空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第三十六話 ビューティフルな受付嬢!?

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 「ハァハァハァ……。父ちゃん、だいぶ長く走れるようになっただろ?」

 「ノエル、確かに持久力がついてきたなぁ。後は治癒魔法だな!」

 ランニングをしながら会話するオスカーとノエル。

 「父ちゃん、それを言うなよなぁ……俺は治癒魔法苦手なんだから……」

 「ノエル、治癒魔法をいつまでも使えないと母さんが鬼に変身するぞ」オスカーは笑いながらいう。

 「うわぁ、父ちゃん、それだけは勘弁してくれ!!」ノエルは顔を引き攣らせた。

 「じゃあランニングの後は治癒魔法の特訓だぞ。なぁノエル……」

 「俺は体術の練習の方がいいんだけどなぁ、父ちゃん……」

 ***ギルド前***

 「何だよ……俺が一番乗りか?」ノエルは朝の鍛錬後にマリーベルと待ち合わせたギルドに到着した。

 「ノエル……」サリーサが少し気まずそうな顔をしてやってきた。

 「おっ、サリーサ!気分は直ったんすか?」

 「う、うん……。この前はごめんなさい。私、お姉さんなのに、ノエルの前であんなズルいことをしちゃって……」

 「俺は別に気にしていないぞ!」

 「ノエル、ありがとう……。そう言ってもらえてホッとしたわ」

 「ズルいって言うか、サリーサは不器用なんだろうなぁ」

 「ノエル、なんですって?あなた歳下なのに生意気よ!」サリーサは眉を跳ね上げた。

 「あれ?たった今謝ってきたのにもう怒るんすか?」

 「ノ、ノエル、私はお、怒ってなんかないわよ……」サリーサはハッとして呼吸を整えた。

 「……それで、私が不器用っていうのは、どういう意味なの?」

 「うーん、わざと尖っているように見える……。もっと肩の力を抜いたらいいんじゃないんすか?」

 「ノ、ノエル……。確かにあなたの言う通りよ……どうしてわかるの??」

 「そりゃ強くなりたい奴に限って、焦って空回りするなんてよくある話しだ。技っていうのは、見せかけ出来るよになっても、いざって言う時に使えないものなんだ」

 「昔から『心技体』って言うだろう?」

 ノエルは胸を張って語った。

 「凄いわ、ノエル!マリーベルが言っていた通りね。時々変なことも言うけど、もの凄い『大人』ぽくなるって!」

 「いや、そ、そんな事はないぞ……」

 「ノエル、あなたって歳下なのに、私のパパと話している気分になるわ。どうしてなのかしら?」

 「えっ?」(そりゃ俺、前世では三十五歳だったし、サリーサのお父さんよか多分歳上だし……)ノエルは内心で冷や汗をかいた。

 **ガタン** ギルドの扉が開いた。

 「あら、サリーサもノエルも来てたのね。来ていたのなら中に入ってくればいいじゃない」マリーベルは笑顔で話しかけてくる。

 (えっ?マリーベルいつも外で待っていただろう!?本当に自由だなぁこの子は……汗)と、ノエルは思う。

 「さぁみんな今日のクエストを探しましょう」マリーベルが先頭を切ってギルドに突入する。

 (やっぱりいつもマリーベルのペースだよな……)ノエルは黙って二人の後について行く。

 「こっこれは!!」ノエルは壁の掲示板に貼ってあるクエスト一覧に目をやった。

・カルデア火山の精霊獣レッドドラゴンの討伐
(アドバンスドクラス以上)

・デザー砂漠の精霊獣ミディアムワームの討伐
(レギュラークラス以上)

・サウスウッドの森、初級ダンジョンの制覇
(ビギナークラス以上)

 (いいなぁ、ドラゴン退治とか……男のロマンだよなぁ……。ワームってあの巨大ミミズみたいな奴かな?スゲェスゲェ!)

 ノエルは興奮を抑えきれずにいる一方、カウンターでサリーサがタミルの前で緊張の面持ちで立っていた。

 「あらサリーサ、心配していたのよ!」タミルが優しく声を掛けた。

 「タミルさん、ごめんなさい……。もうズルいことはしないわ……」

 「いいのよ。理由はマリーベルから聞いたわよ、合理的で戦術的な考え方は大事なことよ。ただ、あなたたちはノーマルクラスだから、まだ早かったってだけのこと」

 「タミルさん……」

 サリーサはタミルの優しい言葉に、ホッと胸を撫でおろしたが、次のタミルの言葉に背筋が氷つく。

 「それに……サリーサ、今日から私があなたの師匠よ!私の指導は厳しいわよ!オーホッホホホホ……!」タミルは手の甲にあごを乗せ高笑いをする。

 「えぇぇぇ!タ、タミルさんが私の師匠になるんですか!?」サリーサの顔が引き攣った。

 「サリーサ、タミルはね、本当は『アド……』」

 「マリーベル?あらいやだわ。襟首にホコリがついているわ!……。余計な事は言わないのよ……」タミルは襟首のホコリを取るフリをしてマリーベルの耳元で囁いた。

 「私はただの『ビューティフルな受付嬢よ!』それ以上でもそれ以下でもないわ!ねぇマリーベル!オーホッホホホホ……!」

 タミルはギロリとした目でマリーベルに釘を刺した。

 「あっ!えぇ?そ、そうね……」マリーベルは縮こまる。

 (ヤバい!タミルさん自分で自分の事を『ビューティフルな受付嬢』って言ってやがる!)

 (タミルさんって確かに美人だけどドSだからなぁ……。サリーサ、ご愁傷様ごしゅうしょうさまだな……)ノエルはカウンターでの三人のやり取りを見てクスッと笑った。

 「さぁ、みんな、今日のクエストも張り切って行って来てね!」タミルは朗らかな声で、三人の背中を見送るのだった。
 

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