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1章
命名
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「それはそうと、スラちゃんを捕まえた以外には特に変わったことはなかったの?」
「あ、そういえばレベルが上がったよ!ぬふふ、『また強くなってしまった』なのだ!」
「あら、おめでとうアーシャちゃん。」
ママが言うと、カリナも扉の近くにいたメイドさんたちもみんなが揃って『おめでとうございます』って言ってくれる。いやあ、照れちゃうなあ。
「ママはレベルアップしたことあるでしょ?その時凄い音が鳴った?」
「凄い音が鳴ったわよ。初めてのときはすごくびっくりしたわ。……ということはアーシャちゃんも聞こえたのね?どんな音だったかしら?」
「ぱぱらぱっぱぱー!って鳴ってたよ!びっくりしたなあ。」
「へー。ママとはすこし違う音ね。人によって違うというのは聞いたかしら?1回目はびっくりするけど2回目からは不思議と気にならなくなるわ。音も同じくらい鳴ってるって話だけどね。」
「ふう~ん?」
人によって違うし2回目からは気にならない不思議なものだなあ。
「レベルのことは詳しくはまたシエラ先生に教えてもらなさいね?」
「はーい。ねえママ!スラちゃんのことだけどね、毎日私が魔力たっぷり水注げばスラちゃん強くなるかな?」
「なると思うわよ。でもあんまりやりすぎると成長する前に死んじゃうかもね。ぷちスライムはすごく弱いからねえ。ダンジョンで戦ってみてどうだった?」
「すごく……弱かったです……」
「アーシャ様ったらプチプチ楽しそうにつぶしてましたよ。引き千切ったり燃やしたり。ニコニコ楽しそうでした。魔石もたくさん獲得しました。」
「そう、よかったわね?」
「うん。あの時は楽しかったんだけど、スラちゃんのお友達だと思うとね。すごくかわいそうな事した気がするの」
「そう。アーシャちゃんは優しいわね。ダンジョンの魔物はダンジョンが産み出したものだからある意味では兄弟や同じ存在とも言えるし、でも全然違うとも言えるし、その辺は難しいところよ。あんまり気にしなくてもいいんじゃないかしら?」
「うーん?そうなのかなあ?」
ママが言ってることは分かるようなよく分からないような。とりあえずあんまり気にしなくっても良いよって言ってくれてる事だけは理解した。まあいいか。
「わかった。まあ気にしないことにしとく。」
「そうね。それが良いわ。ところでこのスライムちゃんのお名前はどうするの?」
「お名前……!」
大変な事だ。忘れていた、名前をつけてあげないと!
一生に残る名前だ、よく考えて名前をつけてあげないと……
うーんと、えーっと。
えっと、プルプルしているスライムさんだから……
「―――よし、スラりんで。」
「却下。スラりん、スラきち、スラぼう、アキ-ラ、サスケあたりはダメよ?」
「なんで!?いい名前だと思うけどなあ?」
「大人の事情かしら。ママのいた所で使われてた名前だからダメよ?」
大人の事情と言うのがよく分からないけど、きっと色々まずいのだ。
おとなしくママの言うことを聞くとしよう。でもスラりんはいい名前だと思うんだけどなあ。
うーん、他に何が良いかなあ?すら・・・すら・・・?スラはやめるか。
プルプルだしそっちで攻めると……
「うーん、じゃあプリンちゃんで」
「プルプルしてるからね?いい名前じゃない!じゃあこの子は今日からプリンちゃん!早く大きくなってアーシャちゃんを守ってあげてね!」
そうママがテンション高く宣言した瞬間、ぷちスライムのプリンちゃんはまぶしい光を発した。
「うわっ!?」
「キャッ!アーシャ様!」
「あっ……やっちゃったかも」
光が収まったので、私を抱きしめるカリナの腕の間から恐る恐る見てみると、プリンちゃんは少し大きくなっていた。そして心なしか色艶がよくなった。
前はほとんど透明だったけど、少しだけ赤い色が付いている。
「うわあ、プリンちゃんママの髪の色みたいだね」
「そうですね。さっきの光は何だったのでしょう?」
「き、気にしちゃだめよ。それより何だかちょっと強くなったと思わない?いやあ流石アーシャちゃんのお友達のプリンちゃんだなあ!」
じー……ママは何かを隠している!さっき小声でやっちゃったって言ってたし。
まあ、わざわざ追求はしないけど。
それよりプリンちゃんだ。なんだか纏う魔力が微妙に見えるような気がする。さっきまでは全く魔力なんか纏ってなかったけど、うっすらと魔力で光っているような気がするのだ。
うーん?ママが何か変なことやらかしたのは間違いないんだけどなあ。まあ気にしちゃダメだね!
