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事件が解決し、落ち着いた日々に戻ったある土曜日の夕方、ピンポーンとドアベルが鳴った。
真佐希が美貴達の家を訪れた。
「いらっしゃい! さ、あがって!」
美貴が笑顔で迎え入れた。
ジャックも来ていた。
「はーい、ジャックはタカシとベランダね~」
ベランダにジャックの小屋ができていた。その横に小さなソファがあり、タカシが座っていた。
小さなテーブルも置かれ、ビールと犬用ノンアルコールワインが準備されていた。
ジャックはタカシの横に座り、早速、普通の人間には理解できない犬語の会話が始まった。
真佐希がリビングにいくと、喬の母が笑顔で迎えた。
「いらっしゃい、真佐希君。いっぱいもんじゃ食べてね」
おっとりしたやさしい笑顔に真佐希は安心した。
「こんにちは。お邪魔します。僕、もんじゃ食べるの初めてなんです」
「じゃあ今日はもんじゃデビュー記念日ね。どれでデビューする? 明太子チーズモチもんじゃ、海鮮かた焼きそばもんじゃ、カレーもんじゃ、ツナマヨもんじゃ」
喬の母は嬉しそうに訊いた。
「そんなにたくさん作るんですか?」
「喬がよく食べるし、美貴ちゃんも食べるの。私もよく食べるしね。今日はジャックもいるから盛りだくさんよ~。ふふふ」
「じゃ、僕は海鮮かた焼きそばもんじゃでデビューします!」
「海鮮かた焼きそばもんじゃ、オーダーいただきました~!」
「あいよ!」
美貴と義母は息の合ったノリで、義母は手際よくもんじゃを作り始めた。
タカシとジャックは小さなテーブルの上の小さな鉄板で鶏と野菜のもんじゃを焼きを作って食べていた。
ビールで少しほろ酔いのタカシは、耳を優雅にパタパタさせてジャックとの会話を楽しんでいた。
「オレの宇宙船があればジャックを宇宙に連れていけるんだけど、美貴が勝手に宇宙船に棒を突き刺しちゃってさー。オレ、帰れないんだよな~。人間の女ってのは、そういうとこ何も考えないで行動するからな~。困っちゃうよ~」
ジャックはバウバウと答えた。
「わかってる。美貴には聞こえてないよ。怒らせると怖いからなー。ぷぷぷ」
タカシは笑った。
「ところで、おまえ、モモコとはどこまでいってんの?」
ジャックは気難しい顔をしてそっぽを向いた。
「なんだ、犬の世界も女が強ぇのか? おまえみたいないい男も尻に引かれるのか...」
ばふ~、ジャックはため息をついた。
「か~、辛いなぁ~...」
タカシとジャックがしんみりと真剣な顔で話し合っている時、夜空にスーッと流れ星のような一筋の光が輝いた。
真佐希は海鮮もんじゃを食べていた。
「おいしい! すごくおいしい! 僕、ハマるかも!」
「お口に合ってよかった。これからはヒマなときはうちへいらっしゃい。いつでも焼いてあげるから」
やさしくゆったりした喬の母の口調に真佐希は祖母の面影を重ねた。
「僕、最近、自分のことを恥ずかしいと思わなくなりました」
「何を恥ずかしいと思っていたの?」
喬の母はビックリして訊いた。
「僕、女装をするのが好きなんです」
真佐希は以前のようにモジモジすることなく普通に話した。
「似合いそうね。昔、もんじゃのお店をやってる時にね、お客さんにそういう方がいたのよ。平日はスーツを着たサラリーマンなのに、土日になるとカツラをつけて女装して、うちにお友達を連れて食べに来てくれるの」
「え~、いるんだ、そんな人ぉ」
美貴は缶酎ハイ3本目に突入した。
義母も2本目だった。
「いるいる~。女性のお客さんにも変装する人がいたわよ。平日は地味なOLさんなのに、土日になると金髪のカツラを被って色のついたコンタクトをして別人のような姿を楽しんでいたわ。今は自由になったわね。みんな楽しそうだったわ。私も派手なメークして若返ってみたいわ~」
喬の母の言うことに、真佐希は笑顔になった。
「できますよ! 楽しいですよ! 僕は女装の趣味を続けるけど、大学にいってちゃんと法律の勉強もします」
「エライわ! 若いんだもん、何でもやってみるべきよ」
美貴が激励した。
「そうそう、何でもやった方がいいわ。人の意見よりも自分がやってみたいという気持ちを大事にすべきよ。私のように歳をとってから、やっぱりああしておけばよかった、こうしておけばよかったと後悔する方がよっぽど恥ずかしいわ」
