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第1章 転生したら属性至上主義の異世界でした

第6話 専属メイドにバレました

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 俺が疑似魔力視で見える景色に興奮していると、扉の向こう側に膨大な魔力の塊が現れた。
 それは他の魔力と違い、絶えず移動している。
 更に周りの魔力を吸収しているし、間違いなく人だろう。

 でも一体誰だ……?
 母さんか父さんだとは思うけど……。

 見た感じ俺の2、30倍位はありそうなので俺はそう予測したのだが……結果は残酷だった。
 強大な魔力の持ち主が扉を開き俺の部屋へと入ってくる。

「アルト様~! 昼食のお時間で――」
「――あぅ」

 俺に昼ご飯を知らせに来たアナスタシアとバッチリと目が合う。
 それも魔力視をしたまま・・・・・・・・

 俺は見られたという焦燥よりも先に、驚愕と絶望が俺を襲った。

 ま、魔力多すぎだろ……アナスタシア。
 俺と8歳しか歳が離れていないはずだよな……?
 一体どうやったらそうなるんだ……?
 あれか、これがこの世界での天賦の才ってやつなのだろうな……。

 俺はそのあまりにも圧倒的な才能の差に腰を抜かし、コテっと仰向けに寝転がった。
 それと同時に擬似魔力視も解除される。
 しかしそんなことも気づかないほどに俺は衝撃を受けていた。
 
 えぇぇ、なんかへこむなぁ……。
 だっておかしくないか?
 俺、毎日魔力増えてるんだけど……。
 これでも毎日文字通り命懸けで鍛錬してるのに———

「———な、ど、どうしてこの歳で……ル、ルナ様! ジーク様! アルト様が、魔力を使っておられます!」

 アナスタシアは、母さんと父さんに俺が魔力をこの歳で使用していると報告するため、走って部屋から出て行ってしまった。

 ……

 …………

 ………………うおっ——やばい!

 擬似とは言え魔力視が凄かったのと、あまりにも広い魔力量の差に凹んでたら、魔力使ってるの見られた!
 なんなら擬似魔力視を使っているのも見られた気がする!

 俺は生まれてから、転生したことはバレないように過ごすと決めていたため、余計な行動は控えていたのだが……。
 それがまさかこんな凡ミスでバレてしまうとは……。
 ……しょうがない、何とかバレないように誤魔化すか。

 俺は一瞬で解除してなんとかしてシラを切ろうと決め、何事もなかったかのように、周りの物で身体を支えながら立ち上がる。
 すると直ぐに、廊下がうるさくなった。

 バンッ!

 豪快な音を鳴らして俺の部屋の扉が開かれる。
 それと同時に、アナスタシアの後ろから、母さんと父さんが息を切らしながら部屋に入って来た。

「アナ……どう言う事? アルトが魔力を使っているからって言われて来たけど……何もしてないじゃない」
「で、ですが、ルナ様。先程確かにアルト様は使っておられました!」
「ちょっと待って、今からアルトの魔力量見てみるから」

 そう言った母さんの瞳が一瞬薄暗く濁ったかと思うと、青色の瞳孔が光り輝く。
 どうやら俺が何分もかけて発動した擬似魔力視を発動させたようだ。
 
 何故擬似か分かるのかというと、それは本人が無属性魔法は使えないと言っていたからだ。
 どうやら無属性魔法にも適性があるらしい。

 しかしあんなに早く出来るなら、俺も練習していけば同じ位まで発動時間短縮できるのかな?

 それに擬似魔力視を使ったら目が輝くんだな。
 てっきりさっき母さんが一瞬だけなった濁り切った目になっているのかと思ったよ。
 俺も自分の目を見てみたい……って俺自分の顔未だに見たことないじゃん。
 もう転生して半年以上経ってるのに未だに自分の顔知らないことになんの違和感も無かったわ。
 最近顔より魔力切れをいかに辛くならないようにするかしか考えていなかったような気がする。
 今度どうにかして鏡持って来るかな……いやそれか自分の魔法で作れるなら作ってみたいな。

「あっ、確かに減ってるわ———って」
「ああ、確かに減ってるな———って」

「「ええっ!? 本当に魔力を感じ取って使ったの(か)!?」」

 そう言って2人揃って驚愕する我が父と母。
 て言うかいつの間にか父さんも発動させてるし、母さんよりも綺麗に光り輝いている。

 い、イケメンが輝くとか反則だろうが……ってこんなおふざけをしている場合ではなかった。
 今絶賛大ピンチ中だったよそう言えば。
 ……出来るか分からないけどなんとか誤魔化してみるとしよう。

 俺は取り敢えずどうやって誤魔化すか考え始める。
 
 ポクポクポクチーン……うん無理そう♪
 
 俺のなけなしの頭脳はあっさり無理という結論を叩き出した。
 ……使えないな俺の頭。
 まぁまだ赤ちゃんだからというのもあるだろうが、前世でも俺はあまり頭が良くなかったからその影響かもしれない。
 まだ1度も今世では勉強と言う物をしていないしな。

 俺がそんなことを思っている横で母さんと父さんとアナスタシアがボソボソと話し合っていた。

「ねぇねぇ、うちの子天才過ぎないかしら」
「ああ、それは俺も痛感しているところだ。まさか賢い子に育つとは思ったがこれ程とは……」
「魔力量も種族的に私の方が多いですが、人間種では飛び抜けて多いかと」
「まぁ! それは凄いじゃない!」
「これは本当に早く魔法を教えないとな! 魔力はある程度操作できているしな!」

 …………ごめんなさい、全部前世の記憶のお陰なんです。
 魔力量も頑張って増やしただけなんです。
 なのでそんなに褒められるととても罪悪感が半端ないのです。
 
 俺は3人の話を聞きながら身体ごと180度回って目を逸らした。
 ただこのお陰で魔法の鍛錬は少し早まったようだ。
 それだけが唯一の良かったところといえよう。
 何故ならずっとあれから母さんと父さんに撫で回され、挙句の果てにはキスの嵐だったからだ。
 本当に申し訳ないのだが、母さんはいいとしても、イケメンは嫌ではなかったがあまりいい気分ではなかった。
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