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2章
勧誘失敗
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「ごちそうさまでした」
あれだけ苦労した食事があっさりと終わった。
これもお手本を見せてくれたエンヤさんのおかげだ。
あの姿は食事をしているというようには見えない、もっと神々しい何かのようだった。
私もがんばらないとなあ。
それに、エンヤさんの指導のおかげで『纏い』についても一つつかめた感じがする。
なんというか、開眼できたというところか。新たに世界が開けたような感覚だ。
「はい、綺麗に食べられましたね。後半の姫の所作は私が見ていても惚れ惚れするように綺麗でした。『纏い』のほうもどうやら一段落のようですね。シエラ先生にも褒めて頂けそうですよ」
「お手本が良かったからです!」
食器も一緒に『纏い』の中に入れるというのはエンヤさんの食べている所を目の前で見ていて気が付いたんだ。でもエンヤさんもさくっと先に教えてくれてもいいんじゃないかなあ。ってそんな風に思っていると、
「不満もありそうですが、自分で気付く事も含めて『纏い』の訓練の一つですよ。魔力が見える状態で武器ごと包むというのは初歩の初歩ですけどね。その次のステップはいずれシエラ先生が教えてくれますよ」
「初歩の初歩かあ。所でエンヤさん?私と一緒にダンジョン探索に行く気はない?」
「私が姫とですか?ふふ。嬉しいお誘いですが、私はもうおばちゃんですよ。姫の体力にはついていけません。残念ですがそれは難しいでしょうね」
「そっかあ。」
残念。本当に残念だ。滑らかな『纏い』に何をするにもスムーズな動き。
どう考えてもかなりの修練を積んだものの動きだと思うんだけど、やっぱり断られちゃったかあ。
ママは兎も角、カリナとシエラ先生だけだと色々偏ってるからなあ。エンヤさんはきっと探索に必須の鍵開けや罠解除なんかを使えると思うんだ。なんとなくだけど。
鑑定じゃない。私の鑑定スキルはまだそこまで見れないのだ。
名前:エンヤ・エンワーズ
種族:エルフ
属性:風 土
Lv:45
状態:良好
これだけしか分からない。自分の分はスキルも見れるのだけど、他人はあんまり見えないんだなー
「まあ、気が変わったら一緒にいこ?1階層とかじゃつまんないと思うけどね。」
「そうですね。ユグドラシルダンジョンの中層くらいまでなら今の私でもお供できるでしょうね。でもそれ以上は無理ですよ。姫はユグドラシル攻略を目指していると聞きましたが、私はそこまで付いていけることはできないでしょう。だから、もっと長い目で、若くて伸び代の大きいメンバーを探すことをお勧めします。私のようなおばちゃんじゃなくね。」
「おばちゃんって。そんな風に言わなくても」
「子供が成人して、同級生のお友達なんて孫がいるんですよ?私なんておばちゃんじゃなかったらお祖母ちゃんですよ。私のようなロートルより、もっと若い子を捕まえてくださいね」
「はーい」
「さて、姫様。今夜の食事は大変上手にできました。この分なら食事の作法はもう卒業で良いかとおもいます。」
「おお!」
「『纏い』の方も問題なさそうです。上手にコントロールできましたね。目には見えない程度にうっすらと魔力を纏う事を『纏』と言い、魔眼を使わずとも分かるほどはっきりと魔力を顕現させて身に纏う事を『鎧』と呼びます。こちらもいずれ練習してください。これはシエラ先生からの伝言でもありますよ。」
「シエラ先生からの…はい。がんばります。」
「頑張ってくださいね。作法と武術の方は順調ですが、問題は要人の暗記です。恐らく姫のやる気が全くない事が原因だとは思いますが、恐ろしいほど進んでいませんね?」
「はい……」
しかたない。しかたないのだ。だって全く興味がないんだもん。
興味のない事なんて覚えらんないよ。
私だって好きで覚えてないわけじゃない。覚えられないのだ!
だいたいあんな他国の人の顔なんておぼえてどうするのか。
私は興味のないことを覚える時間なんてないのだ。
「だって、覚えると一体何があるのかって言うのがね、あんまりね。意味無いじゃんあんな他所のオジサンの顔覚えても。」
「んん、姫?言葉遣いはどうしました?」
「あのような私の与り知らぬ男性のご尊顔は我が記憶に値しませぬ」
「無茶苦茶ですよ!はあ、まったく。」
もう黙っていた方がいいんじゃないか。
ニッコリしていればそれでいいんじゃないかなあ。
エンヤさんに言うとその方が良いかもねってことになった。もういいんだよこれで!
