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駅の改札を出て繁華街へ出た2人。
颯爽と歩く美貴に、タカシはキョロキョロ周りを見ながらノロノロ歩いていた。
突然、タカシの目に鳥の着ぐるみを着た女の子が映った。
「おぉ!!」
大喜びのタカシが女の子に近づいた。
「こんにちは~。私達は飼えなくなったペットの鳥を保護する団体です。ぜひ会員になって支援してくれませんか」
女の子はタカシに微笑むと、紙とペンを出した。
「オッケー、オッケー! 支援しようじゃないの!」
タカシは笑顔でペンを取った。
「あら?」
美貴はタカシがついてきていないことに気づいた。振り返ると、5メートル戻ったところで、女の子をうっとりした目で見つめるタカシがいた。
「あの野郎...妻の前で堂々とナンパするなんて、いい度胸じゃねぇか...」
目が座った美貴がタカシに近づいた。
「タカシ、何してんの?」
タカシは美貴を無視して女の子と話し続けた。
「君かわいいね。よかったらうちに来ない?」
「おいコラ! くそエイリアン! 若い女をナンパしてんじゃないわよ!?」
美貴はタカシの腕をグイッと引っ張った。
「ちょっと美貴、邪魔しないでよ! いいとこなんだから~!」
タカシの顔は紅潮して、ハァハァ息切れしていた。
「いいとこだと~ぅ?」
美貴も睨みも気にせず、タカシはデレデレしながら女の子を見ていた。
「ねぇねぇ、君は何ていう鳥なの? もしかしてダチョウの仲間?」
「私はヒヨコでーす。ピヨピヨ!」
女の子は手をかわいくバタつかせ、笑顔で返した。
「ヒヨコでこの大きさなら、育てるともっと大きくなるのか...ふふふ」
タカシはデレっとした。
美貴は怒って、タカシを置き去りにしようとしたが、「うん?」と何か感づいた。
タカシをよく見ると、耳が羽のようにパタパタ動いていた。
女の子の着ぐるみは鳥だった。
「...まさか、そっち?」
美貴は呆れたが、タカシの変な耳の動きを他人に見られるわけにはいかないと、タカシの腕をさらに強く引っ張り、小声で囁いた。
「タカシ、この子は鳥じゃないのよ。人間よ!」
タカシは美貴に振り向いた。
「へ? 何言ってるの? 鳥じゃないか! 羽がついてるし。鶏冠もある。めちゃおいしいそう!」
(おいしそう!?.....やはり...)
美貴はガックリした。
「お姉さんの顔をよく見て。ほら、ここに人間の顔があるでしょ?」
美貴は女の子の顔部分を手で示した。タカシは女の子の顔をジッと見た。
「え? え? 鳥じゃないの?」
「じゃないの。着ぐるみを着た人間なの」
「唐揚げじゃないの?」
「じゃないの。唐揚げにはできないの。唐揚げにしたら本当の共食いよ。共食いはサイテーなんでしょ」
睨む美貴タカシタジタジしながら、
「い、いや、共食いっていうのは言い過ぎたよ。ゴメン! この子を連れて帰ればいっぱい唐揚げが食べれると思ったんだけど...」
「食べれません。さ、病院へ行くわよ。」
「う...ぐすん」
タカシは涙ぐんで、美貴に腕を引っ張られるまま病院へ向かった。
やっとのことで病院に到着し、義母のいる病室に入ると美貴は明るい声で、
「お義母さん!」
と叫んだ。
「美貴ちゃん! 喬、いらっしゃい!」
喬の母は笑顔で喜んだ。
「やぁ、母さん、調子はどう?」
タカシは喬を装った。
「だいぶいいわよ」
「お義母さん、タカシと話し合って、退院したらお義母さんにうちに一緒に住んでもらいたいの」
「えっ!」
喬の母とタカシが驚いた。
「だって、一人で大変でしょう? お義母さんが来てくれれば喬も寂しい思いしないだろうし」
タカシはイヤな顔をした。
「いや、オレは別に寂しくないよ。どっちかって言うとダチョウに来てほしいし。美貴が言うから仕方なく..うっ!」
美貴はタカシの脇腹を突いた。
美貴に睨まれながら、タカシは
「...母さんが一人でいるとオレ達、心配なんだ」
セリフを棒読みちゃんした。
「喬..」
母は嬉し泣きで目に涙を浮かべた。
「お義母さんの部屋、退院までに準備しときます」
「本当にいいの?」
「親がいない私はお義母さんのこと本当のお母さんだと思ってるわ」
「美貴ちゃん...私もよ。私も娘が欲しかった」
喬の母はティッシュで涙を拭いた。
「そして、お義母さんのもんじゃ食べたい!」
「そうね! 週末はもんじゃパーティーしようか」
「賛成!」
美貴と喬の母が盛り上がってるそばで、タカシはスマホをいじっていた。
美貴はまたタカシの脇腹に強めのエルボーを喰らわせた。
「うっ...」
「人の話、聞けよ...」
凄んだ美貴の目にタカシは怯えた。
「怖...ご、ごめ...ちょっと仕事のメールが来てて」
「仕事は家でやればいいでしょ。だいたいね、ここは病院で...」
ブー...
