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2章
またも失敗
しおりを挟むそして時はさくっと流れ、スライム自慢大会へ出発する日になった。
正式な名前?覚えてるわけないじゃん!
「『国際テイミング学会』よ。割とシンプルな名前なのになんで覚えてくれないのかしら。テイミング自体について、それからテイム後の飼育方法、さらに懐かせるための方法から育成、進化についてなどなどテイミングに係わることなら何でも取り扱う学会よ。」
「ほほう。ちなみにぷちスライムちゃんのテイミング難易度は!」
「勿論最下級の難度1でしょうね。子供でも捕まえられるんだし。だから逆に進化については未知数ってところもあるわ」
「なんで?簡単に捕まえられるなら調べやすいじゃん?」
「そう思うでしょうけど案外逆でね、簡単すぎて張り合いがないから調べないとか。スライム自体が一部のマニアだけしか育ててないし、よく分かってないことも多いのよ」
「ふーん?そういうものなんだ」
そういうものなのか。
ところで、今私達は飛竜で移動中だ。
乗員は私とパパママとカリナだけ。他にもメイドさんたちは沢山同行する予定なんだけど、普通に馬車を使って地上の道を通っていくらしい。そんなわけでこちらのメンバーは4人で飛竜の運転手さんはママだ。それに追加でプリンちゃんと牛乳スライム事ミルクちゃん。
飛竜についてはママの乗騎?らしく何もしなくても勝手に飛ぶみたい。
乗騎と言うより眷属って感じなんだけど気のせいかな?そういうことにしとこう。
それにしてもスライムの件だけど、今のところ調べられてる先が限られている……って言うのもなんだかなあ。どうせ一部のマニアって口に出すのもおぞましいあのスライムのマニアだろうし。
勿論おぞましいのはスライムのほうじゃなくってマニアの人のほうね。スライムは悪くないよ。
「あのスライムのイメージが強烈過ぎて他の用途があんまり調べられなかったのよ。私だけじゃなくって勿論他の人もね。正直言って、ママも最初アーシャちゃん牛乳を飲むときはちょっと覚悟を決める必要があったわ。」
「パパはそういうの全くなかったよ。元がアーシャちゃんの魔力たっぷりの水だと思うとそれだけで至高の味さ!」
パパはそうやってニコッと笑って親指を突き出す。これも勇者が持ち込んだポーズらしい。
「……パパの件は横に置いておいて。兎に角、アーシャちゃんの生み出した牛乳スライムちゃんは凄いわ。でも今の世間じゃなかなか受け入れられないかも」
「じゃあヒーリングスライムは?」
「アレはだいぶ昔はメジャーだったんだけどねえ。最近はあんまり・・・」
「昔ってどうせずいぶん昔でしょ?何千年とか」
「えっ何千!?」
「おほほ!やーねえ。そんなわけないでしょ?そんなジョークより今は牛乳ちゃんのことよ!」
また誤魔化した。でもどうしよう?私の牛乳スラちゃんがみんなに認められないなんて!
って一瞬思ったけど良く考えたら別にどうということはない。
認められたって認められなかったって、他の人がなにを言ったって、スライム牛乳飲んでるって問題になったってならなかったって、どっちにしても大して関係ないんじゃ?
というかむしろ問題になろうがなるまいが、家で自分たちで飲む分には大して関係ないんじゃ?
というかそもそもテイミング学会ってスライムはテイムしているし何を学ぶんだろ?
あれ?それを考えたら別にこんなところこなくて家 (お城)でゴロゴロしておけばよかったんじゃ?
「そこに気付くとはさすがだな。アーシャ。」
「ちょっと待ってママ?もしかして無理してこなくても良かったし、礼儀作法なんて練習する意味もなかったんじゃ……!?」
「まあ来なくても良かったかもだけど、テイミング自体は良く知っておいたほうがいいわ。ダンジョン攻略の役には立つでしょ。つよーいドラゴンとか仲間にしちゃったりネ。ロマンよロマン」
「なるほど。それはいいね。ドラゴンとか最強モンスターの中でひときわ輝く、チョー強いスライムとか!」
「好きねえ。プリンちゃん頑張って育ててあげてね。」
「もっちろん!」
ダンジョンの中で困っている人がいたらそこに颯爽と現れるスライムちゃん!
「な、何だ!あのすごいのは!」「ス、スライムだ!信じられねえ!」 とか!滾るわー!
私が一人でニマニマ妄想していると、ママが『もう着くわよ』と地獄の悪魔からの囁きを贈ってくれた。
早すぎでしょ飛竜って。さっき出たとこじゃないのよ。もっとゆっくり行こうよ!?
文句を心の中で言いながら乗せてくれている飛竜を見る。
ドラゴンにはいろんな種類があるが、一般的に騎竜として飼われているドラゴンは4属性の火竜、水竜、風竜、土竜でそのうち飛べるドラゴンは風竜と火竜らしい。風のほうが速くて火の方が力が強いとか。
他にも闇や光のドラゴンも飛べるみたい。
ママの騎竜はどう見ても火だ。ママと相性がいいからかな?
この速さを見ていると私もドラゴンのお供が欲しくなるなあ。あっという間にあっちからこっちへ。お魚が食べたくなったら海へ、山の幸が恋しくなれば山へブーンと。
それに何と言っても世界中のダンジョンへの通勤がとっても楽になりそう。勿論狩りのお供にも持って来いなんじゃないか。くそう良いとこ尽くめだなあ。ドラゴンちゃんもほしくなってきた。
キミキミ!ウチの子にならない?
ドラゴンはこちらをチラッと見て『クオーン』って困った声を上げてる。
「アーシャちゃん?私のエレナちゃんをナンパしないでね?」
「ご、ごめんなさい……」
バレてた。なんでや。
ママも大事にしてるみたいだし、ウチの子にするのはあきらめよう。そのうち一緒に冒険にいこうね!
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