それよりスラちゃんもといプリンちゃんが少し強くなった気がする。この分なら一緒に戦える?
「ねえママ?プリンちゃんいっしょに戦いに行けるかな?」
「まだしばらく無理よ。毎日頑張ってお世話してれば段々強くなるわよ?」
「うーん。プリンちゃん頑張って強くして一緒に戦えるようになるまでどのくらいかかるかな?」
「ざっと・・・10年くらいかしらね?」
「ええー!?」
10年は長いよ。どうにかして早く育てないと。そうだなあ・・・
「ダンジョンに一緒に連れて行ってレベル上げしたらどうかな?いっぱい戦ったら強くなるってママ言ってたでしょ?」
「そうなんだけどねー。多分今のままだとプリンちゃんはすぐにやられちゃうわよ?」
「ええ?ユグ裏に出てくるぷちスライムとテントウムシでも無理?」
「ああ、それは流石に大丈夫よ。つい表のほうに行くことを考えてたわ。」
表……ってユグドラシルダンジョンだよね?流石にハイオークとかを今のプリンちゃんが倒すのは無理だよね。ママも何言ってんだか。
よし、頑張ってプリンちゃんを育てるぞ。毎日ダンジョンで乱獲するのだ!
その日の夕飯はママとパパとシエラ先生に今日ダンジョンであったことをいっぱい報告して、さらにパパにプリンちゃんを紹介した。パパはプリンちゃんの色を見たときちょっと微妙な顔してたけど、お話はすごく嬉しそうに聞いてくれてたなあ。
「あ、そういえばレベルが上がったよ!ぬふふ、『また強くなってしまった』なのだ!」
「あら、おめでとうアーシャちゃん。」
ママが言うと、カリナも扉の近くにいたメイドさんたちもみんなが揃って『おめでとうございます』って言ってくれる。いやあ、照れちゃうなあ。
「ママはレベルアップしたことあるでしょ?その時凄い音が鳴った?」
「凄い音が鳴ったわよ。初めてのときはすごくびっくりしたわ。……ということはアーシャちゃんも聞こえたのね?どんな音だったかしら?」
「ぱぱらぱっぱぱー!って鳴ってたよ!びっくりしたなあ。」
「へー。ママとはすこし違う音ね。人によって違うというのは聞いたかしら?1回目はびっくりするけど2回目からは不思議と気にならなくなるわ。音も同じくらい鳴ってるって話だけどね。」
「ふう~ん?」
人によって違うし2回目からは気にならない不思議なものだなあ。
「レベルのことは詳しくはまたシエラ先生に教えてもらなさいね?」
「はーい。ねえママ!スラちゃんのことだけどね、毎日私が魔力たっぷり水注げばスラちゃん強くなるかな?」
「なると思うわよ。でもあんまりやりすぎると成長する前に死んじゃうかもね。ぷちスライムはすごく弱いからねえ。ダンジョンで戦ってみてどうだった?」
「すごく……弱かったです……」
「アーシャ様ったらプチプチ楽しそうにつぶしてましたよ。引き千切ったり燃やしたり。ニコニコ楽しそうでした。魔石もたくさん獲得しました。」
「そう、よかったわね?」
「うん。あの時は楽しかったんだけど、スラちゃんのお友達だと思うとね。すごくかわいそうな事した気がするの」
「そう。アーシャちゃんは優しいわね。ダンジョンの魔物はダンジョンが産み出したものだからある意味では兄弟や同じ存在とも言えるし、でも全然違うとも言えるし、その辺は難しいところよ。あんまり気にしなくてもいいんじゃないかしら?」
「うーん?そうなのかなあ?」
ママが言ってることは分かるようなよく分からないような。とりあえずあんまり気にしなくっても良いよって言ってくれてる事だけは理解した。まあいいか。
「わかった。まあ気にしないことにしとく。」
「そうね。それが良いわ。ところでこのスライムちゃんのお名前はどうするの?」
「お名前……!」
大変な事だ。忘れていた、名前をつけてあげないと!
