チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら

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第1章 落第勇者の帰還

第36話 竜王の魔聖爪

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 俺は力任せに剣を振り、殺す勢いでルドリートを吹き飛ばす。
 しかし奴は腐っても魔王軍幹部。
 空中で綺麗に身を翻し着地したためそこまでダメージを受けていない。
 
「き、貴様……! どうやってここが分かった……!」

 ルドリートが驚愕とも憤怒とも言える表情を浮かべているが、俺にはそんな事を気にする余裕もなかった。
 それは自分の失敗の結果をこの目にしていたからだ。

 既に学校のグラウンドはあちこちクレーターまみれでみるも無惨な姿になっており、辺りには負傷したS級異能者達が居る。 
 その中でも特に酷いのは、清華から聞いていた風の能力者である風林という男だ。

 彼は腹から大量の出血をしており、誰がどう見ても生死を彷徨っている状態に見える。
 普通ならもう手遅れだと感じるだろうが――

「――俺の失敗で誰も死なせやしない……!」

 俺はすぐさま風林の下に駆けつけ、腹部に手をやると、少量の竜王の魔力を分け与える。
 竜王の生命力は凄まじく、腕を半分抉られたとしても、ものの数十秒で回復してしまう程だ。
 更に寿命も何万年も生きることが出来るため、異世界ではもはや神として崇めている所もあったくらいである。

 なのでその竜王と酷似する俺の魔力は風林の全身を薄く覆うと、見る見る内に血が止まり、呼吸が安定してきた。
 その姿に俺がホッとする中、ルドリートが怒り狂った様に咆哮する。

「僕を無視するな――ッッ!! こっちはお前のせいで全ての計画がパアだ!!」
「そんな事知らん。そうだな……天罰として受け入れろ」
「ほざけッッ!!」

 ルドリートが両手に剣を携えて俺に高速で接近してくるが、

「……遅すぎる」
「―――は?」

 俺は奴が攻撃に移る前に逆に接近して先制打を食らわす。
 破壊のオーラの纏われた一閃は一筋の光となってルドリートの片腕を切断する。

「ふんっ、この程度いくらでも治る――」
「そんな事分かっているさ。だから今度こそ徹底的にやるぞ」

 俺は更に剣を振るってもはや再生不可能と思われる程に斬り刻む。
 しかしこれでもダメなようだ。

 直ぐに全ての肉片がくっついて元通りになってしまう。
 魔力も大して減っていないし身体能力が落ちてもいなさそうだ。

「つくづつ面倒な奴だな……だがこれはどうだ?」
「ちょ――ま、待て―――」

 俺は静止の声に耳を貸さず、先程よりも更に速度を上げて塵になるまでひたすら剣を振るっていく。
 僅か0.1秒の間に合計1000振りほどして止める。

「……」

 見た感じでは後すら残っていない。
 しかし俺の【感知】がまだ奴が生きていることを感知していた。
 突然風が吹いたかと思うと塵がどんどんと集まっていき再生していく。
 その間に何回か斬ってみるも変わらず再生する。

「―――――ハァハァ!! く、クソッ……この化け物め……! だが俺は殺せないようだな!? このままお前が力尽きるまで耐えてやるさ!! ハハハハ……ハハハハハハハハッッ!!」

