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1章
凝縮
しおりを挟むプリンちゃんを早く地上に連れて行かないと、って時に何でこいつらはこんな所で待ってんだ!
暇人か!じゃまだ!ばか!どっかいけ!
「急いでるのよ!どきなさい!ファイアストーム!」
ファイアストームでまとめてやっつけちゃおう。ささっと進まないと!
魔法で作った炎の渦は黒オークを中心にオークの群れに直撃。これで!
「舐メテもらっテハ困ル」
黒オークは何事もなかったようにこちらに進んでくる。
配下のオークたち後ろで燃えてるけどそれでいいのか!
「イイ加減こちらモ行くゾ」
速い。さっきのサソリなんか話にならないほどに速い。
当然私も魔法で迎撃しようとするけど当たらない!
稲妻のようにジグザグに、稲妻のようなスピードであっという間に私の前に来て拳を一振り。
あわてて後ろに跳ぶ。もちろん風魔法のブースト付きで。
でも間に合わない。お腹に重たいパンチを食らい、手前の壁まで飛ばされる。
「ぐうああっ!」
「観念しロ」
「まだまだ。ねえ、私を連れてってどうしようって言うの?」
「それハ私にハ答エる権利ガない」
話しながらこっそりと治癒魔法を発動させる。
なんだか治癒の効果が前より少し良くなったぽい。
再生との相乗効果?それともさっきのレベルアップで回復魔法もレベルアップ!?
ぬふふ、またつよく……ってそれどころじゃねーや。
「回復なドさセヌ」
「ちょま!」
今度は足を狙って蹴りが、クッソ避けられない!そう思ったらムカデちゃんがその足に絡みつく。
「ヌ、邪魔ダ!」
ムカデちゃんはべりべりっと引き剥がされ、床にたたきつけられる
「ああっ!ムカデちゃん!」
ムカデちゃんはボトっと落ちた後カードに戻ってしまった。これ大丈夫?消えちゃう?くそ!
くそ、敵を討ちたい。何とかしないと!でも、どうすればあいつを倒せる?
『観念したカ?こちラへ来イ』
「ちょっとまって。あっちこっち痛いの。もう行くから。女の子は用意が必要なのよ」
『ヌ。ワかッタ。しかし、貴様ハ時間稼ぎヲしてゐルだけニ見えル』
む。さすがにばれたか。しかしどうするか。
上級魔法を使ってみてもいいが、アレはただ範囲が広がるだけだ。後ろのザコの群れを焼き尽くすにはいいけど、単体の強いやつには向かない。私がひそかに得意だと思っている雷魔法もあんまり効いてないみたいだし。
もっと強い魔法を打たないとあいつは倒せない。
もっと強力なのでムカデちゃんのカタキを。いや死んでないと思うけど。
上級魔法みたいな範囲の広いのじゃなくってもっとコンパクトに、そしてあいつをギタギタに叩きのめす。
ぶったたいてでかい図体を小さく畳んでやるんだ。そして特製落とし穴に詰め込んで!
畳んでやる?たたむ?詰め込む?畳んで詰めて?コンパクトに纏める……纏める?
そうか、魔法は自由に操れるって時々シエラ先生が言ってた。気がする。
考えてみれば今だって壁を厚くしたり出来てるんだ。
逆にもっと凝縮して、同じ魔力を範囲じゃなくて単体火力に――――――
カチリ、と何かがはまった。
私はゆらりと立ち上がると全身から魔力を掻き集める。
そしてすべてを凝縮させる。腕に、掌に、指先に、指先の更に先、宙空に。
そしてオークより大きい魔力の塊を1cmほどの大きさに纏めてしまう。
バチバチと音を立てて魔力がほとばしる。
これはダメだ。音と光は集めた魔力がもれている証拠だ。音も熱も光も、すべてを封じ込めて纏め上げる。
指先には何もない空間が出来上がった。
『貴様、そレは、ナニをヤっテ』
「くらえっ!ライトニングプラズマぁ!」
ライトニングボルトは太い一本の雷を一直線に放出する単体向けの中級魔法だ。
もちろんすぐそばにいると側撃雷を食らう羽目になるが、基本的には1体を倒すための魔法。
だが、上級魔法は基本的に対軍団用の範囲魔法だ。
雷の上級魔法であるライトニングプラズマは半径500mほどの範囲に無数の雷を落とす魔法。
その全てを一本に、一条の光に纏め上げる。無理やり締め上げて。
―――そして締め上げられた反動で本来の姿をとりもとすべく暴れる。目標の体内で。
ズガアアアアアアン!とものすごい音が。それにやや遅れて黒オークの悲鳴が。
『グああああアああアアアアああアアああ!』
「あ、やべ!うわちょ!」
暴れ狂う雷は暴威は近くにいた私のところにも帰ってくる。
というか無理やり詰め込んだものを急に開放したらこうなって当然だ。
どうして気が付かないんだ!私のバカー!
ヘロヘロのプリンちゃんがかばってくれようとするけどダメ!
あんたは弱ってんだから雷食らったら死んじゃうし、それに水は雷すぐ通すから意味ないでしょ!
あわてて眼前に障壁を張るけどバチバチして壊れそう。
あ、ヒビが入った。やばい!あわわわわ!
あ、落としたままになってるムカデちゃんのカードが!やばっ
「あわわ!なんとかして!ママー!」
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