英雄テイマーの後継者~無能と罵られて追放されたテイマー、伝説の勇者と同じスキルを覚醒させて巨悪に立ち向かっていく。本物のテイムを見せてやる~

友理潤

文字の大きさ
68 / 88

第68話 モンスターの進化レベルには『究極』なるものがあるらしい

しおりを挟む
◇◇

 ニックの襲撃からしばらく経った。
 多くの仲間が傷ついたことに対し、誰よりも責任を感じていたのはグリーンドラゴンのグリンだ。
 そこで彼はドワーフのドフに、特製の武器を作ってもらう約束を取り付けたわけだが、今日、その武器が完成したようだ。

「うむ。これはいい!」

 それは尻尾の先に装備するトゲのついた鉄球。
 なるほど尻尾での攻撃を強化したってわけか。
 すると無機質な女性の声が久々に響いてきた。

『グリンがグレート・グリーンドラゴンに進化しました。【灼熱ブレス】のスキルを手に入れました!』

「おお! グリンが『グレート』に進化したぞ!」
「うむ。しかし実感はありませんな」

 確かに見た目はまったく変わらないしな。
 ステータスは大幅にアップしているはずだが、数値で見ないことにはそれすらも分からないだろう。
 ん? そう言えばスキルポイントを消費すれば『他人のステータス確認』なるものを身につけられたような気がする。

 早速ステータス画面を開いて、お目当てのスキルがあるか確認してみる。
 おっ、あったぞ。よし、じゃあ身につけてみよう。
 プチっとボタンを押した。

『【他人のステータス確認】のスキルを手に入れました。半径5歩以内にいる相手のステータスを確認することができます』

 よし、じゃあ、今度はグリンのステータスを確認と……。

---------------
名前:グリン
種族:グリーンドラゴン
進化レベル:2(グレート)
レベル:102
HP:8500
MP:0
腕力:900
防御力:900
魔力:150
スピード:700
スキル:
灼熱ブレス、尻尾ぶん回し、爪攻撃、かみつき、飛翔、火属性無効、
会心率Up(小)、人間に変化
性格:勇敢
状態:ストイックに筋トレ続行中
----------------

 ふむふむ。すべてのステータスで俺の方が上か。
 ストイックに筋トレしてるんだな。ムキムキなのはそのおかげというわけだ。
 ではついでに隣にいるサンはどうか。

----------------
名前:サン
種族:ゴーレム
進化レベル:3(プラチナ)
レベル:150
HP:13000
MP:0
腕力:1400
防御力:1500
魔力:100
スピード:900
スキル:
一定ダメージ以下物理無効、精神魔法無効、物理耐性Up(極大)、魔法耐性Up(極大)、会心率Up(極大)、素手攻撃力Up(極大)、人間に変化
性格:優しい、心配性
状態:恋をしている
----------------

 俺のステータスは『腕力:304(+1210)』『防御力:328(+1320)』。
 つまり『腕力:1514』『防御力:1648』とサンよりも高いのは、ダンジョン探索に出ているエアリスとカーリーの方がサンと比べてレベルが高いということなのだろうな。

「ん? ところで『状態:恋をしている』ってなんだ?」
「わー! わー! ピートさん、何か言いました? なんだか外が騒がしくてよく聞こえませんでした」
「いや、だから『状態:恋をしている』って――」
「わー! わー! あれ? ピートさんの声が聞こえない。わー! わー!」

 ……どうやら答える気はないってことか。
 まあ、サンも年頃の女の子だし、恋くらいしててもおかしくないよな。

『おめでとうございます。スキル【相手の気持ちにも自分の痛みにも鈍い】を手に入れました。一定のダメージまでなら痛みを感じなくなりました』

 …………なんだこれ?
 まあ、いいや。痛みを感じないスキルって地味に便利だ。
 しかしそれにしても『飛翔』とか『灼熱ブレス』とか『痛みを感じない』とか、ますます人間から離れていってる気がするな。
 いつか本当のモンスターになっちゃったりして。

