言うか水槽だね。
「ここに入れればいいの?」
「そうね。アーシャちゃんの魔力で水を出してね。手でぴちゃぴちゃして遊ぶくらいで良いわよ」
「わかった!みずみず……」
「あっそんなに魔力を込めたら……」
「えーい!」
そんなに魔力を込めたつもりはなかったけど、私の手から出た水は水槽から簡単に溢れ、お部屋がビチャビチャになっちゃった。ありゃりゃ……
付いてきていたメイドさんたちがささささっとお片づけをしてくれている。すごく申し訳ない。
「ごめんなさい……」
「いいえ!アーシャ様の魔力で生み出された水!なんだかとっても掃除しているだけで気持ち良いです!」
「ええ……!?」
そういうものなの!?それともこのメイドさんが変態さん?こないだ入った新人さんだけど……
(ねえカリナ?私の出した水って気持ちいいの!?)
(気持ち良いかどうかは置いといて、すごく美味しいですよ?)
(えええ……!?)
すごく美味しいらしい。そうなのか?自分で舐めてみたときはなんとも思わなかったんだけど。
もしかしてカリナも変態さん??私の近くは変態エルフばっかり!?
「アーシャちゃんのはいい味するとおもうわよ。飲みすぎると人によっては体調が悪くなるかもしれないけどね。」
「体調?おなか壊しちゃうの?」
「魔力がかなり濃密に詰まってるからね。対魔法耐性の弱い子なら危ないんじゃないかなあ。もちろん、ママやパパなら平気よ。ドンドン飲ませてくれていいのよ?」
「ええー?ちょっと気持ち悪いからやだー。わたし水そんなに得意でもないし!」
「気持ち悪くはないわよ。水魔法で水を創って、飲み水にするのはダンジョンじゃ普通でしょ?」
たしかにそうだ。さっきも休憩の時に水魔法で水作って飲んでたし。
でも私は水魔法はそんなに得意じゃない。
せいぜい、飲み水を作るのと初級魔法のウォーターボルトくらいしか使えない。それも加減が難しくてコップから溢れてばっかりだし。ウォーターボルトは威力がまちまちだし。
この年なら十分だってみんなが言うけど、やっぱり火とか風の方が得意だなー。
ちょうどいい量っていうのがまた難しいんだよねー。火魔法だと派手にドーンすればいいだけだもん。
ところでこの水槽になみなみとしてるお水はどうしよう?
「ママが消しちゃうわ。ほーら」
ママが手を振ると水槽のお水はちょうど良いくらいにまで減った。
流石はママ。さーてここにスライムちゃんを……ドボン!
「げんきそうだね!」
さっきカバンの中に入れてたときより気持ち良さそう?やっぱり水分が要るのかなあ?
「スライムを育てるには適度な栄養と魔力が必要よ。栄養は大体なんでもいいわ。そこらにある草でも、野菜や果物の食べないところでもいいわよ。」
「なんだかトイレに入れると長生きするっていうけど、あれはなんでなの?」
「排泄物には栄養分と一緒にほんの少し魔力が残ってるわ。だからついでに魔力補給が出来てちょうどいいらしいわよ。」
ウ○コばっかり食べてもいい栄養になるのかあ。でもそんなスライムあんまり可愛がりたくないなあ。だって変な臭いしそうじゃん?こういっちゃなんだけど、触りたくないなあ。
「あんまりウン○スライムは可愛がりたくないね……?」
「そうね。臭いは無いらしいけど、毒を持ってるのが多いみたいよ。あとウ○コスライムじゃなくてスカベンジャースライムっていうのよ。スカベンジャースライムのことを大好きな人もたまにいるわよ?」
「ええー!う○こだよ!?」
「なんだか色々あるらしいわ。色がいいと艶がとか。スライムは食べたもので成長の方向が変わるから、食べた排泄物がよかったかどうかが大きく差が出るとかで……大会まであるわ」
「ええ……行きたくないよお」
「行かなくていいわよ」
ママは笑いながら答える。誰が○ンコスライムの大会なんて行きたいのか。どうしても行かなきゃ行けなくなった代わりにカリナに行ってもらおう。
「そんなわけでもし大会に行く事になったらカリナよろしく」
「いやですよ!」
「そう言わずにいざって時は代わりに行ってよ!」
「絶対嫌です!そもそもアーシャ様がそんな大会に行くようになんてなりませんよ。それよりはこのぷちスライムちゃんをどう育てるかじゃないんですか?」
「そうだった!」
すっかり話が脱線したけど別にウ○コスライムに興味はないの。それよりはぷちスライムちゃん育成計画だ。魔力を注げば元気に育つらしい。
なら毎日濃厚に魔力を注ぎまくったら強くて賢い子になるんじゃないかな?
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