あれだけ苦労した食事があっさりと終わった。
これもお手本を見せてくれたエンヤさんのおかげだ。
あの姿は食事をしているというようには見えない、もっと神々しい何かのようだった。
私もがんばらないとなあ。
それに、エンヤさんの指導のおかげで『纏い』についても一つつかめた感じがする。
なんというか、開眼できたというところか。新たに世界が開けたような感覚だ。
「はい、綺麗に食べられましたね。後半の姫の所作は私が見ていても惚れ惚れするように綺麗でした。『纏い』のほうもどうやら一段落のようですね。シエラ先生にも褒めて頂けそうですよ」
「お手本が良かったからです!」
食器も一緒に『纏い』の中に入れるというのはエンヤさんの食べている所を目の前で見ていて気が付いたんだ。でもエンヤさんもさくっと先に教えてくれてもいいんじゃないかなあ。ってそんな風に思っていると、
「不満もありそうですが、自分で気付く事も含めて『纏い』の訓練の一つですよ。魔力が見える状態で武器ごと包むというのは初歩の初歩ですけどね。その次のステップはいずれシエラ先生が教えてくれますよ」
「初歩の初歩かあ。所でエンヤさん?私と一緒にダンジョン探索に行く気はない?」
「私が姫とですか?ふふ。嬉しいお誘いですが、私はもうおばちゃんですよ。姫の体力にはついていけません。残念ですがそれは難しいでしょうね」
「そっかあ。」
残念。本当に残念だ。滑らかな『纏い』に何をするにもスムーズな動き。
どう考えてもかなりの修練を積んだものの動きだと思うんだけど、やっぱり断られちゃったかあ。
ママは兎も角、カリナとシエラ先生だけだと色々偏ってるからなあ。エンヤさんはきっと探索に必須の鍵開けや罠解除なんかを使えると思うんだ。なんとなくだけど。
鑑定じゃない。私の鑑定スキルはまだそこまで見れないのだ。
名前:エンヤ・エンワーズ
種族:エルフ
属性:風 土
Lv:45
状態:良好
これだけしか分からない。自分の分はスキルも見れるのだけど、他人はあんまり見えないんだなー
「まあ、気が変わったら一緒にいこ?1階層とかじゃつまんないと思うけどね。」
「そうですね。ユグドラシルダンジョンの中層くらいまでなら今の私でもお供できるでしょうね。でもそれ以上は無理ですよ。姫はユグドラシル攻略を目指していると聞きましたが、私はそこまで付いていけることはできないでしょう。だから、もっと長い目で、若くて伸び代の大きいメンバーを探すことをお勧めします。私のようなおばちゃんじゃなくね。」
「おばちゃんって。そんな風に言わなくても」
「子供が成人して、同級生のお友達なんて孫がいるんですよ?私なんておばちゃんじゃなかったらお祖母ちゃんですよ。私のようなロートルより、もっと若い子を捕まえてくださいね」
「はーい」
「さて、姫様。今夜の食事は大変上手にできました。この分なら食事の作法はもう卒業で良いかとおもいます。」
「おお!」
「『纏い』の方も問題なさそうです。上手にコントロールできましたね。目には見えない程度にうっすらと魔力を纏う事を『纏』と言い、魔眼を使わずとも分かるほどはっきりと魔力を顕現させて身に纏う事を『鎧』と呼びます。こちらもいずれ練習してください。これはシエラ先生からの伝言でもありますよ。」
「シエラ先生からの…はい。がんばります。」
「頑張ってくださいね。作法と武術の方は順調ですが、問題は要人の暗記です。恐らく姫のやる気が全くない事が原因だとは思いますが、恐ろしいほど進んでいませんね?」
「はい……」
しかたない。しかたないのだ。だって全く興味がないんだもん。
興味のない事なんて覚えらんないよ。
私だって好きで覚えてないわけじゃない。覚えられないのだ!
だいたいあんな他国の人の顔なんておぼえてどうするのか。
私は興味のないことを覚える時間なんてないのだ。
「だって、覚えると一体何があるのかって言うのがね、あんまりね。意味無いじゃんあんな他所のオジサンの顔覚えても。」
「んん、姫?言葉遣いはどうしました?」
「あのような私の与り知らぬ男性のご尊顔は我が記憶に値しませぬ」
「無茶苦茶ですよ!はあ、まったく。」
もう黙っていた方がいいんじゃないか。
ニッコリしていればそれでいいんじゃないかなあ。
エンヤさんに言うとその方が良いかもねってことになった。もういいんだよこれで!
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