出遅れ勇者の無双蹂躙~世界滅亡寸前からの逆襲~

友理潤

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第2章

コウヤの里の生き残り6

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「あらぁ、どうやって私の『影縛り』を解いたのかしら?
まあ、いいわ。お楽しみの順番が変わっただけだから」

メディーナは余裕の表情を浮かべている。
この表情のまま、里の人間を追い回し虐殺の限りを尽くしたと思うと、反吐が出る。
まずはこの余裕の表情から醜く崩してやろう。
その為に俺は決めていた事を告げる事にした。

「…ハンデだ」

メディーナの目が見開く。
しかしそれも一瞬で、すぐに元のニタリとした笑顔に戻った。

「あら?僕ちゃんはハンデが欲しいの?どうしようかなぁ」

「…勘違いするな」

メディーナは俺の言葉に怪訝な顔をした。
そしてその表情には同時に不快感が浮かんでくる。
俺は続ける。

「…貴様にくれてやる…ハンデをな」

「ああん!?」

「…左手しか使わない」

「あんた自分で何言ってるか分かっているの!?」

今度は俺がニタリと笑う。

「…足りないのか?クズ野郎」

「ふざけるな!まずはその左手から切り落としてやるよ!!」

激昂したメディーナは鎌を振るって襲いかかってきた。
彼女の顔は醜く歪んでいる。
俺はちょっとした達成感を感じていた。
意外とちょろいやつだ…

メディーナの鎌による一撃は、先程ティナに向けたものよりも、早く強い。

ブン!!

空気を高速で切り裂く鎌。

俺はよける事もせずに、その場で立ち尽くしている。

「あはは!反応も出来ないのね~!」

スパ!

その鎌を二本の指で挟む様に受け止めた。

「…まずはこの鎌からだ」

グッ!

俺の指に挟まれた鎌はピクリとも動かない。
少しメディーナに焦りが見え始めてきた。

「な、何よ!この鎌が欲しいのかなぁ?」

「…この鎌がこの里を絶望に変えた」

「鎌がぁ?あんた意外とポエマーなのね。私そういうの嫌いなんだよ!!」

メディーナが左手を伸ばして蛇を飛ばしてくる。

ガブ!!

蛇が俺の左腕に噛み付いた。
大きくない頭なので、牙が俺の腕に食い込んでも、血が滲む程度で、全くダメージはない。
しかしメディーナはしたり顔で俺に笑顔を向けてきた。

「あは!噛まれちゃったかぁ。ざんねぇん。
あんた毒ですぐに死んじゃうよぉ」

「…残念なのは貴様のおつむだ、クズ野郎」

「あは!強がる僕ちゃん、可愛いわぁ」

噛み付く毒蛇は無視する。
なぜならあらゆる毒に耐性のある俺にとっては、小さな蛇の噛みつきなど、くすぐったいくらいにしか感じないのだ。

「あ、あんた…毒が効かないの!?」

本来なら即効性のある毒なようだ。
俺の様子が全く変わらない事に驚愕の様子をメディーナは浮かべている。
こういう期待の裏切り方は最高に気持ちいい。
俺はもう一つの彼女の頼みの綱を崩す事に取り掛かった。

俺は魔法を詠唱した。

「熱を司る万能の神よ、我に触れる物をその熱で溶かしたまえ!『マグマタッチ』」

これは主に鍛冶職人が使う魔法だ。
鉱物を溶解して加工する為によく使われる。
しかし魔力の化け物と言っても過言ではない俺が唱えると…

「ば、バカな!!?溶けてる!私の鎌が溶けてる!」

みるみるうちに鎌が跡形もなく溶け落ちていく。

そして柄だけになり、半分程の長さまでになったところで、俺はもう一つの鬱陶しいものを溶かす事にした。


俺の左腕に執拗に噛み付いているものを。

ジュゥゥ…

蛇の頭は焼ける音とともにそのまま溶けた。

「グワァァ!!」

あまりのの熱さと痛みに思わず俺から離れるメディーナ。
その顔からは先程までの余裕は全く感じられない。
俺に焦る声で問いかけてきた。

「あんた…レベルはいくつ?」

俺は再びニタァと笑う。

「…その答えと交換だ」

「ああん!?何言ってるか意味不明なんですけどぉ!」

メディーナはそう言うと『影縛り』の魔法を唱えた。

俺は避けることもなく、その魔法をまともに受ける。
メディーナはそれを確認すると、俺に向かって飛び出した。
再び余裕の笑顔で。

「さぁ、じっくり殺しちゃおうかなぁ」

ガッ!!

メディーナが俺の首をつかむ。
普通の人間なら、つかまれた瞬間に喉が潰れてしまいそうだ。
そのくらい恐ろしい握力だった。

「さぁ、死んじゃいなさぁい」

「…質問の答えと交換」

「ああん!?」

「…お前の大事なもの」

そうこれはティナの父親が受けた屈辱。
それを我が身を持って味わうがいい。

「まさか…あんたそれって…私が…!へぶっ!?」

最後まで言い終わらないうちに、メディーナの顔の右半分が潰れる。

バチィィィン!!

俺の強烈な張り手がメディーナの右頬を気持ちいい程に綺麗な音を響かせた。

メディーナはそのまま横に吹き飛んだ。

「ぶべっ!!」

彼女の整った顔立ちは、右の頬を大きく腫らせて醜く歪んでいる。

「…いい顔してるぞ」

「ぐっ…きさま…やはり魔法が効かないのね…」

「…圧倒的な実力差」

「くそっ!答えなさい!あんたのレベルはいくつなの!?」

彼女が最も気にしていた顔の半分を醜くしたのだ。
物々交換に値してもよかろう。
俺はそう思い、答えた。

「…80」

「な…なに…!?私は92よ…それなのに…どうして!?」

「…その質問も交換だ」

グン!

俺は一気に彼女との差を詰めた。
そして今度は裏拳で左の頬を殴りつけた。

バキィッ!!

頬骨の砕ける音が心地よい。

「あが…がぁ…」

メディーナの顔はもはや誰のものか分からなくなる程にめちゃくちゃに破壊されていた。
かすり傷一つであれ程までに怒り狂っていたのだ。
今の状況は屈辱そのものだろう。

「…素質が違いすぎるのだ」

「ぐぞぉぉ!!そんなの認めない!!」

俺はメニューから鏡を取り出す。
サヤがしっかりとお手入れが出来るようにと持っていたものだ。

それをメディーナの前に出した。

「…いい顔してるぜ」

「いやぁぁぁぁ!コロス!殺してやる!」

我を忘れた様に怒り狂るうメディーナに対し、俺は静かに答えた。

「…そのセリフ…そっくり返してやる」


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