タカシのスマホが鳴った。
「あっ! 仕事の電話入った! ちょっとゴメン!」
ホッとしてタカシは部屋から出ていった。
「最近、仕事が忙しいみたいで...ごめんね、お義母さん」
「仕事があるっていいことよ。体が動くうちにガンガン働かないとね。使えば使うほど体もいつまでも動いてくれるわ。動かなくなってからじゃ、何言っても遅いのよ」
「お義母さんが言うと凄味があるわ...さすが母子家庭を乗り切っただけある」
「うふふふふふ...」
ドア越しに聞こえる、美貴と喬の母の笑い声を聞きながらタカシは電話に出た。
「はい、本間です」
「本間君、久しぶりだね。安藤だ」
「安藤さん! お久しぶりです。月曜日、こっちにいらっしゃるんですよね?」
「ああ、君に会いにね...寂しかったよ」
電話の向こうの主は、タカシにやさしく囁いた。
「へ?」
タカシはスマホを耳から離し、スマホをジッと見た。
(なんだ? 寒気がするぞ...)
首を傾げながらタカシはラウンジの方へ歩いていった。
「月曜の夜はいつものキャバクラだが、金曜の夜、どっか静かなところに二人で飲みに行かないか?」
「ええ、いいですよ」
タカシは何も考えずにあっさり返事をした。
「ふふ。やっと私の誘いに応じてくれるんだな。嬉しいよ。では月曜日に会社で。チュッ♡」
「チュッ..? なんだ...?」
タカシは違和感を感じながら電話を切った。
颯爽と歩く美貴に、タカシはキョロキョロ周りを見ながらノロノロ歩いていた。
突然、タカシの目に鳥の着ぐるみを着た女の子が映った。
「おぉ!!」
大喜びのタカシが女の子に近づいた。
「こんにちは~。私達は飼えなくなったペットの鳥を保護する団体です。ぜひ会員になって支援してくれませんか」
女の子はタカシに微笑むと、紙とペンを出した。
「オッケー、オッケー! 支援しようじゃないの!」
タカシは笑顔でペンを取った。
「あら?」
美貴はタカシがついてきていないことに気づいた。振り返ると、5メートル戻ったところで、女の子をうっとりした目で見つめるタカシがいた。
「あの野郎...妻の前で堂々とナンパするなんて、いい度胸じゃねぇか...」
目が座った美貴がタカシに近づいた。
「タカシ、何してんの?」
タカシは美貴を無視して女の子と話し続けた。
「君かわいいね。よかったらうちに来ない?」
「おいコラ! くそエイリアン! 若い女をナンパしてんじゃないわよ!?」
美貴はタカシの腕をグイッと引っ張った。
「ちょっと美貴、邪魔しないでよ! いいとこなんだから~!」
タカシの顔は紅潮して、ハァハァ息切れしていた。
「いいとこだと~ぅ?」
美貴も睨みも気にせず、タカシはデレデレしながら女の子を見ていた。
「ねぇねぇ、君は何ていう鳥なの? もしかしてダチョウの仲間?」
「私はヒヨコでーす。ピヨピヨ!」
女の子は手をかわいくバタつかせ、笑顔で返した。
「ヒヨコでこの大きさなら、育てるともっと大きくなるのか...ふふふ」
タカシはデレっとした。
美貴は怒って、タカシを置き去りにしようとしたが、「うん?」と何か感づいた。
タカシをよく見ると、耳が羽のようにパタパタ動いていた。
女の子の着ぐるみは鳥だった。
「...まさか、そっち?」
美貴は呆れたが、タカシの変な耳の動きを他人に見られるわけにはいかないと、タカシの腕をさらに強く引っ張り、小声で囁いた。
「タカシ、この子は鳥じゃないのよ。人間よ!」
タカシは美貴に振り向いた。
「へ? 何言ってるの? 鳥じゃないか! 羽がついてるし。鶏冠もある。めちゃおいしいそう!」
(おいしそう!?.....やはり...)