「お義母さんの言う通りだわ。人は他人事にはいい加減なことしか言わないし、少数者をいじめて優越感に浸る弱虫が多いから、真佐希君はいつも自分の気持ちを大事にしてね。多数だからって正しいわけじゃないし。自分から変化を起こそうとする勇気を持つ人がとても少ないっていうだけの話よ。でもその人達もいつか悟るわ。変わらなければならないって!」
美貴は3本目を飲み干した。
真佐希は祖母が美貴について話したことを思い出した。父親と再婚相手に捨てられた美貴は施設で育ったこと、親戚達からお金をせびられながら辛い思いをしてきたこと。
美貴が今、自分に話したことは美貴自身が子供の頃から辛い日々を耐え、嫌な思いを乗り越えた結果、辿り着いた結論なのだろう。
「そもそも、小モノは大モノを測れないしね。ははは!」
喬の母が美貴に笑って言った。
「だって小モノは大モノが見えないもん! 小さすぎて~! あはは! 小モノの言うことを気にする必要なし! 結局はいかに楽しく自分らしく人生を過ごすか、実践した人の勝ちよね~!」
美貴と喬の母は笑い合い、本当に気が合うようだった。
「僕、自分らしく人生を楽しみます!」
真佐希は笑顔で言った。
「そーだ! そーだ!」
美貴は4本目に突入した。
3人は食後、美貴のコスメグッズを使って喬の母を派手に化粧して楽しんだ。
「お義母さん、これで若い男をゲットできるわよ」
「そうかい? 一度、金髪のカツラ被ってみたかったのよ~」
「僕もイケると思います」
「今度3人で変装してバーに行ってみようよ。私、口説かれたいわ~」
「ダメよ、お義母さん。真佐希君はまだ未成年だし~」
「バーに行って牛乳飲めばいいじゃない」
「牛乳なんか出さないわよぉ。あと4年待つしかないわね」
「カフェに行くのはどうですか?」
真佐希が提案した。
「そうね、カフェでもいいわね」
「行こう行こう! 私も口説かれてタカシに怒られたりしちゃって~、あっはっは~」
美貴は出来上がっていた。
三人はカフェに変装していく話で盛り上がった。
暗い夜更けに恵理がコンビニから出てきた。
コツン!
空から何か降ってきて頭に当たった。
恵理はその場で倒れ気を失った。しばらくして目を覚まし、周りをキョロキョロしていた。
真佐希が美貴達の家を訪れた。
「いらっしゃい! さ、あがって!」
美貴が笑顔で迎え入れた。
ジャックも来ていた。
「はーい、ジャックはタカシとベランダね~」
ベランダにジャックの小屋ができていた。その横に小さなソファがあり、タカシが座っていた。
小さなテーブルも置かれ、ビールと犬用ノンアルコールワインが準備されていた。
ジャックはタカシの横に座り、早速、普通の人間には理解できない犬語の会話が始まった。
真佐希がリビングにいくと、喬の母が笑顔で迎えた。
「いらっしゃい、真佐希君。いっぱいもんじゃ食べてね」
おっとりしたやさしい笑顔に真佐希は安心した。
「こんにちは。お邪魔します。僕、もんじゃ食べるの初めてなんです」
「じゃあ今日はもんじゃデビュー記念日ね。どれでデビューする? 明太子チーズモチもんじゃ、海鮮かた焼きそばもんじゃ、カレーもんじゃ、ツナマヨもんじゃ」
喬の母は嬉しそうに訊いた。
「そんなにたくさん作るんですか?」
「喬がよく食べるし、美貴ちゃんも食べるの。私もよく食べるしね。今日はジャックもいるから盛りだくさんよ~。ふふふ」
「じゃ、僕は海鮮かた焼きそばもんじゃでデビューします!」
「海鮮かた焼きそばもんじゃ、オーダーいただきました~!」
「あいよ!」
美貴と義母は息の合ったノリで、義母は手際よくもんじゃを作り始めた。
タカシとジャックは小さなテーブルの上の小さな鉄板で鶏と野菜のもんじゃを焼きを作って食べていた。
ビールで少しほろ酔いのタカシは、耳を優雅にパタパタさせてジャックとの会話を楽しんでいた。
「オレの宇宙船があればジャックを宇宙に連れていけるんだけど、美貴が勝手に宇宙船に棒を突き刺しちゃってさー。オレ、帰れないんだよな~。人間の女ってのは、そういうとこ何も考えないで行動するからな~。困っちゃうよ~」
ジャックはバウバウと答えた。
「わかってる。美貴には聞こえてないよ。怒らせると怖いからなー。ぷぷぷ」
タカシは笑った。
「ところで、おまえ、モモコとはどこまでいってんの?」