一生に残る名前だ、よく考えて名前をつけてあげないと……
うーんと、えーっと。
えっと、プルプルしているスライムさんだから……
「―――よし、スラりんで。」
「却下。スラりん、スラきち、スラぼう、アキ-ラ、サスケあたりはダメよ?」
「なんで!?いい名前だと思うけどなあ?」
「大人の事情かしら。ママのいた所で使われてた名前だからダメよ?」
大人の事情と言うのがよく分からないけど、きっと色々まずいのだ。
おとなしくママの言うことを聞くとしよう。でもスラりんはいい名前だと思うんだけどなあ。
うーん、他に何が良いかなあ?すら・・・すら・・・?スラはやめるか。
プルプルだしそっちで攻めると……
「うーん、じゃあプリンちゃんで」
「プルプルしてるからね?いい名前じゃない!じゃあこの子は今日からプリンちゃん!早く大きくなってアーシャちゃんを守ってあげてね!」
そうママがテンション高く宣言した瞬間、ぷちスライムのプリンちゃんはまぶしい光を発した。
「うわっ!?」
「キャッ!アーシャ様!」
「あっ……やっちゃったかも」
光が収まったので、私を抱きしめるカリナの腕の間から恐る恐る見てみると、プリンちゃんは少し大きくなっていた。そして心なしか色艶がよくなった。
前はほとんど透明だったけど、少しだけ赤い色が付いている。
「うわあ、プリンちゃんママの髪の色みたいだね」
「そうですね。さっきの光は何だったのでしょう?」
「き、気にしちゃだめよ。それより何だかちょっと強くなったと思わない?いやあ流石アーシャちゃんのお友達のプリンちゃんだなあ!」
じー……ママは何かを隠している!さっき小声でやっちゃったって言ってたし。
まあ、わざわざ追求はしないけど。
それよりプリンちゃんだ。なんだか纏う魔力が微妙に見えるような気がする。さっきまでは全く魔力なんか纏ってなかったけど、うっすらと魔力で光っているような気がするのだ。
うーん?ママが何か変なことやらかしたのは間違いないんだけどなあ。まあ気にしちゃダメだね!
それよりスラちゃんもといプリンちゃんが少し強くなった気がする。この分なら一緒に戦える?
「ねえママ?プリンちゃんいっしょに戦いに行けるかな?」
「まだしばらく無理よ。毎日頑張ってお世話してれば段々強くなるわよ?」
「うーん。プリンちゃん頑張って強くして一緒に戦えるようになるまでどのくらいかかるかな?」
「ざっと・・・10年くらいかしらね?」
「ええー!?」
10年は長いよ。どうにかして早く育てないと。そうだなあ・・・
「ダンジョンに一緒に連れて行ってレベル上げしたらどうかな?いっぱい戦ったら強くなるってママ言ってたでしょ?」
「そうなんだけどねー。多分今のままだとプリンちゃんはすぐにやられちゃうわよ?」
「ええ?ユグ裏に出てくるぷちスライムとテントウムシでも無理?」
「ああ、それは流石に大丈夫よ。つい表のほうに行くことを考えてたわ。」
表……ってユグドラシルダンジョンだよね?流石にハイオークとかを今のプリンちゃんが倒すのは無理だよね。ママも何言ってんだか。
よし、頑張ってプリンちゃんを育てるぞ。毎日ダンジョンで乱獲するのだ!
その日の夕飯はママとパパとシエラ先生に今日ダンジョンであったことをいっぱい報告して、さらにパパにプリンちゃんを紹介した。パパはプリンちゃんの色を見たときちょっと微妙な顔してたけど、お話はすごく嬉しそうに聞いてくれてたなあ。
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