【さっくり読める】幸福の黒い鳥【本編二話完結】

日野リア

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番外

青い鳥は

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 今日は天気が良い。
 空は雲が一つもないし、太陽はにこにことしているし、何より、父と母と一緒にピクニックに来ている。素晴らしい日だ。執事が木の影になっている所に敷物を広げていた。今日のお昼ご飯はなんだろう。

「お嬢様、お昼はまだですよ。」

 ばれちゃったか。そーっとバスケットを覗こうとしたのを見られてたしなめられた。

「ヘカテ、お昼まであちらの花畑に行きましょう?」

 真っ白な日傘をさした母がそう私を誘う。父は用意された椅子に腰掛けて「行っておいで」と手を振ってくれた。母と手を繋ぐのは好きだ。大きくて細い手に包まれて、すごく安心する。お腹が大きくなってきて、動きづらそうな母だけど、少しは動かないといけないらしい。

「かかさまっ。」

 見てください。白とか黄色とか、とにかくたくさんの蝶が飛んでいます。捕まえようとするけど、ひらひらと飛んでいてかすりもしなかった。悔しい。花にとまった蝶に狙いをさだめてみるけれど、あと少しというところで逃げられてしまった。
 ベシャッ。

「うきゃっ。」

「お嬢様! ――大丈夫ですか。怪我は…ありませんね。奥様、大丈夫です。」

 思いっきり前にこけてしまい、とても恥ずかしい。服に少し土がついただけで、かすり傷一つつかなかった。侍女に汚れを払ってもらい、母に駆け寄る。

「かかさま、見てください! あれ、小鳥さんです!」

 私は母の後ろを飛んでいく小鳥を見つけた。遠目だからあまりわからないけど、たぶん青色だ。

「あらまあ。まあまあまあ、心配性ねえ。」

 仕方が無いわね、と微笑む母に、私はたずねた。

「あの小鳥さんを知っていますか?」

「そうねえ、あなたがもう少し大きくなったら教えてあげるわよ。」

 母がそう言って私に見せてくれたのは、銀色に光る綺麗な鳥のペンダントだ。なんでも、我が家に代々伝わる家宝なのだとか。それを、母はいつも身につけている。

「綺麗ねえ………。」

「ふふ。青い鳥はね、幸せを運んでくれるのよ。」

「幸せを? 素敵ね!」

 ピルルルル――――――。


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