ジャックは気難しい顔をしてそっぽを向いた。
「なんだ、犬の世界も女が強ぇのか? おまえみたいないい男も尻に引かれるのか...」
ばふ~、ジャックはため息をついた。
「か~、辛いなぁ~...」
タカシとジャックがしんみりと真剣な顔で話し合っている時、夜空にスーッと流れ星のような一筋の光が輝いた。
真佐希は海鮮もんじゃを食べていた。
「おいしい! すごくおいしい! 僕、ハマるかも!」
「お口に合ってよかった。これからはヒマなときはうちへいらっしゃい。いつでも焼いてあげるから」
やさしくゆったりした喬の母の口調に真佐希は祖母の面影を重ねた。
「僕、最近、自分のことを恥ずかしいと思わなくなりました」
「何を恥ずかしいと思っていたの?」
喬の母はビックリして訊いた。
「僕、女装をするのが好きなんです」
真佐希は以前のようにモジモジすることなく普通に話した。
「似合いそうね。昔、もんじゃのお店をやってる時にね、お客さんにそういう方がいたのよ。平日はスーツを着たサラリーマンなのに、土日になるとカツラをつけて女装して、うちにお友達を連れて食べに来てくれるの」
「え~、いるんだ、そんな人ぉ」
美貴は缶酎ハイ3本目に突入した。
義母も2本目だった。
「いるいる~。女性のお客さんにも変装する人がいたわよ。平日は地味なOLさんなのに、土日になると金髪のカツラを被って色のついたコンタクトをして別人のような姿を楽しんでいたわ。今は自由になったわね。みんな楽しそうだったわ。私も派手なメークして若返ってみたいわ~」
喬の母の言うことに、真佐希は笑顔になった。
「できますよ! 楽しいですよ! 僕は女装の趣味を続けるけど、大学にいってちゃんと法律の勉強もします」
「エライわ! 若いんだもん、何でもやってみるべきよ」
美貴が激励した。
「そうそう、何でもやった方がいいわ。人の意見よりも自分がやってみたいという気持ちを大事にすべきよ。私のように歳をとってから、やっぱりああしておけばよかった、こうしておけばよかったと後悔する方がよっぽど恥ずかしいわ」
「お義母さんの言う通りだわ。人は他人事にはいい加減なことしか言わないし、少数者をいじめて優越感に浸る弱虫が多いから、真佐希君はいつも自分の気持ちを大事にしてね。多数だからって正しいわけじゃないし。自分から変化を起こそうとする勇気を持つ人がとても少ないっていうだけの話よ。でもその人達もいつか悟るわ。変わらなければならないって!」
美貴は3本目を飲み干した。
真佐希は祖母が美貴について話したことを思い出した。父親と再婚相手に捨てられた美貴は施設で育ったこと、親戚達からお金をせびられながら辛い思いをしてきたこと。
美貴が今、自分に話したことは美貴自身が子供の頃から辛い日々を耐え、嫌な思いを乗り越えた結果、辿り着いた結論なのだろう。
「そもそも、小モノは大モノを測れないしね。ははは!」
喬の母が美貴に笑って言った。
「だって小モノは大モノが見えないもん! 小さすぎて~! あはは! 小モノの言うことを気にする必要なし! 結局はいかに楽しく自分らしく人生を過ごすか、実践した人の勝ちよね~!」
美貴と喬の母は笑い合い、本当に気が合うようだった。
「僕、自分らしく人生を楽しみます!」
真佐希は笑顔で言った。
「そーだ! そーだ!」
美貴は4本目に突入した。
3人は食後、美貴のコスメグッズを使って喬の母を派手に化粧して楽しんだ。
「お義母さん、これで若い男をゲットできるわよ」
「そうかい? 一度、金髪のカツラ被ってみたかったのよ~」
「僕もイケると思います」
「今度3人で変装してバーに行ってみようよ。私、口説かれたいわ~」
「ダメよ、お義母さん。真佐希君はまだ未成年だし~」
「バーに行って牛乳飲めばいいじゃない」
「牛乳なんか出さないわよぉ。あと4年待つしかないわね」
「カフェに行くのはどうですか?」
真佐希が提案した。
「そうね、カフェでもいいわね」
「行こう行こう! 私も口説かれてタカシに怒られたりしちゃって~、あっはっは~」
美貴は出来上がっていた。
三人はカフェに変装していく話で盛り上がった。
暗い夜更けに恵理がコンビニから出てきた。
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