 再生したと思ったら勝機を見つけて高笑いを始めだすルドリート。
 とてもムカつくが……決め手に欠けているものまた事実。

「はぁ……どうやって殺そうか……」
『――ならアレを使え我が主よ』
『あれ……?』

 突然口を開いたカーラに、俺は何のことを言っているのか分からず、ルドリートを攻撃しながら首を傾げる。
 そんな俺にカーラは自信げに宣う。

『主よ……覚えていないのか? 竜王の・・・あの技を・・・・
『!? あれか! だが……あれは弱体化した俺では厳しいぞ?』

 カーラの言っている技は、俺が全盛期の頃ですら反動が強すぎて師匠に止められていた。
 だが――

「悩んでいる暇もないか……ッ!」
 
 俺は周りの惨状を見て覚悟を決める。
 皆死ぬほどの怪我ではないとは言え重症であることに変わりはない。
 
 それに――奴は俺の家族に手を出した。
 
 更には優奈さんや清華にも。

「もう迷ってなんかいられない。———はっ!!」
「!?!?」

 俺は一度全力で鳩尾を殴り気絶させる。
 これは俺の攻撃を避けられないようにするのと逃げられないようにするためだ。
 しかしこれだけでは安心できない。

 俺は竜王の魔力で奴を縛ると、上空へまるでハンマー投げの様に投げ飛ばす。
 これでアイツはどうにもできずただ空中に浮かぶだけだ。
 俺の魔力で覆っているため全ての魔法の効果も跳ね返すので転移される心配もない。

 それをし終わった後、俺は周りに展開されていたオーラを自身の身体に封じ込め、身体の中でより強く、より大きくしていく。
 竜王となって大幅に強化されているはずの身体は燃えるように熱く、全身が消滅しそうな程痛い。
 
「ぐぅぅぅぅぅ……ッッ!!」
『耐えろ主ッ! あまり時間はないぞ! 後1分が竜王状態の限界活動時間だ!』
「分かっ、て、いる……任せろ……」

 俺は必死に外に漏れないように体内で魔力を練っていく。
 しかし魔力が大きくなっていくにつれて空間が揺れ出す。

「は、隼人君!? だ、大丈夫なんですか!?」
「もう貴方しかいないから止めないけど……絶対に死なないでよ!!」

 心配してくれる2人に俺はサムズアップをし笑顔を浮かべる。
 
 本当はもう死にそうなくらいやばいが……やるっきゃない!

 俺は気合いを入れ直し、更に魔力を大きくしていった。





☆☆☆





「な、何なんだ…‥これは……威圧感が……」

 未だ上空に打ち上げられている途中でルドリートな目を覚ました。
 そしてルドリートはすぐさま自分の状況を把握し、どうにも出来ない事に気づき顔面を蒼白させる。

「あ、ああ……く、くそ……離れろよッ!!」

 もはやルドリートには情けない声を上げながら拘束を破ろうと身を捩ることしか出来なくなっていた。
 そんなルドリートに更に絶望が襲いかかる。
 
 それは・・・突然やってきた。
 
「!? 何なんだこの威圧感は……!」

 突如したからまるで押し上げるかの様に威圧が昇ってきてルドリートの体を押し上げる。
 しかしふと突然威圧感も上昇も止まった。

「……? 何だ? 一体何が起こっているんだ?」

 ルドリートが訳が分からず困惑していると、ふと自分に向かってくる何かを見つけた。
 それはどんどんと大きくなっていく。


 ———それはとても大きな大きな竜の鉤爪だった。





☆☆☆





 ——竜王。
 異世界最強生物といっても過言ではなく、真祖のヴァンパイアや王族の魔族でさえそれこそ何十人も集めないと一体の竜王と渡り合えないとまで言われている。
 そんな竜王の最大の特徴は魔力にある。

 魔力はこの世界そのもの言っても過言ではないほど膨大で、万能の魔力とも呼ばれるほどに様々なものに変化するのだ。
 その魔力を使った竜王の得意技がある。

 その技は時に山を砕き、海を真っ二つに断ち、天をも裂く。
 その攻撃を受けるが最後。
 全ての生物は存在すら消滅してしまうだろう。

 その技は——





「———【竜王の魔聖爪】———」







 白銀の輝きを纏い、全長4、50mにまで大きくなった破壊剣カラドボルグが天を切り裂く。
 その瞬間に空が真っ二つにズレると言うあり得ない光景を作り出していた。
 それはルドリートは勿論のこと、雲も空気も空間をも切り裂いて消滅する。




 全てが終わると———そこには綺麗な青空と光り輝く太陽が世界に広がる空を美しく彩っていた。

 

 
 


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