英雄テイマーの後継者~無能と罵られて追放されたテイマー、伝説の勇者と同じスキルを覚醒させて巨悪に立ち向かっていく。本物のテイムを見せてやる~

友理潤

文字の大きさ
42 / 88

第42話 【閑話】絶望のイライザ②

しおりを挟む
◇◇

 この私自ら、ダンジョンを巣食うモンスターどもを一掃してあげることにしたの。
 あ、でも勘違いしないでよね。
 ギルドにいても誰も相手してくれないから、暇すぎて仕方なく、ってことじゃないわよ。決してそんなんじゃない。決して……。

「イライザさん。あなたのパーティーは解散となっているのはご存知ですよね?」

 受付嬢のエイミー。いつにも増して声がキツイ。
 まるで槍で突き刺すようだわ。
 声は性格をあらわすって、パパから聞いたことある。
 彼女の性格も絶対にキツイに決まってる。
 この私を何だと思ってるのかしら?
 そもそもあんたの給料は私たち冒険者への依頼を仲介する時の仲介料でまかなわれてるのを知ってるのよ。
 しかも私はAランクなのよ。
 私への依頼の仲介料だけであんたの月収をゆうに超えるんだから。
 つまり私がいなければ、あんたは食うことすらできないくらい貧乏だったってこと。
 そこんところ、本当に分かってる?

「ええ、もちろんだわ。ニックがあんなことになったのですもの。パーティー解散はやむを得ませんね」
「でしたらランクもいったんリセットされます」
「へ?」

 ウソ。そんなの聞いてない。

「まさか知らないとは言わせませんよ。冒険者育成学校で習いましたよね?」
「え、ええ。そうよね。もちろん知ってるわよ! ほほほ……」

 エイミーが丸眼鏡の向こうからじーっと見てくる。
 その視線、うっとうしいわ!

「で、でも、パーティーが解散になった時はそれまでの貢献度に応じて、ランクが決まるのよね?」

 そう、思い出したわ。
 これまで私は身を粉にしてパーティーに尽くしてきたものね。
 むしろ私がいなければあのパーティーは何もできない無能の集まりだった。
 だから私は絶対にAランクのままね。確定よ。

「Fランクです」
「はい?」

 今なんて言った?
 Fランク?
 新米冒険者は自動的にGランク。
 でも第1層で木の実の採取と、草食モンスターを数体討伐するというチュートリアル的な任務をこなせば、すぐにFランクへ上がることになってる。
 つまりFランクは実質、一番下。最下層。底辺。

「ごめんなさい。考え事してて、うまく聞き取れなかったわ。私のランクが何ですって?」
「だからFランクです。ちなみにFランクですので、探索可能な階層は第5層までで……」
「ふざけるのもいい加減にして!! この私がFランクですって!? これ以上侮辱するようならパパに言いつけるわよ!!」

 いつになく甲高い声が出てしまったも仕方ないわよね。
 この女は嫉妬してるのよ。
 絶世の美女である上に冒険者としても有能な私にね。
 だから意地悪をしてるんだわ!
 そんなの絶対に許せない。

「大きな声を出さないでください。それにふざけているわけではありません。ほら、こちらをよくご覧ください」
「何よ?」
「いいですか。Bランクに上がるまでの戦闘での貢献度は0。BランクからAランクに上がるまで、ほんのわずかだけ戦闘で貢献したようですけど、それもほとんど0に等しい。にも関わらず、索敵も荷物運搬もしない。キャンプ設置、炊事、洗濯……すべての貢献度が0。つまりあなたがパーティーにいようといまいと、他の仲間にしてみればまったく関係なかった、ということになります。あくまで数字上では、の話ではありますが」
「なんですって……」
「もちろん数字にはあらわせない貢献もあるでしょう。だからこの数字では本来、冒険者育成学校で再教習、となるはずだったのを、あなたのお父様のはからいもあって、Fランクにとどめ置かれたのです」
「そんな……パパが……」
「ええ、ですからお父様に報告くださってけっこうです。むしろお父様に感謝することです。さあ、どうします? Fランクの依頼となりますと……そうですね。『大ミミズ10匹を採取』とかいかがでしょう?」

 信じられない……。
 私が冒険者の底辺だなんて……。

「……もしどうしても、元のランクに戻りたい、ということでしたら、方法がないわけではありません」

 な、何よ!
 落としてから持ち上げるとか、可愛い顔して性格悪いわね♪

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます

エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】 「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」 そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。 彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。 傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。 「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」 釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。 魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。 やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。 「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」 これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー! (※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...