美貴はガックリした。
「お姉さんの顔をよく見て。ほら、ここに人間の顔があるでしょ?」
美貴は女の子の顔部分を手で示した。タカシは女の子の顔をジッと見た。
「え? え? 鳥じゃないの?」
「じゃないの。着ぐるみを着た人間なの」
「唐揚げじゃないの?」
「じゃないの。唐揚げにはできないの。唐揚げにしたら本当の共食いよ。共食いはサイテーなんでしょ」
睨む美貴タカシタジタジしながら、
「い、いや、共食いっていうのは言い過ぎたよ。ゴメン! この子を連れて帰ればいっぱい唐揚げが食べれると思ったんだけど...」
「食べれません。さ、病院へ行くわよ。」
「う...ぐすん」
タカシは涙ぐんで、美貴に腕を引っ張られるまま病院へ向かった。
やっとのことで病院に到着し、義母のいる病室に入ると美貴は明るい声で、
「お義母さん!」
と叫んだ。
「美貴ちゃん! 喬、いらっしゃい!」
喬の母は笑顔で喜んだ。
「やぁ、母さん、調子はどう?」
タカシは喬を装った。
「だいぶいいわよ」
「お義母さん、タカシと話し合って、退院したらお義母さんにうちに一緒に住んでもらいたいの」
「えっ!」
喬の母とタカシが驚いた。
「だって、一人で大変でしょう? お義母さんが来てくれれば喬も寂しい思いしないだろうし」
タカシはイヤな顔をした。
「いや、オレは別に寂しくないよ。どっちかって言うとダチョウに来てほしいし。美貴が言うから仕方なく..うっ!」
美貴はタカシの脇腹を突いた。
美貴に睨まれながら、タカシは
「...母さんが一人でいるとオレ達、心配なんだ」
セリフを棒読みちゃんした。
「喬..」
母は嬉し泣きで目に涙を浮かべた。
「お義母さんの部屋、退院までに準備しときます」
「本当にいいの?」
「親がいない私はお義母さんのこと本当のお母さんだと思ってるわ」
「美貴ちゃん...私もよ。私も娘が欲しかった」
喬の母はティッシュで涙を拭いた。
「そして、お義母さんのもんじゃ食べたい!」
「そうね! 週末はもんじゃパーティーしようか」
「賛成!」
美貴と喬の母が盛り上がってるそばで、タカシはスマホをいじっていた。
美貴はまたタカシの脇腹に強めのエルボーを喰らわせた。
「うっ...」
「人の話、聞けよ...」
凄んだ美貴の目にタカシは怯えた。
「怖...ご、ごめ...ちょっと仕事のメールが来てて」
「仕事は家でやればいいでしょ。だいたいね、ここは病院で...」
ブー...
タカシのスマホが鳴った。
「あっ! 仕事の電話入った! ちょっとゴメン!」
ホッとしてタカシは部屋から出ていった。
「最近、仕事が忙しいみたいで...ごめんね、お義母さん」
「仕事があるっていいことよ。体が動くうちにガンガン働かないとね。使えば使うほど体もいつまでも動いてくれるわ。動かなくなってからじゃ、何言っても遅いのよ」
「お義母さんが言うと凄味があるわ...さすが母子家庭を乗り切っただけある」
「うふふふふふ...」
ドア越しに聞こえる、美貴と喬の母の笑い声を聞きながらタカシは電話に出た。
「はい、本間です」
「本間君、久しぶりだね。安藤だ」
「安藤さん! お久しぶりです。月曜日、こっちにいらっしゃるんですよね?」
「ああ、君に会いにね...寂しかったよ」
電話の向こうの主は、タカシにやさしく囁いた。
「へ?」
タカシはスマホを耳から離し、スマホをジッと見た。
(なんだ? 寒気がするぞ...)
首を傾げながらタカシはラウンジの方へ歩いていった。
「月曜の夜はいつものキャバクラだが、金曜の夜、どっか静かなところに二人で飲みに行かないか?」
「ええ、いいですよ」
タカシは何も考えずにあっさり返事をした。
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