 あ、今のなしね。変なフラグとか立てたくないし。

「お? 『進化レベル』ってところが押せるようになってるみたいだぞ」
「ええ、何でしょう?」
「とりあえず押してみるか」

 ということでグリンの方から押してみた。

----------------
▼進化レベル
1:ノーマル
2:グレート
3:アルティメット
究極:エンシェント
-----------------

「レベルが『究極』ってなんだ?」
「さあ……。でもエンシェントというのは聞いたことがあります」
「ああ、俺も。確か……勇者マリウスが使役していた伝説のドラゴンが『エンシェント・ブラックドラゴン』だったよな?」
「うむ。ご主人。俺も聞いたことがあるぞ。『エンシェント・ブラックドラゴン』はすべてを超越した絶対的な存在とな」
「すべてを超越した絶対的な存在ね……。なんか魔王アルゼオンの触れ込みも似たような感じだったような」

 しかし今、そこを深掘りしても意味ないのは分かっている。
 だから俺は続いてサンの進化レベルを覗いてみた。

----------------
▼進化レベル
1:ノーマル
2:ゴールド
3:プラチナ
究極:オリハルコン
-----------------

「オリハルコン……。架空の鉱物って聞いてたけど実在するのか?」
「さあ……どうなんでしょう」
「ところでこの『究極』に進化するにはどうしたらいいんだろう?」
「さあ……。ごめんなさい。分からないことばかりで」

 しょんぼりしてしまったサンに対し「変な質問ばっかで、俺の方こそごめんな」と励ます。
 サンははにかみながら、嬉しそうに元の笑顔に戻った。
 
 ところでオリハルコンに進化したゴーレムってどんなステータスなんだろうか。
 今でもかなり高いから、ものすごく高いに違いない。
 もしかしたらエンシェント・ブラックドラゴンよりも高かったりして。
 そんなことはないか。あっちは伝説だしな。
 けどいずれにしてもサンたちが強くなるのにこしたことはない。
 いつどうやって進化できるか分からないけど、色々と調べてみる価値はありそうだな。

 そんなことを考えているうちに、脳裏にまたあの声が響いてきた。

『逃走不能シナリオの条件を満たしました』

 今までの浮ついた気持ちが一気に冷め、胸がドクドクと音を立て始めた。

「ピートさん?」
「ご主人……」

 心配そうに見つめてくるサンとグリンの二人が目に入ったことで、ようやく我に返る。

「逃走不能シナリオが発動したようなんだ」
「逃走不能シナリオ……。確か、ダンジョン探索をしている最中に敵に囲まれたりして逃げられなくなったら、防御を固めて助けを待つというシナリオでしたよね?」
「ああ、対象はエアリスたちだ。このシナリオが発動したってことは、彼女たちはかなり危ない状態にあるってことだ」

 サンとグリンの顔色がさっと変わる。
 そりゃ、そうだよな。
 エアリス、カーリー、ピピの3人は仲間たちの中でも飛びぬけて強い。
 そんな彼女たちがピンチに陥ったのだ。
 かなり強いモンスターがあらわれたか、それともとんでもない罠にはまったか……。
 いずれにしても想定外のヤバイ状況であることは間違いないのだから……。
 けど迷いなんて微塵もなかったよ。

「グリン、ここを頼んだ」
「ご主人、分かった。何かあったらダンとジョンの2人を『仲間』にして戦う」

 いわゆる『モンスターの群れ』ってやつだな。
 戦闘の時だけリーダーのモンスターが仲間のモンスターに命令できるようになるらしい。
 ダンはキメラロード、ジョンはヘルグリズリー。
 2人ともグリンとともに暇さえあれば筋トレしている。つまり筋肉友達だ。

「よしっ。サン、一緒にいくぞ」
「はいっ!」

 こうして俺はサンとともに拠点を出た。
 エアリス、カーリー、ピピの3人がピンチということは、似たようなステータスの俺も危ないかもしれない。
 けどそんなこと関係ない。
 大事な仲間をこのまま放っておけるわけないからな!
 
 3人とも待ってろよ! 必ず助けてやる!!



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます

エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】 「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」 そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。 彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。 傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。 「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」 釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。 魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。 やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。 「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」 これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー! (※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...