深窓の令嬢はダンジョンに狂う ~ハイエルフの姫に転生したけどなかなかダンジョンに行かせてもらえません~

吉都 五日

文字の大きさ
24 / 49
1章

蘇生

しおりを挟む
暴走する雷は相手のところへ向かうだけではない。
当然のように私のところへも帰ってきた。

咄嗟に障壁を張るが、とてもその障壁は持ちそうに無い。

さらにはムカデさんのカードが!ムカデさんが!


「なんとかしてママー!」

「はーい?やっと呼んでくれたわね」


私が思わず助けを求めると、何事もなかったかのように私の後ろから現れるママ。

そしてほいっと障壁を張った。バチバチっと音を立てるが、障壁が壊れる様子はまったくない。
困ったら呼んでねって言ってたし、呼べば来てくれるような気がしてたけど、ホントに来てくれた。


以前からダンジョンに来たときはずーっと見られているような感じがあった。

偶々通りがかった人とか、モンスターかな?と思ってたけど、私だけを時々ちらチラッと見ていたような感じだったのだ。

あの視線はママだったんだ。ママはどうにかして覗いていて、ダンジョンの中へ転移したんだ。

その方法は今の私じゃよく分からないけど……ダンジョンの中へ直接、何のマーカーもなしに転移するなんて事はいくらママでも普通はできるはずがない。転移のキーとなるものが何かあるはずだけど、それは私か、じゃなければプリンちゃんだ。たぶんね。


「ママ。やっぱり見てたんだ。」

「そりゃかわいいアーシャちゃんだもの。いつもちゃんと見てるわよ。フフ」

『貴様 ハ。ソウカ、貴様ガ 後ロ…にいた のダな?』

「まだ生きてる?まじで!?」

『死ぬ かと思っタ…がナ』


黒オークは立ち上がった。片腕を失い、お腹からは中身が出て来ている。そして口から喋るたびに黒い煙が出てきているが、生きているようだ。ついでに髪もチリチリになっているけど。


「この子の力はこの子自身のものよ。私は何もしていないわ。我が子ながら末恐ろしいわね。」

『さすが ハ、主の…求めル 人材 でアる。ダガ、貴様、が出てキた…と成れバ、我ハ退こウ』

「あら残念、でも見逃すと思った?」

『退く。では ナ』

「だから逃げられると思ってるのかって言ってるでしょ!アストラルチェイン!」


黒オークの姿が段々と透けていくが、ママはそれに対して魔法を打ち込んでいく。
授業で習ったけどまだ使えない上級の拘束魔法だ。
あれは魂ごと拘束して相手を逃がさない魔法だったような。


「つーかまーえた。さあ、私のかわいいアーシャちゃんを殴ってくれたお返しをしないとね。少しづつ刻まれるのと毒でじっくり苦しむのと生きたまま焼かれるのは……もうやられてるわね。後は何があるかしら?」

『敗者ノ 定め…ダ。好きニ…する ガ良い』


黒オークさんはつらそうだ。自分でやっておいてなんだけど、可哀相になってきた


「ママ……?私は一発殴り返せればそれで…いや、ムカデさんの分があるからちょっとボコボコにするくらいでいいよ!」

「ダメよ!ママの気持ちが収まらないでしょ!もっと酷いことしないと!」

「ええ……あんまり酷いことはやだよ?」


うーん。ママはかなりプンプン怒ってる。

それにしても切り刻むとか酷すぎだよね。相手のオークさんも捕まえて連れて行こうってだけで別にどうこうしようって気もあんまり無かったみたいだし。

少なくとも切り刻まれたりはしなかったはず。
ちょっとかわいそうじゃないかなあ?


「あまいわよ。アーシャちゃん!あのまま連れて行かれたら豚魔王の所で一生飼われてたかも知れないのよ!ママやパパとももう会えなくなったかも!」

「ええ・・・!」



なんてこった。それは絶対嫌だ。よし。そうなれば仕方がない。


「仕方ない。ママ、殺そう。殺してご飯にしよう。多分魔力も乗っておいしいよ」

「そうね。いい事言うわ。ジェネラルクラスなら私でも強化されちゃいそうね。久しぶりだわ!」

(すまんが、わいの顔を立てて許してもらえんかな)

『おオ、我ガ…主サま!』

「来たわねこの豚。でもダメよ。許してあげない」


声と共に現れたのはものすごく濃密な紫色の魔力を纏った体も紫色のオークだ。


ママは豚魔王と呼んでいるが恐らくオークキングだろう。
オークキングは現存の6魔王の内の1体のはずだ。シエラ先生の授業で言ってた。
他にも竜魔王やら悪魔王やらと言われている魔王がいるらしい。

で、ママは『でもダメよ』と言いながらジェネラルさん?をデコピンでぶっ飛ばしちゃった。壁までぶっ飛んで行くジェネラルさん。こんどこそ死んじゃったかも・・・?


「あちゃあ。勘弁したってって言うたのに」

「とりあえず一回は殴っとかないとね?」

「しゃあないなあ。ほいっと。ああこっちもやな。ほいほいっと」


オークキングさんはあっちこっちへと魔法を使った。
私に引っ付いていたプリンちゃんは色が元に戻って元気そうに。

カードの中に戻っていたムカデさんは外に出てきて元気いっぱいをアピールしてくれた。
よかった、元気になってくれて。


そして吹っ飛んだジェネラルさんとその配下のオーク達はムクリ、とまるで何事も無かったかのように起きてきた。

あれは、回復?
それともまさか蘇生?さっきまでの傷も全部回復しているようだ。

でも頭チリチリは治ってない。なんだと!


「蘇生よ。一発で魂魄までぶっ飛ばしたのにあっさり蘇生させちゃったの。あいつは豚のクセに回復魔法が得意な奴なのよ。やらしいわね。それにアーシャちゃんたちは私が治そうと思ってたのに!もう!」

「やらしいとは失礼な。大体オークが回復が得意で何が悪いねん」


オークキングさんは紫の体を揺らして笑っている。怒っては無いみたい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...